500年のcommonを考えるプロジェクト「YATO」

次世代を担うこどもと500年後を考える

「谷戸(やと)」と呼ばれる、丘陵地が侵食されて形成された谷状の地形をもつ町田市忠生地域。「すべて、こども中心」を理念とする『しぜんの国保育園』や寺院を取り巻く里山一帯を舞台に、地域について学びながら、500年後に続く人と場のあり方(=common )を考えるアートプロジェクト。アーティストや音楽家、自然環境や歴史などの専門家や地域の団体と連携し、次世代を担うこどもと大人が一緒に取り組む企画を行っている。

実績

「500年続く文化催事=お祭り」をつくる準備としてはじまった、2017年度採択事業。運営メンバーによる「定例会」の設定にはじまり、お寺にまつわる行事に合わせてイベントを行うなど運営リズムをつくった。

地域の小学生が年長者やアーティストと出会う「やとっ子同盟」では、春から夏にかけてワークショップを重ね、秋の「YATOの縁日」で発表会を開催。地域の年長者と「YATOの年の瀬」「初午(はつうま)」を協働するなど定期的な活動のなかで、地域との関係を育んだ。なかでも、影絵師・音楽家の川村亘平斎による影絵ワークショップは定番企画となり、地域のこどもたち(やとっ子)に好評を博した。地域の植生や神話を学び、それを影絵芝居にし、お寺の境内などでお披露目した。

地域のこどもたちに向けてかつての忠生地域の姿を伝える『YATOかわら版』の定期的に発行し、近隣の小学校などでも配布した。その土地で暮らす個人の視点を通して、地域の物語や風土に触れることができるアーカイブプロジェクトを実施。聞き書きをもとに、『YATOの郷土詩』としてまとめた。また、寺院の有休施設だった「こもれび堂」をこどもたちが集まれる拠点として改修し、椅子や棚にもなる箱形の家具づくりも行った。

東京アートポイント計画の共催終了後は、拠点がある保育園や寺院などを囲む里山一帯に手を入れて、定期的にメンテナンスする「ていれのかい」を月1回開催。自然のなかの活動に興味のある若い世代とともに人が歩ける道をつくり、木材を使い、宿坊を開くなど、谷戸ならではの生態系を育む。毎年、秋祭りとして「YATOの縁日」を行うなど、地域拠点としての里山へのさまざまな入り口を用意し、500年先への取り組みを続けている。

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おとのふね

府中エリアを中心としたコミュニティFM放送局ラジオフチューズ87.4MHzで、「Artist Collective Fuchu [ACF]」が届けるラジオ番組です。番組名「おとのふね」は、府中市の地図を船に見立て、チームメンバーにより命名しました。

ゲストには、府中や近隣にお住まいのアーティストや、今後府中に関わってほしいさまざまな活動をしている方をお呼びし、創作のことや府中のこと、アートにまつわる内容を中心に話を伺います。番組後半はサブパーソナリティが地域の展覧会やメンバーの活動を紹介するコーナーをお届けしています。

詳細

放送日時

毎月第1週の火曜日、22:00~22:30
*日時は変更する場合がございます。変更・中止等の最新情報はACF公式Facebookにてご案内いたします

聴取方法

  • ラジオをお持ちの方で府中市か隣接した地域にお住まいの方は FM 87.4MHz で聴取。
  • コミュニティ FM ポータル web「Listen Radio」からインターネットで聴取。
    ※スマートフォン用アプリ「Listen Radio」もあります

過去放送のアーカイブ

ラジオフチューズのPodcastで聴くことができます。

*Apple、Google、SpotifyのPodcastをご利用の方は「おとのふね」または「Artist Collective Fuchu」で検索できます

関連リンク

各回についてACFウェブサイトではレポート記事を更新しています。

プラクティス 制作映像

「プラクティス」は、東京都墨田区を舞台にしたアートプロジェクト「ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―」(通称:ファンファン)が蓄積してきた気づきをもとに、まちなかで具体的なアクションを行なうプログラムです。

アーティストや研究者、まちの人々が出会うきっかけを作り、関わる人々それぞれの創造力を持ち寄ることで、見慣れたまちの風景から新しい考え方や価値観を生み出す展覧会やワークショップを開催しています。各種制作映像のほか、各回のレポートには「プラクティス」を実行する中での試行錯誤や葛藤、成果についてを掲載しています。

関連リンク

ラーニング・ラボ 記録映像

いま、墨田の地域の生活に必要となっている、これから必要となるであろう学びについてアートや教育、まちづくりなど様々な分野の研究者やアーティストをゲストに招いたレクチャーシリーズです。

東京都墨田区を舞台にしたアートプロジェクト「ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―」(通称:ファンファン)におけるプログラムの中には、この「ラーニング・ラボ」で生まれた対話やアイデアから発展したものもあります。記録動画やレポートを見ると、新たな考えやアイデアの種が見つかるかもしれません。

関連リンク

東京で(国)境をこえる

「見えない(国)境、壁」について考える

多くの在留外国人や海外にルーツをもつ人々が生活する東京。「東京には見えないことにされているさまざまな壁がある」という仮説をもとに、その「見えない(国)境、壁」について考えるプロジェクト。東京に生きる人々、特に海外ルーツの人々が感じている「個人と他者/社会/世界との境界」と、それにまつわる問題を探りながら、日常的に出会いが生まれる場づくりを目指す。

実績

2030年に社会を担う20~30歳と行うプロジェクト「kyodo 20_30」を中心に展開した、2019年度公募採択事業。活動拠点「経堂アトリエ」でのワークショップや、多文化共生に関するレクチャーや対話を重ね、そこでの気づきを海外にルーツをもつメンバーとともに作品にした。映像制作プログラム「ショットムービー」では、ベトナムや中国などさまざまな国籍のクリエイターが参加した。その成果発表として2021年度に世田谷区経堂にて「ここから展」を行った。

普段は意識できていない境界や断絶を考えるためのトークプログラム「サカイノコエカタ」ではさまざまな分野における越境者を招き、参加者と対面で議論。「当事者である/でない」という二項対立から自由になるためのヒントや、背景の異なる他者や場所とかかわろうとするときに見えてくることについて語り合った。

また、日本語が母語ではない人たちに向けて、「やさしい日本語」を使った参加者募集や活動レポートなどの情報発信を行った。こうした誰にでも伝わりやすい表現を探るなかで、結果的にメンバー内のコミュニケーションやプロジェクトのビジョンの精度も向上した。この試みは、ワークショップとして東京アートポイント計画の勉強会「事務局の事務局によるジムのような勉強会(ジムジム会)でも共有し、好評を博した。

東京アートポイント計画との共催終了後も、拠点として使用していた「経堂アトリエ」にて、「kyodo 20_30」の参加者だった20~30歳の若手表現者たちがさまざまなプログラムを行っている。また本事業をきっかけに、読書会やインタビュー、動画リレー企画など参加者によるスピンオフの活動が活発に行われ、コミュニティが育まれている。