住まいの空間や暮らしの仕組みをデザインして、家族を「ひらく」
月日を重ねるごとに、家族と「わたし」の関係性も、生じる問題も変わります。さらに家族を取り巻く社会すらも刻一刻と変わっていくなかで、自分たちなりの「家族のカタチ」を探ろうとするとき、どのような家のあり方や地域コミュニティとのかかわり方があるでしょうか。
あらためて「家族」を「一つの共同体」として捉え直そうとすることで、多くの人にとって自分ごとになっていく(あるいは、なっている)育児や介護に、例えば、家族のなかに「他者」を介入させるような、新しい視点を得られるのではないかと考えています。
今回のゲストは、自らの家族に生じた育児・介護の課題から端を発し、兵庫県新長田で介護サービス付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」を運営する首藤義敬さん。そして、人々がゆるやかにつながる空間づくりを手がけ、プライベートでもその視点をいかして家族関係を編み直しているいわさわたかしさんです。「家族のカタチ」という、答えのない状況に向き合うお二人の思考と実践について、アートプロジェクトにおけるコミュニティや拠点形成のあり方と重ねながら話を伺います。
詳細
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
無料
建築やグラフィティの視点から、都市空間の「公私」の境界線を探る
アートプロジェクトはまちなかで行うことが多いため、「公共性」について考えさせられる場面に遭遇することがあります。日常生活のなかで「公」的な場所と「私」的な場所は、対比関係にあるものとして捉えがちです。しかし、「公=みんなのもの/場所」として捉えることで、「公」を一人ひとりの「私」が重なり合い、立ち上がっていくものとして考えることができるのではないでしょうか。
今回のゲストは、まちでの一人ひとりの行動や視点に変化を促すことで、都市の印象や公共空間に対する気づきにつなげるユニットmi-ri meter(アーティスト/建築家)と、ブラジルのグラフィテイロに関するフィールドワークを通じて「まちは誰のもの?」という問いをもち、文化人類学的アプローチから「公共性」を考える活動を行なっている阿部航太さん(デザイナー/文化人類学専攻)です。この2組に「公」と「私」との関係性について、それぞれの実践やリサーチについてお伺いします。
「公」と「私」の境界線とは何か。また、公共的な空間と自分との間に、居心地のよい距離感をつくるために必要な思考や身体性とは、どのようなものでしょうか。ゲストの思考と実践から、そのヒントを探ります。
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会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
無料
家族から戦争体験を聞き、「継承」についての展示と対話の場をつくる
もっとも身近な「家族」という存在。自分が生まれる前の時代や出来事について、語られたことや聞けたことがある一方で、近しい間柄だからこそ話せなかったことや、知りたくても聞けなかったことがあるかもしれません。
今回は、2018年に開催した「部屋しかないところからラボを建てる」の実践編として、家庭内で行われてきた戦争体験の継承について考える展示と対話の場をつくります。東日本大震災以降、仙台を拠点に土地と協働しながら記録をつくる一般社団法人NOOKの瀬尾夏美(アーティスト)、小森はるか(映像作家)、磯崎未菜(アーティスト)が、「部屋しかないところからラボを建てる」の参加メンバーからなる「かたつむり」とともに、第二次世界大戦を経験した祖母の話を息子と孫が聞くための場をつくり、その様子を映像化します。
先の戦争が終わってから74年が経ち、戦争を体験した人々が少なくなっていくことは、体験者の声を介して、世代を超えた語り継ぎの機会がなくなっていくことでもあります。東京大空襲を経験した東京において、戦争体験者の子や孫と企画者が「いまあらためて何を聞きたいか」を話し合い、体験者本人へのインタビューを行うことで、新たな語りの生成の実践と、「家族内継承」という営み自体の検証を行い、これからの時代の「継承」について思考を深めます。
*このプロジェクトは、「厄災に向き合う術(すべ)としてのアート」の一部として実施しました。
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進め方
- 展覧会づくりに向けた議論
- 家族間でのインタビューの場づくり
- 展覧会と関連イベントの企画・制作
展覧会
日時:2019年9月19日(木)〜23日(月・祝)13:00~18:00
会場:ROOM302(東京都千代田区外神田 6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
関連イベント
9月21日(土)14:00〜15:00 ギャラリーツアー
本展企画メンバーが解説を行うツアー。
ナビゲーター:柳河加奈子(かたつむり)、磯崎未菜(NOOK)
定員:15名
15:00〜18:00 公開会議「これからの継承を考える」
本展のテーマとなった出来事の「継承」について、かたつむりとNOOKのメンバーが集い、企画の実践を通して考えたことから、今後の活動について会議する。
定員:15名
9月22日(日)15:00〜17:00 てつがくカフェ
「家族に聞けること、聞けないことってなんだろう?」をテーマに、対話を通してそれぞれの考えを深める。
ファシリテーター:八木まどか(かたつむり)
定員:15名
関連サイト
東京プロジェクトスタディウェブサイト
福島の復興公営住宅の住民さんの、思い出の曲を奏でるバンドメンバー募集!
