共通: 年度: 2020
瀬戸口裕子
手話と出会う〜アートプロジェクトの担い手のための手話講座 基礎編2020〜
アートプロジェクトの現場で使える手話の基礎を学ぶ
異なる背景をもつ人々が集い、語り合い、ともに活動するアートプロジェクトでは、日々さまざまなやりとりが交わされています。プロジェクトの場や時間をより豊かにしているのはその多様なコミュニケーションである、と言っても過言ではありません。視覚身体言語である「手話」も、そのひとつです。
このオンライン講座は、アートプロジェクトの運営にかかわっていて、手話や身体言語を用いたコミュニケーション力を磨きたい人や、プロジェクトの説明やコミュニケーションをより円滑に行う技術を深めるためのものです。
手話・身体表現ワークショップ講師である河合祐三子さんと、手話通訳士の瀬戸口裕子さんとともに、「伝える」と「伝わる」の違いを知り、全身をつかって表現することを体験し、アートプロジェクトの現場で活用できる手話を身につけることを目指します。また、アートプロジェクトにおけるコミュニケーションやアクセシビリティに関する課題についても考えていきます。
詳細
スケジュール
7月1日(水)、8日(水)、15日(水)10:00~11:00
第1回〜3回 手話の基礎表現
- 自己紹介
- 日時と曜日
- 1日のスケジュールなどについて伝える
7月22日(水)、29日(水)、8月5日(水)10:00〜11:30
第4回〜6回 自己表現してみよう
- 天候や趣味、交通についての表現を知る
8月26日(水)、9月2日(水)、9日(水)10:00〜11:30
第7回〜9回 コミュニケーションに必要な表現を学ぼう
- 自分がかかわっているアートプロジェクトを紹介する
9月16日(水)、23日(水)、30日(水)10:00〜11:30
第10回〜12回 実際にコミュニケーションをしよう
- アート/アートプロジェクトについてのミニプレゼンテーション
- イベント運営のシミュレーション
- 手話を交えたオンライン会議の実践
- ろう者の参加を想定したプロジェクト運営のポイント、注意点について
参加費
10,000円
集えない現在から動き出す、アート・アクション
人が動き、人と集い、人と交流することで、表現を紡いできたアートプロジェクト。しかし現在では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、人と人が集まって活動すること自体が難しくなっています。
それでも、そんな現在だからこそできるアクションもあるのかもしれません。それは例えば、息苦しさや孤独、不安、不便さ、分断のやるせなさに、アートらしく寄り添うかたちで。
今回は、これまで私たち東京アートポイント計画が関わってきた人や組織のなかかから、動きはじめたアート・アクションの一部をご紹介します。
ちょっと誰かに聞いてもらいたいことを送る「ちょっとお手紙プロジェクト」(NPO法人アートフル・アクション)

「小金井アートフル・アクション!」を共催しているNPO法人アートフル・アクションでは、4月16日から「ちょっとお手紙プロジェクト」をスタート。
郵送でも直接投函でもFAXでもメールでもなんでもOK。英語でも大丈夫です。ちょっと聞いてほしいこと、つぶやきたいことを送ると、有志による「チームおてがみ」からお返事が届く仕組み。
孤独を感じていたり、誰にも言えない感情を抱えていたり、SNSに疲れてしまった人のつぶやきの受け皿になります。詳しくは公式ウェブサイトでお知らせしています。
おうちの中にアトリエの時間を創る「リモート版 ぐるぐるミックス」(一般社団法人谷中のおかって)

「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」から生まれた、こどもとおとなが一緒になってあそびを生み出す創作教室「ぐるぐるミックス」(主催:一般社団法人谷中のおかって)では、「リモート版 ぐるぐるミックス」の試みがはじまりました。
「リモート版 ぐるぐるミックス」は、新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑みて、1学期(5月〜7月)の活動を、Zoomを活用したリモートプログラムに変更したもの。
参加者には、開催日までに「ぐるぐるキット」配送され、開催時間になるとZoomによって講師を担当するアーティストたちのアトリエと繋がり、オンラインで創作の時間をともにする「共同アトリエ」を実現。アーティストから手渡される魅力的な遊びの種を、参加者たちは独自に発展させ、そのワクワクやドキドキを共有しながら創作活動に取り組みます。
通常は1年間の通年プログラムですが、今回は特別に1学期だけの参加も可能です。詳しくは公式ページでご確認ください。
外国籍等の方々へ情報や必要なサポートを届ける緊急プロジェクト”Share”( 一般社団法人kuriya)

