「Multicultural Film Making—ルーツが異なる他者と映画をつくる」プロローグ

自分とは異なるルーツを持つ人たちと、どのように関わっていけるだろうか?

2020年8月から2021年3月にかけて、Tokyo Art Research Lab「東京プロジェクトスタディ:CROSS WAY TOKYO —自己変容を通して、背景の異なる他者と関わる」というスタディを行った。自分とは異なるルーツをもつ人たち(ここでは主に海外にルーツを持つ人たち)と関わろうとするときに、興味を持ちつつもどうしても尻込みしてしまう心理的ハードルに向かい合い、それを越える方法を模索する研究・実践である。スタディの成果として参加メンバーそれぞれの模索の様子を収録した”メディア”を制作し、それを取りまとめたウェブサイト「関わりの記録」を制作した。
今回の「Multicultural Film Making —ルーツが異なる他者と映画をつくる」は、そのときに取り組んだ実践から生まれたプロジェクトだ。

メンバー募集のチラシ:できる限りふりがなを使用している。

「様々なルーツを持つ人たちと協働して、”新しいまち”をテーマにしたフィクションの映画をつくる」こと。これが本プログラムの大きな枠組みである。プログラムは「ドキュメンタリーの部」と「フィクションの部」の2部構成になっている。まず「ドキュメンタリーの部」で、参加メンバー同士でのインタビューや取材、まちなかでのフィールドワークを通してリサーチをする。そしてそのリサーチをもとに脚本を編み、「フィクションの部」でメンバー自らがその脚本を演じ、撮影することで一本の映画が完成するという流れである。

では、なぜ「映画」なのか?
なぜ「様々なルーツ」なのか?
まずはプロローグとして、このプロジェクトを始動していくときに考えたことについて、下記に整理してみる。

線引き

今回、メンバーを募集する際、対象を「海外に(も)ルーツを持つ人(自己申告でOK)」と限定した。このように線引きすることはとても慎重にならざるを得ない。ある人を、そのバックグランドをもとに特定のグループにカテゴライズすることは、その人が意図しないかたちでラベリングすることにもなりかねないからだ。そして、グループ内に「日本にのみルーツを持つ人」を含めないことも、必ず説明が求められるだろう。今回は、あえて「特殊な状況」をつくるという自覚を持つようにした。その特殊な状況下で、普段は見過ごされてきた人たちの視点が明らかになるのではないか。このプロジェクトは、日本ルーツと海外ルーツとの交流促進でもなく、支援事業でもない。新しい「表現」、そしてその実現のために発生する「コミュニケーション」を探求するプログラムである。

メンバー募集のチラシ英語版/やさしい日本語版:日本語非母語話者へ伝える試み。

まちを見る視点

そもそも、私たちの暮らすまちでは、様々なルーツが混ざりあっている。今回のプログラムの拠点である東京について言っても、様々な国の価値観、文化が混ざり合ってかたちづくられてきた歴史を持っているまちだ。近年、多文化共生というフレーズが積極的にうたわれているが、それは以前より存在していたもので、それが現在は経済優先で画一化されていく“まちづくり”によって見えづらくなっているに過ぎない。「CROSS WAY TOKYO」で行った、ライターの金村詩恩さんを招いたフィールドワークでも、いかに自分たちがその事実を見落として生活しているかを学んできた。
画一化されていくまちは、あるひとつのグループにとって便利で快適な空間を生み出し、そのグループからはみ出たものを周縁化していく。しかし、その先にはいったい何があるのか? 似た者同士の決まり切ったコミュニケーションからいったい何が生まれるというのか? 新しく魅力的な文化や価値は、異なる背景を持つ「他者」の間に生じる「ずれ」や「混じりあい」からこそ生まれるのではないか? 今のまちはそのフィールドとなり得ているのだろうか?
その課題意識を念頭に、今回制作する映画のテーマを「新しいまち」と設定している。ルーツが異なるメンバーたちが、それぞれにとっての「他者」となり、互いに視点を交換する。多くの見落とされたまちの姿を互いの「ずれ」を生かしながら発見することを試みる。出自や境遇も異なるメンバーたちには、現在の東京がどのように見えているのか? 何が目につくのか? 何に気がつかないのか? 何を奇妙に感じ、何に抵抗感をおぼえるのか? 映画制作を目的に、メンバーたちがリサーチをし、演じ、撮影し、紡いでいく「まち」が、このプログラムでつくろうとしている「新しいまち」である。

コミュニティ外のコミュニケーション

東京には、海外ルーツの人たちのコミュニティが数多く存在する。そのコミュニティ内で生活する人々は、その中で自身のルーツと向き合いながらアイデンティティを確認することになる。ただし、特に現在の東京において、自身のコミュニティから出て、その外にいる他者と関わることを困難に感じる人も多いようだ。メンバー選考時の面談でも、「自身のルーツのコミュニティ以外の友人ができづらい。」という声を耳にすることが何度もあった。
今回はアートプログラムという特殊な状況下ではあるが、映画制作という共同作業の現場として、多様なルーツをもつ人々が集まる場をつくる。言語のハードルや、価値観のギャップを受け入れ、すり合わせながら、自身のコミュニティ外にいる他者とコミュニケーションを交わす。そう考えると、メンバーが集まったその状態すらも「新しいまち」と呼べるかもしれない。出自も、東京(その近郊)で過ごした時間もバラバラなメンバーたちは、どのような「まち」をつくっていくのだろうか。

