ウェブサイトの使い方

ウェブサイトについて

Tokyo Art Research Lab(TARL)は、東京アートポイント計画が運営するアートプロジェクトの担い手のためのプラットフォームです。この社会に応答するためのさまざまなコンテンツを閲覧・視聴したり、参加したりすることができます。カテゴリーは、以下の3つです。

  1. 資料室:アートプロジェクトの企画や運営、記録などに関する資料
  2. ひとびと:これまでに協働したさまざまな専門性をもつアートプロジェクトの担い手のプロフィール
  3. プロジェクト:さまざまな社会課題や問題意識にアプローチする学びの場

また、都内で東京アートポイント計画が実践している「アートプロジェクト(共催事業)」を紹介しています。

資料室

アートプロジェクトの企画や運営、記録などに関する資料を無料で公開しています。

資料室のページ。左側には資料室の説明と、資料の郵送、資料の活用例のボタン、各資料のサムネイルが3列で並んでいる。右側には「絞り込む」の欄があり、制作年度、ステータス、メディア、キーワードといったジャンルの中からチェックボックスで絞り込むことができる
  • 書籍・広報物・映像など、さまざまな形式のデータを閲覧・ダウンロードできる
  • 一部の資料は取り寄せ可能
  • 興味のあるキーワードから検索できる(アートマネジメント、拠点運営、評価・検証、コミュニケーション、アーカイブ、公共、災害・災間、手話、音楽、思考の種……)
  • 各ページには近しいテーマの関連資料や関連プロジェクトを掲載

>「資料」一覧はこちら

ひとびと

これまでに協働したさまざまな専門性をもつアートプロジェクトの担い手の一覧です。

ひとびとのページ。左側にはひとびとの説明と、人物写真のサムネイルが4列で並んでいる。右側には「絞り込む」の欄があり、参加年度、ジャンルの中からチェックボックスで絞り込むことができる
  • アートプロジェクトを担うさまざまな職種・職能が概観できる
  • その人物のプロフィールとかかわった資料やプロジェクトを掲載
  • 専門性のジャンルから人物を検索できる(創作/表現、マネジメント、ディレクション、拠点運営、調査/研究、ライティング、編集、デザイン、中間支援……)

>「ひとびと」一覧はこちら

プロジェクト

社会の変化に応答し続けるために、さまざまな社会課題や問題意識にアプローチする学びの場をひらいています。

プロジェクトのページ。左側にはプロジェクトの説明と、サムネイルが2列で並んでいる。右側には「絞り込む」の欄があり、開催年度、参加費、参加方法、キーワードの中からチェックボックスで絞り込むことができる
  • トークイベントやワークショップ、映像を使った教材制作、テーマを深掘りする研究・開発などを実施
  • 手話やろう文化に触れる、災害・災間について考える、外国ルーツの若者の現在を考えるなど、多岐にわたるテーマの企画を実施
  • 企画本番や準備の様子をまとめたレポートや、関連資料を掲載

>「プロジェクト」一覧はこちら

アートプロジェクト(共催事業)

ウェブサイトを企画・運営している「東京アートポイント計画」が、東京都・アーツカウンシル東京・NPOの3者でパートナーシップを組みともに実施しているアートプロジェクトや、自治体と共催する文化事業を紹介しています。

共催事業のページ。左側には共催事業の説明と、サムネイルが2列で並んでいる。右側には「絞り込む」の欄があり、共催年度、キーワードの中からチェックボックスで絞り込むことができる

>「共催事業」一覧はこちら

そのほかにも、さまざまな機能があります

ウェブサイトのメニューから各ページにアクセスできるほか、自由検索機能やキーワード検索機能を使って、興味・関心のあるコンテンツを探すこともできます。また、資料室やプロジェクトの一覧ページでは、好みに合わせて表示方法を切り替えることもできます。