「Betweens Passport Initiative」を共催した一般社団法人kuriyaでは、新型コロナに伴う影響の対応として、外国ルーツの高校生とその保護者へのサポートを行う緊急プロジェクト”Share”を立ち上げました。
kuriyaはもともと、外国にルーツのある若者の支援をしてきた団体です。今回のプロジェクトでは、東京に在住する外国ルーツの保護者・高校生を対象に、新型コロナに関する情報収集の壁や、生活の困りごとについて、ニーズ調査のアンケートとヒアリングを実施。その調査結果を公開しました。レポート結果は 「とどけるプロジェクト」で紹介されています。
また、SNSや英語でのニュースを情報源にしているというレポート結果を受け、特別定額給付金に関する情報のシェアを始めました。給付金の申請や仕組みについて英語と図解でわかりやすくまとめられた資料は、Facebookページの投稿からご覧いただけます。
この日々に向き合う小さなラジオ番組「小森瀬尾ラジオ」(小森はるかさん+瀬尾夏美さん)

「Art Support Tohoku-Tokyo」「Tokyo Art Research Lab」の参加アーティスト・小森はるかさんと瀬尾夏美さんが、「小森瀬尾ラジオ」と題して音声配信を定期的に続けています。
「小森瀬尾ラジオ」は、日々変わる情勢を見つめ、その変化について話しながら記録することをめざした番組。聞く人にとっては「いつもどおりを感じられる場所」として、たんたんとゆるく、聞き流せるようなおしゃべりの様子が配信されています。
ふたりが取り上げる大小さまざまな出来事や、人の姿、感情を聞いていると、おなじときを異なる場所で過ごす人と人のつながりを感じられるかもしれません。番組はTwitCastingで毎週水・土曜日の22時から配信中。アーカイブも聞くことができます。また、瀬尾夏美さんは自身のFacebookで絵と言葉のシリーズ「#コロなか天使日記」も更新されています。
ゆるくて楽しい時間をお届け「ダメパンダ YouTubeチャンネル」(開発好明さん)

「三宅島大学」参加アーティストの開発好明さんは、緊急事態宣言後から「ダメパンダ」としてYouTube動画を日々更新中。
ダメパンダは「飼育係の方が自粛要請で2ヶ月休みなので自活を始めるのだパンダ」とのこと。「あ、ダメ工作をやるよ」「び、美術のおべんきょうやるよ」「と、友人とお話しするよ」の3つのカテゴリーで、ゆるくて楽しい時間をお届けしています。
自宅にこもる時間を斜めの方向にずらしてほぐす、ダメパンダの日々はこちらのYouTubeチャンネルからご覧いただけます。
教育の現場はどうなる? 教育者と研究者の立場で考えるブログ「かんガエル」(加藤文俊さん)

「三宅島大学」「Tokyo Art Research Lab」に参加されてきた社会学者・加藤文俊さんは、慶應大学SFCの教授としてフィールドワークを教えられています。
今回の事態を受け、オンライン化を余儀なくされた大学の授業をどうするべきか、日々起きたこととその試行錯誤をブログで記録されています。学びとは何か、教育とは何か、集うことの意味とは何か。
これまで当たり前であった「大学」という場を、教育者と研究者という双方の立場から見つめる記録です。生活や仕事のかたちを否応なく変えざるをえない今日このごろ。「先生の目」でその変化を共有する記事は、ブログ「かんガエル」内の「コロナと大学」カテゴリで更新されています。(※記事公開当時の情報です)
おうちでつくった工作や料理を紹介するウェブサイト「おうちでTutti展」(アトリエTutti)

