活動をみわたす羅針盤(2024年度の発行物のご案内)

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2025.04.24

活動をみわたす羅針盤(2024年度の発行物のご案内)の写真

アーツカウンシル東京が展開する「東京アートポイント計画」の各事業では、毎年さまざまなドキュメントやツールなどを発行しています。活動をまちにひらき、かかわりしろをつくりながら、地域のなかで時間をかけて展開していくアートプロジェクトは、展覧会やワークショップといったイベントだけではなく、日々かかわる人たちとのコミュニケーションや、日常的な活動のなかでの気づきと、その言語化がとても重要です。

活動を続けるなかで、どういった変化や展開があったのか、どういった発見があったのか。継続した実践の中だからこそ見えてくるさまざまな変化や気づき、活動の広がりをあらためて言葉にし、まとめることで、伝えられることがたくさんあります。また、活動を言語化し、冊子などのドキュメントとしてまとめるプロセスを辿ることは、プロジェクトの意義やこれからのビジョンについて、振り返りながら再確認することでもあります。記録をまとめドキュメントをつくることは、これからの活動の羅針盤をつくる作業だといってもいいでしょう。

こうして制作された発行物は、基本的には毎年度末に全国のアートプロジェクトの事務局や研究者、実践者のみなさん、図書館や書架のあるアートセンターなどに、言葉を束ねた「WORDS BINDER」としてひとつのパッケージにまとめ、お送りしています。

2024年度も、さまざまな発行物ができました。今年度のWORDS BINDERと、それぞれの発行物についてご紹介します。

WORDS BINDER

2024年度の「WORDS BINDER」として束ねて郵送したのは5冊の発行物です。今年度は花火のバラエティパックをイメージしたパッケージを制作しました。形や色、厚みもさまざまな、バラエティに富んだ発行物をひとつの袋にまとめています。

5色の紙と5つの言葉。配置とカット時のズレによって、無数の組み合わせができる。
裏側には、お世話になっているみなさまへのレターを封入。プロジェクトのなかで生まれたさまざまな言葉とともに、1年間の活動報告としてお届けしています。

袋を留めるタグ部分は五種類の色のついた厚紙を使い、各冊子から抜粋した「ことば」を印刷しています。また、サイズの異なるタグとレターを、厚紙の裏表に印刷した上でカットしているため、無数の組み合わせが生まれています。各所にお届けしたWORDS BINDERは、一つひとつ異なる組み合わせになっているはずです。

東京アートポイント計画の事業から生まれた発行物

東京アートポイント計画の各事業から生まれた発行物を紹介します。これらのものは、Tokyo Art Research Lab(TARL)ウェブサイトの「資料室」から、PDFでのダウンロードが可能です。ぜひ各資料の詳細をチェックしてください。

Artpoint Reports 2024→2025

東京アートポイント計画の仕組みや、共催している各プロジェクトの取り組みを伝えるとともに、一年を振り返りながら、ちょっと先の未来について語るレポートです。今年度新たにスタートした新規事業の紹介や注目のニュースのほか、「基礎自治体との連携」「アクセシビリティ」「共生社会」などをテーマに、ディレクターとプログラムオフィサーがこの一年を振り返りながら語ったレポートが収録されています。2024年度の東京アートポイント計画全体の動きが、この一冊でわかります。

2020年度から同じフォーマットで続けてきたArtpoint Reports。5冊目となりました。活動の繋がりと蓄積が見えてきます。

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つくることを考えてみよう 表現のひろがりと可能性をめぐる

『多摩の未来の地勢図 Cleaving Art Meeting』の一環として、2024年12月から2025年3月にかけて、アーティストの弓指寛治さんが昭島市立光華小学校4年2組に通いました。この冊子では、弓指さん自身の日々の気づきを日記などで紹介するとともに、観察者として伴走した吉田さんから見えたものについても併記しています。

また、冊子の後半では「表現のひろがりと可能性をめぐる」をテーマに、アーティストや学芸員の方々へのインタビューを掲載。それぞれの活動の中での気づきから美術教育の話まで、表現の可能性について幅広く伺った記録を収録しています。

