応答するアートプロジェクト|ケーススタディ・ファイル

アートプロジェクトを詳細に見ることで、社会状況との連関を捉える

この10年で、わたしたちを取り巻く社会状況はめまぐるしく変化しました。これまでの考え方では捉えきれないような状況が次々と発生し、新たに炙り出される課題に応答するように、さまざまなアートプロジェクトが生まれました。しかしこのような状況は、どこかで一区切りつくようなものではなく、わたしたちはこれからもまた新しい状況に出会い、そのたびに自分たちの足元を見直し、生き方を更新する必要に迫られるでしょう。激しく変化し続けるこれからの時代に求められるアートプロジェクトとは、一体どのようなものなのでしょうか。

「新たな航路を切り開く」シリーズでは、2011年以降に生まれたアートプロジェクトと、それらをとりまく社会状況を振り返りながら、これからの時代に応答するアートプロジェクトのかたちを考えていきます。ナビゲーターは、人と環境の相互作用に焦点をあてながら、社会状況に応答して発生するアートプロジェクトをつぶさに見続けてきた芹沢高志(P3 art and environment 統括ディレクター)です。

ここでは、2011年以降に生まれた多様なアートプロジェクトを取り上げ、どのようにプロジェクトが発生し、続いてきたのか、これからどこへ向かおうとしているのかを実践者が語ります。ひとつひとつのアートプロジェクトを詳細に見ていくことで、社会状況とアートプロジェクトとの連関を捉えます。

2022年度 ラインアップ

File 01 「イミグレーション・ミュージアム・東京」設立にむけて
ゲスト:岩井成昭(美術家/イミグレーション・ミュージアム・東京 主宰)

在留外国人の生活と文化背景を「適応・保持・融合」という三つの視座から捉えるプロジェクトを継続している岩井さんの、10年にわたる軌跡と今後の展望について。

File 02 クッションとしてのアート
ゲスト:滝沢達史(美術家)

放課後等デイサービス「ホハル」、アーツ前橋「表現の森」をはじめ、各地でさまざまな事情を抱えるこどもや若者との表現活動を行なってきた滝沢さん。活動を通じ「見る側の視点が優しくなれば」と語る滝沢さんにとっての「アート」や「アートプロジェクト」について。

File 03 “切実な創造力”のためのアートプロジェクト
ゲスト:青木彬(インディペンデント・キュレーター/一般社団法人藝と)

「ファンタジア!ファンタジア!ー生き方がかたちになったまちー」などプロジェクトのディレクションやキュレーションを行う青木さんによる、アートの歴史を読み解くだけでは見えてこない「切実な創造力」について。

File 04 これまでにない他者とのつながりかたの発明
ゲスト:アサダワタル(文化活動家)

コミュニティやケアの領域で「これまでにない他者とのつながりかた」を実践するアサダさん。「役割を脱ぐ」ような動き方や、些細な日常に目を向け、寄り添う活動の原点はどこにあるのか、プロジェクトでのまなざしやふるまいなどについて。

File 05 動かされるという経験 〈揺れ〉を他なるものに
ゲスト:清水チナツ(インディペンデント・キュレーター/PUMPQUAKES)

「3がつ11にちをわすれないためにセンター」の立ち上げや市民・作家との協働、独立後のメキシコ・オアハカでのリサーチ経験などを踏まえながら、仙台の地から見えるこの10年の景色について。

File 06 「みんなの劇場」の未来=広場×味噌屋?! 〜THEATER for ALLの実践から〜
ゲスト:中村茜(株式会社precog代表取締役)

バリアフリー・多言語翻訳対応のオンライン動画配信プラットフォーム「THEATRE for ALL」プロデューサーの中村さん。多様な観客層に向けて、アクセシビリティを高めた作品の届け方と、新たな作品の生み出し方、「みんなの劇場」の少し先の未来について。

File 07 『わたしは思い出す』について
ゲスト:松本篤(NPO法人remoメンバー/AHA!世話人)

『はな子のいる風景』『わたしは思い出す』など、「市井の人びとの記録」に着目し、独自のアーカイブ像を模索してきた松本さん。その発想の源や、影響を受けたこと・人物、プロジェクトのインプットやアウトプット方法などについて。

