リズムを刻む/定期レターのつくりかた・つかいかた

ジムジム会とは、「事務局による事務局のためのジムのような勉強会」のこと。2019年度は「届けかた・つなぎかたの筋トレ」をテーマに掲げ、アートプロジェクトの運営にまつわる考えかたや方法を共催団体と身につけていきます。今回も“ジムジム会の事務局”であるきてん企画室がレポートをお届けします!(第1回のレポートはこちら

◼︎イントロダクション:定期レター=事業のリズムを刻む

第2回のテーマは「リズムを刻む」。イントロダクションでは、きてん企画室・中田一会から、「定期レター」の利点やリズムの意味についてお話ししました。

「定期レター」とは、機関紙やニュースレター、メールニュースなど定期的に届ける広報媒体のことをこの会では指します。定期レターの良い点は、情報集約のタイミングや、担当を横断したチーム、受け手に思い出してもらうなどの機会をつくれること。

中田が編集協力している東京アートポイント計画のメールニュースは、企画開催の有無に関わらず、月1回のペースで配信。盛り上がりのあるときもないときも発信し続けることで、定期レターが「事業のリズム」を刻んでいます。

◼︎ゲスト紹介:写真家・加藤甫さん

ゲストは、写真家・加藤甫さん。

そして、今回はゲストに写真家・加藤甫さんをお招きしました。アートプロジェクトやアーティスト・イン・レジデンスなど長期的なプロジェクト型の記録撮影を数多く担当。また中田と加藤さんは、今年度、徳島県主催の「伝わる広報ゼミ」の講師をしています。

加藤さんのユニークな点は、長く続いていくものに伴走しつつ、必ずしも自分で撮らなくても良い仕組みを仕掛けたり、企画そのものにアドバイスもする、「黙っていないカメラマン」であることです。

イントロダクションの後は、実践発表へ。後半では「定期レターのつくりかた・つかいかた」をテーマに、2つのケースを共有しました。

◼︎アートアクセスあだち 音まち千住の縁「まちの読み手に寄り添った広報紙」

2011年に始まったアートプロジェクト「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」(以下、「音まち」)は、2012年から定期レターを発行。当初は事務局内でのプロジェクト進捗共有用だったものから、徐々に目的や機能が変化し、現在は足立区民など地域の人々に向けた広報紙として1万〜1万2千部発行しています。

事務局長・長尾聡子さんと、定期レター編集長・槇原彩さんには、主に2018年度の誌面リニューアルのポイントをお話しいただきました。

音まち事務局長・長尾聡子さん(写真前列右から2番目)と、広報担当で定期レターの編集長・槇原彩さん(写真左)

2015年度から2017年度まで8頁/年2回発行だったものを、2018年度から4頁/年4回発行にリニューアル。その際新しいデザイナーと相談し、地域の人々にもっと読んでもらうために、人をメインに立て、スタイリッシュになりすぎない方向にしようと決めました。

1〜2面は特集記事、4面はプロジェクトに関わる人々のインタビュー記事「音まちの人びと」とフォーマットが決まっています。また、6つのプロジェクトの各担当者が執筆する「音まちの日々」では、プロジェクトが形になるまでの産みの苦しみなど、楽しいばかりではないアートプロジェクトのリアルな声が伝わってきます。

人にクローズアップした内容に変えたことで、アートプロジェクトの見えかただけでなく、事務局、アーティストなど、地域の人や関わる人の多様さが外に伝わりやすくなりました。

サイズはタブロイド判。駅などで2つ折にして配架すると、1面の写真が見えづらく手に取ってもらいにくいという課題があった。右下「2019年・Summer号」から、写真全体が見える配置に変え、写真自体も明るく親しみやすいものに変更した。

また電車の中などちょっとした時間にも読みやすいよう、字を大きくしたり、Web版も始めるなど、読む人のことを考えたつくりになっています。

定期的にプロジェクトの特集記事を組んできたことで、定期レターがプロジェクトのアーカイブの役割も果たしています。新しいメンバーが入ってきたときには、説明資料として渡しているそうです。

