東京で‘Home’の感覚を保つ、日々の工夫を映像化する
「ここは自分の‘Home’だ」という感覚は、何によってもたらされているのでしょうか? それは、他者や生き物やモノとかかわりながら暮らしを営むなかで、芽生えるものかもしれません。一方で、関係性の変化や予期せぬ出来事によって、その感覚が失われることもありえます。そのように考えると、‘Home’という感覚は、確かさと不確かさの間で揺れ動く、変化と可能性に満ちたものと言えます。
東京は、国内で最も移動者数が多い流動的な都市です。進学、家族の事情、仕事、災害など、多様な理由により東京で暮らす人がいます。かれらにとって、‘Home’とはどのような意味をもち、何によって成り立っているのでしょうか。さまざまな環境や条件のなか、自分の‘Home’だと感じられる工夫をして生き抜く人たちの日々の実践に着目します。
ナビゲーターの大橋香奈(映像エスノグラファー)を中心に、ゲストとともに自分や他者にとっての‘Home’のありようを理解するための態度や方法を学び、映像作品(プロトタイプ)をつくります。
詳細
スケジュール
8月17日(土)
第1回 ‘Home’ in Tokyo に取り組むために
8月31日(土)
第2回 調査協力者との関係を考える
ゲスト:加藤文俊(社会学者/慶應義塾大学環境情報学部教授)
9月7日(土)
第3回 被災地における‘Home’のあり方
ゲスト:岩佐明彦 (法政大学デザイン工学部建築学科教授)
9月28日(土)
第4回 ゲストトーク+ディスカッション
ゲスト:加藤文俊(社会学者/慶應義塾大学環境情報学部教授)
10月5日(土)
第5回 人の生活に根ざしたアプローチを学ぶ
ゲスト:冨永美保+伊藤孝仁(tomito architecture)
10月26日(土)
第6回 デザインリサーチのアプローチを学ぶ
ゲスト:水野大二郎(デザインリサーチャー/京都工芸繊維大学KYOTO design lab特任教授)
11月2日(土)
第7回 デジタル・ストーリーテリングを学ぶ
11月10日(日)
合同共有会
11月16日(土)
第8回 それぞれのフィールドへ向かう
12月7日(土)
第9回 それぞれのフィールドでの気づきを共有する
12月21日(土)
第10回 個人の「つくる」を互いに支える
1月11日(土)
第11回 映像作品(プロトタイプ)をみんなで観る・振り返る
1月19日(日)
合同共有会
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
一般30,000円/学生20,000円
関連サイト
東京プロジェクトスタディウェブサイト
関連レポート
ナビゲーターメッセージ(大橋香奈)
私は生まれてからこれまでに、国内外で20回の引越しを経験しました。一つの家、地域に定住することなく転々としていたので、唯一の‘Home’と呼べるような場所がありません。私にとって‘Home’は特定の場所ではなく、移動するたびにつくりなおし更新される、自分を取り巻く多様な関係性の拠点のようなものです。一つの場所にしっかりと根を張って暮らし続けてきた人からすると、確かな拠り所なく漂っている「根無し草」のように思われるかもしれません。私も、自分の経験をネガティブに捉えていた時期がありました。けれど、ジョン・アーリという社会学者が書いた、いくつかの本に出会ってから考え方が変わりました。 アーリは自身の研究のなかで、「移動(あるいは移住)」の経験のもつ意味や価値に目を向けています。私は、アーリの本を読んで、さまざまな背景をもつ人びとの移動(移住)の経験と、彼/彼女にとっての‘Home’という感覚がどのようなものなのかに興味をもつようになりました。
このスタディでは、全国のなかで最も移動者数が多く流動的な都市である東京で生きる人びとにとって、「自分の‘Home’」という感覚はどのようなもので、何によってもたらされているのかを、参加者とともに考え、調査し、映像で表現してみたいと思っています。その過程では、社会学、建築、デザインなど、異なる分野の専門家をゲストに招き、調査や表現のための態度や方法を学びます。
