ジムジム会2021

9つのアートプロジェクトの実践から学び合う事務局の互助会

アートプロジェクトは、企画や広報、経理などを担当する事務局の人々によって支えられています。しかし現場は人手が不足しており、時間がないなかでやり方を模索し、それぞれが悩みを抱えながら活動しているのが多くの現状です。

そこで、2019年度から同じような悩みを抱える「東京アートポイント計画」に参加する団体が集まり、「事務局による事務局のためのジムのような勉強会(通称:ジムジム会)」を対面、オンラインと形式を変えて開催してきました。終了後も、自主的にそれぞれのアートプロジェクトがホストとなり、それぞれの特色から学び合う「続・ジムジム会」が続き、広報や活動方法などの実務的な課題を共有してきました。

2021年度は「これからの思考・アクションのための出会いの場」がテーマ。9つの事務局が順番にホスト役を務め、それぞれの実践などを共有し、次のアクションを考えます。

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スケジュール

7月19日(月)
第1回 今年鍛えたい筋力

9月17日(金)
第2回 ことばを壁にしない。やさしい日本語を使おう

発表:東京で(国)境をこえる

11月17日(水)
第3回 アートプロジェクトの「かかわり」をときほぐす

発表:500年のcommonを考えるプロジェクト「YATO」

1月19日(水)
第4回 アートプロジェクトの記録と記憶を巡る七転八倒

発表:移動する中心|GAYA

3月2日(水)
第5回 エピソードが宝物! 仲間と取り組む楽しい評価

発表:アートアクセスあだち 音まち千住の縁

 

関連サイト

東京アートポイント計画共催団体

ジムジム会2020

事務局ごとの知恵を持ち寄り、現場の悩みを解きほぐすオンライン互助会

アートプロジェクトは、企画や広報、経理などを担当する事務局の人々によって支えられています。しかし現場は人手が不足しており、時間がないなかでやり方を模索し、それぞれが悩みを抱えながら活動しているのが多くの現状です。

そこで、2019年度から同じような悩みを抱える「東京アートポイント計画」に参加する団体が集まり、「事務局による事務局のためのジムのような勉強会(通称:ジムジム会)」をひらき、広報やウェブサイト制作などの実務的な課題について共有してきました。そして、2020年4月の緊急事態宣言以降、アートプロジェクトは活動の大幅な変更を余儀なくされました。事務局も、これまでの課題に加えて、オンラインを前提とした関係者間のコミュニケーションや企画など、新しい課題に直面しています。

今回のテーマは、社会状況に応じたアートプロジェクト運営。会の方針は「現場の状況と社会状況を反映し、柔軟にプログラムを組む」「レクチャー形式ではなく、相互に助け合う互助会的な場とする」「得た知見や生まれたアイデアは、公共知としてオープンにしていく」ことです。それぞれの事務局が抱える課題や実践を共有しながら、コロナ禍以降のアートプロジェクトのあり方や可能性を考えます。

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スケジュール

5月13日(水)
第1回 集えない状況でどう集う? お互いの状況を共有しよう

発表:アートアクセスあだち 音まち千住の縁
ファンタジア!ファンタジア! -生き方がかたちになったまち-

6月17日(水)
第2回 あの手この手でつながるには? コロナ状況下でのアートプロジェクトを考える

発表:小金井アートフル・アクション!
HAPPY TURN/神津島

7月20日(月)
第3回 アートプロジェクトの再始動。新たな日常でどうはじめる?

発表:500年のcommonを考えるプロジェクト「YATO」
東京で(国)境をこえる
TERATOTERA

8月19日(水)
第4回 いまだからできること、わかること。アートプロジェクトの知恵を持ち寄る

発表:移動する中心|GAYA
Artist Collective Fuchu [ACF]
Art Support Tohoku-Tokyo(ASTT)

9月22日(火)
第5回 困ったら、お互いに聞いてみる。助け合う場を続けていこう

 

*プログラム終了後も、プロジェクト事務局が自主的にホスト役をつとめる「続・ジムジム会」が行われました。

続・ジムジム会

第1回 ジムキョクの当たり前を解きほぐす

第2回 聞いて! アートプロジェクトにかかわる人!

