近年、アートの現場において、リサーチをもとにした作品やプロジェクトが多く見受けられます。「旅するリサーチ・ラボラトリー」 は特に他分野でも広く取り入れられているフィールドワーク的実践に着目し、ジャンルを問わず興味深いフィールドワークとアウトプットをされているさまざまなリサーチャー、各地の資料館、 美術館などを訪ね、リサーチ手法、アウトプットやそれらにまつわる作法に関するグループリサーチを2014年からスタートさせました。
2年目の2015年、「旅と歌・詩(うた)」、「旅と地図」、「出来事を留める方法」をキーワードに、再びレンタカーに乗り、12日間の旅を企画。1年目の経験から、あらためて短期リサーチとしての「旅」という点を意識し、移動車内の時間をフィールドワークのための考察、咀嚼の場とし「編集・制作会議」をすすめるのみならず、「ゲストシート」を設けゲストと一緒に旅をしながらのロングインタビューを試みました。さらにフィールドワークからのアウトプット実践として、車内を録音スタジオに見立て、ポッドキャスト番組を録音、旅中に編集し配信しました。
本プロジェクトでは、2013年度に制作された成果物『日本型アートプロジェクトの歴史と現在 1990年→2012年』及び、「『日本型アートプロジェクトの歴史と現在1990年→2012年』翻訳プロジェクト」において制作された成果物をもとに、日本型アートプロジェクトについて海外に向けて紹介することを目指し、英訳テキストの制作に取り組みます。
また、2014年度「『日本型アートプロジェクトの歴史と現在1990年→2012年』を読む」の講座記録を副読本(レポート)としてまとめ、ウェブ等を通じて広く発信します。
本プロジェクトでは、アートプロジェクトの現場を担う小規模組織や個人が、持続可能な活動を実現させるためのデジタルアーカイブ・システムの研究と開発を行います。
Tokyo Art Research Labでは、2014年度に「東京アートポイント計画」に参加している各事務局の協力を仰ぎ、現場ニーズをヒアリングしながら、オープンソース・ソフトウェアを基盤にアーカイブ・システムを開発し、導入・運用を試験的に試みました。本年度は、これまでの成果や試験導入から浮かび上がった課題を踏まえ、より一般にも開かれ、現場で使いやすいアーカイブ・システムのサービス開発に取り組みます。
アートプロジェクトを実施、検証するうえでの理念や考え方にまつわる「言葉」の基盤を整備するプログラムです。現場の価値を表現し、その意義を広く共有し、長く検証の対象となるためのテキストやメディアのあり方を研究しています。その一環として、2013年度よりアートプロジェクトを語る上で重要となるテキストの著者を招き、その執筆意図や背景を伺い、読解するための公開研究会を全7回開催してきました。
また、テキストの収集過程では、1990年代以降のアートプロジェクトの検証にはウェブサイトに残された情報が重要であることが明らかになりました。しかし、一部のウェブサイトはサーバーの運営や無料サービスの利用などによりアクセスが困難となっています。これらの情報を広く共有し、長く保存するための方策を検証するため、2014年度は、美術家の藤浩志氏が10年書き溜めたブログ「Report 藤浩志企画制作室」から抜粋したテキスト集『思索雑感/Image Trash」2004-2015──校正用ノート』を制作しました。
これまでの経緯を踏まえ、2015年度は「言葉」を共有し、残すためのメディア制作の技術に焦点をあてます。具体的には『思索雑感』に込められた問題意識と、その制作過程を紐解きながら、編集の技術の共有とアーカイブの視点からウェブサイトを含めたメディアでの情報の残し方を考えます。
「地域・社会に関わるアート」に関心のある市民や学生、研究者が情報収集をおこなうことができるアート・アーカイブを構築・公開する「P+ARCHIVEセンター」の運営と、アート・プロジェクトを記録、アーカイブ化するノウハウの提供を行うことで、「地域・社会にかかわるアート」のプラットフォームを創出することを目指しています。
