Border Crossings: Discovering What Lies Beyond Borders + The Pen-tomo Project ーDepicting Our Imaginary Landscapes

Koganei Artfull-action! is launching the Pen-tomo Project with artist Haji Oh. This small leaflet has been prepared as a memorandum to record its starting point from which various projects and studies will develop. This will provide an ongoing platform to which people can always return to, discuss and update.

Contents
  • Border Crossings: Discovering What Lies Beyond Borders/Miho Miyashita
  • [Interview] The Pen-tomo Project
    Depicting Our Imaginary Landscapes: Point of Departure of the Project

    • Haji Oh (Artist)
    • Risei Sato (Program officer, Arts Council Tokyo)
    • Miho Miyashita (Artfull-action, Non-profit organization)
  • The Pen-tomo Project – Depicting Our Imaginary Landscapes/Haji Oh
  • Would You Like to Participate in the Pen-tomo Project?
  • Triangular Letter Exchange by Wi, Haji and Nozawa
  • Appendix: Letter Pad

観察し、ほどき、解し、理解の緒を見出していくこと―2019年度 小学校連携授業の記録

本書は、2019年度に『小金井アートフル・アクション!』が実施した二つの小学校との連携授業の記録です。
小金井市立前原小学校での「スライム自由研究の記録」、小金井市立本町小学校での「小学生のためのプログラミング入門」のほか、インタビューを収録しています。

目次
  • スライム自由研究の記録(小金井市立前原小学校)
  • いきいきと遊び、観察し、展開する―算数をめぐって|須之内元洋(札幌市立大学講師)
  • 先生たちとやってみた! スライム自由研究のしおりとドキュメンテーション
  • 世界の見方と算数――スライム実験の経験から
  • 好奇心をもって自分で理解すること 木下 晋(画家)インタビュー
  • 小学生のためのプログラミング入門(小金井市立本町小学校)
  • ドキュメンテーション――気づき
  • 読み書きとしてのプログラミング|久保田晃弘

アーティスト・クロストーク《オンライン》(音まち10年目特別企画)

アートプロジェクト『アートアクセスあだち 音まち千住の縁』(通称:音まち)では、まちなかを舞台に多彩な分野で活躍するアーティストを招聘し、10年にわたって市民参加型プログラムを展開してきました。それらの作品づくりの過程には、アーティストのみならず、まちの人びとが参加者として関わっています。

「アーティスト・クロストーク」は、2020年度に活動10年目を迎える音まちが企画するトークシリーズです。音まちでプロジェクトを展開している野村誠さん(作曲家)、大巻伸嗣さん(現代美術家)、アサダワタルさん(文化活動家)が、活動の垣根を超えた様々なゲストと雑談のように語らいながら、トークテーマを掘り下げていきます。

詳細

#01 ひょうたんから駒が出るようなはなし ―まち、人を動かす、名づけられない「作品づくり」について―

  • アーティスト:野村誠
  • ゲスト:Nadegata Instant Party
  • モデレーター:熊倉純子(解説)、櫻井駿介

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#02 大巻伸嗣×地域アート?『アートなんてわかんねぇ!』

  • アーティスト:大巻伸嗣
  • ゲスト:山出淳也、市民チーム「大巻電機K.K.」の皆さん、 「水郷ひた芸術文化祭2018」市民スタッフ
  • モデレーター:熊倉純子(解説)、森司

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#03 会えない日々と、気配のゆくえ

  • アーティスト:アサダワタル
  • ゲスト:山川冬樹
  • モデレーター:Lana Tran、冨山紗瑛

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IMM東京2020 オンライン美術館 アーティスト・インタビュー

アートプロジェクト『アートアクセスあだち 音まち千住の縁』の一環である「イミグレーション・ミュージアム・東京」(通称:IMM東京)は、活動10周年を迎えた2020年度に期間限定でオンライン美術館を公開しました。