第3回 ジムジムボディビル大会2021

 

関連サイト

東京アートポイント計画共催団体

つどつど会

全国各地のアートマネージャーが悩みを持ち寄るオンライン「互助会」

アートプロジェクトは、さまざまな担い手によって支えられ、それぞれの地域で交流を生み出す契機になっています。一方で、「互助会」のように、ほかの地域のプロジェクトと実務的な課題を共有し、ネットワークを育む機会は意外と少ないかもしれません。

今回は、過去のTokyo Art Research Lab(TARL)の参加者を中心に、全国各地の文化事業にかかわるアートマネージャーがオンラインで集まって、各現場の悩みや課題を共有し、議論する「つどつど会」(都度集うアートマネージャー連絡会議)をひらきます。

話題は、組織体制や目標設定、活動記録の残し方、コロナ禍における企画・広報の方法など。現場の課題や知見を共有し、中間支援に必要とされる視点や仕組みづくりへの糸口を見つけることが目的です。最終回には、大分県別府市で15年以上に渡り文化事業や地域振興、観光振興のプロジェクトを手掛けるNPO法人BEPPU PROJECT代表の山出淳也さんをゲストに迎え、メンバーからの質疑応答を実施します。

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スケジュール

11月25日(水)17:00〜19:00
第1回 自己紹介

12月16日(水)17:00〜19:00
第2回 悩みを持ち寄る

1月18日(月)17:00〜19:00
第3回 悩みを持ち寄る

2月17日(水)17:00〜19:00
第4回 これまでの悩みからまた悩んでみる

3月3日(水)17:00〜19:00
第5回 BEPPU PROJECT 山出淳也さんに尋ねる

暮らしに「間(ま)」をどうつくる?

長野県松本市の「awai art center」とドイツ・ライプツィヒの「日本の家」の拠点のひらき方を学ぶ

2020年、コロナ禍によって、わたしたちは「これまでの当たり前」が揺らぐ時間を過ごしてきました。感染症対策にもとづき、リモートでのコミュニケーションが普及し、移動が制限され人が集うことが困難に。働き方や暮らし方が大きく変わった人も少なくありません。

そうした変化のなかで、自分とは異なる考えをもつ人と出会う機会が減りつつあるようにも感じます。どうしたらこれからもさまざまな視点や価値観が同居する場をつくることができるのでしょうか?

今回は、長野県松本市にあるアートセンター「awai art center」の主宰・茂原奈保子さんと、ドイツ・ライプツィヒのNPO「日本の家」の共同創設者・大谷悠さんをお招きし、まちなかに拠点を立ち上げたきっかけや、これまでの取り組みについてオンラインで伺います。

「こうでなければならない」という思考をときほぐし、「さまざまな視点や価値観が同居する場」を立ち上げるプロセスや運営のありようは、これからのアクションを考える手がかりになるのではないでしょうか。異なるもの同士がつながり、重なり合うことで生まれる「あわい」や「隙間」の存在が、地域に新しい展開を生み出すことについて、お二人に語っていただきます。

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参加費

無料

参加方法

Tokyo Art Research LabのYouTubeチャンネルにて配信

記録映像

私たちの移動の経験はどう変わる? 「移動」と「つくる」ことをめぐって

遠隔のアーティスト・イン・レジデンスから、アートプロジェクトのあり方を探る

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、海外への移動にとどまらず、国内の移動も大きく制限せざるを得ない状況を生み出しました。現在は緩和された状況ではあるものの、ステイホームをせざるをえなかった経験は、これまで「移動」する行為を当たり前に享受していたことを実感する機会でもありました。

移動と密接にかかわる現場のひとつに、アーティストが、いつもの活動拠点から離れ、さまざまな土地に滞在して制作するアーティスト・イン・レジデンス(AIR)があります。現在の「移動」に関する先行きが見えづらい状況において、さっぽろ天神山アートスタジオでは、アーティストが札幌に訪れることなく、遠隔のままAIRを行う試みが行われています。滞在を伴わないAIRという形式では、どのような協働のかたちがあるのでしょうか。そもそも「移動」にはどのような効用があり、これからの移動の経験はどのように変わっていくのでしょう。

今回は、同スタジオでディレクターを務める小田井真美さん、映像エスノグラファーとして人々の移動の経験を研究する大橋香奈さんをゲストに、お二人が取り組んでいる実践や研究から、これからのアートプロジェクトのあり方を探ります。

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参加費

無料

記録映像

場所をひらくことは何を生み出す? 物語が滲みあう場を立ち上げる

福祉施設を地域へひらく「嫁入りの庭」から、拠点のあり方を学ぶ

コロナ禍以降、他者との物理的距離をとりウイルスのような見えない存在と共生することが当たり前になった現在、まちなかに拠点のあるアートプロジェクトはどのように変化していくのでしょうか。アートプロジェクトの基盤となる「拠点」のひらき方について、わたしたちは考えを進める必要があります。