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つくることを考えてみよう 地域を生きる

『多摩の未来の地勢図 Cleaving Art Meeting』を実施するNPO法人アートフル・アクションは、これまでの活動の中で、多くの小学校の図工や教科の授業と連携してきました。授業にはたくさんの市民の方々やNPOスタッフ、アーティストが参加しています。この冊子では、企画づくりや授業に参加したスタッフが、地域との連携を視野に入れながら、連携の考え方や授業のプログラムなどを振り返っています。

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実はこの「つくることを考えてみよう」シリーズは、2022年度から発行され、今年度で4冊目となります。どの冊子にも、つくることについて深く考えるヒントがちりばめられています。また、つくることを実践するための、具体的な手引きとなるものでもあります。ぜひ合わせてご覧ください。

2022年度に発行された「竹編」、2023年度に発行された「森とであう」では、ものづくりの作業や、授業に取り組む際の具体的なヒントを多数紹介しています。

奥多摩を調べて伝えてみる 奥多摩町立氷川小学校 探求の学習

こちらも、『多摩の未来の地勢図 Cleaving Art Meeting』が、奥多摩町立氷川小学校6年生と実施した探求の学習についての記録です。

探究の時間は、自分が暮らす町について、自分自身で問いをたて、調べ、探究していくというもの。2024年11月末から3月にかけて、15回の授業を行いました。大切にしたことは、身の周りを見回し、興味や関心を”問うべき何か”に深めていくこと、そして、それを人に伝えること、伝えることで生まれた新たな問いをまた問い直すこと。この冊子には、探求を深めながら、また新たな「問い」に出会い、考えを深めていくこどもたちの生き生きとした姿が、授業の流れやそこでの発見とともに記録されています。

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○ZINE -エンジン- ACKT03

『ACKT(アクト/アートセンタークニタチ)』が発行するフリーペーパーの第3号。まちに住む人に情報を発信、収集することで、これまでになかった縁がつながり、これからの活動のきっかけとなることを目指して発行しています。

今回のテーマは「星座、はじめました」。ACKTでの活動紹介のほか、日本各地のさまざまな実践への取材を通じて、一人ひとりが自分らしさを考えながら、個性と連帯のプラットフォームについて考えています。

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めとてラボ 2024 ―活動レポート―

『めとてラボ』の活動レポート。2024年度は活動開始から4年目を迎え、ホームビデオ鑑賞会の開催や、「家」に潜むデフスペースデザインに関するリサーチ、手話独自の表現である「CL表現」に着目したワークショップの実施など、さまざまな活動を展開しました。これら1年間のプロセスをプログラムごとにまとめ、一昨年度から発行している円形の冊子に束ねられるように仕立てています。

1年目(2022年度)のレポートに付属していた金具を使って、3年分のレポートをまとめることができます。

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2024年度もバラエティに富んだラインアップとなりました。どのドキュメントも、自分たちの活動を紐解き、振り返りながら、これからの活動を伝えるために設計し、制作しています。

2024年の活動の様子や、そこでのさまざまな発見をみわたすことで、各プロジェクトがこれからどこへ向かっていくのか、何に挑戦しようとしているのかが見えてくるはずです。

東京アートポイント計画の各事業や、Tokyo Art Research Lab(TARL)では、毎年さまざまなドキュメントやツールなどを発行しています。これまでに発行したものを含め、制作物の多くはTARLウェブサイトの資料室から、PDFデータとしてダウンロードすることができます。また、さまざまな方に手にとってもらえるよう、各地の美術館や図書館、アートセンター等にも送付しています。こうして制作したドキュメントが、手にとっていただいた方それぞれにとっても、これからを見据えるための羅針盤になることを願っています。

全国へ送付する「WORDS BINDER」発送作業の様子。デザイナーの川村格夫さんに封入方法を教わりながら、東京アートポイント計画のプログラムオフィサー全員で作業する。
みなさまへ向けたレターも今回は5つの色味を用意。
一つひとつ、手作業で封をしていく。
デザイナーの川村格夫さん。
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