アートと名付けられない創造力へ向かって 「ファンタジア!ファンタジア!」が墨田で考えていること

それまで当たり前だと思っていた考えを解きほぐす「対話」を生み出し、地域の文化資源の活用から「学びの場」 を創出する『ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―(通称ファンファン)』。プロジェクトを実践するなかで感じた、アートに近接する、まちづくり、福祉、ケア、教育などとのあいだのモヤモヤについて言葉を綴りました。2021年度の活動記録に加え、ゲストとの鼎談や事務局メンバーの座談会等も収録しています。

微弱な創造力を、まちの中で、あるいは歴史の中で見つけていくためには、今まで自分たちが当たり前に信じてしまっていた「アート」の価値観やアートプロジェクトのある種の型について再考し、ときにはそれらを思いきって手放すことも必要でした。そうやって自分たち自身の〝当たり前〞 を疑い、想像の限界を更新していく作業こそが、ファンファンにとってのアートであり「安心して自分自身が変われる技術」だと言えるものです。

(p.13)
もくじ

はじめに 小さくやわらかな実践に引き寄せられて

Chapter 1
活動紹介:トナリのアトリエ

Chapter 2
座談会:社会課題を解決するとき、アートはどこにあるか?
―「活動」と「作品」の線引きをめぐって

Chapter 3
コラム:セツルメント運動から考えるアートプロジェクトの現在

Chapter 4
座談会:「手前から考える」ことから歩きだす
―2021 年度の活動を振り返って

おわりに 不確かさをひらき続ける意思表明として

アートプロジェクトがつむぐ縁のはなし 大巻伸嗣「Memorial Rebirth 千住」の11年

現代美術家・大巻伸嗣の《Memorial Rebirth(通称:メモリバ)》は、1分間に最大1万個のシャボン玉を生み出す装置を数十個並べて、無数のシャボン玉で見慣れたまちを一瞬にして光の風景へと変貌させるアートパフォーマンスです。足立区千住では、『アートアクセスあだち 音まち千住の縁』の一環として、2012年にいろは通りにはじまり、区内の小学校や公園など毎年場所を変えながら、リレーのバトンのように次に手渡され、展開してきました。

本書では、「Memorial Rebirth 千住」が歩んだ約10年を絵物語、事業にかかわってきた人の声、そして多様な評価分析の手法で紐解きます。

目次

1 絵物語をひらく

2 声をきく
はじめに~シャボン玉で社会を彫刻する?
「Memorial Rebirth 千住」とは
クロストーク「アートなんて分かんねえ!」
メモリバをめぐるビフォー・アフター・ボイス
コロナ禍をしなやかに生きる「音まち」事務局と大巻電気K.K.の活動の記録
大巻伸嗣とMemorial Rebirth 千住の未来

3 評価を学ぶ
アートプロジェクトの評価について
Memorial Rebirth 千住が生み出した価値とは?
Memorial Rebirth 千住のステークホルダー
「メモリーバックアップ」としてのロジックモデル Memorial Rebirth 千住の10年間を事例として

「Memorial Rebirth 千住」年表 2011-2022
「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」これまでの主なプログラム
「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」年表 2011-2022
「Memorial Rebirth 千住」用語集
しゃボンおどりの歌

Artpoint Reports 2021→2022

『Artpoint Reports 2021→2022』は、一年を振り返りながら、ちょっと先の未来について語るレポートです。社会の変化に応答した2021年度の取り組みを、ディレクターとプログラムオフィサーが語りました。

そしてこれは、コロナ禍の社会にあって必要な視点ではないでしょうか。いま、「なぜ以前のようにできないのか」と憤るとしたら、それは「ニュー・ノーマル」を生きていないのかもしれない。大切なのは、まず「できない」ことを認め、そこからどのように折れずに前を向けるかだと思います。

(p.22)
もくじ

About

  • 東京アートポイント計画とは
  • メンバー紹介

Project reports 事業報告2021

News 2021の取り組み

  • Voices 2021→2021について語る
  • 「支援者の支援」から見えた役割
  • アーティストと協働する可能性
  • 社会を「知る」学びの場
  • 災間の社会におけるアートプロジェクト
  • 「弱い」構えで、社会課題に向き合う

Annual costs 事業予算

Projects 事業一覧

Information お知らせ

アーティスト・プログラム in 神津島『くると盆栽流し』『景色から染まる色』 記録映像

神津島を舞台にしたアートプロジェクト『HAPPY TURN/神津島』が2021年度に実施した「アーティスト・プログラム」の記録映像です。

映像の前半は大西健太郎さん(アーティスト)による『くると盆栽流し』です。海辺で拾った漂流物や島の草木を土台にさしてオリジナルの「くると盆栽」をつくり、後日、盆栽に島を案内するようにして村中を歩きました。後半は山本愛子さん(美術家)による『景色から染まる色』です。島の景色を彩る草木や鉱物、水などを素材に、草木染めを参加者の方々と楽しみました。

あなたの暮らし、どんなカタチ?