宮城県仙台市にある「嫁入りの庭」は、かつての嫁入り道具のように老人ホームに入居する人と一緒に引っ越してきた家具や植木、まちの記憶が宿った道具などが運ばれてくる場所です。かかわる人が限られ、閉鎖的になりがちな福祉施設が、どのようにまちと接点をもつことができるのか。こうした誰でも立ち寄れる場所をまちと施設の間につくることで、「かかわりしろ」を生み出そうとする試みから、拠点のあり方のヒントが得られるかもしれません。

今回は「嫁入りの庭」のある社会福祉法人ライフの学校の理事長の田中伸弥さんと、庭の設計を担当したtomito architectureの冨永美保さんと林恭正さんの3名をゲストに、庭づくりのプロセスやその背景にある想いについて話を伺います。

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参加費

無料

記録映像

オンライン報奏会(ほうそうかい)2020

福島と東京、それぞれの場所でつながり続ける

2020年4月、緊急事態宣言が発出されて以降、多くのアートプロジェクトが中断し、同時にオンラインを含む新たな手法を検討すべきなのか、議論を余儀なくされました。アートプロジェクトの現場へ足を運ぶことが難しい状況で、それぞれの場所にいながら、プロジェクトを成立させるために、どのような手立てがあるのでしょうか。

アサダワタルさん(文化活動家)を中心に、福島県いわき市にある県営復興団地・下神白(しもかじろ)団地で行われているプロジェクト「ラジオ下神白 あのときあのまちの音楽からいまここへ」も、現地訪問が困難になり、オンラインでの開催方法を模索しています。

2016年からはじまったこの取り組みでは、住民が住んでいたかつてのまちの記憶を、馴染み深い音楽とともに収録するラジオ番組を制作し、それらをラジオCDとして住民限定に配布・リリース。こうした活動を軸に、立場の異なる住民同士やふるさとの交流を試みています。

また2019年には、住民の「メモリーソング」のバック演奏を行う「伴奏型支援バンド(BSB)」を結成。関東在住のミュージシャンが団地住民のもとに伺い、現地から遠く離れているからこそ音楽を通じた「想像力」で、住民との関係を深めてきました。

そして2020年。コロナ禍においてオンライン訪問を継続しつつ、「会えない」という状況だからこそできる「表現×支援」の関係をより深く見つめながら、3回シリーズの報告会を行います。音楽をかけながら行うラジオ風トークを軸に、記録映像の上映、またBSBによる演奏、住民との中継コーナーなどを実施。「報」告会でありながら、演「奏」会でもあるオンラインの場づくりです。

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スケジュール

9月22日(火)14:00〜16:00
第1回 2017年〜2018年の報奏

12月27日(日)14:00〜16:00
第2回 2019年の報奏 とりわけ伴奏型支援バンド(BSB)編

2月23日(火)14:00〜16:00
第3回 表現・想像力・支援編

ゲスト:いとうせいこうさん

関連サイト

ラジオ下神白プロジェクトウェブサイト

Cross Way Tokyo 自己変容を通して、背景が異なる他者と関わる

メディアづくりを通して、自分とは異なるルーツをもつ人とかかわる

自分とは異なるルーツをもつ人とコミュニケーションをとろうとするとき、何かしらのハードルを感じる人は少なくないのではないでしょうか。さまざまな背景をもつ人々が暮らす東京では、誰しもが日々のなかで自分とは異なるルーツをもつ人々とすれ違っているはず。もしそうした人々とかかわりをもちたいと思ったとき、どのように関係性を築くことができるでしょうか。専門的な技術やイベントを介した出会い方だけではなく、それぞれの日常の延長線上で実践できることを考えたいと思っています。

文化人類学的なアプローチをもちながら、多岐にわたるデザインワークを行う阿部航太(デザイナー)をナビゲーターに、背景の異なる他者とかかわろうとするときに自身のなかでハードルとなっている要素とは何かについて向き合います。

ゲストに、海老原周子さん(一般社団法人kuriya代表、通訳)、金村詩恩さん(ライター/エッセイスト)、川瀬慈さん(映像人類学者)を迎え、レクチャーやフィードバックを受けつつ、インプットとアウトプットを重ねます。最終的に、各メンバーの関心や課題意識を軸にしたメディアの立ち上げを目指して、その過程で自身の思考を更新していくことを試みます。

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スケジュール

8月22日(土)
第1回 自己紹介/ディスカッション わたしにとっての「移民」とは

9月5日(土)
第2回 レクチャー 移民を取り巻く構造を現場から学ぶ

ゲスト:海老原周子 (一般社団法人kuriya代表/通訳)