映画制作の現場

映画をつくるためには様々な役が必要になる。それはいわゆる俳優の「役」だけではなく、撮影、録音、助監督、美術などといったことも「役」である。そこでは、監督が一番の決定権を握り、ある「役」からある「役」へ様々な指示が行き交う、一種の不均衡な環境がある。その不均衡さを引き受けながらも、ともにひとつの作品をつくっていくのが映画制作の現場であり、その構造は現実社会にもつながっている。

メンバー募集動画の撮影。

監督

ここで制作する映画の監督は、台湾をルーツに持ち、日本に来て7年の鄭禹晨(てい・うしん)さんが担当する。彼女は「CROSS WAY TOKYO」のメンバーの1人でもあり、大学で映像を学んだ後、現在はウェブメディアの編集者として東京で働いている。この企画を練る中で、監督を日本ルーツの人にしてしまうと、社会のヒエラルキーがそのまま製作現場にあるようで難しい、という考えに至った。それであれば、と思い声をかけたのが鄭さんだった。CROSS WAY TOKYOを通して制作した彼女の映像作品「你我」では、彼女と、彼女と同様に台湾から日本に来た2人の男女との会話を聞くことができる。そこで話されているのは、日本や日本人に対する考えや、自身の母国とアイデンティティに関する事柄で、そのある意味遠慮がなく生々しい会話からは日本ルーツの人々が普段持ち得ない視点があらわになる。

メンバー募集の動画:監督自らメッセージを発する。

メンバーの選考

1ヶ月間の募集期間を経て、定員の4倍近くの申し込みがあった。プログラム成立のために、心苦しくも選考をしたわけだが、決して当人のルーツやアイデンティティをジャッジするのではなく、全体のバランスと、各々の興味と本プログラムの趣旨がフィットするかという判断軸で選考する旨をそれぞれに伝えた。ここでは細かく述べないが、選考を通して企画側の想像におさまならない多様な背景を持つ人たちがおり、その人たちの間でこのようなクリエイションの現場参加の需要が高まっている(コロナ禍の影響も強い)と実感したことをここに記しておく。

記録

本プログラムは、映像制作の過程を映像とテキストで記録していく。これらは、日本で生まれ育ったマジョリティである者の視点からの記録である。また、私たちは多文化共生に関する専門家でもない。その中でできることは、ひとつのクリエイションの現場において、ただの傍観者として客観的にものごとを整理していくことではなく、あえて自分たちの細かな揺れ動きにも目を凝らしながら、映画の制作過程をメンバーたちと共に追うことなのかもしれない。

今回は、プロローグとして企画のベースを整理してみた。
ここを出発点に、「Multicultural Film Making —ルーツが異なる他者と映画をつくる」はどのように進むのか。
まずは、ドキュメンタリーの部A期がはじまる。

執筆:阿部航太(プロデューサー、記録)

あらためて、あなたのアートプロジェクトにとって一番大切な存在は誰ですか?

11月17日(水)に、ジムジム会の第3回を開催しました。今年は、東京アートポイント計画の共催団体が順々にホスト役となって、ジムジム会運営チームと一緒につくっています。
今回のホスト役は、500年のcommonを考えるプロジェクト「YATO」(以下、YATO)チーム。企画設計や当日の運営などYATOチームと一緒に取り組んできた担当プログラムオフィサー(以下、PO)の嘉原妙が、当日の様子をレポートします!

ジムジム会は、2019年度より東京アートポイント計画が開催している〝事務局による事務局のためのジムのような勉強会〟です。
東京都内各地でアートプロジェクトを実施する東京アートポイント計画参加団体(※芸術文化や地域をテーマに活動するNPO法人や社団法人など)とともに、プロジェクト運営事務局に必要なテーマを学び合うネットワーキング型の勉強会です。

第3回のテーマは、「アートプロジェクトの『関わり』をときほぐす」

YATOでは、人々が集い、語らい、ともに何かに取り組もうとする場のあり方を模索し、地域の年中行事に倣いながら、500年続く「祭り」の仕組みづくりに取り組んでいます。そんな彼らが今回のテーマとしたのは、「アートプロジェクトの『関わり』をときほぐす」こと。

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テーマについて
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みなさんのプロジェクトにとって一番大事な存在は誰ですか?
YATOでは、大切な関わり手としてこどもたちの存在があります。彼らはプログラムの参加者であり、プロジェクトメンバーでもあり、これからのプロジェクトのパートナーでもあります。昨年から続くコロナ禍で、アートプロジェクトへの関わりの在り方も変動し、その中でさまざまな試行錯誤が行われてきたと思います。
アートプロジェクトは、事務局だけで動かしていくものではありません。改めて、自分たちにとって大切な関わり手とは誰なのか?彼らとどのように関わってきているのか、また、関わっていきたいのかを改めて解きほぐしながら、プロジェクトの新たな関わりの設計(デザインやアイデアの種)を考えていけたらと思います。(YATO事務局)

このテーマの背景には、2021年秋に実施した『YATOの縁日2021』での出来事がありました。まずは、本題に入る前に少しアイスブレイクしましょう!

あなたの「祭り」のイメージはなんですか?