このスタディが、自分にとっての‘Home’の意味を考え直したり、他者にとっての‘Home’の意味をよりよく理解したりするきっかけになることを願っています。また、将来、想定外の移住をしなければならなくなったり、確かだと思っていた自分の‘Home’が揺らいだりしたときの拠り所になることを期待しています。
架空の芸術祭を通して、東京における「公共」について考える
1977年にドイツではじまった10年に1度のアートイベント「ミュンスター彫刻プロジェクト」は、日本におけるアートプロジェクトに大きな影響を与えています。今回は、東京でミュンスター彫刻祭のような「『東京彫刻計画』という芸術祭が、10年に1度行われている」という設定のもと、わたしたちの周りにあるさまざまな彫刻をゼミ形式でリサーチします。2018年度に行なったプロジェクト「2027年ミュンスターへの旅」の発展版です。
東京における「公共」をどのように捉えるか。アートはいかにアプローチしていくのか。アートプロジェクトも演劇もまちなかで盛んに行われているいま、彫刻のもつ時間感覚や、彫刻をつくる人の身体、あるいは彫刻に接するわたしたちの身体感覚、まちのなかで存在することの意味などさまざまな要素が、何かをつくり、考えるためのヒントになるのではないかと考えています。
ゲストに、ストリートアートに詳しい毛利嘉孝さん(社会学者/東京藝術大学教授)と、まちの成り立ちに精通している今和泉隆行さん (空想地図作家)を迎え、「公共」に対する考えを深めます。また、フィールドリサーチを通してパフォーマンスの視点から公共彫刻を探り、最終的に小規模の作品創作を目指します。
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スケジュール
8月4日(日)
第1回 はじめましてと、紆余曲折した昨年のこと
9月11日(水)
第2回 東京における「劇場外の演劇」について
9月29日(日)
第3回 美術におけるパフォーマンスについて
10月6日(日)
第4回 お茶会とフィールドワーク
10月21日(月)
第5回 ストリートアートから考える「公共空間」
ゲスト:毛利嘉孝(東京藝術大学教授/社会学者)
10月26日(土)
第6回 ティノ・セーガルのパフォーマンス見学!
11月10日(日)
合同共有会
11月13日(水)
第7回 折り返し地点で、半年を振り返る
11月30日(土)
第8回 「工事」についての自由なリサーチ
12月4日(水)
第9回 「アンダーグラウンド」に思いを馳せる
ゲスト:今和泉隆行(空想地図作家)
12月22日(日)
第10回 パフォーマンスにおけるフェアトレード
1月18日(土)
第11回 考えていることの作品化に向けて
2月2日(日)
第12回 「形式」を重ねてアイデアを作品にする
3月1日(日)
第13回 試演会『WORK IN PROGRESS』
進め方
- 参加者それぞれの興味・関心をもとに、テーマを決めて各自、または少人数のチームでリサーチ
- テーマは彫刻、公共空間、作品設置など東京彫刻計画にかかわることであれば自由(なぜならば、東京彫刻計画はフィクションだから)
- 平日はリサーチの進捗共有やディスカッション、週末はフィールドワークや専門家へのヒアリング
- リサーチ終了後、小作品(上演・イベントなどを試作)の発表を目指す
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])ほか
参加費
一般30,000円/学生20,000円
関連サイト
東京プロジェクトスタディウェブサイト
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ナビゲーターメッセージ(居間 theater)
このスタディは昨年、「2027年のミュンスター彫刻プロジェクト招聘を目指す」というアイディアからはじまりました。
なぜそんなことを考えたかというと。
ナビゲーターを担当するにあたり、私たちは、東京における「公共」のことを想いました。公共というものをどう捉えるか、またアートはそれにどうアプローチしていくのか。アートプロジェクトも演劇も街なかで盛んに行われている昨今、あらためて考えたい(考えるべき)と思ったのです。
ただ、東京の中にいながら東京のことを考えるのはとても難しい。
私たちは2017年に初めてミュンスターを訪れました。