「Artist Collective Fuchu [ACF]」の運営メンバーである西郷絵海さんは、自身が運営する「アトリエTutti」のウェブサイトとInstagramアカウントでオンライン展覧会をはじめました。
オンライン展覧会「おうちでTutti展」では、アトリエを休止している間、おうちでつくったものを紹介する企画。工作や絵画に限らず、手芸やお料理など、一人で作ったものから、兄弟、家族と一緒につくったものなど、広く紹介されています。
おうちで楽しむ「つくる」の様子が伺える作品群は、公式ウェブサイトとInstagramアカウントでご覧いただけます。
誰も訪れることのできない所在地不明のギャラリー「プラウ・イソラシ(孤島)」(北澤潤さん×小鷹拓郎さん)

「アーティスト・イン・児童館」や「Tokyo Art Research Lab」などの参加アーティスト・北澤潤さんと、「TERATOTERA」参加アーティスト・小鷹拓郎さんは、4月2日、アートギャラリーの開設を共同で宣言しました。
インドネシア・ジョグジャカルタを拠点に活動する2作家によるギャラリーの名は、「プラウ・イソラシ」(インドネシア語で「孤島」)。誰も訪れることが出来ず、作品の搬入搬出も輸送でしか行なえません。
この実験的なギャラリーは、新型コロナウイルス感染症に関する事態の収束が訪れた時点で「閉鎖(lock-down)」します。その日はいつやってくるのでしょうか。活動に関する最新情報はFacebookページでご確認ください。
不自由であるということを知るための記録「不自由さの観察」(アサダワタルさん)

「小金井アートフル・アクション!」「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」「Art Support Tohoku-Tokyo」「Tokyo Art Research Lab」など数々のプロジェクトでご一緒してきた文化活動化のアサダワタルさんは、4月6日からウェブサービス「note」上で新たな記録活動を始動しました。
シリーズタイトルは、「『不自由さ』の観察 ーコロナと私とこの世の断片ー」。“この状況が「不自由だ」と思っている自分が、実はその思考の大元で、そもそも「不自由」であるということを知る。(中略)「外」に発信する前に、「内」を徹底的に見つめる作業にあててみるのも悪くないだろう。”(アサダさんのFacebook投稿より)
今、誰もが感じている「不自由」の正体は何なのか。アーティストともに考えを深めていく時間を過ごすのもいいかもしれません。記事はアサダワタルさんのnoteで公開されています。
以上、東京アートポイント計画に関わる人や組織のアート・アクションをご紹介しました。これらの活動は、ほんの一部です。
東京アートポイント計画では、今後も個々の活動をサポートし、今求められるアートプロジェクトのかたちを探っていきたいと考えています。
お互いから学び合おう! 事務局のための勉強会「ジムジム会2020」をはじめます。
こんにちは。東京アートポイント計画・ジムジム会です。
ジムジム会とは?
東京アートポイント計画ではこの5月より、2020年度のジムジム会がはじまりました。ジムジム会とは「事務局による事務局のためのジムのような勉強会」のこと。
東京都内各地でアートプロジェクトを実施する「東京アートポイント計画」参加団体(※芸術文化や地域をテーマに活動するNPO法人や社団法人など)とともに、プロジェクト運営事務局に必要なテーマを学び合うネットワーキング型の勉強会です。
今こそ、運営力を鍛えるとき!
2019年度スタートし、2020年度はさらにバージョンアップして開催しよう……と企画していた矢先、今回のコロナ禍がやってきました。勉強会どころか、各プロジェクトでももちろん「移動する/集う」ことができません。
人と集まり、交流することで地域社会を豊かにすることを目指してきたアートプロジェクトにとって、大変困難な状況です。しかし、そういったタイミングだからこそ、新たな「文化事業のありかた」を探ることもできるはず。この危機は、事務局の運営力を鍛えるときであり、「文化事業を止めない力」を養うときではないでしょうか。
そこで2020年度のジムジム会は、オンラインから始動することにしました。「移動せず/集わず」にできるアートプログラムの可能性や方法を話し合い、共有し合いたいと考えています。
相互に助け合う場を目指して
全体テーマは「社会状況に応じたアートプロジェクト運営の工夫をお互いに考える」こと。年5回の勉強会と、その間の試行錯誤を通じて、事務局の運営力を鍛えることを目指します。
▼ジムジム会2020の運営方針
1. 現場の状況と社会状況を反映し、柔軟にプログラムを組む
2. レクチャー形式ではなく、相互に助け合う「互助会」的な場とする
3. 得た知見や生まれたアイデアは、公共知としてオープンにしていく
この「ジムジム会」マガジンでは、各回のレポートはもちろんのこと、オンライン勉強会を開催する過程での試行錯誤や、各プロジェクトの現場で生まれたアイデアなどもご紹介していきます。
アートプロジェクトに関わる人だけでなく、小さな組織の運営や地域活動の実践にも役立てていただけるような情報発信を目指します。どうぞよろしくおねがいいたします。

