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NEWS│2017.11.24

[レポート]公開講座「技術を深める(第1回)」を開催しました

アートプロジェクトを“動かす人”を対象に、ミニレクチャーや実践ワークをとおして運営に必要なスキルを養う公開講座「技術を深める」シリーズ。第1回は事務局ビギナーを対象に開催し、事務局運営に必要な「技術」に迫りました。その様子をレポートいたします。

本講座は、2016年度に「思考と技術と対話の学校」で開催された基礎プログラム2「技術編」の内容をまとめた冊子『アートプロジェクトの現場で使える27の技術』を教材に展開しました。

アートプロジェクトの現場にいると、とにかく毎日が目まぐるしく、目の前のことに精一杯になってしまいがち、疲弊して周りが見えなくなってしまいがちです。そんな現場の現状をなんとかしたいという想いから生まれた冊子。アートプロジェクトの事務局長や映像作家、編集者など様々な立場の活動を、「技術」の側面から読み解き、現場の課題と向き合うための手がかりを収録したヒント集です。

今回のファシリテーターは、基礎プログラム2「技術編」で企画運営を担当し、冊子編集にも関わった坂本有理、坂田太郎 、及位友美の3名。会場には、制作スタッフやコーディネーターなどの仕事を始めて半年〜10年以上という幅広いキャリアをもつ参加者が集まりました。

ファシリテーターを務めた及位友美(左)、坂本有理(中央)、坂田太郎(右)

講座は、冊子の目次「はじめる」「うごかす」「ふかめる」「のこす」の4章に沿って進行。ポイントごとに、受講生に手を動かし考えてもらうワークを行いました。

はじめる

まず自分がどのような立ち位置にいるのかを把握することが大切。どんな立場や距離感で、どのように、なぜ関わるのかひとつひとつ確認し、息切れせず継続的に運営することを目指します。チームづくりや、会議の設計、関係者間のコミュニケーションについて考えてみることも有効です。

ワーク1:自分の現在地をつかむ
10分間で自分とアート、アートプロジェクトとの関わり方を模造紙に書き出し、グループ内で自己紹介がてら内容を発表します。

ワーク2:体制図をかいてみる
自分が今関わっているプロジェクトやチームの体制図を模造紙に書き込み、グループ内で発表。体制ができているのか、不具合は生じていないか、図に落とし込みながら確認していきます。

うごかす

互いの立ち位置が見えチームとしての一体感が出てきたら、いよいよ実行に移していきましょう。ここで重要なのは、社会と企画の関係性を考え、伝える相手の顔を思い浮かべかたちに落とし込んでいくこと。企画書の作成や資金集め、プレゼンテーションなどを行うとき、なぜこの企画・プロジェクトを今やらなければならないのか?を考え、説明できるようになっている状態が理想的です。

ワーク3:申請書を読み解く
企画提案書や申請書を書く際、相手や目的に合わせ、相手が求めていることは何なのか、応募要項などをよく読み込み、ポイントを端的に説明できるよう準備する必要があります。

実施会場を探すための企画申請書をもとに、なぜこの企画を実現したいのか?社会性は、独自性はどこにあるのか?を受講生が読み解き、発表を行いました。

ふかめる

実施するには、伝えるためのことばを磨くことはもちろん、感受性を高める、相手に関心を持ち話をよく聞くなどのコミュニケーションの精度を上げることが必要不可欠。また、組織内でディベートを行ったり、プロジェクトを実施する地域に住む人々に開かれた拠点をつくったりするなどの工夫も大切です。

ワーク4:メールニュース原稿に赤入れする
参加者に配られたのは、東京アートポイント計画が発行するメールニュースで実際に配信されたプロジェクト紹介記事の初稿と、最終稿。最初に書かれた原稿は、いちばん言いたいことが何なのかが見えづらいものでした。ブラッシュアップしていったものが最終稿です。2つの原稿を読み比べていきます。

のこす

アートプロジェクトを動かすときに皆が直面する課題の一つが、どうやって残すか。プロジェクトは多くの人が関わり、常に動き、変化していくものです。それをどのように記録・アーカイブし、伝えていくか頭を悩ませる事務局も多いのではないでしょうか。

冊子には、評価・検証のためにデータを残す事例や、10年後、20年後にそれを参照しプロジェクトに参加した者以外が実践してくれる可能性も考慮しドキュメントにまとめた事例、残す意図を考慮した上でプロに映像撮影を頼む事例などが紹介されています。

まとめ

本講座の参加者からは、「ワークを通し自分のことを振り返りながら受講できただけでなく、他の受講者のことも知ることができた」などの感想をいただきました。

ファシリテーター一同、運営に携わる人々が本書をもとに、普段の活動の中で立ち止まって、思考をしたり新たな一歩を踏み出したりするヒントを受け取る時間になればと願っています。今回の内容が気になった方、実際に事務局運営で壁にぶつかっている方、仕事の進め方に疑問を感じている方、ぜひ今回の講座で使用した『アートプロジェクトの現場で使える27の技術』を手にとってみてはいかがでしょうか。冊子は、ウェブサイトからお申込みいただけるほか、pdfデータでダウンロードもしていただけます。

【開催概要】
「技術を深める(第1回)」
日時:2017年10月3日(火)19:00〜21:30
会場:3331 Arts Chiyoda ROOM302(千代田区外神田6-11-14 3F)
募集人数:30名(事前申込者優先)
料金:1,500円(連続講座受講生は1,000円)※冊子つき
テーマ:第1回 アートプロジェクトをはじめるための技術
~アートプロジェクトの運営スキルを身につけよう・事務局ビギナー編~
ファシリテーター:坂本有理(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)、坂田太郎(P3 art and environment リサーチャー/サイト・イン・レジデンス) 、及位友美(voids/コーディネーター)