現代日本における「移住と移民・多文化社会」をアーティストたちはどのように見つめ、作品を制作しているのでしょうか。本映像では、IMM東京を主宰する岩井成昭さんが、李晶玉さん、岩根愛さん、高山明さんをゲストアーティストに迎えてインタビューを実施し、現代美術を通じたそれらのアプローチを紐解きます。

あの手この手で繋がるには? コロナ状況下でのアートプロジェクトを考える

全国の緊急事態宣言は解除され、東京都と近県をまたぐ移動の自粛要請もあと2日で終わり。それでも、人が集まることのリスクは高いまま。

そんな状況下の2020年6月17日、アートプロジェクトの事務局による事務局のためのジムのような勉強会「東京アートポイント計画 ジムジム会」の第2回を開催しました。

今回もオンライン上で開催したジムジム会。参加者による活動の共有やディスカッションを展開しました。当日の内容をレポートします!

お互いの実践から、活動のヒントを見つけよう

多様な人が関わり合い、表現を紡ぐアートプロジェクト。その根っこである「集うこと」ができない状況下で、いかにして人と人は出会い、繋がればいいのでしょうか。

東京アートポイント計画では3月以降、各プロジェクトの事務局会議も含め、実際に集まることは控えてきました。でも、だからといって活動そのものを止めていたわけではありません。こんな状況だからこそ、ますますアートプロジェクトは必要なはず。

そう信じ、あの手この手を駆使して行ったアクションや、新たな工夫を共有するところから第2回をスタートしました。テーマは「これからの活動のありかたを考える」です。

シニア世代のクラブ活動をオンライン化

最初に実践報告をしてくださったのは、小金井で市民とともに活動するアートプロジェクト「小金井アートフル・アクション!」の運営に関わる伊藤安寿華さん。

小金井では、「えいちゃんくらぶ(映像メモリーちゃんぽんくらぶ)」という活動を2018年度からスタートしました。参加者は70歳前後の人を中心としたシニア世代。映像をつくったり、遊んだりするクラブです。

本来であれば2月29日、3月1日に作品上映会を予定していたのですが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて中止に。その代わりに立ち上がった企画が、オンラインでの作品発表会「ONLINEえいちゃんふぇす」です。その名の通り、オンラインで映像作品を公開したり、トークを展開したりする催しです。

▲過去のえいちゃんくらぶの様子。

●課題:オンライン化に対する抵抗感

シニア世代の人が中心となると、インターネットに親しんでいる度合いも人それぞれです。「ONLINEえいちゃんふぇす」では、一人ひとりと話し合いながら発表方法を決めました。詳しくは伊藤さんの日報にも書かれていますが、すぐに参加表明をしてくれる人もいれば、インターネットに公開するのは嫌だと考える人、実名公開は避けたい人など様々でした。公開を希望された人の作品は、動画サービス「Vimeo」を使い、期間限定で配信。当初の上映会とはまた違う形での公開となりましたが、発見も多かったといいます。

●工夫:電話でトークをつなぐ!

そしてオンライン化にあたってもうひとつ工夫したのは、ラジオ形式のトーク企画。えいちゃんくらぶの講師である角尾宣信さんがパーソナリティとなり、テーマごとにゲストを交え、合間にメンバーの方に電話でコメントを聞く形でトークを収録・配信しました。電話という馴染み深い方法を使うことで、自然かつリアリティのあるトークになるよう心がけました。

●挑戦:メーリングリストの丁寧な導入

こういった「ONLINEえいちゃんフェス」の他、新たにメンバー間のGoogleメーリングリストをつくり、情報共有する仕組みにも挑戦。使い方のわからないメンバーとはメールでフォローするなど試行錯誤を重ねました。

結果、メーリングリスト上では、おすすめの映画の共有や近況報告、あたたかい言葉のやりとりなどが交わされているそう。「えいちゃんくらぶ」は、映像を中心に地域内のゆるやかなつながりを生む活動だと改めて認識しました。

