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REPORT

対談シリーズ「表現をめぐる小さな哲学~小金井アートフル・アクション!の現場より」を公開します!

公開日│2018.06.22

アートプロジェクトの実践の現場には、どのような価値があるのだろうか? (個々のプログラムだけでは表現しきれない)複数の実践に通底する思考を、どうすれば掬い上げることができるのだろうか? こうした問いに向き合うため、対談シリーズ「表現をめぐる小さな哲学~小金井アートフル・アクション!の現場より」では、小金井アートフル・アクション!事務局長の宮下美穂さんとふたりの対話役との対談を4回に分けてお送りします。

目次>>
第1回 宮地尚子×宮下美穂(前半)
第2回 宮地尚子×宮下美穂(後半)
第3回 宮下美穂×佐藤李青(前半)
第4回 宮下美穂×佐藤李青(後半)

小金井アートフル・アクション!は2009年に小金井市が芸術文化振興計画を策定したことをきっかけに始まりました。正式名称は小金井市芸術文化振興計画推進事業。2018年度に10年目を迎えます。東京アートポイント計画とは2011年から共催事業を実施しています。これまで小金井市をフィールドに多様な実践を「市民」とともに取り組んできました。

対話役の、ひとりは精神科医の宮地尚子さん。小金井アートフル・アクション!の多くのワークショップに参加しています。事業の現場のみならず、宮下さんとは普段から親しくされている間柄です。もうひとりは、アーツカウンシル東京のプログラムオフィサーの佐藤李青が務めます。前職では小金井アートフル・アクション!の立ち上げに関わり、2011年度からは東京アートポイント計画側で小金井の事業を担当しています。

遠すぎても分からない。近すぎても語ることが難しい。そうした現場に宿る「小さな哲学」を、近しいけれどプロジェクトの運営母体の外にいる、ふたりの対話役との言葉のなかに掬いあげることを試みました。一連の対話から立ち上がる風景に身を委ねながら、ゆっくりと向き合っていただければと思います。

シリーズの名称「表現をめぐる小さな哲学」は編集者の大谷薫子さんによって命名されました。今回初めて宮下さんと出会った大谷さんは、複数回、長時間にわたったインタビューの最初の頃に、次のような所感を記しています。

趣旨としては、隠れテーマをいうと、新しい価値評価を提案すること。
既成の枠のなかでは捉えられないフィードバックの豊かさを、読者がたくさんみつけられるものにしたいなと。小数点以下の豊かさみたいなもの。
たぶん、宮下さんはそうした豊かさをみつける目線のエキスパートで、プロジェクトを振り返っていただきながら、今日はその目線や多様な豊かさを話してもらうようなインタビューになればと。
そうした豊かさに気づくための態度として、前回のインタビューで、受け身、ただそこにあるものを受け続けるという態度のことを話されていましたが、そうした宮下さんの態度について、もっと見えてくるといいなと思っています。
そういうものが言葉化されると、広い意味での表現の場が変わってくる気がしますし。
(2017年7月3日のメールより抜粋/一部修正)

対話を重ね、言葉を拾い、文章として構成し、何度も話者とのやりとりを介して本対談シリーズは生まれました。それは、ひとつの現場で醸成された価値を、複数の関わりの人々の共同作業を通して言葉にひらく試みとなりました。本対談の言葉が掬い上げた「小さな哲学」をより多くの人々が分かち持つことで、豊かに時間を重ねる現場の営みの後押しになればと願っています。

なお、本対談では小金井アートフル・アクション!で重ねられてきた無数の実践の底流に流れる共通の価値に触れることを目指しました。それゆえ、個々の現場の様子は細かく記してはおりません。小金井アートフル・アクション!の実践の軌跡を知りたい方は、ぜひウェブサイトやドキュメント(※)をご確認ください。

『思考と技術と対話の学校 基礎プログラム1 [思考編]「仕事を知る」講義録 2016』では「アートNPO事務局の仕事――行政、市民、場をつなぐ:宮下美穂(NPO法人アートフル・アクション 事務局長)」を収録しています。

(アーツカウンシル東京プログラムオフィサー 佐藤李青)

ある日のインタビュー風景