現在の制作チームは、企画・進行管理の槇原さんとデザイナー、「音まちの人びと」のライターの3名は固定。記事執筆は各プロジェクトの担当者が行います。
発行している1万〜1万2千部のうち、足立区に2千部、アーツカウンシル東京に2千部、そのほかアートスペースや大学、美術館、千住の駅やお世話になっているお店に配布しています。

また音まちは、月1回メールニュースの配信も。月1回と年4回のリズムを刻むことで、大型アートプロジェクトのコミュニケーションを円滑にしているようです。

◼︎ファンタジア!ファンタジア!−生き方がかたちになったまち−「人に会うためにわざわざ手作業でつくる『ファンファンレター』」

「ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―」ディレクター・青木彬さん(写真左)

続いての発表は、アートプロジェクト「ファンタジア!ファンタジア!−生き方がかたちになったまち−」(以下、「ファンファン」)を共催している、一般社団法人うれしい予感の青木彬さんです。ファンファンによる定期レター「ファンファンレター」の、ユニークなつくりかたをお話しいただきました。

ファンファンレター。ファンファンのロゴの色に合わせて、赤と青の2色を交互につかっている。

月2回発行されるB5サイズの「ファンファンレター」は、版をつかって印刷する「リソグラフ」をつかっています。事務局や地域の人で集まる日を設け、毎号みんなで元となる原稿を手作業でつくります。「レターづくりは地域の人と会う口実なんですよ」と、青木さんは言います。

ファンファンレターをつくっている様子。アナログな切り貼りで組み上げていくので、誰でも参加できる。(撮影:高田洋三)

つくりかたはまず、掲載する写真やテキスト、イラストを用意し、みんなで話し合ってレイアウトを決めます。次に素材を切り貼りし、2つの原稿をつくります。原稿完成までの所要時間は約2時間。できた原稿をリソグラフ印刷して完成です。

内容は、プロジェクトの案内や、イベントレポート、コラムなどさまざま。定期レターをつくったきっかけは、ヒアリングプログラム「WANDERING」を通じて地域の人から得た情報やアイデア、またファンファンの活動を発信するツールとして、定期レターの必要性を感じたからだそうです。

4種類のフレームと2種類の罫線のスタンプをベースに組み上げるのがポイント。サイズ感やつかいやすさをデザイナーと話し合いながらオリジナルでつくった。このアイテムがあることで、デザイントーンが崩れない。

毎号250部ほど発行し、拠点の前を通りがかる方に自由に持って行ってもらったり、拠点近隣のカフェなどに直接届けに行っているそう。

青木さんは、「事務局のバイオリズムが、つくり方や情報量の差に反映されるのも良い」と言います。毎号つくり手が変わるため、差が出たり、事務局からの発信が少なかったりする号もあります。1年に1回発行するドキュメントではないからこその、つくっている時間のグルーヴ感が伝えられるという特徴があります。

2週間に1回、みんなで集まり・つくり・届ける。定期レターが、人に会うためのリズムを刻んでいました。

アーツカウンシル東京・坂本有理(写真左)。発表の後は、それぞれの視点でのコメントも。

2つの事例についてゲストの加藤さんは、「音まちの4面『音まちの人びと』は、まちの人との関わりのきっかけになると思いました。以前ある地域でプロジェクトをやりたいというアーティストに声を掛けられたときに、『まちに配るフリーペーパーをつくろう』と提案したことがあります。まちの人をすてきに撮って掲載することで、載った人が第三者にプロジェクトを説明できるようになる必要が生まれる。そこからまちの危機などを考えてもらうきっかけになります」とコメントされました。

■ ディスカッション:記録の疑問・悩み

ジムジム会の最後は、質疑応答とディスカッションの時間です。

「記録写真を撮影するときに意図的に押さえている場面や、事務局が記録撮影するときに狙っておくと良い見逃しがちなシーンはありますか」

という質問に加藤さんは、「行政報告用かSNS用かなど、どこにどうつかわれる写真かを想定して撮影している。トークの空間だけでなく、建物の外観など、自分が当たり前と思っているところこそ必要なこともあります。見逃したかどうかに気づけるのは写真をつかう事務局の人たち。むしろカメラマンに教えてあげてくださいね!」と回答されました。