今後は、ネットに不慣れな人でも参加しやすいアナログ寄りの企画や、外出自粛のなかで孤独感を深めた人をフォローするような企画も展開していきたいとのことでした。

▲報告と今後の展望をはなしてくださった伊藤さん。

ビデオレターで離島の外と中をつなぐ試み

続いての発表は、東京都の離島のひとつ、神津島(こうづしま)で展開するアートプロジェクト「HAPPY TURN/神津島」(以下、「HAPPY TURN」)。事務局の中村圭さんと飯島知代さんから報告をいただきました。

HAPPY TURNもまた、今回の緊急事態宣言以降、プロジェクト拠点「くると」を閉鎖するなど、活動内容を変更してきました。そうした“集えない”中で生まれた新たなアイデアが、動画インタビュー企画です

神津島は、仕事や学業、家族の事情で島を離れる人が少なくありません。そんな元島民から、現在も島に暮らす人に向けたビデオレターを送ってもらい、交流をしてみてはどうかと考えました。

●工夫:テレビ編集経験のある移住者の力を借りる

島を離れる人もいる一方、様々な移住者も毎年やってきます。神津島にもまた、東京と大阪で10年以上、テレビ番組の編集を手掛けてきたなしこさんがいました。今回はなしこさんのディレクションのもと、Zoomの録画機能も駆使し、ビデオレター「やーい!」を完成させました。

元島民の中には、疎遠になってしまっていた人もいます。それでも今回の取材を通して画面越しに再会し、改めて「島への想い」を伺う貴重な機会になりました。

オンラインで収録し、テレビ番組風に編集した楽しい内容。告知用CM動画も制作した。

●課題:公共放送での放映叶わず…

元島民による熱い想いとメッセージ。これをなるべくたくさんの現島民に届けるのが、HAPPY TURNチームの目論見でした。そこで企画当初より目指していたのは、島独自の公共放送「神津TV」での放映です。

早速完成したビデオレターを持ち込み、放映の依頼に伺いました。……が、残念ながら、調整が折り合わず、放映できないことに。残念ではありますが、今回は頭を切り替えて、再開後の拠点「くると」で特別放映することにしました。今後の展開を見据え、さまざまな準備を進めています。

「次の課題は地元行政との連携」と、飯島さん。

実際に会うことや、密に集うことができない今、各アートプロジェクトでは、あの手この手で「集まる」「つながる」方法を探っています。後半のセッションでは、Zoomの「ブレイクアウトルーム機能」を使ってこれらの課題について議論を重ねました。

詳しくはまた次のレポートにてご報告します!

(執筆:きてん企画室)

スタジオをインストールするーSTUDIO302にはユーモアが必要だ。

東京アートポイント計画プログラムオフィサーの上地(うえち)です。
先日、アーツカウンシル東京の拠点として活用しているROOM302の一角に「STUDIO302」を開設いたしました!

企画・構想〜完成までの期間は約1ヶ月。この記事では、モノとアイデアがROOM302という「部屋」に持ち込まれ、スピード感をもってスタジオがつくられていく現場における、担当としての気づきや驚きをお伝えしていければと思います。
(*STUDIO302のはじまりについては、以下の記事をぜひご覧ください。)

新プロジェクト【STUDIO302】始動!

空間づくりのパートナーは「岩沢兄弟」

今回のスタジオ空間づくりは、岩沢兄弟をパートナーに迎えて企画を進めていきました。岩沢兄弟は、その空間にいる人が触れたくなったり、参加したくなったりする仕掛けを組み込むことが得意なお二人です。過去にはArtpoint Meeting のゲストとしてお招きしたことも。
(*当日の様子は、下記レポートにてご覧いただけます。)

地域の人々が活動に参加したくなる空間とは?(APM#06)