画面右上のMENUマークをクリックしたときのキャプチャ画像。探す、参加する、わたしたちというカテゴリーと各項目、東京アートポイント計画EnglishSiteというバナーが右側にある
メニューからは「探す」「参加する」などのカテゴリ―から各ページにアクセスできる
画面右上の虫眼鏡のマークを推した時のキャプチャ画像。フリーワードで探す、キーワードで探すという項目が右上に新たに表示されている
「虫眼鏡のマーク(SEARCH)」からは、フリーワードやキーワードで検索できる
資料ページのキャプチャ画像。左側に資料のタイトル、説明文、人物名、キーワード、日付、サムネイル画像のセットが1列に表示されている。右側には絞り込みのためのメディア、キーワードのチェックボックスがある
資料とプロジェクトは、画面左上の「四角のマーク」と「箇条書きのマーク」から表示方法を切り替えられる

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できることは違うが、悩みは似ているパートナーシップは励まされる——都立第五福竜丸展示館+一般社団法人NOOK「カロクリサイクル」【ジムジム会2024#1レポート】

東京アートポイント計画に参加する複数のアートプロジェクトの事務局が集い、活動を展開するうえでの手法や視点を学び合ったり、悩みや課題を共有し合う勉強会「ジムジム会(事務局による事務局のためのジムのような勉強会)」。2024年度は全体のテーマを「パートナーシップ」として行います。5月31日、江東区夢の島の都立第五福竜丸展示館で開かれた第1回の様子をレポートします。

今年度のジムジム会は、活動テーマを「パートナーシップ」としています。ここでのパートナーシップとは、アートプロジェクトの事務局と、地域の行政機関や施設、団体などとの協働関係のこと。普段の活動の幅を広げるこうしたかかわりは、関係者それぞれに新たな視点や課題の解決をもたらす可能性があるほか、東京アートポイント計画との共催を卒業したあとの活動の持続可能性を模索する意味でも、事務局にとって重要なものと言えます。

いっぽうで、一言で「パートナー」と言っても、そのかかわり方や活動の仕方はプロジェクトごとにさまざま。また、すべての事務局が、地域のなかにそうした協働相手を見出しているわけではありません。そこで今年度のジムジム会では、すでに地域のパートナーと取り組みをはじめている事務局の現場をみんなで見学し、その知見を共有することにしました。

こうしたなかで開かれた第1回目のジムジム会では、一般社団法人NOOKが江東区を拠点に展開する「災禍の記録(=カロク)」をめぐるプロジェクト「カロクリサイクル」と、同区内にある第五福竜丸展示館のかかわりや活動について取り上げました。両者は災禍の記憶や記録を伝えるという取り組みの共通性から、2023年より協働を行なっています。

各プロジェクトのメンバーたちをはじめ、東京都やUR都市機構の職員など約20名ほどが参加したジムジム会当日。会場に集まった参加者はまず、展示館の学芸員である蓮沼佑助さんの案内で館内をひと巡りしました。

第五福竜丸展示館は、その名の通り、1954年3月1日にアメリカがマーシャル諸島のビキニ環礁で行った水爆実験で被害を受けたマグロ漁船「第五福竜丸」の実物と、その関連資料を展示している施設です。この事件では、「死の灰」と呼ばれる放射性降下物に触れた船の乗組員23名が被ばく。周辺の島々で暮らす人たちにも深刻な被害をもたらしました。

第五福竜丸の船体はその後、放射能の減衰を待ち、東京水産大学(現・東京海洋大学)で学生のための練習船として使われていましたが、1967年に廃棄処分に。以降、ごみの埋立地として知られた夢の島に放置されていましたが、地元・江東区の住民を中心に起こった保存運動の末に東京都の所有となり、1976年に開館したこの施設で展示されてきました。

こうして生まれた展示館では、事件の経緯や社会的影響、最初の犠牲者となった久保山愛吉さんら乗組員をめぐる状況などを、豊富な資料を通して知ることができます。また、第五福竜丸の被ばくに限らず、1945年7月16日のアメリカのトリニティ実験以来、人類が行ってきた2000回を超える核実験の歴史を紹介し、その幅広い被害も伝えています。参加者には同館に訪れたのが初めての人も多く、展示物にじっと目を向けていました。

