2020年、新型コロナウイルス感染症拡大によって、人と人との距離が求められるようになりました。アートプロジェクトは集えない時代にどんなアクションができるのか? 東京アートポイント計画にまつわるアーティストやチーム、プロジェクトの新たな試みについて記述します。
共通: 年度: 2020
YATOの山野草 秋/冬
「谷戸(やと)」と呼ばれる、丘陵地が浸食されて形成された谷状の地形をもつ町田市忠生地域にて、その土地の歴史や文化をリサーチしながら、500年後に続く人と場の在り方の仕組みを考える『500年のcommonを考えるプロジェクト「YATO」』。地域を知り学ぶ取り組みの一つとして、山野草を通じて、こどもたちとともに地域の自然に触れ親しむワークショップの成果をまとめました。
地図のような水彩画の表面は、簗田寺を囲むように茂る野草たちの情景を表現したもの。ワークショップ当日に歩きながら感じた印象を伝えるように抽象化して描かれています。植物図鑑のような裏面は、そのとき見つけた植物を描き並べたもの。何気ない風景のなかに、意識しないと気づかずに通り過ぎてしまうほどささやかな、けれども、とても豊かな色やかたちをもつ植物があることに気づいたときの驚きとともに表現されています。
秋の簗田寺をめぐり、YATOの生態系に触れる。
(「YATOの山野草 秋/冬」表面より)
この土地の自然とともに暮らす齋藤美智子さんの導きで出会った山野草の数々と、目にした風景、そして感じた色模様を、アーティスト 小川哲さんが心象地図として描きあげました。
その時、ファンファンは!?
それまで当たり前だと思っていた考えを解きほぐす「対話」を生み出し、地域の文化資源の活用から「学びの場」を創出する『ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―』。本書は、2020年度に実施したプログラムの裏側で、事務局がどのようなことを考えていたのかを振り返る、副音声風のリーフレットです。
*「ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―2020ドキュメント」と併せてご覧ください。
ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―2020ドキュメント
それまで当たり前だと思っていた考えを解きほぐす「対話」を生み出し、地域の文化資源の活用から「学びの場」を創出する『ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―』。
本書は、2020年度の活動をまとめたドキュメントブックです。
他者との距離感が増して接触が希薄になる中で、外へ向いていたまなざしは自分自身へ 向けざるを得なくなっていったように思います。
目次
- はじめに
- プラクティス「みじかい間、少しとおくまでの対話」
- ファンファン倶楽部
- ファンファンレター
- プラクティス「超衆芸術スタンドプレー 夜明けから夜明けまで」
- インタビュー「ふたつの夜明けを巡って-1923年/2020年」 飯岡 陸
- ラーニング・ラボ
谷中流アートマネジメント ―非合理で過剰―
2009年から2013年にかけて、台東区谷中界隈を舞台に行われた『ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト』は、既存のマネジメントのセオリーにおさまらない、非合理で過剰ともいえる対話のプロセスによって成立するアートプロジェクトでした。
本書では、立ち上げから10余年の歳月を経たいま、あらためてプロジェクトを俯瞰してみることで関係者の当時の想いや狙いについて言語化を試みました。
ギリギリまで何が出てくるかは分からない。でもそれがすごく芸術的醍醐味のある現場になっていく。
(p.65)
目次
- はじめに
谷中で何が起こったのか? - 3人のキーパーソンにインタビュー
- 谷中のおかって代表&ぐるヤミ事務局長 渡邉梨恵子
- パフォーマンスを追求するおかって総合ディレクター 富塚絵美
- アートマネジメントの現場と人材を育成した教育者 熊倉純子
- 谷中の土壌
- 活動のきろく
- あとがき
外国ルーツの若者と歩いた10年
「移民」の若者たちを異なる文化をつなぐ社会的資源と捉え、アートプロジェクトを通じた若者たちのエンパワメントを目的とする『Betweens Passport Initiative』。東京アートポイント計画では2016年から3年間、一般社団法人kuriyaと共にプロジェクトを展開しました。
