「ドキュメント」にまとめよう。|アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば
執筆者 : 佐藤李青
2023.03.25
アートプロジェクトの運営にまつわる「ことば」を取り上げ、現場の運営を支えるために必要な視点を紹介する動画シリーズ「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば。」から、「ネーミング」を公開しました!
この動画では、東京アートポイント計画で、アートプロジェクトの中間支援に携わる専門スタッフ(プログラムオフィサー)が、『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>』(略して「ことば本」)から「ことば」を選んで、紹介しています。
2022年7月には、7本の動画を公開しましたが、今回の続編と合わせて14本の動画シリーズとなりました。この記事で取り上げる「ネーミング」について、ことば本では以下のように書かれています。
どんなに新しい提案内容もプロジェクトの名前でつまずけば、伝わらないことだってある。名刺、企画書、プレゼンテーション。はじめて出会う人にプロジェクトを説明するとき、まず伝えるものは名前になるだろう。その言葉ひとつでプロジェクトの印象が決まる。それで、ぐっと心を掴んでしまえば、細部は相手のペースに合わせて説明すればいい。
名前は長くてもいいし、短くてもいい。ひとつの言葉で複数の意味を説明できる「かけことば」を使う。副題を付ける。英名を和名の直訳とは変える。句読点や動詞を使ってみてもいい。それでプロジェクトの目指すイメージが相手に伝えられるか、一緒に動くメンバーが使いたいものか、想像してみよう。
仮でもいいから、企画構想の早い段階で名前を付けておく。企画内容の変化に応じて修正しながら、プロジェ クトをともにつくるメンバーと充分に議論を重ねておく。既に同じ名前が使われていないかの確認も忘れずに。後から名前を変えることは難しい。だからこそ、プロジェクトが走るときに立ち戻るべき想いや考え方を確認するツールにもなるだろう。
『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本<増補版>』アーツカウンシル東京、2020年、25頁より。本書は、以下のリンク先よりPDFダウンロードにてお読みいただけます。
≫東京アートポイント計画が、 アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>
プロジェクトの想いを託し、その後の羅針盤をつくる最初の一歩、「ネーミング」。『アートプロジェクトの現場で使える27の技術』には、「chapter1 はじめる」に「コンセプトを立てる、 タイトルをつける」が収録されています。
≫思考と技術と対話の学校 基礎プログラム2 [技術編] 2016 アートプロジェクトの現場で使える27の技術
「最初に明確なコンセプトとタイトルをつくることがとにかく重要」と、この本の中ではドラマトゥルクの長島確さんのことばを紹介しています。長島確さんが東京アートポイント計画で展開した「墨田区在住アトレウス家」はコンセプトそのものを体現しています。
どこかしら無茶や違物感があることが、タイトルをつけるときの留意点です。長島さんが2010年に構成と演出を手掛けた、民家とギリシャ悲劇を組み合わせた演劇のタイトルは「墨田区在住アトレウス家」。何か面白い違物感を感じませんか 。
『アートプロジェクトの現場で使える27の技術』p19
プロジェクトは拠点を移動しながら2011年は「豊島区在住アトレウス家」、2012年は「豊島区在住アトレウス家」とコンセプトはそのままに、タイトルが展開していきます。2019年には「松戸市在住アトレウス家」も実施され、10年続くプロジェクトとなりました。
ネーミングからひろがるコンセプトについて、以下のインタビューと冊子「アトレウス家の建て方」に思考の実践例として参照することができます。
≫「考える演劇」のために。実験と失敗が広げる、「まち」という名の劇場——長島確+佐藤慎也「アトレウス家」インタビュー〈前篇〉
≫まちなかの演劇で試される、「メタな視点」と「長い時間」。オルタナティブがスタンダードになった後 ——長島確+佐藤慎也「アトレウス家」インタビュー〈後篇〉
『アートプロジェクトの現場で使える27の技術』の「コンセプトを立てる、 タイトルをつける」の結びには、
日頃からのインプットもとても重要です 。
とあります。ことば本(32頁)には「インプット」も収録しています。よいネーミングに辿り着くために、日常を見つめ、プロジェクトの種をみつけましょう。
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