そこからカメラマンとのコミュニケーションに話が発展し、「撮影依頼の際にSNSでつかう、ブログでつかうなどの使用目的や、逆に例えばスライドは写さないで良いなどいらないものを伝えてくれるのも良い」とのこと。事前にカメラマンとコミュニケーションを取ることで、お互いにとってより良いものが撮れることがわかりました。

「つかいたい写真がどこにあるか毎回わからなくて困る」という質問には音まち事務局から、「フォルダツリー」(『アート・アーカイブ・キット』を参照)を参考に毎回、クラウドサービス(Googleドライブ、Googleフォト)とHDDに保存し、データ名も「日付・プロジェクト名」と統一し、誰でも簡単に管理できるようにしていると、解決のための工夫を共有してもらいました。

終わりに参加者に一言今日の感想を書いてもらいました。

  • 「2つの事例を見て、今後すべきレターづくりや配布方法を考えた」
  • 「定期でなにかをつくることがなかなかできずにいるが、事業のリズムをつくることができるなら、今からでもやる価値があると思った」
  • 「イベントとは違う軸で、定期レターで人の紹介や振り返りをしているのが良かった」

参加者にとって、各事業に適した定期レターの発行頻度や部数、媒体、つくる目的を考えるきっかけとなったようです。次回のジムジム会のテーマは「打って出る」です。どんな会になるかお楽しみに。

勉強会後は、和気あいあいとみんなでランチタイム。

“広報” をやめる/ウェブサイトのつくりかた・つかいかた

2019年9月20日 午前10時。東京アートポイント計画に参加する共催団体9組が、「ジムジム会」の初回に集まりました。ジムジム会とは、「事務局による事務局のためのジムのような勉強会」のこと。新たにスタートした共催団体向けの勉強会です。

2019年度は「届け方・つなぎ方の筋トレ」をテーマに掲げ、全5回を通して、アートプロジェクトの運営にまつわる考え方や方法を身につけていきます。

◼︎イントロダクション:「広く報せる(だけ)」をやめる

今年度、ジムジム会の企画・運営を担うのは、広報コミュニケーション事務所「きてん企画室」です。イントロダクションでは、代表の中田一会から、「PR(Public Relations)」の概念と定義についてお話ししました。「広く報せること」とだけ理解されがちな「広報/PR活動」ですが、その本質は「関係性の構築・維持のマネジメント」です。

一方通行ではなく双方向でやりとりをする、活動目的が伝わるようひとつひとつの企画やメッセージのつながりをバラバラにしない。何よりも、届ける相手を丁寧に想像することが大切だという、「届け方・つなぎ方」の基本を確認しました。

ジムジム会の企画と進行を務めるのは、きてん企画室・中田一会と、アーツカウンシル東京・坂本有理。

イントロダクションの後は、実践発表へ。ジムジム会が目指すのは、各団体からお互いに学び合うことです。そこで初回は「ウェブサイトのつくりかた・つかいかた」をテーマに、「広く報せる」だけではない、アーカイブやコミュニケーションの機能を持つウェブサイトについて、2つのケースを共有しました。

■NPO法人アートフル・アクション「何気ない日常を残すために日報を公開するウェブサイト」

NPO法人アートフル・アクション・荒田詩乃さん(写真左)

最初の発表者は、「小金井アートフル・アクション!」を共催しているNPO法人アートフル・アクション(以下、「アートフル・アクション」)の荒田詩乃さんです。

アートフル・アクションのウェブサイトでは、事務局の日報を各事業に紐づけ、そのまま公開しています。イベントの告知や、アーティストの紹介だけでなく、何気ない日々の出来事や、スタッフのもやもやまでオープンになっているのは、なかなか珍しい形態です。

NPO法人アートフル・アクション ウェブサイト

各スタッフの日報が、日々更新されている。

ウェブサイトを日報型にリニューアルしたのは2017年度。しかし、その形に至るまでは、1年以上の月日がかかりました。デジタルアーカイブの専門家や、アートプロジェクトを研究する大学院生を交えた全14回ものディスカッションを重ねたと言います。大事にしたのは「どんなウェブサイトをつくりたいか」よりも、「団体として、何が大切か。何を残したいのか」。

