共通: 年度: 2024
Artpoint Meeting 2024
社会とアートの関係性を探るトークイベント
「まち」をフィールドに、人々の営みに寄り添い、アートを介して問いを提示するアートプロジェクトを紐解き、最新のテーマを追求するトークイベント。アートプロジェクトに関心を寄せる人々が集い、社会とアートの関係性を探り、新たな「ことば」を紡ぎます。
詳細
スケジュール
2024年12月14日開催
Artpoint Meeting #15 × 港区文化芸術ネットワーク会議 プロジェクトを広げる、“かかわりしろ”のつくりかた
- ゲスト:中川佳洋、狭間明日実、松浦千恵
- 会場:港区立男女平等参画センターリーブラ リーブラホール
2025年1月25日開催
Artpoint Meeting #16 オンラインをつかう、“伝えかた”と“残しかた”
- 登壇:萩原俊矢、莇貴彦、明貫紘子
- 形式:YouTubeでのライブ配信(2025年3月下旬までアーカイブ公開、3月下旬からはテキストレポートを公開)
Artpoint Meeting #15 × 港区文化芸術ネットワーク会議 「プロジェクトを広げる、“かかわりしろ”のつくりかた」
さまざまな人たちが集まり、地域の日常のなかで文化活動を育んでいくアートプロジェクト。それはアートを通じて地域に暮らす人々の関係を編み直し、生活の多様な分野をつなげていくものとなります。その特性を活かすためには「かかわりしろ」づくりが欠かせません。
かかわりしろとは、活動や場にかかわるための「のりしろ」のこと。活動に関心をもつ人たちが、自分なりのやりかたでかかわるための余白をもつことです。多様なかかわりしろがあることで、世代や背景の異なる人たちが混じり合った場が生まれ、その場にかかわったひとたちにとっての居場所になっていくことでしょう。
プロジェクトに自分事(じぶんごと)としてかかわり、活動を続けていくために必要なかかわりしろを、どうつくっていくのか? 今回は水戸と京都からゲストを招き、ふたつの場づくりの事例をもとに、ことばを紡ぎます。
お申し込みはこちら
※事前申込を終了いたしました。先着順で当日参加を受け付けますので、ご希望の方は直接会場にお越しください。(2024.12.13更新)
詳細
プログラム
15:00~15:20 オープニング
「地域のかかわりづくりを支える仕組み
―東京アートポイント計画と港区の文化芸術活動支援」
- 話し手:宮﨑刀史紀(Kissポート財団 文化芸術部長)、佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)
15:20~16:00 トークセッション1
「居場所であること、そこから広がったこと―高校生ウィークの取り組み」
- 話し手:中川佳洋(水戸芸術館現代美術センター 教育プログラムコーディネーター)
- 聞き手:田中真実(認定NPO法人STスポット横浜 副理事長・事務局長/港区文化芸術活動サポート事業調査員)
16:00~16:10 休憩
16:10~16:50 トークセッション2
「ばらばらだけど、ともにいる場をつくる―バザールカフェの取り組み」
- 話し手:狭間明日実、松浦千恵(バザールカフェ)
- 聞き手:川満ニキアン(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)
16:50~17:30 ディスカッション
- モデレーター:佐藤李青
17:30~17:40 クロージング
17:40~18:00 交流時間
会場
港区立男女平等参画センターリーブラ リーブラホール
(東京都港区芝浦1-16-1 みなとパーク芝浦1F)
JR「田町駅」東口(芝浦口) ペデストリアンデッキ 徒歩5分
都営地下鉄浅草線・三田線「三田駅」A6出口 徒歩6分
https://www.minatolibra.jp/access/
参加費
無料 ※手話通訳あり・UDトークあり
主催
東京都、港区、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団(Kissポート財団)
※ プログラムは変更になる場合があります。
事例紹介
高校生ウィーク
高校生のための展覧会無料招待企画として1993年にはじまった「高校生ウィーク」。2004年からは展覧会と連動したさまざまなプログラムが行われる無料の「カフェ」をギャラリー内に設置し、その運営にも若い世代が参加する。現在は対象を多世代にひらき、常設・特設のワークショップ、読書や裁縫、市民主体の部活動への参加を通して若い世代がアーティストや来館者、ボランティアなど多様な人や価値観に出会う機会を提供している。