さて、そう尋ねられて、どんなイメージが浮かびますか?今回、参加団体のみなさんに、それぞれが思う「祭りのイメージ」をZoomの背景画面に設定してもらってお話を聴くことからはじまりました。

YATOの紘良さんは愛知県の夜通し行われる「花まつり」(写真左上)を、HAPPY TURN/神津島の齋藤さんは、地元熊本県の「山鹿灯籠まつり」(写真右上)を紹介。金銀の煌びやかなこの灯籠は、なんと紙でできているのだそう! 花まつりの写真にも、天井から白い切り絵や紙垂が吊るされているのが見え、その下にはこどもから大人までたくさんの人が集まって、何やら思い思いに過ごしている様子。続いて、移動する中心|GAYAの水野さんは、昭和56年12月に撮影された餅つきの映像(写真左下)。「当時は、6〜7世帯が集まり、餅つきをしていたようです。祭りはそのコミュニティを可視化することじゃないかと思います」と。(写真右下)POの岡野は、「祭りには、はじめましての人と行う謎の共同作業のイメージがあって」と、ゲストハウス1周年記念イベントで猪の解体を行ったときの写真を紹介。インパクトのある写真に、思わず「おぉ!」と声を上げてしまいました。

日常の中に華やかに(ときにはワイルドに)立ち現れる祭りや、暮らしの延長線上にぽこっとお餅つきのように現れてくる祭りの姿など、祭りと一言でいっても、そのイメージは本当にさまざま。共通しているのは、あるとき、ある場所に人々が集い、思い思いに楽しみながら、その場で巻き起こる出来事を体感しともに過ごすことなのかなと感じます。きっとそこには、誰しもに開かれた、一人ひとりの居場所がちゃんと在るのだろうなと。それは、東京アートポイント計画が目指す、アートプロジェクトのあり方にも通じます。

YATOの拠点紹介とコロナ禍の試行錯誤

次に、YATOの活動拠点がある簗田寺の各所から、YATO事務局メンバーが拠点紹介をしてくれました。紘良さんが各所にいるメンバーにこう呼びかけます。「さて、現場に中継がつながっています! 荒生さん、お願いします〜!」「続いて、山の中にいる宮崎さん、お願いします〜!」

「荒生です。簗田寺の本堂が見えますか?その手前には、龍が住んでいたという伝説が残る龍王ヶ池があります(写真左)。その伝説の龍は、影絵師・川村亘平斎さんと行っている影絵芝居にも登場します」。「宮崎です。私は、山の中にいます。YATOの活動拠点には、こうした里山環境があるんです。この山の上には、お稲荷さんが祀られていて、初午の日が近づくと、地元住民の方々と一緒に掃除をしながら地域のお話を聞いたりして交流しています」(写真右)。

「僕は、こもれび堂にいます。ここは、お寺の遊休スペースだった場所を小学生が集まれる場所にしたいと思って、YATOの拠点づくりを行ってきました。ほら、こうしてランドセルが掛かっていたり。昨年から続くコロナ禍で、なかなか思うようには拠点を開けていません。でも、ワークショップの会場としてこどもたちと使ったりして、少しずつこの場所の使い方、拠点の在り方みたいなところを掴みはじめている感じがします」

YATO事務局のみなさん。写真上段真ん中から、紘良さん、荒生さん、ん? お鍋……? 、宮崎さん、安永さん。
この日、遠隔参加だった安永さんは、Zoomの背景画面にYATOの活動エリアが映る航空写真をセット。「さっき荒生さんが居たのはこの辺り、宮崎さんはこの辺りでしたね。こもれび堂はここにあります」と、お天気お兄さんさながらの画面使いで紹介してくれました。

続いて、YATOの祭りのイメージを『YATOの縁日2019』の映像や今年実施した『YATOの縁日2021』の記録写真を共有しながら、コロナ以前と以後のYATOの活動の変化について共有。

『YATOの縁日』では、川村亘平斎さんが地域の伝説からイメージを膨らませて制作した影絵芝居を上演します。その影絵芝居には、こどもたちと一緒に制作した影絵人形が登場し、2019年までは人形の使い手としてこどもたち自身が上演にも参加していました。「今では考えられないくらい『密』な状態ですね。でも、これが日常だったわけですよね」と安永さん。

2020年は、コロナ禍においてYATOってどうあるべきなのか? 500年続く祭りの意味って何?など、改めて自分たちの活動をYATOコアメンバーたちと話し合いました。2020年は「セレモニー」としての祭りの在り方を模索しよう。どんな状況下であっても活動を続けていくための方法を探ろうと、こどもたちがつくった影絵人形を使って、川村さんが1人で影絵芝居を演じ、それをYouTubeライブ配信しました。

▶︎『YATOの縁日2020』の詳細はこちら

「コロナ禍の状況下であっても活動を途切れさせない、続けていくんだという意思表明としてもオンラインで実施できて良かったです。でもやっぱり、こどもたちの歓声が聞こえない中での上演は寂しいものがありました。だから、今年こそはこどもたちと一緒に上演したいという気持ちでした」と安永さんは言います。

しかし、2021年の開催直前、緊急事態宣言の発令や感染拡大がまだまだ収まらない状況が続き、「YATOの縁日2021」も現地にこどもたちが集わない方法を取ることに。そんな中、紘良さんから一つ提案が出されました。「当日、こどもたちの声を聴きたい。いま、どんな気持ちでいるのか、こどもたちの話を聴く時間を持ちたいです」と。

こどもたちの声を聴く

その日の様子、流れていた空気を、ジムジム会に参加する他の共催団体のみなさんにも体感してもらいたいと、当日、こどもたちとZoomで話をした記録映像をまずは見てもらいました。

「ワークショップができて良かったけど、影絵人形をみんなで動かすことができなくて残念だった」「その場で見たかったけど、行けなくて残念でした」というこどもたちの声。

「親としても現地で参加させてあげたい気持ちだった。でも、こうしてこどもたちのことを考えてくれる大人が近くにいることはありがたいです。また、来年も参加したいという気持ちになります」と親御さんの声も。

映像を見終わった後、現場立ち会いでまさにこの様子を目の当たりにしていた私は、改めて当日の少しヒリヒリとした空気を思い出しながら、紘良さんと対話を重ねました。

(嘉原)改めて、あの日のことを思い出しました。こどもたちの声に、現場にいる大人たち全員が耳を傾けている姿は、とても印象的でした。

(紘良)当日、現地にこどもたちが集わない方法をとることを決めたとき、どうすればこどもたちの参加しているという実感を生み出せるのか?と考えて、『こどもたちの声を聴く』時間を持ちました。いま、彼らが何を感じ、思っているのか、その気持ちを受け取っていきたいと思って。祭りって、本来は、その場にいる人が主体的になれる場なはず。コロナ禍でオンライン開催でとなったときに、主体がどんどん大人に寄っていっている感覚があるんです。

(嘉原)影絵芝居の公演の前に、こどもたちと話す時間を設けたのはどうしてだったのですか?