議論のなかで、あるプロジェクトでの経験や気づきがほかのプロジェクトにもつながっていることだったり、日常の何気ない出来事の積み重ねこそが、大事なのではないかと気づいたそうです。実際、アートフル・アクション事務局長の宮下美穂さんは「日々こそポリシーである」とよく言われているそう。

そうして、「ケーキを食べた」「こどもが熱を出した」といったささやかなことまで公開される、日報型のウェブサイトが誕生したのです。そこには、プロジェクトのヒントになるかもしれない小さな気づきが溢れています。また普段揃って顔をあわせる機会の少ないスタッフ間の情報共有や、新たなアイデアを生むきっかけの場にもなっているそうです。

普段は事務局しか見られないウェブサイトの入力画面も特別に公開。設計の裏側まで詳しく紹介された。

また、日報を書き続けるための工夫として、入力画面の操作をシンプルにしたり、更新画面に書く人に向けたヒントや励ましの言葉が表示されるようになっています。誰かが更新すると自動でメンバーに通知が届く仕組みも。「自分も書かなければ」と触発し合うことがポイントです。

◼Tokyo Art Research Lab 東京プロジェクトスタディ「プロジェクトが生まれる手前の『もやもや』を残すアーカイブサイト」

アーツカウンシル東京・坂本有理。東京アートポイント計画のプログラムオフィサーであり、「Tokyo Art Research Lab 思考と技術と対話の学校」の校長も務めている。

続いての発表は、アーツカウンシル東京が主催する人材育成事業「Tokyo Art Research Lab 思考と技術と対話の学校」の新たなプログラム「東京プロジェクトスタディ」のアーカイブサイトです。プログラム設計を担う、アーツカウンシル東京・坂本有理が発表しました。

「東京プロジェクトスタディ」とは「東京で何か新たなものを『つくる』としたら」という投げかけに対し、ナビゲーターと参加者が「スタディ」を重ね、プロジェクトの核をつくるための実践です。アーカイブサイトでは、昨年度実施された5つのスタディが時系列で追えるようになっています。

アーカイブサイトを楽しむための3つのポイント(アーツカウンシル東京ブログ)

ウェブサイトにアーカイブされているのは、活動日のレポート、問いや気づき、配布物、参考図書、板書、ナビゲーターからの連絡メールなど。坂本はこのアーカイブサイトを「スタディを振り返り、ヒントを得るための『素材庫』のようなもの」だと言います。

このアーカイブサイト構築の難しさは、具体的な活動のある「プロジェクト」ではなく、プロジェクトの手前の構想や試行錯誤そのものを扱っているところです。アウトプットまでのプロセスではなく、「スタディ」そのものの姿を記録し、さらには、複数のスタディが並走する「東京プロジェクトスタディ」全体の動きをみせることを意識しているそうです。

複雑なウェブサイトの発注の仕方や、制作チームとのやりとり、デザイン上のこだわりなど詳細な「つくりかた」をレポート。

必要な素材も、見せ方もわからないまま始まったウェブサイト構築。結局、プログラムの開始時にウェブサイトをつくることは諦め、ウェブディレクターやデザイナー、編集者などの制作チームに現場を見てもらいつつ企画を検討し、終了後につくりこんだそうです。

こういったアーカイブは後からつくることが難しいもの。スタディを進めながら各担当者が資料を残したり、メモ、写真やテキストデータをとったりするなどプロセスの断片を収集することで、昨年度はなんとか素材を残すことができました。今回はwebチームとの検討からはじまり、途中から編集者が加わったかたちでしたが、編集チームには、「声をもっと早くにかけてほしかった」と言われたそうです。座組の設計とタイミングも企画を進めるうえでは重要な検討事項。

ゴールが見えない活動の残し方は、たくさんの試行錯誤が必要だということを感じた発表でした。

■ ディスカッション:日常を残す

ジムジム会の後半は、質疑応答とディスカッションの時間。参加している団体や発表者からは質問がたくさん上がり、議論が交わされました。

  • アートプロジェクトは完成未満のものの集積。そこで何に行き詰まっていたか、どのような問いがあったかなど、言葉になっていないものさえも拾い集めることが大事なのでは
  • どれだけ負荷なくアーカイブできるかが大切
  • アートプロジェクトの本番だけでなくその間の日常をどう残せるか
  • 公開記録はリスクが高いように思えるが、非公開だと続かないというリスクがある
  • アーカイブがしっかりしていると、初めてプロジェクトに参加する人も雰囲気やこれまでの流れがわかるから良い
  • 日常やプロセスを可視化することがなぜ大事なのか、誰にむけてのアーカイブなのかをあらためて考える