当事者の経験をいかに伝えるのかという共通の関心

その後、展示室の一角で、蓮沼さんとカロクリサイクルの運営に携わるアーティストの瀬尾夏美さん、プログラムオフィサーの佐藤李青(聞き手)によるトークが行われました。

カロクリサイクルの運営母体で瀬尾さんが代表を務める一般社団法人NOOKは、2011年の東日本大震災を機に、2015年に設立されたアーティストや研究者らの集まりです。同団体ではこれまで、仙台を拠点に東北を中心とした被災地のリサーチや記録、それを通した表現活動を展開してきましたが、2022年に東京アートポイント計画での事業「カロクリサイクル」がはじまるとともに、東京都に活動拠点を移しました。2023年にはUR都市機構の協力のもと、江東区にある大島四丁目団地の一角に拠点「Studio 04」を設置して、東北での経験を活かした活動をはじめています。

この拠点の移動の理由について瀬尾さんは、「東北での活動を東京に持ってくることで、別の回路やネットワークをつくれるのではないか」と考えた点や、瀬尾さん自身をはじめNOOKのメンバーにはもともと東京出身者が多かった点などを挙げ、「東京にも、自然災害や戦争などいろんな歴史の蓄積がありますが、普段はあまり見えてきません。東京に住む自分たちの背景にも災禍の経験があることを、東北での活動を通して感じるようになったんです」と話しました。

NOOKと第五福竜丸展示館の接点が生まれたのは、瀬尾さんたちが都内にある災害や戦争についての博物館・資料館巡りをしているなかで、同じ江東区内に第五福竜丸展示館があることに気づいたことがきっかけでした。瀬尾さんたちが同館を訪れ、じっくり時間をかけて展示を見ていると、その真剣な姿を目にした学芸員・市田真理さんから声がかかります。市田さんは以前から瀬尾さんの活動を知っていたそうで、これがこの二組の出会いとなりました。

この出会いについて瀬尾さんは、「近年は、東京電力福島第一原子力発電所での事故の文脈を通じて第五福竜丸展示館を訪れる人も増えていると聞きました。これまでも社会的な出来事や関心が変化してきたなかで、展示館自体も、同時代的な動きに合わせて展示内容をアクティブに変えてきたそうです。その姿勢と、被災地のアクティブな記録を目指してきたNOOKの活動には通じる部分が多いと感じてきました」と振り返りました。

さらに瀬尾さんは、第五福竜丸の被ばくと、原発事故をはじめとした東北の状況には、大国や都市の論理に基づく仕組みや行動によって、マーシャル諸島や東北といった相対的に周縁的な地域に甚大な被害がもたらされるという「構造的な類似」もあると指摘します。

例えばマーシャル諸島では近年、地球温暖化がもたらす海面上昇によって島々が水没する可能性が指摘されていますが、そのことによって土地にまつわる物語や記憶が失われてしまうことを嘆く現地の人たちの声は、瀬尾さんたちが震災後に陸前高田の嵩上げ工事について聞いた現地の声とも重なっていました。こうしたつながりから瀬尾さんは、展示館でもインタビューを上映しているマーシャル諸島の詩人キャシー・ジェトニル=キジナーさんの書籍の挿画も手掛けることになりました。

もうひとつ瀬尾さんたちにとって重要だったのは、第五福竜丸展示館とカロクリサイクルの活動に、当事者の経験をいかに伝えるのかという共通の問題意識があったことでした。

カロクリサイクルが取り組む記憶の継承活動では、記憶をどう扱うかという倫理の問題がつねに重要ですが、展示館でも蓮沼さんを含む3人の常勤職員が、それぞれの視点から歴史的な出来事の伝え方を日々試行錯誤しています。そのことを踏まえ瀬尾さんは、「展示館はまさに『伝える現場』。当事者から聞いたことを大切に受け止めながら、スタッフのみなさん、ボランティアのみなさんがそれぞれに悩みながらも、伝えることを実践している場所ですよね。アートの人たちを含め、出来事から距離があると感じる人たちは、自分が語っていいのか、伝えていいのかと悩みます。ですが、それで諦めて何もしないのではなく、関心があることは聞いて、学んで、自分なりに『伝える』実践をしていったら良いと思うんです。展示館のような『伝える』現場で働く人たちに学ぶことがあるし、悩みを共有して、協働できることもたくさんあるはず」と話しました。

互いの解像度と、活動の幅を上げる協働のかたち

出会いのあと、展示館の市田さんをNOOKのYouTube番組「テレビノーク」にゲストで招くなどして交流してきた二組。その両者が本格的に一緒に行った活動が、2023年の7月から9月にかけての計5日間にわたって開催されたワークショップ「記録から表現をつくる 2023」です。