File 08 表現と活動ーこのめちゃくちゃな世界で何を祈るのか
ゲスト:キュンチョメ(アートユニット)

東日本大震災を契機に、ホンマエリさんとナブチさんによって結成されたアートユニット・キュンチョメ。自身のこれまでの活動と、制作とは異なる活動である『表現の現場調査団』について。

岩井成昭|「イミグレーション・ミュージアム・東京」設立にむけて
滝沢達史|クッションとしてのアート
青木彬|“切実な創造力”のためのアートプロジェクト
アサダワタル|これまでにない他者とのつながりかたの発明
清水チナツ|動かされるという経験 〈揺れ〉を他なるものに
中村茜|「みんなの劇場」の未来=広場×味噌屋?! 〜THEATER for ALLの実践から〜
松本篤|『わたしは思い出す』について
キュンチョメ|表現と活動ーこのめちゃくちゃな世界で何を祈るのか

アートプロジェクトの運営をひらく、◯◯のことば

「ことば」を手がかりに、現場を運営する視点を初歩から学ぶ

アートプロジェクトの「事務局」は、プロジェクトの環境を整え、動かし、育てる重要な役割を担います。活動には欠かせない存在にもかかわらず、あまり表舞台には出てこないため、その日々の業務はなかなか想像しづらいかもしれません。

そうした観点から、事務局が日々直面する業務や状況にかかわる言葉を取り上げたのが、書籍『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>』(アーツカウンシル東京、2020年)です。この本を囲んで語り合うことで共通言語をつくり、運営を助け、自分たちの活動の価値の言語化するためのツールとなっています。

今回の動画では、普段からアートプロジェクトの中間支援を行っているアーツカウンシル東京のプログラムオフィサー4名が、運営に必要な視点や課題について、この書籍から「ことば」を選び、紹介します。また、具体的な事例を参考に運営手法を学ぶ「実践編」では、2021年度まで東京アートポイント計画が共催していた『アートアクセスあだち音まち千住の縁』によるプロジェクト「Memorial Rebirth 千住」を事例に、アートプロジェクトの評価について取り上げます。

第1回 「事務局3人組」で動く。
第3回 「企画の4点セット」を準備しよう。
第5回 「広報のデザイン」を考える。
第7回 「評価への準備」からはじめよう。
第2回 「会議の3点セット」を揃えよう。
第4回 「関わりしろ」を増やそう。
第6回 「活動拠点」を見つけよう。
第8回 「ネーミング」を工夫しよう。
第9回 「情報共有」を心がける。
第10回 「第3コーナー」を駆け抜けるには?
第11回 「句読点を打つ」ことを考える。 
第12回 「決め方を決める」には?
第13回 「リスクを考える」とは?
第14回 「ドキュメント」にまとめよう。
実践編
「Memorial Rebirth 千住」とアートプロジェクトの評価
実践編
「メモリーバックアップ」としてのロジックモデル
実践編
アンケート調査から読み解く Memorial Rebirth 千住 の価値
実践編
「評価」を活用してアートプロジェクトを運営する

応答するアートプロジェクト|アートプロジェクトと社会を紐解く5つの視点

この10年を俯瞰し、アートプロジェクトと社会との関係を考える

この10年で、わたしたちを取り巻く社会状況はめまぐるしく変化しました。これまでの考え方では捉えきれないような状況が次々と発生し、新たに炙り出される課題に応答するように、さまざまなアートプロジェクトが生まれました。しかしこのような状況は、どこかで一区切りつくようなものではなく、わたしたちはこれからもまた新しい状況に出会い、そのたびに自分たちの足元を見直し、生き方を更新する必要に迫られるでしょう。激しく変化し続けるこれからの時代に求められるアートプロジェクトとは、一体どのようなものなのでしょうか。

「新たな航路を切り開く」シリーズでは、2011年以降に生まれたアートプロジェクトと、それらをとりまく社会状況を振り返りながら、これからの時代に応答するアートプロジェクトのかたちを考えていきます。ナビゲーターは、人と環境の相互作用に焦点をあてながら、社会状況に応答して発生するアートプロジェクトをつぶさに見続けてきた芹沢高志(P3 art and environment 統括ディレクター)です。