今回発表した2つの実践とも、プロジェクトが大事にしていることをとことん突き詰めた結果生まれたものです。ウェブサイトをつくり更新していくことは、情報を「広く報せる」だけでなく、プロジェクトの価値を残し、チーム内のコミュニケーションや次の一歩のための気づきを生み出す効果があることを確認しました。

これで第1回は終了。これからも事務局による事務局のためのトレーニングは続いていきます。

10年を伝えるための101日 「東京アートポイント計画 ことばと本の展覧会」ドキュメントレポート

都内47団体と38件のプロジェクトを実施してきた『東京アートポイント計画』の10周年企画、「東京アートポイント計画 ことばと本の展覧会」。2019年3月2日〜18日の17日間、ROOM302(3331 Arts Chiyoda)で開催しました。本書は、企画の立ち上がりから展覧会に至るまでの試行錯誤を、企画の統括をしたプログラムオフィサーの視点でまとめています。

*本書については、こちらのニュース記事でも詳しくご紹介しています。

目次
  • DAY1   2018.12.11 いきなり決まった展覧会企画
  • DAY4   2018.12.14 最初の仲間は建築家
  • DAY15  2018.12.25 200冊の本だけで伝わる?
  • DAY39  2019.1.18 次の仲間はデザイナー
  • DAY43  2019.1.22 要素はことばと本と写真
  • DAY44  2019.1.23 最後の仲間はコミュニケーションプランナー
  • DAY51  2019.1.30 写真の立ち位置
  • DAY53  2019.2.1 10年本の進行がやばい
  • DAY57  2019.2.5 ディレクターからの中間試験
  • DAY59  2019.2.7 10年のことばを絞る
  • DAY64  2019.2.12 アートを表す25節
  • DAY67  2019.2.15 実寸大のスタディ
  • DAY70  2019.2.18 HDDの大海原を捜索!
  • DAY74  2019.2.22 施工のはじまり
  • DAY81  2019.3.1 居やすい空間か?
  • DAY81  2019.3.1 仕上げに本を置く
  • DAY82  2019.3.2 オープン15分前の完成
  • DAY84  2019.3.4 10年のことばを背負う
  • DAY90  2019.3.10 200冊がつないでくれる
  • DAY98  2019.3.18 再会の機会
  • DAY101 2019.3.21 プロジェクトは、終わる
  • 文化を織りなしていく営み

家族が聞く 東京の戦争のはなし

家族から戦争体験を聞き、「継承」についての展示と対話の場をつくる

もっとも身近な「家族」という存在。自分が生まれる前の時代や出来事について、語られたことや聞けたことがある一方で、近しい間柄だからこそ話せなかったことや、知りたくても聞けなかったことがあるかもしれません。

今回は、2018年に開催した「部屋しかないところからラボを建てる」の実践編として、家庭内で行われてきた戦争体験の継承について考える展示と対話の場をつくります。東日本大震災以降、仙台を拠点に土地と協働しながら記録をつくる一般社団法人NOOKの瀬尾夏美(アーティスト)、小森はるか(映像作家)、磯崎未菜(アーティスト)が、「部屋しかないところからラボを建てる」の参加メンバーからなる「かたつむり」とともに、第二次世界大戦を経験した祖母の話を息子と孫が聞くための場をつくり、その様子を映像化します。

先の戦争が終わってから74年が経ち、戦争を体験した人々が少なくなっていくことは、体験者の声を介して、世代を超えた語り継ぎの機会がなくなっていくことでもあります。東京大空襲を経験した東京において、戦争体験者の子や孫と企画者が「いまあらためて何を聞きたいか」を話し合い、体験者本人へのインタビューを行うことで、新たな語りの生成の実践と、「家族内継承」という営み自体の検証を行い、これからの時代の「継承」について思考を深めます。