STUDIO302は、「いわゆるスタジオ空間をつくるだけ」ではない依頼でした。例えば、
・気軽に集うことが難しくなった社会状況に呼応して始動した、これからのアートプロジェクトのかたちを試行錯誤していくための緊急対応プロジェクトであり、制作するスピード感が重要
・さまざまな試行錯誤を重ねていくための場として、プロジェクトによって使いかたを開発していくような余白がほしい
・収録、配信について専門的な知識を持っていない人も使えるようにしたい
などなど。

こんな構想を一緒にかたちにしてくれるパートナーとはを考えたとき、兄は空間設計、弟は映像配信技術に明るい空間デザインユニットである岩沢兄弟はまさにぴったりでした。
それは専門性が高いからだけではなく、彼らが手がける空間は、使う人自身が使いかたのアイディアを考えられるような「余白」が残されていたり、空間にあるモノに触れたり動かしたりしやすいように、あえて完成形にしないように場をつくっていくという特徴があったというのも決め手のひとつ。
岩沢兄弟とパートナーを組むからこそ、新しい試みが生まれる場を立ち上げることができるはず。そんな期待を持ちながら、どうつくりこんでいけるのかプランを詰めていきました。

2020年6月15日、施工スタート!

2020年6月15日、STUDIO302の着工日。プロジェクトの構想から、企画・調整を経て、いよいよこの日を迎えました。
空間設計・設営にいわさわひとし(兄)さん・土田誠さん、機材周りの設計・設営にいわさわたかし(弟)さん・池田匠(匠音響)さん、の専門家を交えたチームで動いていきます。
(岩・沢・土・池・田…なんとも豊かな生態が育まれそうな座組みです。)

単管を組み上げるチーム。その一方で..

収録・配信を行うための機材チェック。

池田さんは、オリジナルのマイク台座を設計中!

ユーモアをたずさえる

STUDIO302の空間づくりが進んでいくなか、たかしさん(弟)から一言。
「なんか悪ふざけが足りない」。

岩沢兄弟がつくるものは、機能的な中にもくすっと笑える要素が散りばめられているのが魅力のひとつ。これまで私が関わったプロジェクトでいうと、例えば、岩沢兄弟がプログラムディレクターとして関わっている東京アートポイント計画「HAPPY TURN/神津島」での「達磨スピーカー」。

そのモノがもつ特性やイメージをうまくいかしながらも、予想外な機能や使いかたにアップデートしてコミュニケーションを生み出します。
思わずくすっと笑ってしまい、ついあちこち触ってみたくなる空間は、その場の空気を和やかにすることもあれば、初めましての方とのコミュニケーションの糸口も生まれやすくなるように思います。

「悪ふざけが足りない」。
その一言を起点にして生まれたのは、この「トルゾーくん」です。

トルソーの頭部分がカメラになっているのが分かりますか? このカメラ「MEVO」は小型でありながらも4Kでの撮影が可能で、YouTubeへのライブ配信はもちろん、Wi-fiでiPadと接続して映像ズームやスイッチングを手元で操作できるという優れもの。
カメラとトルソーが組み合わさっただけなのに、ふっと笑ってしまうような感じがありませんか? 色んなポーズができるので、現場に合わせて楽しめるのも面白さのひとつです。一気にトルゾーくんへの愛着が湧きます。

数週間後の暮らしがどうなっているのかも予測がつかない社会状況において、アートプロジェクトはどのようにさまざまな人や価値観との出会いをつくっていけるか。STUDIO302という場を活かして、アートプロジェクトの新たな展開や情報発信の企画構想など、これまでとは違った手法を積極的に試みていきたくなる実験室のような場を目指して、完成までもう少し。

▼空間づくりのようすはタイムラプスでご覧いただけます。
少し長めにはなりますが、部屋の一角にスタジオ空間が立ち上がっていくようすをご覧いただけます。(いわさわひとしさんの背中がいい感じです)
ぜひお楽しみください!