ミュンスター彫刻プロジェクトの面白いところのひとつは、街と作品の関係です。
作品と場所、作品と街の人、さまざまな関係性があり、それらは時間とともに変化していく。10年に1度の芸術祭は、街と作品の変化を定期観測するような存在のようにも感じられます。
そこで、東京を考えるために、ミュンスターの経験から始めてみることにしました。
一年間のスタディを経て、芸術祭のことだけでなく彫刻自体もとても面白いということがわかってきました。そして、さまざまな彫刻が東京の街なかに点在していることも。
居間 theaterは彫刻のプロでは全くありません。ただ、彫刻のもつ時間の感覚や、彫刻をつくるひとのからだ、あるいは彫刻に接する私たちのからだの感覚、素材の感覚、彫刻と周りの空間の関係、街のなかで存在することの意味、そういったさまざまな要素は、何かをつくったり考えたりするための、とても面白いヒントになるような気がします。
参加していただく方も、もちろん彫刻のプロではなくて構いません(もちろんプロも歓迎、むしろいろいろ教えてください!)。
私たちの周りにすでにある、東京の彫刻を出発点として何かをつくる。
そのプロセスを一緒に面白がって進めていければなによりです。
ナビゲーターメッセージ(佐藤慎也)
作品のための場である美術館や劇場に対し、生活の場である街に作品を置くことには、豊かさとともに難しさが存在します。40年以上前の作品がいまだに街に残るミュンスターでは、10年おきという長い間隔で開催されることにより、街と作品との関係が十分に考えられているとともに、作品に時代の変化がはっきりと現れています。次のミュンスターを考えるという馬鹿馬鹿しい問題設定は、目の前にある時代や街に対しても、重要なスタディとなることでしょう。
そんなことから考えはじめた昨年のスタディの中で、あらためて東京の街にも多くの作品があることに気づきました。そして、その制作年に注目して、10年おきにつくられた作品を見ていくと、やはり、作品や、作品と街との関係の変化が見えてきました。そこで、ミュンスターに倣い、東京において10年おきに行われてきた架空の彫刻をテーマとした芸術祭を妄想することで、東京、彫刻、芸術祭を考えるための新しいスタディが立ち現れてきました。そんな、昨年の紆余曲折を踏まえつつ、今年の紆余曲折に向けて、スタディをはじめます。
エッセイを書くことを通して「東京でつくる」輪郭を探る
アートプロジェクトは、あらゆる時間軸で、複数の人間がそれぞれに影響を与え合いながら、つくられていきます。そうしたさまざまな立場の人がかかわることも「作品」に内包されます。それを提示された鑑賞者はもちろん、ライターや編集者、批評家も純粋な観察者ではいられません。こうした場面では、文化人類学等で用いられる「参与観察」という手法が参照されますが、その際、観察者が自身の背景や身体性と向き合い、対象との距離を明らかにすることが大切とされています。つまり「プロジェクトを観察・記述する」と同時に「自分を観察・記述する」ことが必要になるのです。
このプロジェクトでは、2018年から続く「東京でつくる」と「東京で暮らす」の続編として、参加者それぞれの「いま東京でつくる理由」を考えます。事例は、ナビゲーターである石神夏希(劇作家)がかかわるアートプロジェクト。参加者それぞれが「記述する」ことを軸に、ゼミ形式で執筆したエッセイの共有やゲストを招いたディスカッションを行います。
アートプロジェクトは誰のもので、何を目指すのか。多くの人が現場で直面するこの問いについて、「記述する」ことを通して考えます。
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スケジュール
8月24日(土)
第1回 からだとことばで、はじめまして
9月4日(水)
第2回 何を書く? なぜ書く?
9月7日(土)
第3回 雑司が谷のまちで過ごしてみる
10月3日(木)
第4回 他者とことばを共有する
10月16日(水)~18日(金)
アートプロジェクト『Oeshiki Project ツアーパフォーマンス 《BEAT》』参加
10月26日(土)
第5回 体験からアートプロジェクトを考える
11月10日(日)
合同共有会
11月23日(土)
第6回 まちは、東京は、誰のもの?