*このプロジェクトは、「厄災に向き合う術(すべ)としてのアート」の一部として実施しました。

詳細

進め方

  • 展覧会づくりに向けた議論
  • 家族間でのインタビューの場づくり
  • 展覧会と関連イベントの企画・制作

 

展覧会

日時:2019年9月19日(木)〜23日(月・祝)13:00~18:00
会場:ROOM302(東京都千代田区外神田 6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])

 

関連イベント

9月21日(土)14:00〜15:00 ギャラリーツアー
本展企画メンバーが解説を行うツアー。
ナビゲーター:柳河加奈子(かたつむり)、磯崎未菜(NOOK)
定員:15名

15:00〜18:00 公開会議「これからの継承を考える」
本展のテーマとなった出来事の「継承」について、かたつむりとNOOKのメンバーが集い、企画の実践を通して考えたことから、今後の活動について会議する。
定員:15名

9月22日(日)15:00〜17:00 てつがくカフェ

「家族に聞けること、聞けないことってなんだろう?」をテーマに、対話を通してそれぞれの考えを深める。
ファシリテーター:八木まどか(かたつむり)
定員:15名

 

関連サイト

東京プロジェクトスタディウェブサイト

おとのふね

府中エリアを中心としたコミュニティFM放送局ラジオフチューズ87.4MHzで、「Artist Collective Fuchu [ACF]」が届けるラジオ番組です。番組名「おとのふね」は、府中市の地図を船に見立て、チームメンバーにより命名しました。

ゲストには、府中や近隣にお住まいのアーティストや、今後府中に関わってほしいさまざまな活動をしている方をお呼びし、創作のことや府中のこと、アートにまつわる内容を中心に話を伺います。番組後半はサブパーソナリティが地域の展覧会やメンバーの活動を紹介するコーナーをお届けしています。

詳細

放送日時

毎月第1週の火曜日、22:00~22:30
*日時は変更する場合がございます。変更・中止等の最新情報はACF公式Facebookにてご案内いたします

聴取方法

  • ラジオをお持ちの方で府中市か隣接した地域にお住まいの方は FM 87.4MHz で聴取。
  • コミュニティ FM ポータル web「Listen Radio」からインターネットで聴取。
    ※スマートフォン用アプリ「Listen Radio」もあります

過去放送のアーカイブ

ラジオフチューズのPodcastで聴くことができます。

*Apple、Google、SpotifyのPodcastをご利用の方は「おとのふね」または「Artist Collective Fuchu」で検索できます

関連リンク

各回についてACFウェブサイトではレポート記事を更新しています。

Artpoint Meeting Paper Media 第1号

「人に出会う」フリーペーパー『AM/PM(エーエム・ピーエム)―Artpoint Meeting Paper Media―』は、東京アートポイント計画が開催しているトークシリーズ「Artpoint Meeting」の内容をお届けする不定期刊行紙です。アートプロジェクトにまつわるさまざまな視座をもつ人と人が出会うことを目指しています。

第1号は「Artpoint Meeting #08 ―10年の“こだわり”を浴びる―」から、蛇谷りえさん(うかぶLLC共同代表)の話を紹介します。

ジャンルは「伴奏」?! 伴奏型支援バンド物語

ジャンルは「伴奏」?!

復興団地で暮らす方々の合唱に「寄り添い、伴奏する」ために演奏活動を行う。そんな一風変わったバンドが立ち上がりました。

福島県いわき市にある県営復興団地・下神白(しもかじろ)団地で行われているプロジェクト「ラジオ下神白 あのときあのまちの音楽からいまここへ」。団地の住民さんが住んでいたかつてのまちの記憶を、馴染み深い音楽とともに収録するラジオ番組を制作しています。

このプロジェクトと連動して、Tokyo Art Research Lab「研究・開発」プログラムでは、これまで団地住民の方々と交流するなかで集めてきた「メモリーソング」のバック演奏を行う「伴奏型支援バンド」を結成。これから、都内のスタジオで練習を重ね、時には団地住民のもとへ通いながら、活動していきます。12月に団地で行われるクリスマス会に向け、都内では伴奏の練習が、団地では合唱の練習が、並行して進みます。