ここでは、独自の視点から時代を見つめ、活動を展開している5名の実践者を招き、2011年からいまへと続くこの時代をどのように捉えているのか、これから必要となるものや心得るべきことについて伺います。また、これからの社会状況の変化や、それに応答して発生するアートプロジェクトがどうあるべきかを議論します。この10年を大きく俯瞰することで、アートプロジェクトと社会との関係を紐解きます。

詳細

ラインアップ

視点1 前に走ってうしろに蹴る
ゲスト:港千尋(写真家)

群衆や記憶など文明論的テーマを持ちつつ、時代とイメージのかかわりについてさまざまな角度から考察してきた港さんとともに、変容する時代の新たな捉え方や世界の見方について議論する。

視点2 3.11からの眺め
ゲスト:佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

2011年より10年間、Art Support Tohoku-Tokyo(東京都による芸術文化を活用した被災地支援事業)に携わった佐藤とともに、この10年の間に東北に生まれたアートプロジェクトの変遷と広がりについて議論する。

視点3 生環境構築史という視点
ゲスト:松田法子(建築史・都市史研究者)

地球に生存する人類の歴史とその未来を、構築様式(=Building Mode)という新しい歴史観から捉え直そうとする「生環境構築史」を展開している松田さんとともに、あらためて人間と環境の関係を眺め、アートプロジェクトはいかに応答すべきかを議論する。

視点4 企業・行政・NPOとの応答
ゲスト:若林朋子(プロジェクト・コーディネーター/プランナー)

人々の表現活動や芸術創造が社会において成立するための環境整備や支援のあり方を研究し、さまざまなプロジェクトに伴走してきた若林さんとともに、2011年以降の企業、行政、NPO等とアートプロジェクトのかかわり方の変化や今後のあり方について議論する。

視点5 フェスティバルの変容
ゲスト:相馬千秋(NPO法人芸術公社代表理事/アートプロデューサー)

領域横断的な同時代芸術のキュレーション、プロデュースを専門とし、世界演劇祭/テアター・デア・ヴェルト2023のプログラム・ディレクターに選出された相馬さんとともに、この激動の時代のなか世界規模で進行するフェスティバルの変容について議論する。

関連サイト

「新たな航路を切り開く」note

「応答するアートプロジェクト|アートプロジェクトと社会を紐解く5つの視点」イントロダクション
港千尋|前に走ってうしろに蹴る(前編)
佐藤李青|3.11からの眺め(前編)
松田法子|生環境構築史という視点(前編)
若林朋子|企業・行政・NPOとの応答(前編)
相馬千秋|フェスティバルの変容(前編)
港千尋|前に走ってうしろに蹴る(後編)
佐藤李青|3.11からの眺め(後編)
松田法子|生環境構築史という視点(後編)
若林朋子|企業・行政・NPOとの応答(後編)
相馬千秋|フェスティバルの変容(後編)

Art Archive Online(AAO)クロストーク

当事者とともに振り返るアートプロジェクトのアーカイブ化の10年

Tokyo Art Research Lab(TARL)では、アート分野における調査・研究に取り組むNPO法人アート&ソサイエティ研究センターと、さまざまなアートプロジェクトの資料を収集するアーカイブセンターを共同で運営しており、2020年度に10年の節目を迎えます。この10年間に「プロジェクト型アートをいかにアーカイブしていくか」という当初からの課題は、テクノロジーの発展や表現の多様化に伴ってますます深まっています。

加えて、新型コロナウイルスの感染拡大状況下で各活動の一時中止が相次ぎ、プロジェクト存続の危機感の高まりとともに、アーカイブの重要性に再度注目が集まりました。2020年度には、その観点に基づきオンラインで動画を配信する「アート・アーカイブ・オンライン(AAO)」を実施しています。

今回は、アーカイブに関する過去の企画に参加いただいた方々をゲストに招き、これまでの10年間を振り返るクロストークを配信します。ゲストは、川俣正さん(アーティスト)、日比野克彦さん(アーティスト)、田口智子さん(東京藝術大学芸術資源保存修復研究センター特任研究員)、小田井真美さん(さっぽろ天神山アートスタジオAIRディレクター)、石井瑞穂さん(アートプロデューサー)、志村春海さん(Reborn-Art Festival 事務局スタッフ)、秋山伸さん(グラフィック・デザイナー)です。次の10年に向けて、アートの現場におけるアーカイブ活動の可能性をともに考えます。

