Tokyo Art Research Lab ウェブサイト(2016年度〜)

社会におけるアートプロジェクトの可能性を広げる学びのプログラム「Tokyo Art Research Lab」のウェブサイトです。アートプロジェクトを担うすべての人のための「使えるラボ」を目指し、2016年度に5年ぶりのリニューアルを行いました。

食を通じた地域の記憶の再発見~森のはこ舟アートプロジェクト「幻のレストラン」を振り返る~(APM#01 後編)

ART POINT MEETING#01 レポート後編「ヤマ・ウミ・えご」

 全国のアートプロジェクトの担い手は、日々、どんなことを考えながら活動しているのでしょうか。東京アートポイント計画の新企画「ART POINT MEETING」は、彼らがアートと社会についての思考と言葉を共有する、トークイベントです。2016年6月26日、その記念すべき第一回が、東京・神保町のMACRI神保町で開催されました。地域を超えてプロジェクトの担い手が集まった、イベントの模様をライター・杉原環樹がレポートします。

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 後半の「クロストーク」は、ひとつのプロジェクトの可能性を体験するコーナー。今回は、福島県を舞台に2015年12 月5日に開催された「幻のレストラン」を取り上げます。食とアートをテーマに活動するアーティストのEAT&ART TAROさん、福島県三島町で「森のはこ舟アートプロジェクト」に関わる三澤真也さんは、食を通して地域の歴史を再発見する同プロジェクトを、どのように作ったのでしょうか。

後半のセッションではプロジェクトで協働したアーティストとコーディネーターが登場。

普段着の交流から始まった、食を通じた地域の記憶の再発見

 さて、休憩を挟んだ後半の「クロストーク」。ひとつのプロジェクトを掘り下げるこのコーナーでは、「ヤマ・ウミ・えご」と題し、アーティストのEAT&ART TAROさんと、福島県の「森のはこ舟アートプロジェクト」に関わる三澤真也さんが登場。彼らが昨年行った、食をテーマとするプロジェクト「幻のレストラン」(森のはこ舟アートプロジェクト・西会津×三島エリア協働プログラム)について話しました。

 三澤さんが住む三島町は、前半に登場した矢部さんの住む西会津町の南側に位置し、自然との交流や、独自の狩猟採集文化が残る地域です。ただ一方、その人口は5年間で2000人から1600人に減り、福島県内でも人口減少率の高いエリアだと言います。

三澤真也さん(NPOわくわく奥会津.COM 地域コーディネーター、森のはこ舟アートプロジェクト 三島エリアコーディネーター)

 「幻のレストラン」は、この三島町と西会津町を結ぶ道としてかつて栄えた、「西方街道」へ注目することから始まります。山深い三島町では、現在のように流通網が発達するまで、海産物が非常に貴重な存在でした。そんな時代に、「塩の道」とも呼ばれた西方街道は、海の食べものを運んでくる経路であったと同時に、いまでは希薄になってしまった両町の交流を支えてきたのです。EAT&ART TAROさんは、こう語ります。

「かつての人々は、この街道の向こうに海を想像していたのではないか。現地を回るなか、そんなイメージが生まれました。また、住民の方々が日頃、隣町のことをあまり意識しないという現状を見て、イベントでその両者を混ぜ合わせたいと考えたんです」。

EAT&ART TAROさん(アーティスト)

 そこで彼が取り上げたのが、海藻の一種である「えご(草)」です。この食材を溶かして固めた寒天にも似ている食べ物は、海産物の乏しい当時から、刺身の気分が味わえる郷土料理として地元で愛されてきました。「西方街道・海と山の結婚式」という副題のついた「幻のレストレラン」では、そのタイトル通り、イベント会場を結婚式場のように装飾。三島町と西会津町の町長を含む両町の人々に、えごをはじめとした地元の料理をあらためて味わってもらい、街道の歴史を想像してもらう仕掛けが施されました。

 「ART POINT MEETING」でも、その追体験のイベントが。EAT&ART TAROさんが用意したのは、寒天状にしたえごに、黒蜜ときなこをまぶした2種類の料理。多くの参加者が初めて食べるえごの食感に驚き、会場も盛り上がりを見せていました。