ゲスト:韓亜由美(アーバニスト)
12月7日(土)
第7回 東京でつくってきた人の話を聞く
ゲスト:熊倉敬聡(芸術文化観光専門職大学教授)
長島確(ドラマトゥルク/翻訳家)
1月11日(土)
第8回 最後の活動日、それから
1月19日(日)
合同共有会(互いのことばを朗読し合うパフォーマンス実施)
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
一般30,000円/学生20,000円
関連サイト
東京プロジェクトスタディウェブサイト
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ナビゲーターメッセージ(石神夏希)
鹿、山、わたし
大学生の頃、私の在籍していた美学の専攻では「芸術作品を記述する」という必修科目がありました。絵画や彫刻などを分析して論文を書くために、まず作品を言葉で描写するのです。
課題として取り上げられたのは、たしか水墨画か何かだったと思います。「前景には鹿が描かれ、後景には山が……」というように、描かれているものを言語化していくのですが、私は一行も書けませんでした。なぜか? 私には、鹿と山のどちらを先に書けばいいのか、分からなかったからです。
より正確にいえば、その順番を私が決めてしまうのは、あまりに恣意的だと感じました。だって、てにをはひとつでも、与える印象はずいぶん違います。絵画を描写した私の言葉が、むしろ絵画そのものを決定的に損なってしまうように感じて、怖くて書き始められませんでした(手法そのものを批判しているわけではありません。私の幼さや拙さが、むしろ要因としては大きかったわけですが)。
だからでしょうか。数年後に文化人類学、特に「参与観察」というフィールドワークの技法を学んだとき、新鮮な驚きとともに「あ、そうだよね」とホッとしました。
観察する自分を「透明なまなざし」ではなく、肉体を持つ存在として視野に入れること。対象が(絵の鹿ならともかく)生きている人間であれば、対象と観察者である自分とが影響を及ぼし合わずにはいられない、と認めること。そして、自分は常に変化する「不確かな観察者」であるという前提から始めること。
昨年から続くこのスタディでは、「東京でつくる」と「東京で暮らす」との関わりを通して、参加者それぞれの「いま東京でつくる理由」を考えています。今年は特に、具体的なアートプロジェクトを事例として、参加者の皆さんそれぞれが観察し、記述することを一緒にやっていきます。
ただし、アートプロジェクトや作品の記録は最終目的ではありません。「書く」を通じて「見つめる」ために、さらには「見つめている自分(の肉体)」を発見するために、書いていきます。
初めて集まるメンバー同士、共通言語をつくるため、10月には私が取り組んでいるアートプロジェクトも体験していただきます。ですが実際に「書く」対象としては、自分で主宰していたり、興味を持っていたりするプロジェクトを選んでいただいて構いません。
いずれにせよ、手ぶらで来て大丈夫です(銭湯みたいですね)。第1回と第2回では、たくさん話をする場を持ちます。そして、それぞれが何を考えているのか、何を感じているのか、今回は何を「書く(見つめる)」のかを一緒に考えていきます。私も先生や講師ではなく、自分の思考や過程を皆さんに開いて、もやもや、うろうろしていくつもりです。そんな迷い道・回り道を、一緒に歩いてくれる仲間をお待ちしています。
社会とアートの関係性を探るトークイベント
「まち」をフィールドに、人々の営みに寄り添い、アートを介して問いを提示するアートプロジェクトを紐解き、最新のテーマを追求するアーツカウンシル東京が企画するトークイベント。アートプロジェクトに関心を寄せる人々が集い、社会とアートの関係性を探り、新たな「ことば」を紡ぎます。
2019年度は、地域で場所をひらくこと、あるいはプロジェクトを企むことの意義について議論を深めます。
詳細
スケジュール
2019年7月7日開催
Artpoint Meeting #08 –10年の“こだわり”を浴びる–
2020年2月9日開催
Artpoint Meeting #09 –生きやすさの回路をひらく–
少子高齢化社会における、死に寄り添ったアートプロジェクトの可能性を探る
少子高齢化が社会問題となって久しい現在、わたしたちは多死社会へと進んでいます。日本における死者は2030年には年間160万人を数え、増加のピークを迎えます。これは2006年の統計の約1.5倍の数値(*)。既に首都圏においては、火葬場や遺体安置所、墓地の不足が顕著になってきました。
近代以降、都市の生活圏においては「死」にまつわる施設やモニュメントは日常生活から遠ざけられています。また、iPS細胞をはじめとするテクノロジーの進歩により「生」や「死」の概念は拡張し、多様化が進んでいます。これらの状況をふまえ、これからやってくる多死社会に対してどのように向き合い、何を準備すればよいのでしょうか。