(紘良)こどもたちの声を聴いて、大人たちに「変化」を多少なりとも与えてほしかったんです。祭りは誰もが主体的になれる場と言いましたが、主体って、自ら変化したり、他の誰かに変化を与えられるということだと思うんです。だから、今回は遠隔だったけど、間接的にでも影響しあえる関係性を生み出したかったという気持ちがありましたね。

あなたのアートプロジェクトにとって一番大切な存在は誰ですか?

YATOの実践共有を終えて、改めて、ジムジム会参加メンバーにこの問いを投げかけました。「自分たちにとって大切な関わり手とは誰なのか?彼らとどのように関わってきているのか、また、関わっていきたいのかを改めて解きほぐしながら、プロジェクトの新たな関わりの設計(デザインやアイデアの種)を考えていきたいです」。

共催団体ごとにブレイクアウトルームに分かれてディスカッションを行い、それぞれのチームで語られた内容を共有してもらいました。その中からいくつかご紹介します。

アートアクセスあだち 音まち千住の縁の長尾さん。関わり手の市民参加者のことを「音まちを足場に誰かとつながったり、自身の活動(の輪)を広げる存在」だと言います。また、仲町の家という拠点をきっかけとして生まれる関わりしろも大切にしているそう。

HAPPY TURN/神津島の飯島さんは、プロジェクトの関わり手を整理しながら説明してくれました。島の人、移住者、大人とこども、その真ん中に「くると」という拠点があることからも、拠点を通して関わり手との関係を育んでいる様子が伝わってきます。

ファンタジア!ファンタジア!ー生き方がかたちになったまちー(以下、ファンファン)の遠藤さんと磯野さん、YATOの荒生さんもディスカッションに参加。

ファンファンでは、各プログラム毎に関わり手が異なっているため、「別々にファンファンしている人を混ぜる」ことに今後取り組んでみたいとのこと。どういう仕組みが生まれていくのか楽しみです。

移動する中心|GAYAの水野さんは、大切な関わり手は「サンデー・インタビュアーズ」の活動メンバーだと言います。彼らは、「私たちは今、どんな時代を生きているのか?」という問いを対話やインタビューを通して、探求する人たち。誰かの話を聞くことが多い中、今年は、「サンデー・インタビュアーズが自分自身のことを聞く」ことを行ったのだそう。「一人ひとりの参加者の動機を持ち寄ってもらえる仕掛けやプラットフォームをつくりたいです」と水野さん。

各共催団体のディスカッションの共有を聞きながら、関わり手という「人」を通して、それぞれのアートプロジェクトが大切にしていること、育もうとしている関係性について垣間見ることができました。

いろんな人を巻き込み、巻き込まれていく「餅つき」

実は、今回のジムジム会の裏側では、YATOチームが「お餅つき」も同時進行で行っていました。冒頭の「ん?お鍋…?」の正体はお餅を蒸していたところでした!「YATOの縁日」「YATOの年の瀬」など、YATOの活動には、お餅つきが欠かせません。「餅つきって、いろいろな人が巻き込み、巻き込まれていくところがあって、祭りの原点につながっているように思うんです」と紘良さん。

お餅が完成し画面に映し出されると、拍手と「わ〜!美味しそう〜!」と歓声が上がり、この日のジムジム会は終了となりました。

餅米をぺったん、ぺったんと繰り返しつくことで、伸びやかで弾力のある美味しいお餅ができあがる。それはまるで、人と人との関係性を一歩一歩築き上げていくことにもつながるな、と餅つきの様子を眺めながら改めて思いました。

参加者の声

  • プログラムごとにこんな人に届くといいという話はしますが、改めてプロジェクトとして誰を一番大切にしているのかを言葉にしようとするととても難しかったです。
  • 今日話をする中で、地域性について触れたシーンがありましたが、改めて東京という場所と通りすぎる人々との関わりをポジティブに考えることができたのが個人的によかったです。
  • プロジェクトがふだん試行錯誤しているなかから、大事にしていることをあらためて言葉にする機会になりました。ありがとうございました!(餅つきはいいですよね!)
  • 一緒に中から関わってもらう人を育てていくという関係性が重要なのかなと思った。YATOの中でいえば、祭りに遊びに行くだけでなく演者として参加するという、レイヤーの違う関係性があること。
  • YATOのみなさんの、コロナ禍で今まで通りの活動ができない中、関わる子どもを大切な存在として尊重している姿が印象的でした。

執筆:嘉原妙(東京アートポイント計画 プログラムオフィサー)

※ジムジム会についての情報は東京アートポイント計画のnoteアカウントでもお読みいただけます。

相手から見たときの指文字/自分から見たときの指文字

視覚身体言語である手話の基礎を学び、体感するのみならず、ろう文化やろう者とのコミュニケーションについて考えるレクチャープログラム「アートプロジェクトの担い手のための手話講座」。