「幻のレストラン」でも登場した「えご」が会場に。
海藻の一種である「えご(草)」からつくる地域食。

 「幻のレストラン」を作るにあたり、「地元のおじいちゃんやおばあちゃんの笑顔が見られたら成功だ、という従来の考えを踏襲したくなかった」と三澤さんは言います。

重要なのは、これから地域を担う若い人たちが、本当に楽しめるものにすることでした。そのため、最初はみんなで普通にバーベーキューをするなど、人と人をつなぐことをやったんです。『レストラン』という発想も、そこから来たものでした」。

 こうして交流を深めたEAT&ART TAROさんと地元の人たちは、リサーチを兼ねて西方街道の散策に出かけたと言います。専門家や利害関係者とは異なる視点から、日常の延長として地域を見つめ直すことで、地域にもともとあった郷土料理という資源を、アートを通して再デザインする「幻のレストラン」の構想が固まっていったのです。

 「一日限定のイベントを、地域に残していくことを考えたとき、大切なのは、そこに魅力的なストーリーを感じることができるということでした。地元に対して何の利害もないアーティストこそ、それをできる存在なんです」と三澤さん。一方で、EAT&ART TAROさんも、「自分はその町に住んでいない部外者。でも、だからこそ、地域の魅力をニュートラルな目線から発見し、自由なことを言えると思うんです」と語ります。

 アーティストが全面的にデザインするのではなく、地元の人が手を加えられる余白があることが重要。この視点は、前半のスピーカーたちの主張とも重なるものでした。

日常と非日常が交わるアートプロジェクトの重要性

 「クロストーク」終了後、前半に登場した矢部さんと馬場さん、森の三人で、今回のイベントを振り返る短いトークが行われました。

 このトークでも、着目されたのは「余白」や「余地」という言葉。馬場さんは、小川さんが「オーガニック」を「適当」という言葉に言い換えたことに注目し、合目的的になりがちなプロジェクトが多いなか、ゲームをするという「無駄」な時間を通して、活動を円滑にしている東南アジアのスペースは、「工作的だと感じた」と話します。

 それを受けて森は、EAT&ART TAROさんや三澤さんが、地元の人と最初に食事をしたり、道を歩いたりしたことを取り上げ、「それらはただの食事や散策なのか、それともプロジェクトのための調査なのか、見分けがつかないものになっている。しかし、とにかく人がつながることから、始まるものがあると思います」と語りました。

 外部からある場に訪れ、隠れた価値を見出すアーティスト。しかしその役割は、「生活に非日常を持ち込むだけでもない」と矢部さん。「東日本大震災のとき、アートはむしろ、日常的な安定を感じさせる働きが求められたと聞きました。。一方、『幻のレストラン』では、普段の食の見方が変わったとの意見もあり、その感覚は生活のなかでも残るはず。そんな、日常と非日常の反転が起こりやすい仕掛けづくりが重要だと思います。」。

 こうして、3時間におよぶ、第一回の「ART POINT MEETING」は終了。

 イベント後、今後、地方の試みにどう関わっていくかを森に尋ねると、「僕は地方のプロジェクトにこそ、教わるべきポイントがあると思うんです。東京と言っても、エリアによっては地方と同じ問題を抱える場所もあり、一括りにできない。解像度を上げ、その場に本当に必要なプロジェクトを作ることが大切だと思います」との答えが。

 一方、福島から参加した矢部さんは「東京に求めること」をこう話してくれました。

「それぞれの地域には、それぞれの問題があります。その意味で、東京で上手くいっているモデルを福島でやろうと思っても、通用しません。でも、自分たちで問題を発見するためにも、外部の試みを知ることは重要。今回のような全国のプロジェクトをつなぐ機会は、東京以外には作れないと思うので、今後もそうした役割を期待したいです」。

 全国からアートプロジェクトの担い手たちが集まった、今回のイベント。「アートと社会をつなぐ」というと、とかく大義名分が前面に出されがちですが、図らずも多くのの登壇者から、そうした教科書的ではない時間や場所、行為の重要性が語られたのが印象的でした。そして、すべてのプロジェクトに共通していたのは、あくまで自分たちの生活や日常空間からイベントを立ち上げようとする、その「必然性」だと感じます。

 「ART POINT MEETING」は今後も約半年に1回のペースで開催。多様なプロジェクトを担う人々の知恵と言葉が交差する場として、機能していくことが期待されます。

イベントを通して、東京アートポイント計画に参加しているNPOメンバーや、アートに関心の高い人、アートポイントスタッフが、ゆるやかに交流しました。
次のART POINT MEETINGは半年後に開催予定。お楽しみに。

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(撮影:冨田了平)