自分たちの住むまちを、より魅力的で生きやすい「誰もが自由に表現できるまち」にしたい。府中市を中心に、日々の生活に視点を向けた、身近なところにある「表現」を通して「だれもが表現できるまち」を目指すプロジェクト『Artist Collective Fuchu[ACF]』。職種や年齢も多様なメンバーが集うACFが、これまでのあゆみを振り返りつつ、未来に向けた新たな取り組みを、さまざまな人たちとともに進めていく架け橋としてつくった一冊です。

TERATOTERA 2010→2020 ボランティアが創ったアートプロジェクト

JR中央線の高円寺・吉祥寺・国分寺という「3つの寺」をつなぐ地域で展開しているアートプロジェクト『TERATOTERA(テラトテラ)』。本書は、10年間の取り組みを、企画の中心を担うボランティアスタッフ「TERACCO(テラッコ)」が中心となり、まとめあげたドキュメントです。事務局やテラッコ、アーティストなど、事業にかかわるさまざまな人々が声を寄せました。

年代も立場も異なる様々な人々が集い、それぞれの技能と経験を生かして愉しみつつ協働する。そうした在りようが「放課後」に重なって見えたのです。

(p.161)
もくじ

はじめに Introduction

Ⅰ TERATOTERA 祭り2020  TERATOTERA Festival 2020

Ⅱ はじまりの日々 The First Days

Ⅲ テラッコの熱量 The Passion of TERACCO

Ⅳ テラッコとともに歩んだ11年 Eleven Years with TERACCO

Ⅴ  TERATOTERAを観察する Observing TERATOTERA

Ⅵ テラッコの可能性 The Potential of TERACCO

Ⅶ TERATOTERAと私 TERATOTERA and Me

TERATOTERA全記録 2010→2020/ビジュアルアーカイブ

おわりに Conclusion

編集後記

TERATOTERA祭り2020 アーカイブ映像

中央線沿線で様々なアートイベントを展開するプロジェクト『TERATOTERA(テラトテラ)』は、2020年10月15日から18日の4日間にわたり、東南アジアと日本のアートコレクティブがアート作品、パフォーマンス、演劇などの作品をライブ配信で届ける「TERATOTERA祭り2020 Collective 〜共生の次代〜」をオンラインで開催しました。

TERATOTERAの公式YouTubeチャンネルでは、オンライントークやディスカッションのアーカイブを視聴することができます。

詳細

アーカイブ

Border Crossings: Discovering What Lies Beyond Borders + The Pen-tomo Project ーDepicting Our Imaginary Landscapes

Koganei Artfull-action! is launching the Pen-tomo Project with artist Haji Oh. This small leaflet has been prepared as a memorandum to record its starting point from which various projects and studies will develop. This will provide an ongoing platform to which people can always return to, discuss and update.

Contents

Border Crossings: Discovering What Lies Beyond Borders/Miho Miyashita
[Interview] The Pen-tomo Project
 Depicting Our Imaginary Landscapes: Point of Departure of the Project
  Haji Oh (Artist) 
  Risei Sato (Program officer, Arts Council Tokyo)
  Miho Miyashita (Artfull-action, Non-profit organization)
The Pen-tomo Project – Depicting Our Imaginary Landscapes/Haji Oh
Would You Like to Participate in the Pen-tomo Project?
Triangular Letter Exchange by Wi, Haji and Nozawa
Appendix: Letter Pad

観察し、ほどき、解し、理解の緒を見出していくことー2019年度 小学校連携授業の記録

本書は、2019年度に『小金井アートフル・アクション!』が実施した二つの小学校との連携授業の記録です。
小金井市立前原小学校での「スライム自由研究の記録」、小金井市立本町小学校での「小学生のためのプログラミング入門」のほか、インタビューを収録しています。

目次

スライム自由研究の記録(小金井市立前原小学校)
いきいきと遊び、観察し、展開する―算数をめぐって|須之内元洋(札幌市立大学講師)
先生たちとやってみた! スライム自由研究のしおりとドキュメンテーション
世界の見方と算数――スライム実験の経験から
好奇心をもって自分で理解すること 木下 晋(画家)インタビュー

小学生のためのプログラミング入門(小金井市立本町小学校)
ドキュメンテーション――気づき
読み書きとしてのプログラミング|久保田晃弘

新春!くると音楽会〜チルドレンミュージックバンドCOINNコンサート 記録映像

『HAPPY TURN/神津島』は、さまざまな立場から島に関わる人とつながり、それぞれの暮らしや考え方を学び合うことで「幸せなターン」のかたちを探るプロジェクトです。

本映像は、2020年に『HAPPY TURN/神津島』の一環として、活動拠点の「くると」で開催した「新春!くると音楽会」のダイジェスト映像です。