この指文字一覧表は、基礎編として公開している映像プログラムに続き、手話の学習や、ろう文化を身近に感じるための資料として制作されました。「相手から見たときの指文字(読み取り用)」と「自分から見たときの指文字」の2種類。好きな方をお使いいただけるほか、両面に印刷してその場その時に応じて使い分けることもできます(A4印刷推奨)。

ACKT(アクト/アートセンタークニタチ)

まちを舞台に編まれる芸術と文化

国立市文化芸術推進基本計画が掲げる「文化と芸術が香るまちくにたち」の実現に向け、行政と市民、市内外の人々が交流し、新たなまちの価値を生み出していくプロジェクト。アートやデザインの視点を取り入れた拠点づくりやプログラムを通じて、国立市や多摩地域にある潜在的な社会課題にアプローチする。

実績

多様な人々との出会いを通じて、まちとともに成長するプラットフォームをつくるために、国立近郊を拠点とするメンバーが中心となり活動を開始。2021年度は、名古屋や大阪など先行事例をリサーチし、文化芸術活動の担い手や活動の生まれ方、その仕組みについてレポートを公開した。その後も、アートプロジェクトについて考える場として映画『ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへ』の上映会と意見交換会を行い、地域に向けた広報の工夫や、さまざまな立場を巻き込むプロジェクトの可能性について語り合うなど、リサーチを続けている。

市内での遊休地を活用するプロジェクト「遊◯地(ゆうえんち)」では、まちのなかで当たり前になった風景、使われていない場所などをまちの余白(◯)と見立て、その場所のもともとの機能とは異なるアプローチから場をひらくことにより、新しい光景や交流を生み出すことを目指している。2022年3月には、パイロット企画としてアーティストのmi-ri meter(ミリメーター)とともに『URBANING_U ONLINE』をJR中央線の高架下空間で開催。普段は閉じている工事用フェンスを取り払い、臨時スタジオとして巨大なテントを設置した。

2022年度にはそれらの経験を活かして、普段なら見逃してしまいそうなまちの隙間にランドマークとなるテントを設置する「・と -TENTO-」を実施。国立駅から続く大通りの緑地帯「大学通り」を会場とし、巨大な地図などを用いながら市内のおもしろい取り組みや、気になっている遊休地、国立の歴史についてヒアリングしたりと、道行く人々とやりとりを交わした。2023年度からはアトリエやギャラリー、店舗を巡ってまちを横断するプログラム「Kunitachi Art Center」を主催。公開制作やまち歩きツアーなども実施し、日常のなかで芸術文化に触れる機会をひらいた。2024年度には国分寺市からの後援や、立川市と多摩信用金庫からの協力を受け、広報エリアを拡大したほか、さまざまなスペースをめぐるスタンプラリーを実施するなど、活動がまちに浸透している。

2024年度には、DIT(Do it together:「みんなで一緒につくる」という意味)を進めてきた拠点「さえき洋品●(てん)」を本格的にオープン。お金を介さず地域とつながる企画を一般公募する「ただの店」を実施し、出店メンバー7組が企画を持ち寄り、レコードなどを持ち寄って音楽を再生して語り合う会や、洋裁の相談会など、新たなかかわりが生まれはじめている。さらに拠点のそばにある谷保駅南口緑地の使い方を市民とともに考える「GREEN GREETINGS」を開始し、月に1度ほど、ガーデナーと植栽の手入れをしながら緑地の活用について話し合い、参加者同士が交流を続けている。そのほか、公式メールニュース、フリーペーパー「〇ZINE(エンジン)」の刊行など、定期的な情報発信を行っている。

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多摩の未来の地勢図 Cleaving Art Meeting

一人ひとりが自分の暮らす足元を見つめ直す

多摩地域の文化的、歴史的特性を踏まえ、その「地勢」を探ることを通して、一人ひとりが自分の暮らす足元を見つめ直すプロジェクト。2011年〜2020年度に東京アートポイント計画と共催したNPO法人アートフル・アクションがその経験とネットワークを生かし、小学校などの教育機関や福祉施設で働く人たち、地域で暮らす人たちとの実践の場づくりを行う。それによって個々人の抱える切実な社会課題に向き合うために人々が協働するネットワークの基盤づくりを進めている。

実績

多摩の未来の地勢図では、「ざいしらべ 図工―技術と素材について考える」「ゆずりはをたずねてみる―社会的養護に関わる人たちとともに」「多摩の未来の地勢図をともに描く」の3つのプログラムを主に行っている。

「ざいしらべ」では、多摩地域の小学校の図工専科教員を対象に、大きな木の根や竹、紅花など個人では手に入れにくい自然素材や大型素材を提供し、伝統的な技術や技法、ICTに関するワークショップなどを通じて、授業での表現や造形の拡張を促すきっかけをつくっている。2021年度には、本プログラムで培ってきた素材や道具を保管するための収蔵庫を東村山市立南台小学校に設置。さらに、多摩地区図画工作研究会とも連携し、技術が持つ広がりや役割、歴史的な背景についても知見を深めている。2023年度には14校と連携し、竹や広葉樹といった素材、布の染めや筆づくりの技法に触れる授業を実施したほか、アーティスト・五十嵐靖晃が奥多摩町立氷川小学校に滞在し、こどもや住民と交流しながら作品制作を行った。2024年度は、小学校を地域にひらく試みとして奥多摩町立氷川小学校の総合学習の授業において、造形作家・下中菜穂とともに獅子舞などの文化や自然を調べ、こどもたちが地域の歴史や慣習についての理解を深め、発表するプログラムに取り組んだ。また、昭島市立光華小学校では、アーティスト・弓指寛治が約1か月半滞在し、地域のリサーチやこどもたちとのかかわりから作品づくりを実施。そして、こうした取り組みをもとに関係者などへのインタビューを行い、冊子にまとめ多摩地域の教育機関への配布も行った。