工作的都市、オーガニックな関係、地域のDNA ~馬場正尊×小川希×矢部佳宏 2020年以降への視点~(APM#01 前編)

ART POINT MEETING #01 レポート前編「アートの2020年問題」

全国のアートプロジェクトの担い手は、日々、どんなことを考えながら活動しているのでしょうか。東京アートポイント計画の新企画「ART POINT MEETING」は、彼らがアートと社会についての思考と言葉を共有する、トークイベントです。2016年6月26日、その記念すべき第一回が、東京・神保町のMACRI神保町で開催されました。

 イベントは二部構成。前半の「トークセッション」では、文化的な祭典でもある東京2020オリンピック・パラリンピックまで残り4年を切るなか、芸術複合施設「Art Center Ongoing」を運営する小川希さん、福島県西会津町の文化交流施設「西会津国際芸術村」でコーディネーターを務める矢部佳宏さん、空き物件を紹介するサイト「東京R不動産」のディレクターである馬場正尊さんをゲストに、「アートの2020年問題」を語り合いました。

 後半の「クロストーク」は、ひとつのプロジェクトの可能性を体験するコーナー。今回は、福島県会津地域を舞台に2015年12月5日に開催された「幻のレストラン」を取り上げます。地域を越えてプロジェクトの担い手が集まった、イベントの模様をライター・杉原環樹がレポートします。

モデレーターの森司(アーツカウンシル東京 東京アートポイント計画ディレクター)

オーガニックな関係が、自発的なプロジェクトの土台になる

 本番当日。約70名が集まったイベントは、東京アートポイント計画のディレクターで、今回のイベントのモデレーター・森司による趣旨説明からスタート。「今回の『アートの2020年問題』というテーマの背景には、アートの『アートらしさ』を再確認することで、現在のプロジェクトを2020年以降の文化の土台にしていきたい、という思いがありました」と語ります。「トークセッション」では、そんな2020年以降も視野に入れた活動をするうえで重要な観点を、三人のスピーカーがプレゼンしました。

小川希さん(TERATOTERA ディレクター、Art Center Ongoing 代表)

 一人目のスピーカー、「Art Center Ongoing」の代表を務める小川希さんは、JR中央線の高円寺〜国分寺間を舞台とした東京アートポイント計画のプロジェクト「TERATOTERA」を、2009年より展開しています。「Ongoing」は、若くて実験的な作家の個展を2週間にひとつのハイペースで開催する、コマーシャルギャラリーとは一線を画すインディペンデントなスペース。収益を、週末のイベントやカフェの売上でまかなうことで、挑戦的な作家を紹介してきましたが、この方法論を街で展開したのが「TERATOTERA」だと言います。

 そんな小川さんは、今年の1〜4月にかけて、国際交流基金アジアセンターの支援を受け、東南アジアのオルタナティブスペースをリサーチする旅に出ていました。今回はその話題が中心でしたが、驚くべきは、わずか4カ月で9カ国・合計83カ所ものスペースを巡ったということ。小川さんは語ります。

なぜ東南アジアに、それほど多くのオルタナティブスペースがあるのかというと、美術館などの公共施設が少ないからです。発表の場がないことから、東南アジアではアーティストが自分で場所を作ることが、当たり前になっているんです」。

 日本でも近年、アーティストが運営する「アーティスト・ラン・スペース」が注目されていますが、東南アジアにも同様の試みが多く存在することは新鮮な発見でした。

 フィリピン・マニラの代表的スペース「98B COLLABoratory」や、街全体が巨大な芸術家村であるアンゴノの「Neo-Angono」、リサーチャーのみで組織されたインドネシア・ジョグジャカルタの「KUNCI Cultural Studies Center」など、ユニークなスペースが紹介されましたが、なかでも小川さんが、「アーティストによる組織の完成形だと思った」と語るのが、同じくジョグジャカルタの「ruangrupa」の活動です。

「このコレクティブは、ギャラリーやレジデンス、ラジオ局の運営や企業とのコラボも行っていて、規模が大きいのですが、バラバラに進行するイベント間の情報共有が非常にうまくいっているんです。どう運営しているのかと思ったら、メンバーが集まってただゲームをするなど、ダラダラした時間がすごく多い(笑)。でも、この『オーガニック』な、日本語なら『適当』な関係性が、活動の土壌になっていると感じました」。

