みんなで看取れば怖くない? 生活圏のフレンドリーな死を考える

少子高齢化社会における、死に寄り添ったアートプロジェクトの可能性を探る

少子高齢化が社会問題となって久しい現在、わたしたちは多死社会へと進んでいます。日本における死者は2030年には年間160万人を数え、増加のピークを迎えます。これは2006年の統計の約1.5倍の数値(*)。既に首都圏においては、火葬場や遺体安置所、墓地の不足が顕著になってきました。

近代以降、都市の生活圏においては「死」にまつわる施設やモニュメントは日常生活から遠ざけられています。また、iPS細胞をはじめとするテクノロジーの進歩により「生」や「死」の概念は拡張し、多様化が進んでいます。これらの状況をふまえ、これからやってくる多死社会に対してどのように向き合い、何を準備すればよいのでしょうか。

今回は、ゲストに金沢21世紀美術館で「Death LAB:死を民主化せよ」展を企画した髙橋洋介さん(キュレーター)と、東京の江古田地域で「看取り」を考えるアートプロジェクト『東京スープとブランケット紀行』を行ってきた羊屋白玉さん(劇作家)を迎え、都市計画としての問題、訪れる喪失に対するこころのケアの問題に応答し、生活圏に寄り添うアートプロジェクトの可能性を探ります。

*内閣府「平成30年版高齢社会白書」2018年

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ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])

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物語から女性像をたどる 現在のイメージを捉え直せるか

古典作品から当時の価値観を知り、現代社会の「女性像」を再考する

日々の生活を営むなかで、男女間に存在するルールやしきたりを構成する曖昧なイメージの集積に、わたしたちは潜在的な影響を受けながら生活しています。異性愛が前提とされ、婚姻時に女性が姓を変更する割合が9割を超え、家事や育児を主に女性が担う。現代の日本社会はこうしたイメージがいまだ根強く、ときには「らしさ」を求められ、生活に不都合や不自由が生じる場合もあります。

翻って、過去の日本は女性の視点から見て、どのような社会だったのでしょうか? 古典と呼ばれる作品には当時の風習や風俗、信仰や思想などが反映されています。長く語り継がれるなかで、変化する女性像の造形や物語の変遷。それらを読み解くことで社会の関係性が浮かび上がってきます。過去と現代、異なる時代を「女性」という定点から眺めたときに、現代を望む新しい視点が得られるかもしれません。

今回はゲストに、日本中世文学が専門で、物語絵と女性の関係性に関する著書がある恋田知子さん(日本文学研究者)と、現代女性の現状を題材に新たな解釈を付与する作品を発表する遠藤麻衣さん(俳優/美術家)をお招きし、過去と現在の物語を通して女性という視点から社会と個人の関係について考察します。

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ゲスト紹介記事

遠さと近さのあいだで アジアで移動、接続、越境すること

アジア圏のアーティストと協働する実践者から、近年の動向や新たな潮流を学ぶ

近年、日本各地でアジアのアーティストの展覧会やレジデンスなどが盛んに行われ、アーティストや作品と出会う機会が増えてきました。また、インターネットを通じて、各地の情報にアクセスすることも容易になっています。

物理的にも、心理的にも、「近く」なったアジア。しかし、日本もアジアの一部であると捉えると、この近くなったという感覚で「アジア」をひとくくりにしてしまうことは、かえって「遠ざけて」しまうこともあるのではないかと思います。現在、アジア諸国や日本のアーティストやキュレーターの協働が盛んに行われるなかで、どのような気づきや表現、あるいは一過性ではない文化交流が生まれているのでしょうか。

ときに「アジア」という大きな概念や対象は、身体のレベルを超え、漠然としたイメージとしてわたしたちのなかに入り込んでくるようにも思えます。そのなかで必要になってくるのは、自らの立ち位置を見定め、固有の「一対一の関係性を結ぼう」という姿勢なのかもしれません。

そうした関係性を構築する姿勢を学ぶべく、実際にアジアの現場でプロジェクトを行ってきた居原田遥さん(インディペンデントキュレーター/コーディネーター)と、アジアのアーティストやキュレーターを日本に招聘してきた堀内奈穂子さん(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]キュレーター)という、内と外、視点の異なる二人の実践者をお迎えします。お二人がどのようにアジアを捉え、アーティストやアートと対峙し、関係性を結んできたのか。移動、越境することで可能になってくる表現、見えてくる境界線について話を伺います。

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ゲスト紹介記事

そこにある生活を描き出す まなざしを更新しつづけることは可能か?

日々の営みから、「小さな文化」を掘り起こすために必要な姿勢を考える

いつも見ている風景や日々の生活のなかにも、実は複雑で多様な世界が存在しています。しかし、そこにあることに慣れてしまうと、なんとなく過ぎ去っていく風景や行為の一部になってしまいます。

そんな「当たり前」なことへ好奇心を抱くことは、習慣化して見えづらくなった日常の断片を掬うことにつながり、さらにそのかけらが他者と共有可能なものとして記述されたとき、あらためてわたしたちは日常生活が驚きと発見で満ちていることに気づくのではないでしょうか。まちに入り込むアートプロジェクトを行うためには、こうした土地や人々の暮らしに新たな解釈や可能性を見出そうとする姿勢が必要になってくると考えています。

日常の断片を集め、共有可能なかたちで記述するための方法とは? それを読み解き、新しいものを生み出していくプロセスとは? このような問いかけを日々の営みのなかから立ち現れる「小さな文化」を手がかりに、「いま」の社会の断片を捉えることを試み続ける冨永美保さん・伊藤孝仁さん(tomito architecture)と、大橋香奈さん(映像エスノグラファー)をゲストにお呼びして語り合いたいと思います。

これまでの活動のなかで日常生活をどのように記述しようと試み、新たな挑戦に取り組んできたのか。両者に共通する姿勢と態度を紐解きながら、「いま」を見つめる先にある次なる展開について話します。

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めぐりめぐる記憶のかたち イメージは、どこまで届くのか?