9月26日(土)
第3回 ディスカッション/ワーク ハードルを越えるための「態度」を探る

10月10日(土)
第4回 レクチャー/ワークショップ 上野のまちで、他者の存在に目を凝らす

ゲスト:金村詩恩 (ライター/エッセイスト)

10月24日(土)
第5回 ディスカッション/ワーク 身の回りの日常を他者の視点で捉え直す

11月14日(土)
合同共有会

11月21日(土)
第6回 レクチャー/ワークショップ メディアの構築性を学ぶ

ゲスト:川瀬慈 (映像人類学者)

12月5日(土)
第7回 分科会

12月19日(土)
第8回 ディスカッション/ワーク トライアル作品制作で得たもの

1月9日(土)
第9回 ワークショップ 原点に立ち返り、本制作への助走を開始

1月17日(日)~2月7日(日)
第10回 メディア制作 課題を潰しながら、制作のギアを上げる

1月31日(日)
合同共有会

2月27日(土)
第11回 メディア制作

ゲスト:金村詩恩 (ライター/エッセイスト)
川瀬慈 (映像人類学者)

3月28日(日)
第12回 8か月間の歩みを振り返る。そして5年後の自分へ

会場

ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])ほか

参加費

一般30,000円/学生20,000円

関連サイト

東京プロジェクトスタディウェブサイト

ナビゲーターメッセージ(阿部航太)

このスタディの基本的な姿勢は、「自分が変わる」ことを楽しむことです。もちろん、とてもセンシティブなトピックに取り組むことになりますし、その過程で自分自身の未熟な部分に直面することにもなるでしょう。それでも自分が起点となり、他者と関わりながら変化していく豊かさを楽しんでいきたいと思います。

また、このスタディではさまざまな思考方法と出会うことで、自身の世界をとらえなおしてみることを試みます。座学だけではなく、外に出てまちを歩いたり、手を動かしたり、メンバーそれぞれの興味や特技を活かし、実践を重ねながら考えていきます。

このスタディのテーマは、海外に(も)ルーツを持つ人たちに対する私自身の迷いがそのまま反映されています。おそらく似たような思いを抱えている人もいるのではないでしょうか? メンバーの方々と一緒になって、悩み、考え、つくっていくことで、ここでの経験を言語的な理解だけにとどめず、日々の生活の中に落とし込んでいくことができたらと思っています。

スタディマネージャーメッセージ(上地里佳)

「移民」や「海外ルーツの人々」ということばをよく聞くようになり、わたし自身、日々の暮らしのなかで異なる文化や言語をもつ人々と場をともにする機会が増えてきているのを感じます。距離としては近づいているのに、コミュニケーションをとろうとするとき何か失礼なことを言ってしまうのではないかと悩んでしまう。相手を思うほどにコミュニケーションが億劫になりがちになる。その感覚をどう越えて、新たな関係性を築く一歩をつくっていけるのか、このスタディで探っていきたいと思います。

阿部さんのナビゲーターメッセージでも触れていますが、この問いは、わたしたちの日常生活が、多様で、複雑な、他者とのかかわりが満ちていることを再認識することからはじまるように思います。例えば、普段何気なく使っているものや食べているもの、ことばや技術など、自身の日常生活をつぶさに見てみること。これまでの歴史を学ぶことや、実践者の方々の話を聞いてみることなど。

そんな試行錯誤のなかで思考をやわらかくしながら、背景が異なる他者と出会い、関係性を築いていく態度や方法を探っていければと思います。最終的には「態度と実践方法」をまとめたメディアを立ち上げて発信することを通して、じんわりと自らを変容させていく時間を、わたし自身も含め、スタディメンバーとともにつくっていければと思います。

東京プロジェクトスタディ紹介映像

プロジェクト紹介映像

トーキョー・スカルプチャー・プロジェクト 2027年ミュンスターへの旅

コロナ禍の東京で、いま可能なパフォーマンスのかたちを見つけ出す

トーキョー・スカルプチャー・プロジェクトは、10年に1度の芸術祭「ミュンスター・スカルプチャー・プロジェクト」を参照しながら、「彫刻・パフォーマンス」をキーワードに2018年度からはじまりました。その後、2年にわたり「東京彫刻計画」というフィクションの設定を使って、まちなかの公共彫刻についてリサーチすることで「公共」について考えています。