「ゆずりはをたずねてみる」では、困難を抱えたこどもたちと向き合い、日々の業務に多忙な支援者のケアに取り組んでいる。社会福祉法人二葉むさしが丘学園のグループホームのスタッフを中心に、音楽やダンス、こころと体をほぐすためのエクササイズを通して、肩から力を抜き、隣り合う人々とゆるやかに出会い、日々を重ねる場づくりを実施。2021年度からは出張ワークショップを重ね、施設間の交流プログラム構築の可能性を探り、2023年度には「演劇を通して“ケア”を考える連続ワークショップ」へとプログラムを拡張。2024年度はその継続企画として、アートのもつ創造性や身体性からケアする・されることへの根源的な問いを探求する連続ワークショップや対話の場をひらいた。

「多摩の未来の地勢図をともに描く」は、多摩地域の文化的、歴史的特性などをふまえ、いま自分が住んでいる足元を見つめ直し、現代の暮らしや社会課題に向き合うための方法を模索する連続ワークショップ。2021年度は「辺境としての東京を外から見る」をテーマに、フィールドワークと水俣、ハンセン病に関するレクチャーを開催した。2022年度は「あわいを歩く」をテーマに、参加者が実際にフィールドを歩き、考えることで議論を深めていくワークショップを行った。2023年度には「多摩の未来の地勢図をともに描く2023 ーre.* 生きることの表現」として、「シャトー2F(にーえふ)」を作業場としてひらき、ゲストを招いたワークショップや、映画の上映会など自主企画を実施した。ほかにも、暮らしのなかでの小さな問いをもちよる「たましらべ」では、スタッフや各プログラムの参加者が定期的に集まったり、大学の研究機関に訪問するなど、考えを深める場をひらいている。

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アートアクセスあだち 音まち千住の縁

「縁(えん)」を育み、つないでゆく

足立区制80周年記念事業をきっかけにはじまったアートプロジェクト、通称「音まち」。人とのつながりが希薄な現代社会において、アートを通じて新たな「縁(えん)」を生み出すことを目指している。下町情緒の残る足立区千住地域を中心に、市民やアーティスト、東京藝術大学の学生たちが協働して「音」をテーマとしたプログラムを複数実施している。

実績

2011年度、音まちのプログラムのひとつとして、無数のシャボン玉でまちの風景を変貌させる「Memorial Rebirth 千住」(通称、メモリバ)が千住の「いろは通り商店街」からはじまった。現代美術作家の大巻伸嗣のみならず、事務局スタッフや市民、足立区職員や東京藝術大学の学生たちが一丸となって共創するメモリバは、それ以降も毎年会場を変え、かかわり手を広げながら区内各所で実施している。現在ではメモリバを軸に多くの市民メンバーが立ち上がり、シャボン玉マシンを扱うテクニカルチーム「大巻電機 K.K.」や、オリジナルソング「しゃボンおどりの歌」を演奏や踊りで彩る「メモリバ音楽隊」や「ティーンズ楽団」など、メモリバ本番には100名を越えるスタッフが集まることも。音まちが目指す、現代における新たな「縁」が広がり続けている。

音まちではほかにも、作曲家の野村誠を中心にだじゃれをきっかけとした新たな作曲方法を開発・演奏する「千住だじゃれ音楽祭」や、日本に暮らす外国ルーツの人々の文化を知る「イミグレーション・ミュージアム・東京」など、それぞれのプログラムでアーティストと市民チームによる自主的な活動が続いている。2018年には、戦前に建てられた日本家屋を文化サロン「仲町の家(なかちょうのいえ)」としてひらき、近隣住民や観光客、学生、アーティスト、クリエイター、事務局メンバーたちが交流する場が生まれた。

2021年度には、音まち10年間の活動で育まれた「縁」の集大成ともいえる「千住・人情芸術祭」を開催。これまでも音まちで活躍してきた2人のアーティスト、友政麻理子とアサダワタルによる作品発表に加え、プロアマ問わず市民から出演者を公募した「1DAYパフォーマンス表現街」を企画。音まちの各プログラムを担う市民メンバーや、仲町の家の常連さん、足立区内外で活動する初参加者まで、約50組のパフォーマーが集結し、めいめいの表現を繰り広げた。

東京アートポイント計画との共催終了後も、NPOと足立区、東京藝術大学との共催は続き、まちなかでのアートプロジェクトを通じた「縁」づくりに取り組み続けている。
2024年度は区市町村連携のモデル事業として「Memorial Rebirth 千住」を共催で実施。2020年にコロナ禍により中止となった大規模開催の調整を続け、念願の都立舎人公園での開催にこぎつけた。東京都交通局とのコラボキャンペーンでは、オリジナルの記念品抽選企画や、都営地下鉄全駅及び日暮里・舎人ライナー各駅でのポスター掲出、チカッ都ビジョンでのPR映像放映なども行った。また、市民スタッフ主導の小さなメモリバ「ふわり◎シャボン玉」や、衣装づくりや踊り手・歌い手として参加するためのワークショップ「メモリバ学校」などを通じて、本番に向けた機運を醸成した。12月の本番当日には数多くのバリエーション豊かな屋台が出店。昼の部ではオリジナルの盆踊り「しゃボンおどり」を来場者と輪になって踊り、夜の部ではゲストアーティストのコラボレーションによって、暗闇に一夜限りの幻想的な光と音、そして身体の揺らぐ圧倒的な空間を立ち上げた。