今回は、ゲストに金沢21世紀美術館で「Death LAB:死を民主化せよ」展を企画した髙橋洋介さん(キュレーター)と、東京の江古田地域で「看取り」を考えるアートプロジェクト『東京スープとブランケット紀行』を行ってきた羊屋白玉さん(劇作家)を迎え、都市計画としての問題、訪れる喪失に対するこころのケアの問題に応答し、生活圏に寄り添うアートプロジェクトの可能性を探ります。
*内閣府「平成30年版高齢社会白書」2018年
詳細
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
無料
立川・谷中・六本木で展開されてきたアートプロジェクトを掘り下げる
アートプロジェクトはどのような環境で生まれ、展開していくのでしょうか。東京のなかでも、アートが息づくまち「立川」「谷中」「六本木」。それぞれの特色をもつ3地域で繰り広げられたアートプロジェクトの歴史を軸に、まちなかでのアートの実践について掘り下げます。
全3回のプログラムでは、各地域で活動する実践者たちをナビゲーターに、まちの変遷や時代ごとのアートシーンに精通しているアーティストや研究者らゲストも交えながら、平成の時代に育まれたアートプロジェクトへ迫ります。
立川エリアのナビゲーターは、多摩を中心に地域の住民とアーティストなどの文化が交差するスペースをつくる丸山晶崇(デザイナー)。ゲストの笠原出さん(美術家)に、若手作家が集まった共同スタジオ「スタジオ食堂」などについての話を聞きます。
谷中エリアのナビゲーターは、谷中のフィールドワークから『ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト』を立ち上げた富塚絵美(アートディレクター/パフォーマー)。ゲストの椎原晶子さん(地域プランナー/NPO法人たいとう歴史都市研究会理事長)と五十嵐泰正さん(筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授)とともに、谷中エリアとアートの関係性について考えます。
六本木エリアのナビゲーターは、六本木アートナイトの事務局長を務めた高橋信也(森ビル株式会社 顧問)。森美術館をメインに、六本木におけるアートがどのように変化してきたか、森司(アーツカウンシル東京ディレクター)と語ります。
詳細
スケジュール
2月6日(水)19:00〜21:30
第1回 立川エリア
ゲスト:笠原出(美術家)
- 立川のまちのアートの変遷を辿る
- 「スタジオ食堂」について(1994〜1998年、2000年)
- 「ファーレ立川」(1994年〜)と「立川国際芸術祭」(1998〜2002年)を通じたまちづくりとアートについて
- スタジオ食堂が考えていたアートと社会とは
- 「媒体」と「場所」、組織と運営について
- 立川(多摩)のアートとこれから
2月13日(水)19:00〜21:30
第2回 谷中エリア
ゲスト:椎原晶子(地域プランナー/NPO法人たいとう歴史都市研究会理事長)
五十嵐泰正(筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授)
- 谷中界隈のアートの変遷を辿る(谷中を中心に上野あたりまで)
- 「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」の実践を紐解く
- 谷中エリアのアートを支える土壌とは
2月19日(水)19:00〜21:30
第3回 六本木エリア
- 六本木のまちの変遷を、アートシーンを軸に辿る
- 「六本木アートナイト」について(2009年〜)
- まちなかのアートの実践について
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
各回1,500円/全3回通し受講4,000円
次世代に向けたアートプロジェクトのアーカイブの活用を考える
アートプロジェクトの過程や瞬間をどのように記録し、保存していくか。Tokyo Art Research Lab(TARL)ではこれまでアーカイブの「手法」について、議論を重ねてきました。そして現在、各プロジェクトのアーカイブが徐々に増えていくにつれ、次なる議論としてアーカイブを第三者や、次の世代がどのように活用するか、その意味や手法を考える段階に来ているのではないでしょうか。
アートプロジェクトを運営する組織の立ち上げ期からの資料を、現在さまざまな活動をするメンバーが読み解くことで、アーカイブを活用する方法を検討します。メンバーは、膨大な活動アーカイブがあるP3 art and environment(1989年設立、代表:芹沢高志)の松本ひとみさん(ディレクター、プロジェクトマネジャー)・坂田太郎さん(リサーチャー)と、川村庸子さん(編集者)です。
*このプログラムは、「研究会プログラム」の一部として開催しました。
詳細
進め方
- アーカイブ資料の調査と全体量の把握
- 国内外の事例調査
- アーカイブを活用したプロジェクトの構想を練る
古典作品から当時の価値観を知り、現代社会の「女性像」を再考する
