TERATOTERA

ボランティアが創るアートプロジェクト

古くから多くのアーティストや作家が暮らし、若者の住みたいまちとして不動の人気を誇るJR中央線高円寺駅から国分寺駅区間を舞台にしたプロジェクト。2010年、Art Center Ongoing 代表の小川希を中心に始動。毎年、社会に応答したテーマを掲げ、まちなかで「TERATOTERA祭り」を開催し、現在進行形のアートを発信した。また、ボランティアスタッフ「テラッコ」による企画・運営を通じて、アートプロジェクトの人材育成にも取り組む。

実績

毎年開催した「TERATOTERA祭り」は、ボランティアスタッフ「テラッコ」の実践の場として、 2010年度より吉祥寺駅エリア、 2013年度より三鷹駅エリアで実施し、毎回ドキュメントブックを発行した。事業開始当初よりアートプロジェクトのノウハウを通年で学ぶ連続講座として 「アートプロジェクトの 0123 (オイッチニーサン)」を開講。座学と現場での実践を連動させながら、アートプロジェクトへ参画する人材の裾野を広げている。

2016年度からは、東南アジア諸国で活躍する若手アーティストを招聘し、地域と連携しながら作品制作から発表までを行う 「TERATOSEA (テラトセア)」がスタート。東南アジアからコレクティブのあり方を学び、自分たちのエリアでの実践に取り組んだ。

2018年度にはテラッコの歴代コアメンバー16名によるアート活動を支える組織「Teraccollective (テラッコレクティブ)」 を設立し、「TERATOTERA祭り」のテーマ設定から運営までを主体的に行った。また、武蔵野クリーンセンターや武蔵野プレイスなど、 武蔵野市による施設連携の要望に応えて、アートプログラムを共催するなど、公的な文化事業の担い手となった。

2020年度のTERATOTERA祭りは、「Collective ~共生の次代~」をテーマに、東南アジアと日本から6組のアート・コレク ティブを東京に招聘する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、オンラインにて開催。この状況下でそれぞれのコレクティブがどのように過ごし、何を考え、どのような 作品を発表するか、その話し合いの様子をYouTubeで公開し、 作品ができるまでのプロセスの情報発信にも力を入れた。

そして、2020年には任意団体であった「Teraccollective」が一般社団法人化。東京アートポイント計画との共催終了後も「アートプロジェクトの 0123」など、TERATOTERAの事業を引き継いで展開している。

※ 共催団体は下記の通り変遷

  • 2009~2012年度:一般社団法人TERATOTERA
  • 2013年度〜:一般社団法人Ongoing

関連動画

TERATOTERA祭り2018(Long version)
TERATOTERA祭り2018 (Short version)
TERATOTERA祭り2017(Long version)
TERATOTERA祭り2017 (Short version)

関連記事

社会実験としてのコレクティブ。緩やかなつながりから新たな表現を生む——小川希「TERATOTERA」インタビュー〈前編〉

アートの裏方だけのコレクティブはどんな価値を生む? 「Teraccollective」の可能性——小川希「TERATOTERA」インタビュー〈後編〉

ROOM302

アートプロジェクトの担い手たちのラボ

「ROOM302」は、東京都千代田区のアートセンター「アーツ千代田3331」の3階にアーツカウンシル東京が開設し、2010年から2023年3月15日まで運営を続けていたアートプロジェクトの担い手たちの活動拠点です。

イベントやレクチャー、アーカイブ、打ち合わせ、あるいはさまざまな実験的な活動を試みる場として多くの人々が活用し、2020年には映像の収録・配信ができるスタジオ「STUDIO302」を開設しました。

ひののんフィクション記録集 Hinononfiction/document

首都大学東京インダストリアルアートコースのアート&デザイン社会システムコアが中心となって、「学生とアーティストによるアート交流プログラム」の一環として、日野市内にある自然体験広場を拠点に展開したアートプログラム。3組のアーティストが場所を読み解き、ワークショップや作品を制作しました。

もくじ

《旧蚕糸試験場 フロッタージュ・プロジェクト2010》 岡部昌生

【シンポジウム】ここに蚕糸試験場があった

言葉でつむぐひののんフィクション
<「ひののんフィクション」は何を企てなにをなしとげ得たか>  長田謙一
<つむぐという行為> 太田泰友
<無形象化するアート―時間・空間・方法>  山口祥平
<特別寄稿> 熊澤 修、藤浪里佳、佐伯直俊

《糸の家》 奥 健祐+鈴木雄介
《森に汽車を走らせる》 wah document

【シンポジウム】アートでつむぐ

「学生とアーティストによるアート交流プログラム」パイロット事業 報告書 OPEN THEATRE MUSEUM

「OPEN THEATRE MUSEUM」は、「学生とアーティストによるアート交流プログラム」のパイロット事業の一環として行われたプロジェクトです。東京芸術劇場が、野田秀樹芸術監督就任記念プログラムとして同劇場のアトリウム前広場にアーティスト・日比野克彦の作品である[But-a-l]というヒノキの舞台を設置し、約3か月間、公演やパフォーマンスを行いました。

[But-a-l]とは、およそ2800本もの尾鷲ヒノキの間伐材で組み上げられた、客席と舞台が一体となっている劇場型空間作品。学生たちは、発表だけでなく稽古場やワークショップの場としても使用し、池袋西口を行き交う多くの通行人に見守られながら、自分たちの表現を模索しました。