アセンブル1|厄災に向き合う術(すべ)としてのアート」というプログラムの一環として行われる今回の試みでは、バンド活動を通して、離れた場所での経験・出来事における共有の可能性を探ります。ある特定の場所やコミュニティ、ひとについて思いをはせ、想像し、時には実際に出会うことが蓄積されていくと、バンド活動-選曲や、練習、演出など-にどのような変化や展開が生まれるのか。もしくは逆に、バンド活動を前提とすることで、離れた場所への想像力や関係性はどのようにふくらむのか。約半年間かけ、新たな論点を見出すことや手法づくりを目指し、この実験的な試みを展開していきます。

7月、メンバー募集のオーディションが行われ、「現地に関わりたい」「音楽とコミュニティとを考えたい」など、それぞれに思いをもったメンバーが集まりました。

オーディションの様子。

初回スタジオ入り!

8月9日、都内某所。第1回目のスタジオ練習が行われました。

この日集まったメンバーは、「ラジオ下神白」のプロジェクトディレクターであり、今回のバンドではドラム担当でもあるアサダワタルさんと、キーボード担当の小杉真実さん、ギター担当の池崎浩士さん。事前に伝えられていた「喝采」「青い山脈」「ああ人生に涙あり」の3曲のメモリーソングを、それぞれ楽譜に書き起こしたり、自分なりにアレンジしたりして練習に臨みました。

想像力を養う

練習の合間、メンバーの頭に自然と思い浮かぶのは、伴奏に乗せて歌を歌うことになる住民の皆さんや、今回練習しているメモリーソングを教えてくれた方々。「このテンポじゃ歌いにくいかも」という会話などもはさまれながら、合奏を重ねました。

クリスマス会までにはもう2曲、レパートリーを増やす予定です。練習の合間には、これまでの「ラジオ下神白」の音源を聞き、語られるエピソードとメモリーソングを聴きながら、残りの2曲は何が良いか、などのメンバー会議も行われました。

「伴奏」がメインのこのバンドにとって、合唱チームの歌いやすさや観客の方の聞きごたえはもちろん、何よりその歌にまつわるエピソードと、住人の方の思いが重要となります。「喜んでくれるかなあ」「もう団地は出てしまった方だけど、聴きに来てくれるかなあ」など、伴奏によって起こりそうな色々なことを想像しながら、練習と選曲を行いました。

そんな様子からは、プロジェクトディレクターのアサダさんが今回の活動にあたって語った「『表現』が持ち上げてくれる『想像力』を養うことは、すなわち『わかろうとし続けること』を諦めないこと」ということばが思い起こされます。

音楽という表現で、遠く離れた場所と人に向き合う新しい試みとしてのこのバンド。

目指せ、武道館? 目指せ、CDデビュー?

いいえ、そのようにわかりやすいゴールを目指して進むのが目的なのではなく、団地住民・メンバー同士の出会いや体験を重ねながら、いかに「想像力」が発揮されていくかに挑戦していく試みなのだと思います。今回の練習でも、住民の方々に思いをはせることで、演奏表現や演出の仕方が変わったようでした。

ところで、バンドメンバーは、まだ団地住民の方々に会ったことがありません。今の段階では、声とエピソードと話から、住民の方々を想像しながら練習したりアイデアを出したりするしかありませんでしたが、今後はバンドメンバーも現地を訪ねる予定です。出会ったあとでは、また違った想像力が働くのでしょうか。それはバンド活動に、どんな影響を生むのでしょうか……。

このブログでは引き続き、「伴奏型支援バンド」の様子をお届けしていきます。どうぞお楽しみに!

執筆:岡野恵未子(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー/Tokyo Art Research Lab「研究・開発」プログラム担当)

プラクティス 制作映像

「プラクティス」は、東京都墨田区を舞台にしたアートプロジェクト「ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―」(通称:ファンファン)が蓄積してきた気づきをもとに、まちなかで具体的なアクションを行なうプログラムです。

アーティストや研究者、まちの人々が出会うきっかけを作り、関わる人々それぞれの創造力を持ち寄ることで、見慣れたまちの風景から新しい考え方や価値観を生み出す展覧会やワークショップを開催しています。各種制作映像のほか、各回のレポートには「プラクティス」を実行する中での試行錯誤や葛藤、成果についてを掲載しています。