日々の生活を営むなかで、男女間に存在するルールやしきたりを構成する曖昧なイメージの集積に、わたしたちは潜在的な影響を受けながら生活しています。異性愛が前提とされ、婚姻時に女性が姓を変更する割合が9割を超え、家事や育児を主に女性が担う。現代の日本社会はこうしたイメージがいまだ根強く、ときには「らしさ」を求められ、生活に不都合や不自由が生じる場合もあります。
翻って、過去の日本は女性の視点から見て、どのような社会だったのでしょうか? 古典と呼ばれる作品には当時の風習や風俗、信仰や思想などが反映されています。長く語り継がれるなかで、変化する女性像の造形や物語の変遷。それらを読み解くことで社会の関係性が浮かび上がってきます。過去と現代、異なる時代を「女性」という定点から眺めたときに、現代を望む新しい視点が得られるかもしれません。
今回はゲストに、日本中世文学が専門で、物語絵と女性の関係性に関する著書がある恋田知子さん(日本文学研究者)と、現代女性の現状を題材に新たな解釈を付与する作品を発表する遠藤麻衣さん(俳優/美術家)をお招きし、過去と現在の物語を通して女性という視点から社会と個人の関係について考察します。
詳細
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
無料
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ゲスト紹介記事
アジア圏のアーティストと協働する実践者から、近年の動向や新たな潮流を学ぶ
近年、日本各地でアジアのアーティストの展覧会やレジデンスなどが盛んに行われ、アーティストや作品と出会う機会が増えてきました。また、インターネットを通じて、各地の情報にアクセスすることも容易になっています。
物理的にも、心理的にも、「近く」なったアジア。しかし、日本もアジアの一部であると捉えると、この近くなったという感覚で「アジア」をひとくくりにしてしまうことは、かえって「遠ざけて」しまうこともあるのではないかと思います。現在、アジア諸国や日本のアーティストやキュレーターの協働が盛んに行われるなかで、どのような気づきや表現、あるいは一過性ではない文化交流が生まれているのでしょうか。
ときに「アジア」という大きな概念や対象は、身体のレベルを超え、漠然としたイメージとしてわたしたちのなかに入り込んでくるようにも思えます。そのなかで必要になってくるのは、自らの立ち位置を見定め、固有の「一対一の関係性を結ぼう」という姿勢なのかもしれません。
そうした関係性を構築する姿勢を学ぶべく、実際にアジアの現場でプロジェクトを行ってきた居原田遥さん(インディペンデントキュレーター/コーディネーター)と、アジアのアーティストやキュレーターを日本に招聘してきた堀内奈穂子さん(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]キュレーター)という、内と外、視点の異なる二人の実践者をお迎えします。お二人がどのようにアジアを捉え、アーティストやアートと対峙し、関係性を結んできたのか。移動、越境することで可能になってくる表現、見えてくる境界線について話を伺います。
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会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
無料
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ゲスト紹介記事
日々の営みから、「小さな文化」を掘り起こすために必要な姿勢を考える
いつも見ている風景や日々の生活のなかにも、実は複雑で多様な世界が存在しています。しかし、そこにあることに慣れてしまうと、なんとなく過ぎ去っていく風景や行為の一部になってしまいます。
そんな「当たり前」なことへ好奇心を抱くことは、習慣化して見えづらくなった日常の断片を掬うことにつながり、さらにそのかけらが他者と共有可能なものとして記述されたとき、あらためてわたしたちは日常生活が驚きと発見で満ちていることに気づくのではないでしょうか。まちに入り込むアートプロジェクトを行うためには、こうした土地や人々の暮らしに新たな解釈や可能性を見出そうとする姿勢が必要になってくると考えています。
日常の断片を集め、共有可能なかたちで記述するための方法とは? それを読み解き、新しいものを生み出していくプロセスとは? このような問いかけを日々の営みのなかから立ち現れる「小さな文化」を手がかりに、「いま」の社会の断片を捉えることを試み続ける冨永美保さん・伊藤孝仁さん(tomito architecture)と、大橋香奈さん(映像エスノグラファー)をゲストにお呼びして語り合いたいと思います。
これまでの活動のなかで日常生活をどのように記述しようと試み、新たな挑戦に取り組んできたのか。両者に共通する姿勢と態度を紐解きながら、「いま」を見つめる先にある次なる展開について話します。
詳細
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
無料