 この経験から小川さんが2020年に向けたキーワードと語るのは、「コミュニティ」「オーガニック」「ネットワーク」「インディペンデント」「シェア」。面白いのは「ネットワーク」の側面で、「日本を発つまで5カ所しかスペースを知らなかったのに、各国での紹介をつなぎ、83カ所を回れました。それに対して日本では、スペース間の連帯が弱い」と小川さん。東南アジアの自生的なシーンの可能性を感じさせるプレゼンとなりました。

>>参考:Ongoing小川の東南アジアリサーチ旅行記

自然と人間の関係から、地域の文化的なDNAは生まれる

 つづくスピーカーは、福島県西会津町の「西会津国際芸術村」や、「森のはこ舟アートプロジェクト」でコーディネーターを務める矢部佳宏さん。エリアの9割を森林が占める西会津町は、かつては文化的な土地として栄えていました。しかし、昭和40年代後半をピークに過疎化が進み過疎化が進み、いまでは人口7000人を切る「陸の孤島」に。東日本大震災を契機に帰郷した矢部さんは、そんな地域の「芸術による活性化」を目指しています。

矢部佳宏さん(西会津国際芸術村コーディネーター、NPO法人西会津国際芸術村理事、森のはこ舟アートプロジェクト西会津エリアコーディネーター、ランドスケープアーキテクト)

ただ、地元の人にとってアートは、いわば外部からの『強風』です。僕が活動でいつも意識するのは、その『強風』を『そよ風』にして地域に拡げること。そして、地元に根付いたクリエイティブな人材を育成することです」と矢部さんは語ります。

 この方針のもと芸術村では、ギャラリーやレジデンス、移住サポートなどを展開しています。レジデンスのアーティストには、地元の人が日々行う作業の手伝いが滞在条件に与えられますが、これは「地方では生活のインフラを自分で整備する慣習がある」との考えに基づくもの。では、日常的な作業に触れることが、なぜ重要なのでしょう。

「近年、『地方消滅』という議論が語られますが、そこで指標とされているのは、多くの場合、人口の減少ではないかと思います。しかし僕は、地域が数千年をかけて育んできた『文化的なDNA』を無くすことが、本当の地域の消滅だと考えているんです」。

 矢部さんは、土着の人々が行い続けてきた営みの意味を理解・継承することで、人口の多寡にかかわらず、海外を含む外部の人々にとっての魅力ある地域づくりが可能だと言います。

「重要なのは、ネイチャー(自然)とカルチャー(文化)は、本来は別物ではないということ。文化は土地を生きる知恵から生まれてきたもので、その意味では自然の内に包含されます。そんな土地の記憶の持つ、新しい環境文化を築きたいと思っています」。

 この視点は、「森林+アート」がテーマの「森のはこ舟アートプロジェクト」にも貫かれています。かつて生業を通じて育まれていた森林文化が失われるいま、アートに求められるのは、自然との関係の「文化的価値の再発見」だと矢部さんは語ります。

「アーティストは、生業で結ばれていた土地と人間の間にあらためて入り込み、その関係を文化としてかたちにすることができます。しかし大切なのは、あくまでもそこに住む人、もしくは移り住んだ人がその文化を自分たちのものとして受け継いでいくこと。そういう意志ある人を多く育てることでしか、地方が生き残る道は無いと思います」。

建物の利用者がつくる、21世紀の工作的都市

 こうした価値の再創出を、都市環境に見てきたのが、三人目に登場した馬場正尊さんです。それぞれ、空き物件や公共施設に新たな使い途を提案する「東京R不動産」「公共R不動産」は、脱スクラップ&ビルド型の建築観として注目を集めてきました。そんな馬場さんが挙げたキーワードは、「計画的都市から工作的都市へ」です。

馬場正尊さん(建築家、Open A代表、東京R不動産ディレクター、東北芸術工科大学教授)

 「20世紀の都市開発では、設計者によってガチガチにデザインされた『計画的モデル』が主流を占めていました。しかし、新国立競技場をめぐる白紙撤回騒動にも見られるように、このモデルは現代では通用しなくなっていると感じます」と馬場さん。

 そこで馬場さんが提案するのが、設計者だけでなく、利用者の手でも建物が変更されていき、その部分的な改修が結果的に都市全体を変えるような「工作的モデル」です。

 そうした街のあり方へ興味を持つきっかけが、「東京R不動産」を始める以前のロサンゼルス旅行で見た、チャイナタウンの風景だったと言います。その街ではアーティストによってゲリラ的に街の再生が図られており、「利用者が介入できる隙のある空間に惹かれ、街の再生にはアートが有効に働くことを学んだ」と馬場さんは話します。