「記録から表現をつくる」は、NOOKが2022年から開催している「残された記録を見る、あるいは新しく記録をすることから、表現をつくるワークショップ」です。公募で集まった10数名の参加者が、記録を使って活動する人の話を聞いたり、それをもとに話し合いをしたりしながら、各自のテーマを設定。期間中にテーマを掘り下げ、最終日に開催される展示においてそれを共有し、対話を行うという内容で、2023年にはリサーチ先として第五福竜丸展示館を訪問。「記録を使い、伝える先輩」として市田さんの話を聞き、そこから各自が表現を探し、かたちにしました。

「記録から表現をつくる 2023」の様子(写真左:参加者に向けて説明をしている方が市田さん)

参加者の表現は多岐にわたりましたが、瀬尾さんはその一つとして、新潟で新潟水俣病の被害者の声を長く聞いてきたという参加者の話が印象的だったといいます。その人は、新潟水俣病の影響で魚が食べられなくなることを嘆くある漁師の話を扱いましたが、第五福竜丸展示館でも放射能の影響でマグロが大量に廃棄されたことが紹介されていました。このつながりについて瀬尾さんは、「そんな風に、何かの現場にかかわっている人は、記録や語りを受け取る解像度が高いため、別の現場に来たときに、互いに共通した課題意識や感覚が発見できたりします。ワークショップの面白さの一つは、そうやって現場同士の結びつきが生まれるところだと思います」と指摘します。

その話を聞いた蓮沼さんは、「資料館でも汚染の被害は紹介していますが、漁師がどう感じたのかは展示できていません。それを表現にしてもらえるのは大きいです」とコメント。また佐藤も、「普段展示を通して何かを伝える機会は多いけれど、人がそこから何を受け取ったのかを知る機会は、じつは少ないですよね。それが表現として見えたのもおもしろいポイントだったと市田さんも感想を話されていました」と紹介。記録に触れた人が表現をすることの意義を語りました。

両者のかかわりはその後も続きます。2023年には、公募で集まった参加者が江東区にかかわりのある人たちに「窓」についての話を聞き、その成果を発表した「とある窓」展で、展示物のひとつとして市田さんの話が扱われました。これは、参加者の一人である柳川悠月さんが記憶の継承について学ぶ大学生だったことを受け、瀬尾さんが彼女に市田さんを紹介したことで生まれた縁でした。

さらに、第五福竜丸の被ばくから70年目となる2024年には、この出来事を幅広い人たちに伝えるための展示館によるSNSの発信企画に、柳川さんが協力。文章と、マンガ家・イラストレーターのかつしかけいたさんによるイラストで、70年前の「その日」に何があったのかを約1年にわたり投稿する「第五福竜丸航海記」という企画が生まれ、いまも続いています。

SNSで投稿されている「第五福竜丸航海記」(都立 第五福竜丸展示館 Facebookより)

違うけれど似ている、横のネットワークの重要性

トークの最後は、佐藤の「パートナーとはどのような存在でしょうか? 一緒に一回のイベントをやることだけではないのだと思います。展示館とNOOKでは偶然の出会いからはじまりさまざまな活動を行っていますが、そのときのパートナーという存在について聞かせてください」という質問を起点に、両者の関係をあらためて振り返りました。

この質問に蓮沼さんは、展示館では普段、学校や近隣地域と交流することはあっても、自分たちと同じような活動を行う団体との具体的な活動につながるようなネットワークが少なかったと語ります。また、普段の仕事のなかでは、どうしても見学者と「説明をする側/される側」という一方通行な関係になってしまうことが多く、そうした関係性を超えて活動の幅を広げるためにも、「以前からNOOKのようにオリジナリティのある企画で展示館を活用してくれる人たちを求めていた」と振り返ります。

この話を聞いた瀬尾さんは、自身も記憶継承をめぐって活動するなかで、「さまざまな資料館の人たちが悩みながら発信している姿を見てきた」と語ります。「私自身はアーティストで、どちらかというと、出来事を抽象化して感覚的に表現にするような仕事をしています。そういう自分の仕事は、事実性を大事にする資料館の人にはどう受け取ってもらえるんだろうと思っていたんですけど、実際にかかわってみると、資料館の人たちからは『もっとやって』と言われることも多いんですよね」として、記憶継承に関する施設にじつは表現分野とのかかわりに対するニーズが潜在していることを示唆しました。