そうしたなか、新型コロナウイルスの感染拡大が起きました。他者や社会に対してどのように接し、どのようにいるか。わたしたちの日々の「パフォーマンス」も、強制的に変化しました。「東京で何かを“つくる”としたら」という問いは、いままで以上に難しいものになったのではないでしょうか。

今回は、ナビゲーターの居間theater(パフォーマンスプジェクト)と佐藤慎也(建築家)とともに、現在の東京で、どのようなパフォーマンスが可能なのか、感染者数や情勢を鑑みつつ、オンラインと対面を織り交ぜて考えます。ゲストアーティストによるワークショップを通じてパフォーマンス・建築・彫刻・映像・サウンドアート・写真など、それぞれのつくり方に触れ、自分の手を動かします。最終的に「検査」をテーマにした小作品「パフォーマンス検査キット」の制作を行うことを目指します。

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スケジュール

9月2日(水)
第1回 オリエンテーションと自己紹介 『トーキョー・スカルプチャー・プロジェクト』に向けて

9月27日(水)
第2回 遠足 すみだ向島EXPO 2020をめぐる

10月18日(日)
第3回 ワークショップ 空想地図をつくりながらつかむ都市のリアリティ

ゲスト:今和泉隆行さん(空想地図作家)

10月23日(金)~10月25日(日)
第4回 ワークショップ 「それ」以外をリサーチして、つくる

ゲスト:トチアキタイヨウ(ダンサー/振付家/演出家)

10月28日(水)
第5回 振り返りとディスカッション 「つくること」への思考を広げる

10月31日(土)~11月7日(土)
第6回 ワークショップ 一方的に音を受け取る「手段」を考える

ゲスト:大和田俊(アーティスト)

11月11日(水)
第7回 振り返りとディスカッション 「問い」をひらく、「トーキョー」を想う

11月14日(土)
合同共有会

12月11日(金)~12月13日(日)
第8回 ワークショップ デートをして、シナリオを書き、上演してみる

ゲスト:友政麻理子(現代美術家/映像作家)

12月16日(水)
第9回 振り返りとディスカッション 「デート」の振り返りと最後のクリエイションに向けて

1月22日(金)~3月7日(日)
第10回 クリエイション 変化する社会状況のなかでつくる

1月31日(日)
合同共有会

3月8日(月)~3月20日(土)
第11回 郵送上演 『パフォーマンス検査(キット)』

4月17日(土)
第12回 上演時間をつなぎあわせるような最後の振り返り

会場

ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])ほか

参加費

一般30,000円/学生20,000円

関連サイト

東京プロジェクトスタディウェブサイト

ナビゲーターメッセージ(居間 theater +佐藤慎也)

このスタディは、「ミュンスター・スカルプチャー・プロジェクト」という10年に1度の芸術祭を参照しながら、彫刻・パフォーマンスというキーワードに据えて2018年から始まりました。2年にわたり「東京彫刻計画」というフィクションの設定を使って、街なかの公共彫刻のリサーチをおこなったり、「公共」について、そこから派生して「東京の工事」について考えたりしてきました。

そしてその過程で、パフォーミングアート(舞台芸術)と美術における「パフォーマンス」の境界線が融解していること、一方で、文脈やつくりかた・考えかたの部分では明らかに違いや差があることが、あらためて実感レベルでわかってきました。さて今年度はスタディの軸をどのようにしようかというところ、新型コロナウイルスの感染が拡大してきました。

“東京で何かを「つくる」としたら”。この問いかけは大きすぎて、いま、何かをつくるにも難しい気がします。さらには、昨年度の活動キーワードのひとつだった「公共」ということばも、いまのこの状況下ではやはり捉えきれない。

一方で、外出自粛の状況下では、これまでにあった(けれど見ていなかった、露呈していなかった)さまざまな社会的な問題が、浮き彫りになりました。私たちはあらゆる問題の最中にあって、これから、どのような目線で、何の・誰のために、どのような態度でつくっていくのか。居間 theaterは「パフォーマンスプロジェクト」ですが、じゃあいま、どんなパフォーマンス作品が可能なのだろうか……。

答えはすぐには出ないでしょうが、このプログラムはスタディですから、参加者のみなさんと一緒に試行錯誤を重ねて、考えていきたいと思います。

そしてそのために、今年度は何人かのアーティストにもお力を借ります。いくつかのジャンルのアーティストにお越しいただき、小さいワークをすることで、それぞれのアーティストのつくりかたを垣間見させていただく予定です。

もちろん、過去のスタディに参加していなくても全くかまいません。アーティストが何かをつくる過程を「知って」、自分で実際に手や頭や体を動かしながら、つくることを一緒に「やってみて」、その過程で得たなかでの問い、もやもや、発見などを共有して「考える」。そういう作業をやってみます。

そして、そういう小さい作業の積み重ねが、「東京」で何かを「つくる」ことに繋がると思うのです。

スタディマネージャーメッセージ(大内伸輔+村上愛佳)

パフォーマンスがやりにくい時代。彫刻が攻撃される時代。ナビゲーターたちが2017年にミュンスターで描いた夢は、こんな時代にどのような姿で立ち上がるのでしょうか?