(撮影:仲田絵美)
バザールカフェ
日本基督教団京都教区とアーティスト、市民運動家、大学教員、宣教師、牧師などで構成される共同プロジェクトとして1998年にはじまる。セクシュアリティ、年齢、国籍など、異なった現実に生きている人々が、社会のなかで「共に生きる」ことのできる場の創出を目指している。カフェ運営や庭づくりを通して働く場を提供することや、社会で起こっている課題や情報提供、活動団体間のネットワークづくりの場になること、訪れるひとの居場所になることを心がけている。

宮崎刀史紀
松浦千恵
狭間明日実
中川佳洋
福島愛未
“実感”が身体を解きほぐす|柔らかなモデルをつくる(3)
アーツカウンシル東京による「東京アートポイント計画」では、近年、手話やろう文化、視覚身体言語などを中心に「アクセシビリティ」や「情報保障」について考え、実践してきました。これまでの取り組みを振り返ったとき、その共通項として見えてきたのは、唯一無二のフォーマットを追求するのではなく、可変的に試行錯誤を続ける姿勢です。
本シリーズ「柔らかなモデルをつくる」では、「東京アートポイント計画」のスタッフが「アクセシビリティ」や「情報保障」について考え、実践してきた企画・制作プロセスを紹介し、noteでの連載を通じて“柔らかなモデル”について考えていきます。
今回紹介するのは、インキュベーション事業「Tokyo Art Research Lab(TARL)」の一環として実施していた「アートプロジェクトの担い手のための手話講座」です。
アートプロジェクトの担い手のための手話講座
言語としての手話だけでなく、ろう者と聴者の感覚の違いや「ろう文化」について学ぶ「アートプロジェクトの担い手のための手話講座」は、2020年度から2023年度にかけて開催した人気シリーズです。
この講座では、手話やろう文化を知り、実際に体を動かしながら発話に頼らないコミュニケーションの姿勢を身につけることを目指しています。企画の詳細は、『まず、話してみる。』の座談会でも紹介しているので、ぜひご覧ください。
異なりを知るための助走
情報保障やアクセシビリティを考えるとき、この講座はスタッフにとっても「他者とのコミュニケーション」の姿勢を振り返る起点になっていました。
ろう者の方々とやり取りをするために、一つひとつの単語や文法を学ぶ、あるいは設備や道具を整えることも重要です。しかし、時には自分の知らない表現に出会ったり、あるいは相手に伝わっていないと感じたりすることもあります。

伝えようとして、相手とずれてしまうのは当たり前のことです。ずれていると気づいたときに指差しとか、表情など表現を工夫してみるのが大切です。
河合祐三子(講師)
また受け手は、相手の手だけではなく、表情、身体全体の動きをみてください。たとえばマグカップの渡し方一つとっても、小指をたてて渡すのと、雑に渡すのでも印象が違いますよね。それも情報になる。指の形によっても違うでしょう。カップといってもいろんな種類があります。
「ろう者の感覚を知る、手話を体験する。」レポートより(執筆 : 木村和博)
相手が何を見ているのか、何を伝えようとしているのかを、思い込みを取り払って受け取ろうとしてみる。そのためには、さまざまな人と人との間には、感覚や文化の異なりがあることを「知る」ことが大切です。