実際、蓮沼さんも「我々のような施設の人間は資料に基づいてしか語れません。そこからこぼれ落ちるものを他の人が表現してくれるのは、痒いところに手が届く感じがします」と話すように、こうしたかかわりは、施設の資料に普段とは異なる光を当てる可能性も秘めていると言えるでしょう。

トークの最後では、瀬尾さんがここまで話してきた内容を踏まえ、「できることは違うけれど、悩みは似ているというようなパートナーシップは励まされます」とコメント。「もし資料館の人がもっと越境的な表現が必要だと感じるときは私たちのような表現者に声をかけて使ってもらいたいし、アートの人たちはもっと資料館を活用したほうがいいんじゃないかなと思います」と語り、こうした協働がほかの施設や地域でも広がっていくことに期待を寄せました。

両者の対話のあとの展示館では、その場に残り、長い時間、感想を話し合う参加者たちの姿が多く見られました。

今回、「ジムジム会」のメンバーを迎えた蓮沼さんにあらためてこの日の感想を聞くと、「とても心地よい、やりやすい会でした。私たちとしても、この展示館の特殊性を理解してくれる人たちとの対話を求めていたんです」とのコメントが。「行政や学校への説明はどうしても形式的になってしまい、自分の言葉で話せないけれど、今日のようにその壁を越えてお互いに悩みが話せる機会はうれしいです」として、「思考がほぐれた感じがしました」と手応えを話してくれました。

「記憶を継承する」という共通の関心に、異なる専門性や立場からかかわる二組の活動について学んだ今回の「ジムジム会」。そこからは、互いの活動に相補的に新しい可能性と広がりをもたらす、「パートナーシップ」のひとつの良いかたちが感じられました。今年度のジムジム会では、このテーマについて引き続き考えていく予定です。

撮影:小野悠介(7、8枚目除く)

ジムジム会 2024

6つのアートプロジェクトが現場の知見を共有しあい、ネットワークを形成する互助会

アートプロジェクトは、企画や広報、経理などを担当する事務局の人々によって支えられています。
人手や時間、資金が限られているなかで、安定した体制で長く活動を続けていくためにはどうすればいいのか。日々プロジェクトの運営方法を模索し、さまざまな悩みを抱えながら活動している現状があります。

そこで、2019年度から同じような悩みを抱える「東京アートポイント計画」に参加する団体が集まり、「事務局による事務局のためのジムのような勉強会(通称:ジムジム会)」をひらき、広報やウェブサイト制作などの実務的な課題について共有し、学び合ってきました。

2024年度は、「パートナー」を主題として全4回のプログラムを実施。東京アートポイント計画の共催団体が集い、事業に関連する拠点やイベント等を訪問します。
プロジェクトで協働している地域団体、文化施設、自治体等との連携の現場や課題、成果を共有し合い、文化事業が地域に根ざすための仕組みと継続性についてディスカッションすることで、現場を動かすスキルの獲得や新たなネットワークの形成を目指します。

詳細

スケジュール

  • 2024年5月31日 第1回
    [ホスト] カロクリサイクル × [パートナー] 都立 第五福竜丸展示館
    カロクリサイクルがリサーチの一環として連携している施設「都立第五福竜丸展示館」を訪問。展示館担当者による館内ツアーや、カロクリサイクルとの事業連携、今後の活動の展望について話を伺う。

 

 

  • 2024年12月18日 第3回
    [ホスト] 多摩の未来の地勢図 Cleaving Art Meeting × [パートナー] 昭島市立光華小学校
    多摩地域の小学校の図工専科教員を対象としたプログラム「ざいしらべ」を通じて、多摩の未来の地勢図が協働している小学校を訪問し、教員や小学校との連携における現場の活動内容を紹介する。

 

  • 2025年2月19日 第4回
    [ホスト] アートアクセスあだち 音まち千住の縁 × [パートナー] 足立区
    10年以上にわたり東京アートポイント計画として活動してきたNPO法人音まち計画と、足立区シティプロモーション課の連携について、プロジェクトを地域で展開するうえでの工夫、試行錯誤を共有する。