既存のシチュエーションを飛び越えてきたナビゲーターが、変わりつつある東京の風景や人と向き合う姿に同行しましょう。

今回は居間 theaterと佐藤慎也さんに加え、4人のアーティストをゲストに迎えました。5回に渡るワークショップを通して、パフォーマンス・建築・彫刻・映像・サウンドアート・写真などさまざまなメディアに参加者たちは触れていきます。

変わりゆく世界、変わりゆく表現に立ち向かうナビゲーターの強い想いを側で感じ、自身のなかで生まれた新たな問いや発見を深めていきましょう。

東京プロジェクトスタディ紹介映像
スタディ紹介映像

共在する身体と思考を巡って 東京で他者と出会うために

非言語のコミュニケーションやその身体性について議論を深める

アートプロジェクトの現場では、誰かと何かをはじめようとするとき、考えや視点の違いを理解しながら、互いのイメージを擦り合わせ、つくり方を議論します。そこで起きるコミュニケーションは、「言葉」に限ったものではありません。むしろ、表情やしぐさ、声色、動き、間など身体を用いた非言語の領域が、日々のコミュニケーションに大きな影響を与え、支えています。

新型コロナウイルスの感染拡大を経たいま、互いに目を見つめ、相手の息づかいを感じ、何気ないしぐさを眺めながら話をする、そんな当たり前のことが気軽にできなくなりました。そうした状況だからこそ、あらためて「コミュニケーション」や「身体性」について考えられることがあるのではないでしょうか。

今回は、和田夏実さん(インタープリター)、南雲麻衣さん(ダンサー)、加藤甫さん(写真家)の3名のナビゲーターとともに、身体性の異なる人々の世界に触れ、「言葉だけではない」コミュニケーションのあり方について考えていきます。ゲストは、米内山陽子さん(劇作家/演出家/舞台手話通訳家)、田中結夏さん(舞台人/舞台手話通訳者/手話通訳者)、関川航平さん(美術作家)です。

詳細

スケジュール

8月23日(日)
第1回 ガイダンス お互いの顔が見えないまま「出会う」「ともにある」

9月13日(日)
第2回 ワークショップ わたしたちは本当に出会ったのだろうか

10月4日(日)
第3回 ワークショップ 撮る/撮られるから、他者の無意識に触れる

10月31日(土)
第4回 ディスカッション それぞれのもやもやから出会う

11月14日(土)
合同共有会

11月28日(土)
第5回 ワークショップ
フィクションを織り交ぜながら、自分の分岐点について書く

12月6日(日)
第6回 トーク 翻訳する身体と思考を巡って

ゲスト:米内山陽子(劇作家/演出家/舞台手話通訳家)
田中結夏(舞台人/舞台手話通訳者/手話通訳者)

12月20日(日)
第7回 トーク 既存の「自己紹介」の手前にあるものとは?

ゲスト:関川航平(美術作家)

1月10日(日)
第8回 ディスカッション わかりやすさ/伝わるはやさだけにとらわれない言葉を味わう

1月31日(日)
合同共有会

2月7日(日)
第9回 オンライン鑑賞 南雲麻衣のパフォーマンスから「フィクションを織り交ぜる」を考える

2月14日(日)
第10回 プレゼンテーション これまでの経験を表す

3月14日(日)
第11回 試作展示 誰にもなれない自分の身体に、一番近いコミュニケーションのあり方とは

進め方

  • メンバー全員での定例ディスカッション会を月1回開催
  • 各回のディスカッションのあとに、自身の考えや問いを整理し、思考の変遷を記録するために作文(エッセイ、日記など)を書く
  • 当面の間は、オンライン実施の予定だが、状況に応じてROOM302(3331 Arts Chiyoda内)で実施する場合がある
  • メンバーは、ROOM302にて自主活動を行うことが可能

会場

ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])ほか

参加費

一般30,000円/学生20,000円

関連サイト

東京プロジェクトスタディウェブサイト

ナビゲーターメッセージ(和田夏実)