関連リンク

【新装改訂版】 東南アジアリサーチ紀行―東南アジア9カ国・83カ所のアートスペースを巡る

Art Center Ongoing代表の小川希が、2016年の3か月間、東南アジア9か国を巡り、83か所のインディペンデントなアートスペースをリサーチした旅を記録した書籍の新装改訂版です。東南アジアのスペース情報の更新に加え、その多様なコレクティブのあり方に触発されて立ち上げた「Ongoing Collective」での実践と葛藤、そして可能性について綴られたテキストを新たに収録しました。

*本書の販売は終了いたしました。PDFダウンロードにてお読みいただけます(2022年1月26日)。

目次
  • はじめに
  • Republic of the Philippines
    • 01 Artery Art Space
    • 02 Green Papaya Art Projects
    • 03 Post
    • 04 98B COLLABoratory
    • 05 Kalye Art Gallery
    • 06 Neo-Angono
    • 07 Project 20
    • 08 Los Otros
    • 09 VOCAS (Victor Oteyza Community Art Space)
    • 10 Ili-likha Artist Village
    • 11 Gallery Orange
    • 12 Kape ALBARAKO
    • 13 Margaha Beach Resort
    • 14 Kapitana Gallery
    • 15 FitStop Bites and Bikes
    • 16 Capricho Art Café
    • 17 Turtle’s Nest
  • Republic of Indonesia
    • 18 KRACK!
    • 19 KUNCI Cultural Studies Center
    • 20 Ruang MES 56
    • 21 Cemeti Art House
    • 22 Lifepatch
    • 23 Ace House Collective
    • 24 Lir Space
    • 25 Papermoon Puppet Theatre
    • 26 Taring Padi
    • 27 SURVIVE!garage
    • 28 kebun bibi art books coffee
    • 29 Kedai Kebun Forum
    • 30 C2O library&collabtive
    • 31 WAFT Lab
    • 32 Forum Lengteng
    • 33 Serrum
    • 34 ruangrupa
    • 35 Kineruku
    • 36 PLATFORM3
    • 37 Ruang Gerilya
    • 38 Salasar Sunaryo Art Space
    • 39 Tobucil & Klabs
    • 40 Omuniuum
  • Thailand
    • 41 Chiang Mai Art Conversation(CAC)
    • 42 The Godung
    • 43 Gallery Seescape
    • 44 Angkrit Gallery
    • 45 Art Bridge Chiang Rai
    • 46 Ne’na Contemporary Art Space
    • 47 The Land Foundation
    • 48 Pongnoi Community Art Space
    • 49 Maa in Soi
    • 50 Lyla Gallery
    • 51 Documentary Arts Asia
    • 52 Ung Shop Gallery Film.
    • 53 The Reading Room Bangkok
    • 54 Speedy Grandma
  • Lao People’s Democratic Republic
    • 55 i:cat gallery
  • Republic of the Union of Myanmar
    • 56 New Zero Art Space
    • 57 Studio Square-Thailand
  • Thailand
    • 58 Baan Noorg Collaborative Arts&Culture
    • 59 Tentacles
  • Republic of Singapore
    • 60 Post-Museum
    • 61 Grey Project
  • Malaysia
    • 62 Kelab Bangsar Utama
    • 63 Rumah Titi
    • 64 Findars 無限發掘
    • 65 HOM Art Trans
    • 66 Live Fact
    • 67 REAL WORKS
    • 68 Lostgens’ Contemporary Art Space
    • 69 Rumah Api
  • Socialist Republic of Viet Nam
    • 70 Dia Project
    • 71 GiantStep Urban Art Gallery
    • 72 Sàn Art
    • 73 The Factory Contemporary Arts Center
    • 74 Zero Station
    • 75 New Space Arts Foundation
    • 76 Nhà Sàn Collective
    • 77 Six Space
    • 78 Manzi
    • 79 Heritage Space
  • Kingdom of Cambodia
    • 80 SA SA BASSAC
    • 81 JavaArts
    • 82 Sa Sa Art Projects
    • 83 The 1961 Coworking and Art Space
  • おわりに
    「おわりに」の「つづきに」