本書はkuriyaの代表理事・海老原周子が、これまでの自身の取り組みから見えてきたものをまとめた一冊です。外国ルーツの若者を取り巻く現状やワークショップの現場で見えてきた課題、次の10年に向けて取り組むべきことの提案などを、活動の記録とともに記しています。
「共につくる・共に歩む」
(p.25)
と、言葉ではきれいにつづることができても、現実はそんなに簡単ではない。たくさんの乗り越えられない壁や理解できない互いの違い、そういったものに戸惑い、ぶつかり、限界を感じながら、それでも歩んでいかなければならない。その中でどれだけ共通の記憶を持つことができるかが、多文化共生を進めていく中で一つの鍵を握っていると考えられる
目次
- まえがき
- 序章 きっかけとしてのアート体験
- 第1章 2019年までの状況と課題
- 第2章 社会包摂の仕組みを考える
- 第3章 コロナ危機における外国ルーツの子供たち
- 第4章 活動のきろく
- 終章 今から10年後の2030年になったら
氾濫原のautonomy|自己生成するデザイン
『小金井アートフル・アクション!』は、東京都小金井市をフィールドに、市民がアートと出合うことで、こころ豊かな生き方を追求するきっかけをつくることを目的とするプロジェクトです。12年にわたる取り組みのなかでの気づきを、事務局長の宮下美穂が5人のゲストとの対談を軸に一冊にまとめました。
気づきとは、そのすべてはパッチワークのように断片と断片が降り積もるようにあり、パッチワーク相互の接面は複雑な線を描き、重なり合うこともあるでしょう。さらに、均一な平面ではなくさまざまな厚みを持った立体であり、時間も含んだ四次元の複雑な経験の総体ではないかと思います。記憶の中で埋没していたり、時間が経つ中で理解が変わり続けていることもあります。
本書は一二年の中でことあるごとに思い返されたり更新し続けていることを、さらに引き続いて考えていくための栞(しおり)のようなものです
(「本書について」より)
目次
- 本書について
- 答えの出ないことを、どのように持ちこたえるのか
―答えの出ないこと、について考える
花崎 攝[シアター・プラクティショナー]との対話 - 結び直すこと、つなぎ直すこと
―環境と人間が取り結ぶ、関係性
廣瀬俊介[ランドスケイプデザイナー]との対話 - 日常生活を礼拝にすること 問題は向こう側にはない
―日常が尊いものに思えること、について
並木美佳[漆による地域振興プロジェクトコーディネーター]との対話 - 呼応することと、応答する力 作用としての場
―互いに呼応し合う「場」をつくること
小林めぐみ[福島県立博物館学芸員]との対話 - ほどく―緩やかなつながりの中に解体し、飛び火し、更新していくこと、照らし合うことの可能性
―「ほどく」をめぐって
佐藤李青[アーツカウンシル東京・プログラムオフィサー]との対話 - 氾濫原のautonomy|自己生成するデザイン
宮下美穂
ふりむきながら 続く地図 越境/pen友プロジェクトでの気づき 2019─2020
『小金井アートフル・アクション!』がアーティスト呉夏枝(お・はぢ)とともに取り組む「pen 友プロジェクト」。小金井市を中心に日本に在住する海外に出自をもつ人々と、呉夏枝が文通を通して出会い、交流を深め、その対話をもとに、ワークショップ、そして展覧会へと活動を広げていきました。
この地図は、活動に参加した市民がたどった道筋を記したものです。
信じなくてはならないこと、信じたくないこと。どう歩み寄っていけるのだろうか。
(「森山さんのゆらぎ20200527」より)
Artpoint Reports 2020→2021
『Artpoint Reports 2020→2021』は、一年を振り返りながら、ちょっと先の未来について語るレポートです。社会の変化に応答した2020年度の取り組みを、ディレクターとプログラムオフィサーが語りました。
樹の切り株に新芽が生える「ひこばえ」のように、あるとき切り取った事象から思いもしない可能性がひらくかもしれない。そういう視点で人や物の動きを見ると、点ではなく面、そして一つの生態系として世界が見えてくるのではないでしょうか。
(p.23)
目次
About
- 東京アートポイント計画とは
- メンバー紹介
Project reports 事業報告2020
News 2020の取り組み
Voices 2020→2021について語る
- 役割を問い直した中間支援の働き
- 「何でもない場所」をひらく可能性
- 異なる他者と出会うためのレッスン
- 地域に合った組織のかたち
- 悩みを楽しみに変える「互助会」
- 「支援」から「協働」へ