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問いを抱えて集まる。団体活動について、コロナ禍の企画について、広報や雇用について

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2021.04.27

執筆者 : 中田一会(きてん企画室)

問いを抱えて集まる。団体活動について、コロナ禍の企画について、広報や雇用についての写真

2021年1月18日、「つどつど会(都度集うアートマネージャー連絡会議)」第3回をオンラインで開催しました。

>前回のレポートはこちら

悩みを持ち寄る3

北は秋田から南は大分まで、幅広い現場を手掛ける5名のアートマネージャーが集まり、情報共有や相談を重ねていくつどつど会。今回も「悩みを持ち寄る」をテーマに、メンバーのうち3名が活動を紹介しつつ、悩みを共有するところからはじめました。

*つどつど会#03 悩みの発表者
・蟻川小百合さん(みずつち市民サポーターズ/新潟県)
・大政愛さん(はじまりの美術館/福島県)
・月田尚子さん(NPO法人BEPPU PROJECT/大分県)

投げかけられた現場からの問い

今回の発表と相談会では、性質の異なる団体・事業からさまざまな悩みが持ち込まれ、メンバーに問いが投げかけられました。すぐに答えが出るとは限りませんが、現場の問いを違う立場のメンバーと眺めることで、一歩進むヒントも共有できた様子。

約2時間に渡るつどつど会のなかで、投げかけられた問いの一部をご紹介します。

<市民団体としての問い>
・法人化しないことを決めた市民団体。自主的な活動として継続していくために必要なことは?
・ボランティアベースの活動だからこそ、集まるための拠点が必要ではないか? その場合の維持方法は?
・継続的な市民活動に有効な外部パートナーとの連携や、体制とはどのようなものか?

<コロナ禍のプログラムをめぐる問い>
・交流や体験できる企画を重視してきた美術館がコロナ禍でできることとは?
・デジタルシフトが中心だが、アナログでも体験できるコロナ禍に対応した面白い体験の可能性とは?

<アートプログラムの広報をめぐる問い>
・アート業界は紙文化中心。広報のデジタル化で成功する方法は? また、紙が中心になる理由とは?
・広報リストの管理は煩雑になりがち。他団体ではどのように管理している?

<組織のジェンダーバランス>
・アートの現場は女性が圧倒的に多い。バランスが偏る業界構造的な理由があるとしたら何か?

第3回を終えて。参加メンバーからのコメント(抜粋)

蟻川小百合さん(みずつち市民サポーターズ/新潟県)
「市民団体ならではのポジティブな側面とネガティブな側面の両方がありますが、団体の中だけで悩みを解決する必要などなく、むしろ補い合うパートナーを探すことができるのだということに気づき、前向きになれました。今年、これまでのような芸術祭はありませんが、これから自分たちは誰と何ができるのか、改めて話し合って考えていきたいです。ベップ・アート・マンスの団体と事務局の関係についてのお話も参考になりました。みずつち市民サポーターズは他の団体の情報発信など広報のサポートもしているので、それを口実に団体に集まってもらう場をつくるなど、できそうなことをやってみたいと思いました。
広報のデジタル化については、行政に近いところだとやはり平等性や世代格差の問題もあり、紙のほうがまだ強く残っていることは実感しています。TARLの告知はデジタルで効果が上がったというお話に関連して、私は2018年の東京プロジェクトスタディの説明会の動画をウェブで見て参加を決めたことを思い出しました! 地方にいると、ネットの情報にありがたみを感じることも多いです」

大政愛さん(はじまりの美術館/福島県)
「今回、私からは主にコロナ禍での“体験”の取り組みの事例についてお話を伺いたいと投げかけをさせていただいたのですが、全国のみなさん取り組みを紹介いただき、とても参考になりました。今回のコロナ禍の状況は先も見えず、課題ももちろん多いですが、新しい取り組み・つながりが増えるひとつのきっかけにもなると思いました。場所があるからこそできるアナログなこと、デジタルメディアやテクノロジーを活用してできることなど、今後のプロジェクトや展覧会を構想するきっかけになりました。また、アーツカウンシル東京・佐藤さんからいただいた『(主催者以外に)語ってもらうメディア・素材』というキーワードは、積極的に検討し、考えていきたいなと思いました」

岡田千絵さん(公益財団法人墨田区文化振興財団/東京都)
「市民プロジェクトとして始まった『みずつち市民サポーターズ』の展開について伺いながら、私自身がいつもプロジェクトに助成金を出したり、協力をお願いしたりする団体の方の顔が浮かびました。人材育成やプロジェクトに資金的支援をすることの功罪両面について考えさせられるお話でした。
記録のためのアンケートを作って、広報をし、記録を残して、次の広報につなげるという考え方。広報リストを管理することが大事。次のスタートのために、何かを残さなければと思っていたので、これも次年度の目標にします。
あと、前回の勉強会ででた『事業で悩んだら組織図をつくる』というヒントは、私の現場でも参考にしようと思っています。企画を公募していただく団体の方々に組織図から考えていただくことは組織の成長につながりそうですね」

月田尚子さん(NPO法人BEPPU PROJECT/大分県)
「3団体、それぞれの課題が具体的に聞けて新たな発見があり楽しかったです。紙媒体についての投げかけは、たくさんの具体例や意味合いが聞けて参考になりました。アーカイブのための事後広報に対し、告知のための事前広報は紙である必要があるのか?という点は、予算が限られている広報活動でどうやっていくか考えるきっかけになりました」

三富章恵さん(NPO法人アーツセンターあきた/秋田県)
「全部のご意見、共感することばかりでした! 私の場合、アーツセンターあきたの活動にとって、NPOという法人格が適当なのかも悩み時期にきています。現場ではNPOという法人格に対する誤解などがあり、どうしてもボランティア的な活動と受け取られがちなことがひとつの課題です。
また、広報の話。広報リストの管理についてこちらでは『Salesforce』導入の準備を進めています。チーム内での情報共有は、Facebookのビジネス版のWorkplaceを活用していますが、まだまだうまく行っているとは言えない状況です。次年度から事業計画・予算計画や工数管理、予算執行管理、事業評価を連動したスプレッドシートを取り入れて、経理や人事労務のような管理的スタッフと事業・広報で情報共有が図りやすい形をとろうと準備を進めています」

レポート執筆:中田一会(きてん企画室)

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