「他者と出会うこと。」まだ先行きの見えない、大きな変化の中で、私たちは互いにどんな風に出会い、どうしたらその人らしさを知ることができるのか、そんなとっても身近で、とっても壮大な実験に、ようこそ。

私は、コーダと呼ばれる両親がろうの聴こえるこどもとして生まれ、手話を第一言語にして育ちました。手話という手で空間に描くように構成される言語と、音や文字で線状に紡がれる日本語という音声言語。それぞれの間で、インタープレート(通訳)していく中で、こどもながら、全然伝わっていないのではないか?! という場面に数多く遭遇しました。それは言語自体の翻訳の難しさももちろんですが、温度や空気、気配といったその人らしさを構成するものを、誰かが介在して伝えることの難しさでもありました。

マスクや画面、透明のビニルシート。私たちを守り、隔てるもので、受け取りにくくなってしまったものが想像以上にたくさんあることに、日々驚いています。けれども同時に、それは今まで知らぬ間に受け取っていた、その人らしさがたくさんあったことに、気づいた機会でもありました。

南雲さんと直接会って手話で会話したり、実験したりしていた時に、ぽこっと生まれていた会話の空間(たぶんまんまるの空気の球みたいな形をしていたと思う)が、画面を介すると時間のズレや目線に気づけず、一緒にいる感覚がしないこと(四角くてガチッとした箱に入って、パラレルワールドの先の彼女に話しかけている感じがする)。会議で話し始めるタイミングをどうにもつかめず、「あっ、どうぞ。」という機会が増えたこと。そういえば、小さな頃、どうにも電話を信じることができなかった5歳の私は、何に恐れていて、何があったら信じることができたんだろう、と考えたりします。

ここは毎日の中のコミュニケーションの中に生まれるほんの少しの違和感について、みんなで話し合い考えることを目指した、プロジェクトスタディです。南雲さんの手話もダンスをも現すからだ、写真を撮ることと視覚的な会話について考えている加藤さん。3人と、スタディチーム、そしてこれから出会う、皆さんと。

ざらざらとした不思議に出会い、これは「リズム」の話かしら。「意識」の方向の話かしら。と考えたり、ともになんだろう、と悩み、ともに絵を描いたり、写真を撮ってみたらどうだろう! とつくったりする、そんな実験にご一緒できたら嬉しいです。

ナビゲーターメッセージ(南雲麻衣)

このコロナの影響で、私たちの身の回りのコミュニケーションが少し変化していきました。

第一にマスクをして会話することの困難さ。私の場合ですが、口元が見えなくても人工内耳を使用すれば大体聞き取れます。けれど、言葉を理解する前に、この人はどんな気持ちでこのことを言ったのかをその人の声色からは判断することができないことに気づきました。マスクの奥にある表情が隠れてみえないことにもどかしい気持ちでいます。

ちょっと難しい話をし始めるときに変な顔をする人や、言葉に迷っているときに口をパクパクさせる人など、言葉だけではないところ、その人の顔の表情からも、人間は無意識に情報を読み取っているのではないでしょうか。

これまで苦もなくコミュニケーションできていた人も、マスクやフェイスガードによって声が届かないことを実感することが増えたのではないでしょうか。サービス業では、接客中に身振りなどで伝えようとするパワーが以前より増してきたと思います。私は、マスクからのぞく笑顔に、目尻の皺に注目する癖が身についてしまいました(笑)。

第二に、テクノロジーの進歩により、手話という視覚言語にテクノロジーが追いついてきた感覚があります。巷で流行っているオンライン飲み会や遠隔講演会などは、コロナ禍以降から盛り上がりを見せています。また、手話がわからない人もわかるように字幕を付けるなど、当事者側から発信するアクセシビリティも見られるようになりました。リモートの手話講座はいつも満員だそうです。これまでなかったことでした。

手話とテクノロジーの相性の良さと便益性を発見できたのと同時に、手話という言語は身体をも伴う言語であることを、私のなかで改めて実感しています。オンライン上では、相手の身体がそこにないせいなのか、立体ではない二面の画面であるせいなのか、相手をマークして投げる会話のキャッチボールが、いつもよりうまくキャッチできず戸惑う感覚があります。それはまるで、全力疾走しながら、会話を受け止めている感覚になり、あとから疲労感と物足りなさを感じます。