詳細

スケジュール

12月22日(水)
第0回 川俣正特別インタビュー

12月2日(木)
第1回 プロジェクトとしてアーカイブする/される 「日比野克彦を保存する」から見えてきたこと

1月20日(木)
第2回 アーカイブの「ことはじめ」と「つみかさね」 アートプロジェクトの現場で試みてきたこと

1月27日(木)
第3回 アーカイブをひらく エディション・ノルト:川俣正との協働とアート・ブック・アーカイヴ

関連サイト

Art Archive Online(AAO)クロストークYouTubeページ

手話と出会う〜アートプロジェクトの担い手のための手話講座 映像プログラム基礎編2021〜

アートプロジェクトの現場で使える手話の基礎を学ぶ

わたしたちは、他者とどのようにコミュニケーションをとっているのでしょう? 相手の表情や視線、声の温度感、言葉の選び方、身ぶり手ぶり。一度そこに意識を向けてみると、一瞬のうちにさまざまなサインを受け取っていることがわかります。

異なる背景をもつ人々が集い、語り合い、ともに活動するアートプロジェクトでは、日々さまざまなやりとりが交わされています。プロジェクトの場や時間をより豊かにしているのはその多様なコミュニケーションである、と言っても過言ではありません。視覚身体言語である「手話」も、そのひとつです。

この映像プログラムでは、手話・身体表現ワークショップ講師である河合祐三子さんと手話通訳士の瀬戸口裕子さんを迎え、数字や曜日、職業などの身近なテーマから、手話の成り立ちや会話の基礎を学びます。また、手話の言語的な側面から、ろう者とのコミュニケーションやろう文化についても考えていきます。

0
講師紹介
1-1
見ることに慣れよう
1-2
手の動きに慣れよう
1-3
度合いに慣れよう
1-4 ろう文化を知る(1)
ろう者と聴者の時間感覚
2-1
NMM(非手指要素)について
2-2
趣味、嗜好を伝えてみよう
2-3
YES/NOを伝えてみよう
2-4 ろう文化を知る(2)
ろう者と聴者の会話の特徴う
3-1
職業・役割の表現①
3-2
職業・役割の表現②
3-3
チケット窓口、受付での対応
3-4 ろう文化を知る(3)
ろう者とのコミュニケーション①
4-1
目で見たままを伝えてみよう
4-2
CL表現①
4-3
CL表現②
4-4 ろう文化を知る(4)
ろう者とのコミュニケーション②
5-1
間違いやすい手指の形
5-2
手指で表す奥行き・厚み
5-3
TPOによる手話の使い分け
5-4
聴者とろう者の会話の特徴
詳細

スケジュール

第0回 講師紹介

第1回 手話の基本表現について

1-1 見ることに慣れよう

  • 見たまま表現する
  • 自己紹介
  • 挨拶

1-2 手の動きに慣れよう

  • 数字の表現
  • 時間の表現

1-3 度合いに慣れよう

  • 強弱の表現
  • 味覚の表現

1-4 「ろう文化」を知る(1)

  • ろう者と聴者の時間感覚

第2回 自分のことを伝えてみる

2-1 NMM(非手指要素)について

  • 眉、口、肩を使う

2-2 趣味、嗜好を伝えてみよう

  • スポーツ
  • 鑑賞
  • 飲み物

2-3 YES/NOを伝えてみよう

  • 手振りと返答

2-4 「ろう文化」を知る(2)
ろう者と聴者の会話の特徴

第3回 仕事のことを伝えてみる

3-1 職業・役割の表現①

3-2 職業・役割の表現②

3-3 チケット窓口、受付での対応

3-4 「ろう文化」を知る(3)

  • ろう者とのコミュニケーション①

第4回 CL表現を学ぶ

4-1 目で見たままを伝えてみよう

4-2 CL表現①

4-3 CL表現②

4-4 「ろう文化」を知る(4)

  • ろう者とのコミュニケーション②

第5回 ポイント編

5-1 間違いやすい手指のかたち

5-2 手指で表す奥行き・厚み

5-3 TPOによる手話の使い分け

5-4 聴者とろう者の会話の特徴

参加費

無料