遠さと近さのあいだで―アジアで移動、接続、越境すること
執筆者 : 高橋創一
2019.01.24
《BARRAK:survibes》展示風景 -Bangkok Biennial 2018/撮影:百頭たけし
近年、日本各地でアジアのアーティストの展覧会やレジデンスなどが盛んに行われ、アーティストや作品と出会う機会が増えてきました。また、インターネットを通じて、各地の情報にアクセスすることも容易になっています。
物理的にも、心理的にも、「近く」なったアジア。しかし、日本もアジアの一部であると捉えると、この近くなったという感覚で「アジア」をひとくくりにしてしまうことは、かえって「遠ざけて」しまうこともあるのではないかと思います。現在、アジア諸国や日本のアーティストやキュレーターの協働が盛んに行われるなかで、どのような気づきや表現、あるいは一過性ではない文化交流が生まれているのでしょうか。
ときに「アジア」という大きな概念や対象は、身体のレベルを超え、漠然としたイメージとしてわたしたちのなかに入り込んでくるようにも思えます。そのなかで必要になってくるのは、自らの立ち位置を見定め、固有の「一対一の関係性を結ぼう」という姿勢なのかもしれません。
そうした関係性を構築する姿勢を学ぶべく、実際にアジアの現場でプロジェクトを行ってきた居原田遥さん(インディペンデントキュレーター/コーディネーター)と、アジアのアーティストやキュレーターを日本に招聘してきた堀内奈穂子さん(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]キュレーター)という、内と外、視点の異なる二人の実践者をお迎えします。お二人がどのようにアジアを捉え、アーティストやアートと対峙し、関係性を結んできたのか。移動、越境することで可能になってくる表現、見えてくる境界線について話を伺います。