出来事の記憶を遠くの誰かに届ける、イメージの「扱い方」を考える

ある出来事の記憶は、絵や写真といったイメージになることで、さまざまな場所へ移動ができるようになります。それは物理的な距離に限らず、ときには時間を超えて、誰かのもとへ届く可能性をもつことでしょう。かたちを与えられた誰かの記憶は、それに触れた人々の記憶の呼び水ともなります。

イメージを前に自らの経験を語り出す。「別の」経験と重ね合わせる。そうして新たな意味を付与する行為はイメージの存在を豊かにするのと同時に、ひとつの出来事や、それが示唆する共通の経験の継承につながっています。ただし、そう「なる」ための実践は容易ではありません。

自らが知りえない遠くの誰かに、どこまでイメージを届けることができるのか。それには、どのような手法がありえるのか。そもそも、イメージを介して他者と何が共有可能なのだろうか。これらは何らかの記録やメディアを介して、かたちのない記憶を伝えようとするときの根源的な問いであり、それを発した瞬間から困難を抱えてしまうような危険な問いでもあるのだと思います。 こうした問いを念頭に置きつつ、日々イメージと記憶にまつわる実践を重ねる、岡村幸宣さん(原爆の図丸木美術館学芸員)と松本篤さん(NPO法人remoメンバー/AHA! 世話人)をゲストにお迎えし、お二人の取り組みや問題意識を共有し、これからの実践の手法の可能性を模索します。

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ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])

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Artpoint Meeting 2018

社会とアートの関係性を探るトークイベント

「まち」をフィールドに、人々の営みに寄り添い、アートを介して問いを提示するアートプロジェクトを紐解き、最新のテーマを追求するトークイベント。アートプロジェクトに関心を寄せる人々が集い、社会とアートの関係性を探り、新たな「ことば」を紡ぎます。

2018年度は、アートプロジェクトならではの拠点づくりのアプローチや、創造的なメディアのつかいかたについて議論を深めます。

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スケジュール

2018年7月29日開催
Artpoint Meeting #06 プロジェクトを育てる「活動拠点」のつくりかた

  • ゲスト:岩沢兄弟
  • 会場:TOT STUDIO

2019年1月26日開催
Artpoint Meeting #07 プロジェクトを拡げる「メディア」のつかいかた

  • ゲスト:森若奈、中田一会
  • 会場:東京文化会館 4階 大会議室

Artpoint Meeting 2017

社会とアートの関係性を探るトークイベント

「まち」をフィールドに、人々の営みに寄り添い、アートを介して問いを提示するアートプロジェクト。Artpoint Meetingは、アートプロジェクトに関心を寄せる人々が集い、社会とアートの関係性を探り、新たな「ことば」を紡ぐ東京アートポイント計画のイベントです。

2017年度は、東京各地で実施しているプロジェクトの実践者による企てや、文化と日常の関係性について議論を深めます。また、東京アートポイント計画に参加する11のNPOによる公開プレゼンテーションを通じて、現場の悩みや展望について語り合います。

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スケジュール

2017年7月2日開催
Artpoint Meeting #03 –まちで企む–

  • ゲスト:及川賢一、吉田武司、小川希
  • 会場:武蔵野プレイス 4Fフォーラム

2018年1月27日開催
Artpoint Meeting #04 –日常に還す–

  • ゲスト:竹田由美、アサダワタル
  • 会場:100BANCH 3F LOFT

2018年3月25日開催
Artpoint Meeting #05 公開報告会

  • ゲスト:一般社団法人 Ongoing、NPO 法人アートフル・アクション、NPO 法人音まち計画、一般社団法人 CIAN、NPO 法人トッピングイースト、NPO 法人インビジブル、一般社団法人指輪ホテル、一般社団法人 kuriya、NPO 法人場所と物語、NPO 法人神津島盛り上げ隊、社会福祉法人東香会
  • 会場:アーツカウンシル東京 大会議室

Artpoint Meeting 2016

社会とアートの関係性を探るトークイベント

「まち」をフィールドに、人々の営みに寄り添い、アートを介して問いを提示するアートプロジェクト。Artpoint Meetingは、アートプロジェクトに関心を寄せる人々が集い、社会とアートの関係性を探り、新たな「ことば」を紡ぐ東京アートポイント計画のイベントです。

2016年度は、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた動向や、新たな「公」の考え方、捉え方について議論を深めます。

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スケジュール

2017年7月2日開催
Artpoint Meeting #03 –まちで企む–

  • ゲスト:及川賢一、吉田武司、小川希
  • 会場:武蔵野プレイス 4Fフォーラム

2018年1月27日開催
Artpoint Meeting #04 –日常に還す–

  • ゲスト:竹田由美、アサダワタル
  • 会場:100BANCH 3F LOFT

2018年3月25日開催
Artpoint Meeting #05 公開報告会

  • ゲスト:一般社団法人 Ongoing、NPO 法人アートフル・アクション、NPO 法人音まち計画、一般社団法人 CIAN、NPO 法人トッピングイースト、NPO 法人インビジブル、一般社団法人指輪ホテル、一般社団法人 kuriya、NPO 法人場所と物語、NPO 法人神津島盛り上げ隊、社会福祉法人東香会
  • 会場:アーツカウンシル東京 大会議室