レクチャー「手話と出会う〜アートプロジェクトの担い手のための手話講座(基礎編)〜」はじまりました

Tokyo Art Research Lab(TARL)「思考と技術と対話の学校」では、アートプロジェクトを「つくる」という視点を重視し、これからの時代に求められるプロジェクトとは何かを思考し、かたちにすることができる人材の育成を目指しています。2020年度は、実践的な学びの場「東京プロジェクトスタディ」、アートプロジェクトの可能性を広げる「レクチャー」、プロジェクトを行う上で新たなヒントを探る「ディスカッション」の3つのプログラムを展開。レクチャー「手話と出会う〜アートプロジェクトの担い手のための手話講座(基礎編)」の様子や実施するなかでの気づきを、モデレーターを務める担当プログラムオフィサーの視点で綴ります。

はじめてづくしの第1回を迎えるまでに

2020年7月1日(水)、いつもより朝早くに家を出て、3331 Arts Chiyodaに向かう。つい先日、ROOM302内に完成したばかりの「STUDIO302」には、真新しい機材が並び、蛍光灯も新調されて空間全体がなんだかピカピカと眩しい。この日は、アーツカウンシル東京として本格的にSTUDIO302をはじめて使う日で、「思考と技術と対話の学校」のはじめてのオンライン講座開講日でもあり、そして、はじめて「手話講座」に取り組むという「はじめてづくし」の1日だった。

レクチャー「手話と出会う〜アートプロジェクトの担い手のための手話講座(基礎編)〜」は、7月1日から9月30日までの全12回(8月9日、8月12日は休み)、毎週水曜日の朝10時から11時(第4回以降は11時30分まで)に開講する。ちょうどレクチャーの立ち上げ準備をしていた頃、日本国内でも新型コロナウイルス感染症の感染拡大の報道が日毎に増えていたときだった。だから、レクチャーの実施については悩んだ。もちろんすぐにオンライン講座の方向性は出ていたし、東京アートポイント計画・Tokyo Art Research Lab(TARL)チーム内でも実施する方向で議論は進んではいた。

でも、本当にできるのだろうかと不安は拭えなかった。なぜなら、手話は話す相手の目を見て、手だけでなく顔の表情や身体の動き、その人の気配、なんと言うかその人を取り巻く空気全体を伴っての身体言語だと思っていたから。オンラインミーティングに慣れはじめたとはいえ、小さなパソコンの画面越しで、視線が合うという実感はなかなか持てない。そんな状態で、手話講座としてもちゃんと成り立つのか心配だった。

どうすればできるか、新しい方法を一緒に話し合って考えてみたい。

その不安を軽くしてくれたのが、講師の河合祐三子さんと手話通訳士の瀬戸口裕子さんの一言だった。事前打ち合わせのやりとりをするなかで、河合さんは、すでに他の手話講座の仕事がオンラインになり不慣れながらもなんとか進めていること、瀬戸口さんはオンラインでの手話通訳をやってみてできる実感を持てたことを教えてくれた。そして、TARLのレクチャーは、どうすればできるか、新しい方法を一緒に話し合って考えてみたい、チャレンジしてみたいと言ってくれた。そのことばを受けて、よし、まずは初回の準備に集中しよう、実施する度に少しずつ更新していこうと腹が決まった。

配信テスト、テスト、テスト!

第1回に向けて準備は入念に行った。講師や手話通訳士の立ち位置はどうするか、モデレーターの位置はどこか。カメラはどこから撮影し、スタジオのモニターはどのように使うか。もし接続できない人がいたら、こちらが接続が不安定になったらどうするか。具体的にシミュレーションしながら、実際にテスト配信をした。これら配信・機材関係を一挙に対応してくれているのは、NPO法人Art Bridge Institute齋藤彰英さん。本レクチャー記録・運営担当として、毎回サポートしてくれている。オンライン講座では、何かあったときに即座に対応できる運営体制が必須だ。とても心強い。