コミュニケーションの以前に、一人一人の身体や表情がそこに「在る」というリアリティが、ある一定の期間に急速に薄れました。今はその状況を互いにシェアリングできたことで、これまで見えてこなかったものをなんとなく掴みかけているところです。それが一体なんなのか、一人でもやもやしているのではなく、スタディという名前を借りて参加者とともに探してみたい。みんなが同じ状況に立たされた「共在感覚」と一人ひとりの異なる身体を、しぼりだしながらも言葉にして記録し、後世に残すことに大変意味があるのではないかと思います。

インタープリターである和田夏実さんとは、何年も前から手話の先にある視覚身体言語の面白さや、感覚が異なる者の環世界など話し合って、ワークショッププログラムなどを作ってきました。私の手話を翻訳し、音声言語に伝える彼女のパーソナリティを信頼しています。バックグラウンドが違う私たちが二人三脚でやってきたこともこのスタディで発揮できたらと思います。

ナビゲーターメッセージ(加藤甫)

写真を撮っている時、僕には写したい「所作のポイント」みたいなものがあります。それはわかりやすい決定的瞬間的なものではなく、意識と無意識の中間くらいの、撮る側と撮られる側どちらかの主張が強すぎない、ちょうどいい塩梅の自我の入り方。そういうものを撮ることが僕は「写真」らしいと考えています。撮影者として、所作やたたずまい、人がただ居ることなどから感じる「なにか」。普段ファインダー越しに考えていることの正体っていったいなんなんだろう? ということをテーマに扱っていきたいと思っています。それは、「共存する身体」であったり、「他者」であったり、「コミュニケーション」を考えることに通じるはずです。

いま僕は、6歳になるダウン症の息子と暮らしています。

彼は発育が遅く、まだ言葉を話すことはできません。話せないけれどもちろん意思はあって、その意思の発し方は独特です。ジェスチャーや音、文脈などを使って伝えようとします。彼の発露を「どう受け」「どう返す」のか、僕自身も想像力を駆使しながら試行錯誤する毎日です。

彼らは「療育」と呼ばれる、発育の遅れを補うための訓練を受けています。社会で生きていくために、他人とコミュニケーションが取れるように。そこに立ち会い、息子の成長を嬉しく見ている反面、なぜ彼らはそのままでは生きていけないのだろうと思うことがあります。

「成長」ってなんだ? 社会に適応していくことばかりが「成長」なのだろうか?

コミュニケーションにおいて、発する側だけでなく受ける側のありようも、同じように大切な気がします。だから、このスタディでは身体と視覚を主な手がかりに、コミュニケーションの受け方についても考えていきたいと思っています。

スタディマネージャーメッセージ(嘉原妙)

思い立ってあの人に会いに行く、隣に座って、声色や表情、その人がまとう空気に触れながら話をきく。そういう当たり前のことが、こんなにも愛しいと感じていたんだと気づく日々です。2020年春から、わたしたちが目にする暮らしの風景は一変しました。マスク、ビニールシート、パーテーション、消毒液の香り、透明の膜で覆われた暮らしの風景は、人と人、人と社会の距離を物理的にも、心理的にも、どんどんと遠ざけていくようで心許ない気持ちになります。こんなにも遠ざかった者同士が、ちゃんともう一度出会うことができるのだろうか。そもそも、こうなるずっと前から、わたしたちは他者とちゃんと出会ってきていたのだろうか。分断の肌触りを日々体感しながら、そんな問いをわたしは抱えてぐらぐらと揺れています。

大げさかもしれないけれど、人は、生きていく上で、自分とは異なる他者の存在を知ること、また、そこにその人が「いる」んだと実感することが、自分自身の存在を確かめる拠り所となっているのではないかと思うようになりました。そして、その人とコミュニケーションを重ね、互いの考えや感覚の違いにハッとして、ときには喜んだり、悲しんだりしながら、自分と他者との距離感を知っていくこと。この人と人との「間」の部分に触れようと手を伸ばすふるまいは、他者と出会うときのヒントになるんじゃないか、そんなことをぐるぐると考えています。

今回、インタープリター(通訳者/解釈者)の和田夏実さん、ダンサーの南雲麻衣さん、写真家の加藤甫さんという3名のナビゲーターと共に、「身体」を軸に「コミュニケーション」にかかわる実験・実践を重ねていくスタディを立ち上げました。ナビゲーターの3名、運営チーム、そして参加者のみなさんと、それぞれの異なる身体性や眼差しを交換したり、ときにはぶつけ合ったりしながら、わたしたち一人ひとりの「間」にある「何か」への触れ方、ふるまい、他者を想像する新たな方法やとっかかりのようなものを一緒に探ってみたいと思っています。

東京プロジェクトスタディ紹介映像
スタディ紹介映像