※ 共催団体は下記の通り変遷

  • 2011~2013年度:東京藝術大学音楽学部、特定非営利活動法人やるネ、足立区
  • 2014~2015年度:東京藝術大学音楽学部、特定非営利活動法人音まち計画、足立区
  • 2016年度~:東京藝術大学音楽学部・大学院国際芸術創造研究科、特定非営利活動法人音まち計画、足立区

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2018年度 アートアクセスあだち 音まち千住の縁(ロングバージョン)

メディア/レターの届け方 2021→2022

多種多様なドキュメントブックの「届け方」をデザインする

アートプロジェクトの現場では、さまざまなかたちの報告書やドキュメントブックが発行されています。ただし、それらの発行物は、書店販売などの一般流通に乗らないものも多いため、制作だけでなく「届ける」ところまでを設計することが必要です。

多種多様な形態で、それぞれ異なる目的をもつドキュメントブックを、どのように届ければ手に取ってくれたり、効果的に活用したりしてもらえるのか? 資料の流通に適したデザインとは何か? 東京アートポイント計画では、川村格夫さん(デザイナー)とともに各年度に発行した成果物をまとめ、その届け方をデザインするプロジェクトを行っています。受け取る人のことを想像しながら、パッケージデザインや同封するレターを開発します。

2021年度は成果物をひと箱に詰め、各冊子に掲載しているアートプロジェクトの現場で生まれた「ことば」を印刷したテープで留めています。

Art Archive Online(AAO)クロストーク

当事者とともに振り返るアートプロジェクトのアーカイブ化の10年

Tokyo Art Research Lab(TARL)では、アート分野における調査・研究に取り組むNPO法人アート&ソサイエティ研究センターと、さまざまなアートプロジェクトの資料を収集するアーカイブセンターを共同で運営しており、2020年度に10年の節目を迎えます。この10年間に「プロジェクト型アートをいかにアーカイブしていくか」という当初からの課題は、テクノロジーの発展や表現の多様化に伴ってますます深まっています。

加えて、新型コロナウイルスの感染拡大状況下で各活動の一時中止が相次ぎ、プロジェクト存続の危機感の高まりとともに、アーカイブの重要性に再度注目が集まりました。2020年度には、その観点に基づきオンラインで動画を配信する「アート・アーカイブ・オンライン(AAO)」を実施しています。

今回は、アーカイブに関する過去の企画に参加いただいた方々をゲストに招き、これまでの10年間を振り返るクロストークを配信します。ゲストは、川俣正さん(アーティスト)、日比野克彦さん(アーティスト)、田口智子さん(東京藝術大学芸術資源保存修復研究センター特任研究員)、小田井真美さん(さっぽろ天神山アートスタジオAIRディレクター)、石井瑞穂さん(アートプロデューサー)、志村春海さん(Reborn-Art Festival 事務局スタッフ)、秋山伸さん(グラフィック・デザイナー)です。次の10年に向けて、アートの現場におけるアーカイブ活動の可能性をともに考えます。

詳細

スケジュール

12月22日(水)
第0回 川俣正特別インタビュー

12月2日(木)
第1回 プロジェクトとしてアーカイブする/される 「日比野克彦を保存する」から見えてきたこと

1月20日(木)
第2回 アーカイブの「ことはじめ」と「つみかさね」 アートプロジェクトの現場で試みてきたこと

1月27日(木)
第3回 アーカイブをひらく エディション・ノルト:川俣正との協働とアート・ブック・アーカイヴ

関連サイト

Art Archive Online(AAO)クロストークYouTubeページ

【ラッコルタ -創造素材ラボ-】地域企業の”端材”を”教材”に変える仕組みづくり、はじめました

東京アートポイント計画の共催事業 Artist Collective Fuchu[ACF]で今年から始動した「ラッコルタ -創造素材ラボ- 」の取り組みやワークショップの内容について、ポイントに分けてご紹介していきます。

「手を動かして何か作ってみたい」「アーティストと話してみたい」「ふだん何気なく触れているモノから、日常を捉え直してみたい」など、興味を持っていただいた方の参加をお待ちしております。

①「ラッコルタ -創造素材ラボ- 」
地域企業の“端材”を“教材”に転用する仕組みづくり

Artist Collective Fuchu[ACF]は、府中市を中心にアートプロジェクトを続けてきました。

府中市を見渡してみると、そこにはさまざまな中小企業の工場があることに改めて気づきます。
「地域企業で出る“端材”、それをアートや教育現場の“教材”として活用できないか?」
と、ACFメンバーが思うことから「ラッコルタ -創造素材ラボ- 」がはじまりました。

長年府中市に住む生活者として、地域とアートをつなげてきたACFメンバーだからこそ見えてきた地域資源と言えます。

地域のアートNPO団体ACFが運営を担うことによって、今まで培ってきたネットワークを活かし、府中市の企業と公的・私的な場や人を繋げながら、創造と発想についての学びの機会を増やしていくことを目指します。

②どなたでも参加可能!
第1弾ワークショップ「暮らしの彫刻」

今回のオンラインワークショップではダンボールのパーツを使って、アーティストと一緒にいつもの自宅の景色を、いつもと違った視点で見つめ直す「暮らしの彫刻」をつくります。

事前にワークショップの素材と説明書をお送りし、当日はご自宅よりオンラインでご参加いただきます。

■ワークショップの流れ
1. つくる
アーティストの三木さんと交流をしながら、素材を使ってカタチ(暮らしの彫刻)をつくります(1時間程度)。ダンボールのパーツを原子やDNAに見立て、加えたり削ぎ落としたりしながら、それぞれの物質/生命体のカタチを立ち上げます。