内容

  • アートプロジェクトの事務局が集う会の開催
  • アートプロジェクト間での連携団体の現場訪問及びネットワークの形成

自分のアートプロジェクトをつくる

自分のなかから生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトをつくる力を身につける

この10年で、わたしたちを取り巻く社会状況はめまぐるしく変化しました。これまでの考え方では捉えきれないような状況が次々と発生し、新たに炙り出される課題に応答するように、さまざまなアートプロジェクトが生まれました。しかしこのような状況は、どこかで一区切りつくようなものではなく、わたしたちはこれからもまた新しい状況に出会い、そのたびに自分たちの足元を見直し、生き方を更新する必要に迫られるでしょう。激しく変化し続けるこれからの時代に求められるアートプロジェクトとは、一体どのようなものなのでしょうか。

「新たな航路を切り開く」シリーズでは、2011年以降に生まれたアートプロジェクトと、それらをとりまく社会状況を振り返りながら、これからの時代に応答するアートプロジェクトのかたちを考えていきます。ナビゲーターは、人と環境の相互作用に焦点をあてながら、社会状況に応答して発生するアートプロジェクトをつぶさに見続けてきた芹沢高志さん(P3 art and environment 統括ディレクター)です。

ここでは、アートプロジェクトの立ち上げやディレクションに関心のある方を対象に、ゼミナール形式の演習を行います。状況に対してどのような問題意識をもち、どのようにアクションしていけるのかを、アーティストやナビゲーターとのディスカッション、参加者同士でのワークを通して深めながら、自分のアートプロジェクトを構想していきます。自分の中から生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトを構想し、動かしていくための力を身につけます。

ナビゲーターメッセージ(芹沢高志)

アートとはまずもって、個人個人の内面にこそ、決定的に働きかけてくるものだ。自分自身の問題と向き合うための術であるとも言えるだろう。

今、私たちは、歴史的にみても大変な時代を生きている。どこに問題があるのかわからない、いや、そもそも問題があるのかないのか、それさえもわからない時がある。こういう時はひとまず立ち止まり、何が問題なのか、自分の心に問うてみる必要がある。他人が言うからではなく、いかに些細な違和感であれ、自分個人にとっての問題を発見していくことが大切なのではないだろうか。自分にとって本当に大切な問いとはなんなのか? それを形として表現していくための力を、この演習を通して培っていければと思う。

ともに舟を漕ぎ出そうとする方々の参加を心待ちにしている。

「新たな航路を切り開く」に寄せて(芹沢高志)

来るべきディレクター、プロデューサーに向けて

2020年春、非常事態下のローマで、作家パオロ・ジョルダーノは「パンデミックが僕らの文明をレントゲンにかけている」と言っていた。まったくその通りで、新型コロナウイルス感染症パンデミックは、これまで私たちが見ないふりをしてきたさまざまな問題を世界中で炙り出している。
エコノミスト、モハメド・エラリアンは、リーマン・ショック(2009)以降の世界経済は、たとえ景気が回復したとしても、以前のような状態には戻らないとして、「ニューノーマル」の概念を提唱し、これまでの考えではとらえることのできない時代の到来を予告していた。その彼が今、今回のコロナ・ショックをうまく乗り切ったとしても、世界経済のかたちを変えてしまうような新たな世界「ニューノーマル2.0」の時代がやってくるだろうと予測している。つまり、自らが提唱した「ニューノーマル」という新たな世界像さえ、次のステージに入って更新されねばならないような地殻変動が、現在、進行しているというのである。これは経済分野での指摘だが、確かに私たちは、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故、新型コロナウイルス感染症パンデミック、ロシアによるウクライナ軍事侵攻と世界の分断と、激動する時代のなかで、ものの見方から行動様式に至るまで、さまざまな局面で本質的な更新を余儀なくされている。それはアート・プロジェクトについても同様で、私たちは今、アート・プロジェクトのあり方や進め方に関して、新たな時代に対応する変更を求められている。
しかしもちろん、これは現在進行形の設問であり、出来上がった解答があるわけではない。本シリーズは、次代を担うアート・プロジェクトのディレクター、プロデューサーたちに向けて、今生まれるべきアートプロジェクトの姿を学び合い、新たな航路を探し出し、自らの姿勢を確立してもらうために企画されたものである。
ニューノーマル2.0時代のディレクター、プロデューサーが、アートプロジェクトの新たな時代を切り開いていかねばならない。本スクールはそうした来るべきディレクター、プロデューサーたちの、旅立ちのための港になっていきたいと願っている。