“集えない”時代のアート・アクション
2020年、新型コロナウイルス感染症拡大によって、人と人との距離が求められるようになりました。アートプロジェクトは集えない時代にどんなアクションができるのか? 東京アートポイント計画にまつわるアーティストやチーム、プロジェクトの新たな試みについて記述します。
YATOの山野草 秋/冬
「谷戸(やと)」と呼ばれる、丘陵地が浸食されて形成された谷状の地形をもつ町田市忠生地域にて、その土地の歴史や文化をリサーチしながら、500年後に続く人と場の在り方の仕組みを考える『500年のcommonを考えるプロジェクト「YATO」』。地域を知り学ぶ取り組みの一つとして、山野草を通じて、こどもたちとともに地域の自然に触れ親しむワークショップの成果をまとめました。
地図のような水彩画の表面は、簗田寺を囲むように茂る野草たちの情景を表現したもの。ワークショップ当日に歩きながら感じた印象を伝えるように抽象化して描かれています。植物図鑑のような裏面は、そのとき見つけた植物を描き並べたもの。何気ない風景のなかに、意識しないと気づかずに通り過ぎてしまうほどささやかな、けれども、とても豊かな色やかたちをもつ植物があることに気づいたときの驚きとともに表現されています。
秋の簗田寺をめぐり、YATOの生態系に触れる。
(「YATOの山野草 秋/冬」表面より)
この土地の自然とともに暮らす齋藤美智子さんの導きで出会った山野草の数々と、目にした風景、そして感じた色模様を、アーティスト 小川哲さんが心象地図として描きあげました。
その時、ファンファンは!?
それまで当たり前だと思っていた考えを解きほぐす「対話」を生み出し、地域の文化資源の活用から「学びの場」を創出する『ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―』。本書は、2020年度に実施したプログラムの裏側で、事務局がどのようなことを考えていたのかを振り返る、副音声風のリーフレットです。
*「ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―2020ドキュメント」と併せてご覧ください。
ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―2020ドキュメント
それまで当たり前だと思っていた考えを解きほぐす「対話」を生み出し、地域の文化資源の活用から「学びの場」を創出する『ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―』。
本書は、2020年度の活動をまとめたドキュメントブックです。
他者との距離感が増して接触が希薄になる中で、外へ向いていたまなざしは自分自身へ 向けざるを得なくなっていったように思います。
目次
- はじめに
- プラクティス「みじかい間、少しとおくまでの対話」
- ファンファン倶楽部
- ファンファンレター
- プラクティス「超衆芸術スタンドプレー 夜明けから夜明けまで」
- インタビュー「ふたつの夜明けを巡って-1923年/2020年」 飯岡 陸
- ラーニング・ラボ
谷中流アートマネジメント ―非合理で過剰―
2009年から2013年にかけて、台東区谷中界隈を舞台に行われた『ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト』は、既存のマネジメントのセオリーにおさまらない、非合理で過剰ともいえる対話のプロセスによって成立するアートプロジェクトでした。
本書では、立ち上げから10余年の歳月を経たいま、あらためてプロジェクトを俯瞰してみることで関係者の当時の想いや狙いについて言語化を試みました。
ギリギリまで何が出てくるかは分からない。でもそれがすごく芸術的醍醐味のある現場になっていく。
(p.65)
目次
- はじめに
谷中で何が起こったのか? - 3人のキーパーソンにインタビュー
- 谷中のおかって代表&ぐるヤミ事務局長 渡邉梨恵子
- パフォーマンスを追求するおかって総合ディレクター 富塚絵美
- アートマネジメントの現場と人材を育成した教育者 熊倉純子
- 谷中の土壌
- 活動のきろく
- あとがき