うーん、と考えているときは、「ちょっと待ってください。今、考えています」ということも示すのが良いです。そうした反応がないと、ろう者は、相手が考えている状態なのか、それともわからない状態なのか、どっちなのだろうと心配になるんですね。自分の状態も相手にはっきりと伝える、それも大切なポイントです。
河合祐三子(講師)
「手話と出会う。」レポートより(執筆 : 嘉原妙)
自分の感覚だけに頼らず、相手の状況を想像する。その上で、どのようにコミュニケーションを「はじめる」のか、そして「続ける」のか。
一度ではなかなか習慣にできないことなので、何度も繰り返し実践したり、日常生活の中で思い出す機会をつくる必要があります。この講座は、講師と生徒の関係というよりは、1人の人間同士としてコミュニケーションを重ねることで、講座で得た感覚のまま日々の暮らしに戻る「助走」のような時間だったようにも感じました。
企画を通じて、スタッフが学ぶ
4年にわたり開催された本シリーズは、運営チームも入れ替わりながら担当しています。ときには講座担当ではないスタッフも加わり、実際に身体を動かしながら仕事や日常への「助走」をつけていたのだと振り返ります。
同時に、各回のレポートを担当していたライターの方々、講座に来ていただいたゲストの方々にとっても学びの場になっていました。

ろう者と聴者のコミュニケーションの違いやそれによるズレは、日々、身近なところで起こっているのだろう。もし、私がカフェの定員で、ろう者の方と出会ったら、どのようにコミュニケーションしようとするだろうか。きっとほかの参加者も、それぞれのなかで考えを巡らせていたはずだ。
柏木ゆか(ライター)
今回のワークショップを通して、ろう者と聴者の感覚や物事の捉え方の違いがあることを、ゲストそれぞれの実体験も交えながら知ることができた。そこにあるズレに意識を向けることで、どうすればお互いに伝え合うことができるのか、その学びの入口に立てたように思う。そして、まだまだではあるものの、発話に頼らずとも身体でコミュニケーションすることができるのだという自信にもなった。
「ろう者の感覚を知る、手話を体験する」レポートより

「手話を使い会話する」ことの実践というよりは、他者を尊重して関わるとはどういうことなのか、自身の身体を通して考える機会だったように思う。
木村和博(ライター)
また参加して、目の前にいる人を尊重するには2つのことが大事なのではないかと気づいた。社会においてその人の文化がどのような状況に置かれているのか知ること。唯一の正解があると思い込まず互いにコミュニケーション手段を考えること。知るだけでは頭でっかちになってしまう。でも、知ることをないがしろにすると、実践のなかで他者の文化を無意識に傷つけてしまったり、差別をしたりするかもしれない。
他者の文化を知ろうとすること、目の前にいる人と一緒に考えること、その両方を積み重ねる。それを個人に託すのではなく、そうした積み重ねが実践しやすい環境づくりをする。自分自身が携わるプロジェクトからすこしずつ実践していきたい。そう思わせてくれる講座だった。
2022年度「手話を使い会話する。」レポートより
企画づくり、そして生活に必要な「相手のことを想像する力」。この講座は、その姿勢をスタッフ、受講者、関係者たちが実感・実践する機会になっていました。
解きほぐした身体で、それぞれの取り組みや暮らしに経験を還元する。その起点づくりが、アクセシビリティや情報保障を思考する基盤を育むのだと思います。
映像講座・レポート記事・指文字表を公開中
手話講座では21本の映像プログラムをYouTubeチャンネルで公開しているほか、実施レポートの記事をウェブサイトに掲載しています。また、手話を体験する補足資料として、指文字表「相手から見たときの指文字/自分から見たときの指文字」もダウンロードすることができます。
≫映像プログラム|手話と出会う 〜アートプロジェクトの担い手のための手話講座〜 基礎編(映像プログラム)はこちら
≫「相手から見たときの指文字/自分から見たときの指文字」はこちら
実際に講座に関わる人数は限られているからこそ「レポート」や「映像」として企画を発信、アーカイブすることにも力を入れています。
わたしたちの取り組みや気付きの一端が、場所や時間を越えてどこかに届くように。そして、わたしたち自身が経験を振り返り、誰かに伝えられるように。次の一歩を動かす準備を続けています。