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徹底解体! アートプロジェクト

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掘っ建て小屋の建つ瓦礫の写真のなかに手書きの絵が描かれている。カラフルなテントと、テントに下から潜り込もうとしているこどもたちのイラストが描かれているイメージ画像

北澤潤《理想の家のコンテスト》イメージスケッチ、2017年

アートプロジェクトの30年を「表現」と「仕組みや環境」を軸に振り返り、次の10年を探るゼミ

アートプロジェクトとは何か?
どのように現場はつくられているのか?
いま、どのような方法が可能なのか?

1990年代にはじまり、現在も各地で盛んに展開されているアートプロジェクト。さまざまな担い手による、多彩な約30年を通じて、アートプロジェクトの効用が各所へ浸透しつつあります。そうしたアートプロジェクトの軌跡を、「アートプロジェクト」という単語でひとくくりにせず、トピックの一つひとつを手に取り直して「自らに習う」ことで、次の10年が見えてくるかもしれません。

ナビゲーターは、北澤潤(美術家)と佐藤李青(アーツカウンシル東京プログラムオフィサー)。立場の異なるふたりの対話を通して、「表現」と「仕組みや環境」の視点を軸に、アートプロジェクトのこれまでの歩みを振り返ります。豊富な事例や背後に潜む「つくり手」の問題意識に触れながら、現場の動きを学び、これまでのありようを問い直し、現状を更新する「その先」のつくり方を議論するための土壌を耕します。

また、参加者のみなさんを「自らの学び」へと誘う仕掛けのひとつとして、会場のROOM302に、一時的なスタディルーム(STUDY ROOM)を立ち上げます。ナビゲーターからのインプットをふまえながら、新たな企て(プロジェクト)をつくることも試みます。

詳細

スケジュール

第1回 プロジェクトとコンセプト:はじまり(1990年代以降)
第2回 現場の動き方:国際展・トリエンナーレの時代(2000年代前後)
第3回 プロジェクトを超えて(2010年代以降)

会場

ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])

参加費

5,000円

ナビゲーターメッセージ(北澤潤)

STUDY ROOM

いつからか、
「アートプロジェクト」という言葉を使うことに躊躇しはじめた。
というか、最近はあまり使わないようにしている。
地域を現場にした新しい企てのはじまりは、
実は、「企て」というほど意図的ではなく、
もう僕らの中では地域で仕掛けることが普通の感覚だった、ように思える。
ただその現場で相対した人びとから求められるのは、
「こちら」の希求とは時にずれた、「明快な意味」だったりした。
その要求に折れず、大切なわからなさを保ったまま、
何かを伝えられる可能性がある言葉として積極的に選択した言葉が
「アートプロジェクト」だったことは間違いがない。
その当時、僕らは「わからなさ」のなかを漂っていた。
それが単純に面白かった。
いまの躊躇をあえてはっきり言うならば、
「アートプロジェクトがわかってしまった」ことが原因だと思う。
それは個々人だけでなく、「社会が」わかってしまっている。
もはや、この単語にこだわる必要はないと思う。
むしろ、言葉と現場、もしくは批評や評価の実践によって
逆に生成されてきた境界線、そのバウンダリーへ
意識を向けるときかもしれない。
越境しうるほどの意味がアートプロジェクトにあったのか、
と自問することからこの10年が別の意味に変わる気もする。
躊躇の向こう側に足が向かいそうな今だからこそ、
あらためて振り返ってみてもいい。
さまざまなアーティストたちの言葉や試み、
マネジメントの現場やプロデュースの手法、
アートの形式の変容と社会の移り気な要請。
そしてアートプロジェクトをつくってきた自分自身の実践。
「自らに習う」
そんな態度が、ときどき必要だ。
だから、思い立ったときに立ち上がる「ひらかれた自習室」
をつくってみることにした。
はじめてみるには悪くないタイミングだと思っている。

ナビゲーターメッセージ(佐藤李青)

この数年で急激に社会が変容しているように感じています。客観的な事実というよりも肌感覚に近いものです。いまは表現のありようを、その動き方から考えていく必要があるのではないかと思っています。もう少し正確にいえば考えるよりも先に何かをしなければならないのではないかという焦燥感すらあります。人は30代から50代の間で「中年の危機」というものを経験するそうです。最近聞いた言葉ですが、どうやら理由はそれだけでもなさそうです。

例えば、同時代を生きる遠くの誰かに会いにいくような感覚で、時間を隔てた他者に、その実践に出会い直すことはできるだろうか。過去のことだと線を引くのではなく、同じ実践の地平に立つ試みとして捉えてみる。そうした「先に行われた」実践から立ち上がる風景を後から追うことは、変貌するいまを捉え、これから先をつくるために十分価値のある作業なのだと思っています。方法的な工夫も少し試みるつもりです。

今回のレクチャーシリーズでは「アートプロジェクト」という言葉をよすがに、まずは過去約30年の実践を振り返ります。この言葉に対する問題意識は、もうひとりのナビゲーターの北澤潤さんのメッセージにしっかりと表現されているので、そちらをぜひご一読ください。

ナビゲーター同士でも徹底的に議論できればと思っています。遠慮はなしです。少し置いてけぼりにしてしまうかもしれません。それでも損はしないと思います。議論に結論は出ないでしょう。それは何らかの実践で取り組むべき回答なのかもしれません。だからこそ、今回のシリーズをきっかけに、これから一緒に何かをはじめることのできる方との出会いも楽しみにしています。

追伸:
今回のレクチャーシリーズは学びの「入り口」づくりとして、さまざまな参考資料を紹介予定です。手はじめに、この数年の拙稿と北澤さんのインタビュー記事を共有します。

・「芸術祭とアートプロジェクトは、新たな制度となりうるか? ――プロジェクトからインスティテューションへ」『文化政策の現在2 拡張する文化政策』東京大学出版会、2018年
・「はじめに|アートプロジェクトを動かす「ことば」を紡ぐ」(実践編「アートプロジェクト」)ネットTAM、2017年
・『アートプロジェクトのつくりかたー「つながり」を「つづける」ためのことば』フィルムアート社、2015年

・「北澤潤――日本でのアートプロジェクト 10年の実践から、インドネシア、その先へ」国際交流基金アジアセンター、2018年

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開催方法
対面
形式
ゼミ
期間
2018年7月25日(水)、8月29日(水)、9月3日(月)
回数
3回
参加者数
30名

開催年度

レポート