本書では、公演期間中の写真記録とともに、各団体の紹介・感想も掲載しています。

もくじ

NODA meets HIBINO

OPEN THEATRE MUSEUM
「楽日初日」初日
ダンダ[Tamaknit]
いんぐ[うどんこさん(近藤良平プレゼンツ)]
LAND WEAR workshop[衣装制作ワークショップ]
「楽日初日」中日 東京公演
実感のなぞの実感 走れメロス[HIT]
いけぶくろの動物園[ユトリロユルリトotm(たにかわまいこ×立教大学の学生たち×武田 力produce)]
「楽日初日」楽日
火の鳥 [劇団 提灯検査]
『身体表現Ⅲ』演習課題 紙袋パフォーマンス[多摩美術大学映像演劇学科『身体表現Ⅲ』履修者チーム]
いろいろな手[鹿と猿の]
健康少年[健康少年製作委員会]
野生の王国[タヤマップ]
サキハジ/901[まくらとジョーロ+音の人々]
鉄壁の穴[下司尚実]
「楽日初日」中日 特別編 莇平公演

OPEN THEATRE MUSEUMに至るまでの背景
資料1 「ホーム→アンド←アウェー」方式
資料2 「楽日初日」

ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト 谷中妄想ツァー!!

「谷中妄想ツァー!!」とは、アートを媒介としてさまざまな立場から誰もが参加できる、参加型パフォーマンスツアーです。「妄想」とは、根拠なくあれこれ想像すること。「ツァー!!」とは、ツアーがよりアーティスティックに進化したものを意味しています。

拠点形成を通じて若手表現者とのネットワークを醸成し、同時に地域の協力者を得ながら表現の場をコーディネートすることによって、若手表現者の飛躍の瞬間を谷中のまちを舞台につくりあげる試みです。2009年度に行われた「ツァー!!」の様子を収録しています。

LOBBY―はじまりの場を創る

墨東エリアで開催されたアートプロジェクト『墨東まち見世2009』において展開された『墨東まち見世ロビー』は、劇作家の岸井大輔が、京島のキラキラ橘商店街にある店舗を借りて住みこみ、まち見世会期の100日間ノンストップで運営した場です。まち見世プロジェクト全体の案内所の役割を果たしながら、アーティスト、来場者、地域の人々を巻き込むことで、会期の終了後も自主的な活動が展開される場を目指していました。

岸井によれば、これは『東京の条件』と名付けられた連作のWORK1であり、上映時間100日間の演劇。本書では、ロビーにかかわった人と岸井が活動を振り返り、そのコミュニケーションをなるべくそのまま再現し、100日間を検証する、批評的記録です。

もくじ

この本について

WORK
作品という概念による試考

WORK1 対談 ティトス・スプリー×岸井大輔
キラキラたちばなし① 天よし

WORK2 対談 石田喜美×柳沢 望[前編]
キラキラたちばなし② さがみ庵

WORK3 対談 北川貴好×岸井大輔
キラキラたちばなし③ 味彩たかはし

THOUGHT
はじまりの記録の不可能性と必要性

ACT
活動を検討するための整理

ACT1 対談 武藤大祐×岸井大輔
キラキラたちばなし④ みっちゃん

ACT2 対談 石田喜美×柳沢 望[後編]
キラキラたちばなし⑤ あん吉

ACT3 対談 三宅航太郎×岸井大輔
キラキラたちばなし⑥ アンジェ

DATA
労働(LABOUR)による資料の記述
『墨東まち見世ロビー』とその周辺の作品・イベント
『ロビー通信』抄録
『墨東まち見世ロビー』周辺マップ&間取り図

あとがき

谷中放談~アートのお仕事~記録集

1997年にスタートした「アートリンク 上野ー谷中」にかわるキュレーターやデザイナー、ギャラリー運営者などをゲストとして招いたトークシリーズ。ゲストと聞き手、そして観客が膝をつきあわせて気軽に話ができる場にしたいと、タイトルは「谷中放談」と名づけられ、会場にはゲストに所縁のある場所や谷中に残る古い町屋が選ばれました。聞き手は、アートリンク立ち上げ当初からゲストをよく知る実行委員会が担当。

本書は、当日のトークのなかから一部分を抜粋してまとめています。

もくじ

谷中放談~アートのお仕事~「アートリンク 上野-谷中」実行委員会
窪田研二(インディペンデントキュレーター)
木下史青(東京国立博物館 デザイン室長)
宗政浩二(美術家)
荒谷智子・浦野むつみ(アラタニウラノ 代表)
白石正美(スカイ・ザ・バスハウス 代表)

WHAT AM I DOING HERE? 5Paths:Workshops and Talks|何を/私は/ここで? ワークショップとトーク 5つの小径

2009年12月から2010年2月にかけて、土地をめぐる言葉/東京を見つめる/場所の知覚/身体知覚/「私」と「世界」のつながり、という5つの主題を設定し、それぞれについてワークショップとトークを行いました。アーティストの視点を共有し学ぶことによって、旅をするように東京を歩きたい。そんな希望をこめた全5回の記録集です。参加者は、詩を書く、写真を撮る、測量する、身体を使う、私を探る、という主題に取り組み、未知の「方法」を学び経験しました。

もくじ

01 土地をめぐる言葉
02 東京を見つめる
03 場所の知覚
04 身体感覚
05 「私」と「世界」のつながり