2. みせる

家の中にカタチを置き写真を撮る場所を探します。設置したら、みんなで見せ合って話しましょう。

ワークショップ講師には、美術家の三木麻郁さん。
文学、数学、天文学、音楽などの領域を行き来した作品制作を行なっています。そして大人や子供たちに向けていつもの景色から新しい〈色〉を見つける目を養う「Porque ART(ポルケアート)」を主宰。今回の素材選びから関わり、ワークショップを考案していただきました。

創造素材の提供は、株式会社TOKIO Labさん。
2016 年に東京都府中市に設立され「小型ポンプ」という部品を長年販売してきました。今回は、ポンプを輸送する際のダンボールの梱包材を提供いただきました。

ラッコルタ紹介動画も、ぜひご覧ください

「暮らしの彫刻」オンラインワークショップ概要
日時|2021年12月5日(日)
午前の部 (10:00 – 12:00) 、午後の部 (14:00 – 16:00)
場所|オンライン ※Zoomを利用予定。
講師|三木麻郁(美術家)
対象|どなたでも参加いただけます ※親子でご参加もいただけます
定員|各回 10名 ※先着順
参加費|無料
申込方法申込フォームに必要事項を入力の上、送信してください。
申込締切2021年11月30日(火)17:00まで ※お申込は終了いたしました

詳細は、ACF公式ウェブサイトをご覧ください

③それぞれが作ったものを見られる、成果展覧会も開催します

ワークショップ参加者の制作物の写真は、翌日から行われる成果展覧会でも公開します。講師の三木麻郁さんの作品と一緒に、ご覧いただけます。

またワークショップの内容を、追体験できるようなブースも設置予定。会場でできた制作物も写真として展示することが可能です。
いろんなカタチがあふれる空間に、ぜひお越しください。

■「暮らしの彫刻」成果展覧会
会期|2021年12月6日(月)〜12月19日(日) 11:00 – 17:00
会場とりときハウス ギャラリー  東京都府中市宮西町4丁目13番地の4

展覧会はどなたでも参加いただけます。ぜひお越しください。

▼資料は、こちらからダウンロードできます

「ラッコルタ -創造素材ラボ- 」を特集したACFかわら版「かみひこうき 」

「ラッコルタ -創造素材ラボ- 」DM

アートプロジェクトの現場から外国ルーツの若者の支援について考える

これから求められる外国ルーツの若者に対する支援や仕組みづくりを考える

日本では、多くの在留外国人や外国にルーツをもつ人々が生活しています。なかでも親に連れられて日本にやってきた若者たちが、コミュニティや縁から切り離されずに学んだり、居場所をもったりするには、どうしたらいいでしょうか。

ナビゲーターは、高校生の中退予防やキャリア支援など、外国ルーツの若者たちの可能性を広げるために多角的な活動を行ってきた海老原周子(一般社団法人kuriya代表、通訳)です。その活動は、ワークショップなどだけでなく、定時制高校の設立や、かれらの生きた声を国に届けるための政策提言へとフェーズを変えています。

今回は、kuriyaと縁の深い4名のゲストの活動を紹介しながら、外国ルーツの若者を取り巻く現状や課題を紐解きます。ゲストは、三富章恵さん(NPO法人アーツセンターあきた 事務局長)、香港アートセンターで移民の若者対象の映像ワークショップをソーシャルワーカーとともに行っているTo Yee-lok Tobeさん(マネージャー)、kuriyaユーススタッフのAvinash Ghaleさん(デザイナー/プログラマー)、Okui Lalaさん(ヴィジュアルアーティスト/カルチャーワーカー)です。

また、これまでの活動をまとめた著作『外国ルーツの若者と歩んだ10年』(アーツカウンシル東京、2020年)を参照しながら、これからの社会で必要とされる支援や活動のあり方と、アートプロジェクトの可能性や限界について探ります。

詳細

スケジュール

11月26日(金)20:00〜21:30
第1回 アートプロジェクトの現場から見えてきた状況と課題

ゲスト:三富章恵(NPO法人アーツセンターあきた 事務局長)

  • 多文化共生を目指したアートプロジェクトの実践について
  • アートプロジェクトを通して見えてきた課題やさまざまな障壁

12月10日(金)20:00〜21:30
第2回 アートプロジェクトの可能性とその限界

ゲスト:To Yee-lok Tobe(マネージャー)

  • アートプロジェクトの現場で直面した課題とどのように向き合い、動いてきたのか
  • 香港アートセンターの取り組みから得た課題解決へのヒント

12月24日(金)20:00〜21:30
第3回 社会包摂の学びの場~担い手を育てる~

ゲスト: Avinash Ghale(デザイナー/プログラマー)

  • 当事者にとって何が必要とされているのか(アートは必要なのか?)
  • アートプロジェクトの経験を通して得たこと
  • 外国ルーツの若者たちのための活動において、今後求められる担い手

1月28日(金)20:00〜21:30
第4回 アーティストとともにつくる

ゲスト:Okui Lala(ヴィジュアルアーティスト/カルチャーワーカー)

  • アーティストとともに展開したアートプロジェクト
  • 外国ルーツの若者たちとの活動における、アーティストのかかわり方について

2月25日(金)20:00〜21:30
第5回 政策提言からアートプロジェクトの現場へ

  • 現場から見えてきた課題と制度的な壁
  • 政策提言の取り組み
  • アートプロジェクトだからできること
  • これまでの対話を振り返りつつ、これから求められる活動、アプローチ、仕組みづくりを考える
    ※第2〜4回は、英語で実施し、日本語字幕付き動画(約90分)を配信

参加費

一般 5,000円/学生3,500円

関連サイト

東京プロジェクトスタディウェブサイト