2022年4月

自分のアートプロジェクトをつくる 2024

自分のなかから生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトをつくる力を身につける

この10年で、わたしたちを取り巻く社会状況はめまぐるしく変化しました。これまでの考え方では捉えきれないような状況が次々と発生し、新たに炙り出される課題に応答するように、さまざまなアートプロジェクトが生まれました。しかしこのような状況は、どこかで一区切りつくようなものではなく、わたしたちはこれからもまた新しい状況に出会い、そのたびに自分たちの足元を見直し、生き方を更新する必要に迫られるでしょう。激しく変化し続けるこれからの時代に求められるアートプロジェクトとは、一体どのようなものなのでしょうか。

「自分のアートプロジェクトをつくる」では、アートプロジェクトの立ち上げやディレクションに関心のある方を対象に、ゼミ形式の演習を行います。状況に対してどのような問題意識をもち、どのようにアクションしていけるのかを、ゲストやナビゲーターとのディスカッション、参加者同士のワークを通して深めます。演習の中で自身の経験や視点を共有していただくゲストは、梅田哲也(アーティスト)、矢野淳(合同会社MARBLiNG代表)、阿部航太(デザイナー/文化人類学専攻)。自分のなかから生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトを構想し、動かしていくための力を身につけます。

詳細

スケジュール

10月6日(日)13:00〜17:30
第1回 イントロダクションと自己紹介

  • イントロダクション
  • 「新たな航路を切り開く」というテーマについて(芹沢高志)
  • 自己紹介

10月19日(土)13:00〜17:30
第2回 レクチャーとディスカッション

  • アートプロジェクトの考え方についてのレクチャー(芹沢高志)
  • ディスカッション

11月9日(土)13:00〜17:30
第3回 プレゼンテーションとディスカッション

  • 梅田哲也によるプレゼンテーション
  • ディスカッション

11月30日(土)13:00〜17:30
第4回 プレゼンテーションとディスカッション

  • 矢野淳によるプレゼンテーション
  • ディスカッション

12月7日(土)13:00〜17:30
第5回 中間発表

  • 構想中のプロジェクトの中間プレゼンテーション
  • フィードバック/ディスカッション
  • プロジェクトを深める

12月22日(日)13:00〜17:30
第6回 プレゼンテーションとディスカッション

  • 阿部航太によるプレゼンテーション
  • ディスカッション

1月18日(土)13:00〜17:30
第7回 ディスカッション

  • 構想中のプロジェクトについてディスカッション
  • 最終発表へ向け準備

2月1日(土)/2日(日)ともに13:00~18:00
第8回 最終発表

  • 自分のアートプロジェクトをプレゼンテーション
  • 講評(芹沢高志、森司)
  • これからのアートプロジェクトについてディスカッション

会場

アーツカウンシル東京(東京都千代田区九段北4丁目 1-28 九段ファーストプレイス5階)

参加費

32,000円(税込)

ナビゲーターメッセージ(芹沢高志)

アートとはまずもって、個人個人の内面にこそ、決定的に働きかけてくるものだ。自分自身の問題と向き合うための術であるとも言えるだろう。

今、私たちは、歴史的にみても大変な時代を生きている。どこに問題があるのかわからない、いや、そもそも問題があるのかないのか、それさえもわからない時がある。こういう時はひとまず立ち止まり、何が問題なのか、自分の心に問うてみる必要がある。他人が言うからではなく、いかに些細な違和感であれ、自分個人にとっての問題を発見していくことが大切なのではないだろうか。自分にとって本当に大切な問いとはなんなのか? それを形として表現していくための力を、この演習を通して培っていければと思う。

ともに舟を漕ぎ出そうとする方々の参加を心待ちにしている。

お申し込みはこちら

※受付を終了いたしました。