講師の立ち位置からの風景。テストすると改善点がいろいろ見つかる。
画面上で講師はどう見えるか、代役を立ててのテスト。

アートプロジェクトの担い手のための手話講座スタート

こうして準備万端で迎えた初日。河合さんから「時計はどこにありますか」と一言。スタジオの講師のポジションに立つと、ちょうどモニターに被って壁掛け時計が見えにくいことが分かった。配信のことばかりに注意が向いて、実際のフィジカルなスタジオへの視点が抜けていた。動き出すとなんと気づくことが多いことだろう。フィジカルとオンラインとを行き来しながら、場づくりについて今一度目を見開いて注意を向けなくちゃ、と思う。急遽、その日はラップトップの画面を覆い尽くすくらいにまんまる大きなアナログ表示の時計を映し出し、卓上時計の代わりとした。

9時59分、参加者が全員と接続したことを確認して、正面のカメラに視点を合わせた。「おはようございます!」と声をかけて見たモニターには、10名の参加者の表情が映っていた。いよいよ「はじめてづくし」のレクチャーがはじまった。

サイレントな状態に慣れていく

参加者は都内にお住まいの方が中心だが、中には都外から参加している方もいる。こうして遠方の人ともはじめましてと出会い、共に学びを深めていけるのはオンラインならではの良さなのかもしれない。でも、やっぱり会ってその人の表情や気配を感じながら手話で会話してみたいなと思う。それは、いったいいつになるのだろう。まだまだ先のことは全く分からない。だから今は、最大限何ができるのかを考え、いろいろと工夫を重ねながら、このスタジオで新しい方法を発見していくことに注力してみようと思う。

レクチャーは、第1回〜第3回までは手話に慣れること、サイレントな状態に慣れていくことを目指す内容になっている。「手話と出会う」の導入編といった感じだろうか。本レクチャーを通して、「手話」の基礎を学びながら、だんだんとアートプロジェクトの現場で活用できる手話を身につけていけるようなカリキュラムとなっている。具体的にアートプロジェクトやワークショップ、イベントの現場で交わされる会話を想定した対話型の手話のワークショップも検討中だ。さらに、手話の基礎を学ぶだけでなく、アートプロジェクトにおけるコミュニケーションやアクセシビリティについても視野を広げていけるような機会にしたいと考えている。先週、第3回を終えたばかりだが、普段何気なくやっていたコミュニケーションがズレを生む可能性があることを知った。知らなかったということを知る体験が毎週、毎週、起こっている。そんなレクチャー第1回〜第3回の様子については、また次回に。

つづく…

Cross Way Tokyo 自己変容を通して、背景が異なる他者と関わる

メディアづくりを通して、自分とは異なるルーツをもつ人とかかわる

自分とは異なるルーツをもつ人とコミュニケーションをとろうとするとき、何かしらのハードルを感じる人は少なくないのではないでしょうか。さまざまな背景をもつ人々が暮らす東京では、誰しもが日々のなかで自分とは異なるルーツをもつ人々とすれ違っているはず。もしそうした人々とかかわりをもちたいと思ったとき、どのように関係性を築くことができるでしょうか。専門的な技術やイベントを介した出会い方だけではなく、それぞれの日常の延長線上で実践できることを考えたいと思っています。

文化人類学的なアプローチをもちながら、多岐にわたるデザインワークを行う阿部航太(デザイナー)をナビゲーターに、背景の異なる他者とかかわろうとするときに自身のなかでハードルとなっている要素とは何かについて向き合います。

ゲストに、海老原周子さん(一般社団法人kuriya代表、通訳)、金村詩恩さん(ライター/エッセイスト)、川瀬慈さん(映像人類学者)を迎え、レクチャーやフィードバックを受けつつ、インプットとアウトプットを重ねます。最終的に、各メンバーの関心や課題意識を軸にしたメディアの立ち上げを目指して、その過程で自身の思考を更新していくことを試みます。