 こうして2003年に「東京R不動産」を開始した馬場さんに、「工作的モデル」の可能性を一層感じさせたのは、2002年から8年間、毎年開催された、神田、秋葉原、人形町、日本橋エリアを舞台とするアートイベント「Central East Tokyo(CET)」でした。

「CETでは、作家の希望に応じて空き物件を探し、改修する作業を繰り返しました。10年間に手がけた物件は約100カ所。それらはいまも、ギャラリーや店舗として使われています。この経験は、点としてのリノベーションが面としてのエリアを作ること、非日常のイベントが日常として生活になじんでいく姿を、僕に見せてくれました」。

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 同じように、近年力を入れる「公共R不動産」については、「従来も、官から民への施設の払い下げはありましたが、一般の人が気軽に場所を利用できる仕組みはなかったんです」と語ります。実際、プロジェクト開始後、施設利用に関する企画書を公募すると、応募が殺到。需要と供給のミスマッチが、都市資源を無駄にしていたのです。

 新しい建築を建てるのとは異なるこうした取り組みは、じつは世界的な潮流でもあります。たとえば、職人の開かれたネットワークで知られるインドの「スタジオ・ムンバイ」や、2016年の「プリツカー賞」(建築界のノーベル賞とも言われる)を受賞した未完の建物をつくるチリの建築家・アレハンドロ・アラヴェナは、その代表的な存在。

 20世紀の「計画的モデル」から、21世紀の「工作的モデル」へ。その視点は、オリンピックに向け開発の進む東京でこそ、真剣に考えられるべきものでしょう。

会場には、東京アートポイント計画やTokyo Art Research Labなどから生まれた出版物を手に取れる「ART POINT BOOKS」コーナーも。
セッションの合間には、アーツカウンシル東京・大内伸輔から「東京アートポイント計画」の紹介も行いました。

>>レポート後編へつづく

(撮影:冨田了平)

としまアートステーションXのつくりかた

アートを生み出すささやかな営み「アートステーション」をまちなかに出現させながら、多様な人々による、地域資源を活用した主体的なアート活動の展開を目指した『としまアートステーション構想』。その取り組みを紹介するとともに、何を目指し、何を考え、何をしてきたのか、6年間の活動をまとめた一冊です。

もくじ

考える編
としまアートステーション構想とは
としまアートステーション X とは
としまアートステーション X に至るまで

つくる編
拠点を開くことで人々を育てる
人々を巻き込む活動を起こす
人々をつなぐことで活動を育てる
活動を持ち込むことで人々を巻き込む

まとめ編
アートステーションをめぐる言葉
シンポジウム「人とまちをつなぐアート/その実践と展望」
オノコラーの声
事務局の声

としまアートステーション構想実施概要

NICORABAN vol.00

「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」は古い電化製品を使ってオリジナルな楽器を産み出してきたアーティスト・和田永が、あらゆる人を巻き込みながら新たな楽器を創作し、量産し、奏法を編み出し、徐々にオーケストラをかたちづくっていくプログラムです。NICOS LAB(それぞれの得意分野をいかしながら、一緒に考え、制作し、盛り上げるチーム)とともに、日夜実験を繰り広げています。

『NICORABAN』は、NICOS LABメンバーが、プロジェクトがスタートした2015年2月の「滞在制作篇」から第1回目のコンサート「初合奏遭遇篇」までを振り返る記録集です。

Artpoint Meeting 2016

社会とアートの関係性を探るトークイベント

「まち」をフィールドに、人々の営みに寄り添い、アートを介して問いを提示するアートプロジェクト。Artpoint Meetingは、アートプロジェクトに関心を寄せる人々が集い、社会とアートの関係性を探り、新たな「ことば」を紡ぐ東京アートポイント計画のイベントです。

2016年度は、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた動向や、新たな「公」の考え方、捉え方について議論を深めます。

詳細

スケジュール

2016年6月26日開催
Artpoint Meeting #01 –アートの2020年問題–

  • ゲスト:馬場正尊、矢部佳宏、小川希、EAT&ART TARO、三澤真也
  • 会場:MACRI神保町

2017年2月12日開催
Artpoint Meeting #02 公(おおやけ)をつくる

  • ゲスト:田口幹也、西村佳哲、長島剛
  • 会場:Startup Hub Tokyo