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REPORT

全国各地のアートマネージャーが悩みを持ち寄って考える。「つどつど会」がスタート(つどつど会#01レポート)

公開日|2020.12.18

2020年11月25日、Tokyo Art Research Lab(以下、「TARL」)の研究・開発プログラムとして、「つどつど会」第1回をオンラインで開催しました。

つどつど会=都度集うアートマネージャー連絡会議

つどつど会は「都度集うアートマネージャー連絡会議」の略称です。過去にTARLのプログラムに参加された方の中から、全国各地で⽂化事業に関わるメンバーとともに進めていきます。

メンバーは以下の方々。北は秋田から南は大分まで、幅広い現場のアートマネージャーと、アーツカウンシル東京の面々が集まり、全5回の会議を重ねていきます。オンラインかつ少人数だからこそできる互助会的な場を目指します。

*つどつど会メンバー
・蟻川小百合さん(みずつち市民サポーターズ/新潟県)
・大政愛さん(はじまりの美術館/福島県)
・岡田千絵さん(公益財団法人墨田区文化振興財団/東京都)
・月田尚子さん(NPO法人BEPPU PROJECT/大分県)
・三富章恵さん(NPO法人アーツセンターあきた/秋田県)

*運営メンバー
佐藤李青、大内伸輔、岡野恵未子(公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)

「学び合い」の場をつくりたい

初回ということで、進行役のアーツカウンシル東京・佐藤から、つどつど会のねらいを共有しました。TARLでは、これまで「教える/教わる」という関係ではなく、互いに対話し、実践を共有することで、新たな知見やスキルを獲得していくことを⽬指してきました。

プロジェクトを実践している人たちは、現場に忙しく、なかなか他の現場の人たちと関係をつくりづらいのも事実です。目の前で抱えている課題も、実は他の現場の話をきくことから解決の糸口になることもあります。東京アートポイント計画では都内のアートプロジェクトの事務局メンバーが集う「ジムジム会」を開催してきましたが、今回の「つどつど会」では、全国各地の現場の実践者のみなさんと、オンラインでの関係づくりを試みます。

まずは自己紹介から。規模も状況も異なる活動を共有

今回の参加メンバーに共通しているのは、「TARLプログラムに参加したことがある」「文化事業の現場で活動している」の2点のみ。初回はそれぞれの自己紹介をして、今後どのようなテーマを取り上げていきたいのかから話し合いはじめました。

地域の状況や団体の規模、ベースとなる資金源、法人形態、雇用形態などが異なるからこそ、自己紹介だけでも興味深い相違点が浮き上がってきました。

たとえば、コロナ禍の対応についてもそれぞれ。小規模で屋外開催の企画が多かったために延期せず実施したプログラムもあれば、「絶対にアート事業を止めない」という決意のもと工夫を凝らして実施した企画もあり、臨時休館しつつ過去事業の振り返り企画をオンライン上で展開した施設も。

同時にそれぞれが抱える悩みもまた多様でしたが、テーマやポイントは共通している部分も多く、共に議論していけそうなトピックも浮かび上がりました。急速に拡大した組織のマネジメント、終了事業のクローズ方法、わかりにくいと言われがちな文化事業の伝え方、行政との付き合い方、持続可能な働き方、人手不足の解消方法、運営スタッフの専門性、アートプロジェクトの品質、成果測定、コロナ禍の延期で偏りが出た実施期間など。

今後のつどつど会では、お互いの悩みと知恵を持ち寄り、話し合いながらその解消の糸口を探っていきます。

第1回を終えて。参加メンバーからのコメント(抜粋)

  • 蟻川小百合さん(みずつち市民サポーターズ/新潟県)
    「プロジェクトの終わり・はじまりなどの節目、転機など、みなさんに詳しく聞いてみたいと思いました。そこでどう考えて、どうしたのか? 結果どうなったのか? 様々なヒントがありそうだと感じました。自分が関わっている今の現場には、対話の場が本当に足りないということも(みんな薄々わかって気にしてはいるけれど改めて)痛感しました。情報発信、言葉の問題は常にある悩み事。体制の変化に流されない、組織を強く、かつ内輪だけにならないようにするには…」
  • 大政愛さん(はじまりの美術館/福島県)
    「あっという間に時間が経ってしまい驚きました。みなさんのそれぞれの活動は知っていましたが、一人一人の言葉を通して改めて活動を知ることができてよかったです。他の参加者の方からの「地域の方には、まだなにをやっているところか伝わっていない」という発言は、わたし達も同様で、6年やっても伝わらない人にはずっと伝わらないもどかしさがあります。また、他団体でコロナ禍での活動について『やるといったらやる』という姿勢の話が印象的でした。今回のコロナは本当に様々な判断が必要で、わたし達は悩みながらも『今はやらない』という選択をとったものが多くあったなと思いました。今後この会で話していきたいテーマは『コロナ禍だからこそできるプログラムや体験の仕組みづくり』、『集客が求められる企画』についてなどです」
  • 岡田千絵さん(公益財団法人墨田区文化振興財団/東京都)
    「『寄合』をうちでもやっています。ネットワーク作りやコミュニケーションの方法はいろいろ考えていきたいです。また、2016年から2020年までの区の文化プログラムとして進めていたのですが、今年は区主催の事業が軒並み中止になる中、実施していて、よくも悪くも目立って区議会でも話題になっていました。だけど、来年度以降はどうなるかわからないので、どんな記録を残せば、今後に活かせるか色々模索しながら進めています」
  • 月田尚子さん(NPO法人BEPPU PROJECT/大分県)
    「同じ文化事業に携る人同士でも立場や所属団体の違いで全くやっていることや見えているものが違うことが興味深かったです。次回、より具体的な話が聞けると思うので、楽しみにしています。アートに興味がない人たちへの広報の仕方や巻き込み方などを聞いてみたいと思っています。noteの活用は興味があったので参考にしてみます」
  • 三富章恵さん(NPO法人アーツセンターあきた/秋田県)
    「他のアートプロジェクトの現場にいらっしゃる方々と直接お話する機会は限られています。今日は少しの自己紹介の中から、自分の悩みに通じるヒントが得られたり、同じような課題を抱えていらっしゃるんだと安心(してはいけないのだけれど)したり。貴重な機会をいただいたと思います。お話の中で気になった具体的なところでは以下のとおりです。『寄合』(どうやって地域にひらき/つながり/地域の人が集まるような場になっていったのか)、『ソーシャル・ベンチャーとして活動する組織』(どう組織を運営しているのか。スタッフの人材育成は? やりがいや成長の担保は?)、『行政や議会とのコミュニケーション』(行政や議会の理解・サポートを得るには? 対等に対話し・共感を生むようなコミュニケーションをとりたい!)」

  • レポート執筆:中田一会(きてん企画室)

    このレポートの研究・開発

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