2015年度はアーカイブを実践するための入門書『アート・アーカイブの便利帖』を制作しました。本書は、アーカイブの考え方やスキルを包括的に取り上げた『アート・アーカイブガイドブック β版』とアーカイブのスキルをツール化した『アート・アーカイブ・キット』の知見を活用しています。
「AKITEN」は、文化や産業など地域の独自性を持ったコンテンツを空きテナントに持ち込み、アート、デザインの力でそれらの魅力を地域の内外へと発信していくプロジェクトです。誰もが空きテナントを使えるシステムを構築し、空きテナントをまちづくりのツールとして活用していきます。本誌では、これまで実施してきた事業を紹介しながら、プロジェクトの運営手順についてまとめました。
目次
- はじめに
- 1 AKITENのしくみ
- 2 AKITENの活動事例
- 3 AKITENを運営しよう
- 4 資料集 AKITEN2014
- おわりに
時代を経て伝えられてきたものや、土地のくらしに根づいてきたものなど、伊豆大島でつくられた特産品や島にゆかりのある作品を集め、それらのつくり手のストーリーとともに紹介します。
目次
- 大島イイもの 特産品
- 椿油
- 椿
- くさや
- 御神火焼酎
- 明日葉
- 牛乳煎餅
- 牛乳
- 島のり・はんばのり
- パッションフルーツ
- 椿一刀彫り
- ソーメン絞り
- 大島イイもの 復興
- 〈ホテル椿園女将・語り部〉 清水勝子
- 〈アーティスト〉佐々木久枝 〈イラストレーター〉 青木賢吾
- 大島イイもの 未来
- 椿かおる島〈映像作品〉
- 島の女たち(仮)〈映像作品〉
- 伊豆大島、どんなところ?
『TOKYO FABBERS』は、多彩な文化創造・発信地である渋谷および周辺エリアにおいて、デジタルファブリケーションを活用した、新しいものづくりコミュニティの創出を目指すプロジェクトです。
本書では、コミュニティづくりのために「これまでしてきたこと」「いまできること」「これからしていくこと」を紹介しています。
『威風DoDo』は、隅田川を臨むように建っていた建造物「汐入タワー(都立汐入公園内)」とその周辺を舞台とした、ピクニック形式のパフォーマンス公演です。一般公募による出演者「アナター」をはじめ、若手パフォーマンス集団「フラワーズ」やさまざまなジャンルで活躍する若手アーティスト、地域住民らとの共創によってつくり上げられ、当日は総勢100名の出演者が汐入タワー周辺に集いました。本書は、ピクニックをより深く味わうためのツールとして制作されました。
目次
- ピクニック形式パフォーマンス公演『威風DoDo』へようこそ
- 主な出演者たち
- フラワーズ―企画の中心となったアーティスト集団
- ソケリッサ―スペシャルゲストとして招かれた<新人Hソケリッサ!>
- アナター―地球の上に堂々と立つ人々
- ちょり語録 富塚絵美へのインタビューより抜粋
- 会場をつなぐ構成要素
- 遊び 大西健太郎による「風遊び」
- 風景画 藤田龍平のレジャーシート
- 星空 井川丹が誘う宇宙
- 企画の背景を探る ピクニック形式の批評は可能か
- 資料 汐入の歴史と現在
- プロジェクト日誌―本番までの歩み
『長島確のつくりかた研究所:だれかのみたゆめ』は、研究員の自治によるユニークかつ多彩な研究活動を通して、既存の方法論ではカバーしきれない「つくりかた」を発明・検証するプロジェクトです。今後のアートプロジェクトに多角的に貢献できる人材を育成することを目指しています。
本書は、プロジェクトの3年間の記録や研究員の文章をまとめ、それぞれの研究員たちが「つくりかた」を考えるなかで直面した「問い」を集めました。
目次
- まえがき
- 1 アイディア
- 2 諸問題(理念的な)
- 3 研究室など
- 中野成樹
- つくりかたの共有
- つくりかたの思想史
- 客者評判記
- エスノドラマ
- 土地の記憶
- 東京23区
- うごきかた
- 寺山
- 川瀬一絵
- 環境音楽
- さばきかた
- テレビ
- アーカイブ
- 須藤崇規
- 経理
- 小澤英実
- 大川原脩平
- 年表
- あとがき
- 索引