詳細

スケジュール

8月22日(土)
第1回 自己紹介/ディスカッション わたしにとっての「移民」とは

9月5日(土)
第2回 レクチャー 移民を取り巻く構造を現場から学ぶ

ゲスト:海老原周子 (一般社団法人kuriya代表/通訳)

9月26日(土)
第3回 ディスカッション/ワーク ハードルを越えるための「態度」を探る

10月10日(土)
第4回 レクチャー/ワークショップ 上野のまちで、他者の存在に目を凝らす

ゲスト:金村詩恩 (ライター/エッセイスト)

10月24日(土)
第5回 ディスカッション/ワーク 身の回りの日常を他者の視点で捉え直す

11月14日(土)
合同共有会

11月21日(土)
第6回 レクチャー/ワークショップ メディアの構築性を学ぶ

ゲスト:川瀬慈 (映像人類学者)

12月5日(土)
第7回 分科会

12月19日(土)
第8回 ディスカッション/ワーク トライアル作品制作で得たもの

1月9日(土)
第9回 ワークショップ 原点に立ち返り、本制作への助走を開始

1月17日(日)~2月7日(日)
第10回 メディア制作 課題を潰しながら、制作のギアを上げる

1月31日(日)
合同共有会

2月27日(土)
第11回 メディア制作

ゲスト:金村詩恩 (ライター/エッセイスト)
川瀬慈 (映像人類学者)

3月28日(日)
第12回 8か月間の歩みを振り返る。そして5年後の自分へ

会場

ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])ほか

参加費

一般30,000円/学生20,000円

関連サイト

東京プロジェクトスタディウェブサイト

ナビゲーターメッセージ(阿部航太)

このスタディの基本的な姿勢は、「自分が変わる」ことを楽しむことです。もちろん、とてもセンシティブなトピックに取り組むことになりますし、その過程で自分自身の未熟な部分に直面することにもなるでしょう。それでも自分が起点となり、他者と関わりながら変化していく豊かさを楽しんでいきたいと思います。

また、このスタディではさまざまな思考方法と出会うことで、自身の世界をとらえなおしてみることを試みます。座学だけではなく、外に出てまちを歩いたり、手を動かしたり、メンバーそれぞれの興味や特技を活かし、実践を重ねながら考えていきます。

このスタディのテーマは、海外に(も)ルーツを持つ人たちに対する私自身の迷いがそのまま反映されています。おそらく似たような思いを抱えている人もいるのではないでしょうか? メンバーの方々と一緒になって、悩み、考え、つくっていくことで、ここでの経験を言語的な理解だけにとどめず、日々の生活の中に落とし込んでいくことができたらと思っています。

スタディマネージャーメッセージ(上地里佳)

「移民」や「海外ルーツの人々」ということばをよく聞くようになり、わたし自身、日々の暮らしのなかで異なる文化や言語をもつ人々と場をともにする機会が増えてきているのを感じます。距離としては近づいているのに、コミュニケーションをとろうとするとき何か失礼なことを言ってしまうのではないかと悩んでしまう。相手を思うほどにコミュニケーションが億劫になりがちになる。その感覚をどう越えて、新たな関係性を築く一歩をつくっていけるのか、このスタディで探っていきたいと思います。

阿部さんのナビゲーターメッセージでも触れていますが、この問いは、わたしたちの日常生活が、多様で、複雑な、他者とのかかわりが満ちていることを再認識することからはじまるように思います。例えば、普段何気なく使っているものや食べているもの、ことばや技術など、自身の日常生活をつぶさに見てみること。これまでの歴史を学ぶことや、実践者の方々の話を聞いてみることなど。

そんな試行錯誤のなかで思考をやわらかくしながら、背景が異なる他者と出会い、関係性を築いていく態度や方法を探っていければと思います。最終的には「態度と実践方法」をまとめたメディアを立ち上げて発信することを通して、じんわりと自らを変容させていく時間を、わたし自身も含め、スタディメンバーとともにつくっていければと思います。

東京プロジェクトスタディ紹介映像

プロジェクト紹介映像