アーツカウンシル東京では、2011年7月から東京アートポイント計画の手法を使った被災地支援事業「Art Support Tohoku-Tokyo(ASTT)」を行ってきました。その一環で、2016年からアサダワタルさん(文化活動家)を中心に、福島県復興公営団地・下神白(しもかじろ)団地に暮らす住民さんに、まちの思い出とメモリーソングについて話を聞き、それをラジオ番組風のCDに編集し、団地内限定で200世帯へ一軒一軒届けるプロジェクト「ラジオ下神白」を行っています。
今回は、住民さんたちの「メモリーソング」のバック演奏をする「伴走型支援バンド」のメンバーを募集します! 団地を訪問し、メモリーソングとエピソードを聞き、都内のスタジオで練習。2020年3月までに住民さんの合唱を支えるバンドになることを目指します。
遠く離れた土地で、音楽を通じて一人ひとりの「わたし」と出会い、かかわっていくことは可能なのか。東京にいながら、東北の災禍とのかかわり方を探ります。
*このプロジェクトは、「厄災に向き合う術(すべ)としてのアート」の一部として実施しました。
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スケジュール
- 7月下旬に都内でメンバー顔合わせ
- 8月に団地への最初の訪問
- 月1回、都内でスタジオ練習
- 団地集会場で開催するクリスマス会にて、初演予定
参加資格
- ギター、ベース、キーボード、管楽器などの演奏経験が多少なりともあること(ただし、技術は問いません)
- 福島県いわき市内の復興公営住宅に通えること(1泊2日を3回程度)
- 都内で定期的にスタジオ練習ができること(平日夜や土日に、月1回3時間程度)
- 懐メロに関心があること
- 性別や年齢不問
社会とアートの関係性を探るトークイベント
「まち」をフィールドに、人々の営みに寄り添い、アートを介して問いを提示するアートプロジェクトを紐解き、最新のテーマを追求するアーツカウンシル東京が企画するトークイベント。アートプロジェクトに関心を寄せる人々が集い、社会とアートの関係性を探り、新たな「ことば」を紡ぎます。
2019年度は、地域で場所をひらくこと、あるいはプロジェクトを企むことの意義について議論を深めます。
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スケジュール
2019年7月7日開催
Artpoint Meeting #08 –10年の“こだわり”を浴びる–
2020年2月9日開催
Artpoint Meeting #09 –生きやすさの回路をひらく–
少子高齢化社会における、死に寄り添ったアートプロジェクトの可能性を探る
少子高齢化が社会問題となって久しい現在、わたしたちは多死社会へと進んでいます。日本における死者は2030年には年間160万人を数え、増加のピークを迎えます。これは2006年の統計の約1.5倍の数値(*)。既に首都圏においては、火葬場や遺体安置所、墓地の不足が顕著になってきました。
近代以降、都市の生活圏においては「死」にまつわる施設やモニュメントは日常生活から遠ざけられています。また、iPS細胞をはじめとするテクノロジーの進歩により「生」や「死」の概念は拡張し、多様化が進んでいます。これらの状況をふまえ、これからやってくる多死社会に対してどのように向き合い、何を準備すればよいのでしょうか。
今回は、ゲストに金沢21世紀美術館で「Death LAB:死を民主化せよ」展を企画した髙橋洋介さん(キュレーター)と、東京の江古田地域で「看取り」を考えるアートプロジェクト『東京スープとブランケット紀行』を行ってきた羊屋白玉さん(劇作家)を迎え、都市計画としての問題、訪れる喪失に対するこころのケアの問題に応答し、生活圏に寄り添うアートプロジェクトの可能性を探ります。
*内閣府「平成30年版高齢社会白書」2018年
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ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])
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古典作品から当時の価値観を知り、現代社会の「女性像」を再考する
日々の生活を営むなかで、男女間に存在するルールやしきたりを構成する曖昧なイメージの集積に、わたしたちは潜在的な影響を受けながら生活しています。異性愛が前提とされ、婚姻時に女性が姓を変更する割合が9割を超え、家事や育児を主に女性が担う。現代の日本社会はこうしたイメージがいまだ根強く、ときには「らしさ」を求められ、生活に不都合や不自由が生じる場合もあります。
翻って、過去の日本は女性の視点から見て、どのような社会だったのでしょうか? 古典と呼ばれる作品には当時の風習や風俗、信仰や思想などが反映されています。長く語り継がれるなかで、変化する女性像の造形や物語の変遷。それらを読み解くことで社会の関係性が浮かび上がってきます。過去と現代、異なる時代を「女性」という定点から眺めたときに、現代を望む新しい視点が得られるかもしれません。
今回はゲストに、日本中世文学が専門で、物語絵と女性の関係性に関する著書がある恋田知子さん(日本文学研究者)と、現代女性の現状を題材に新たな解釈を付与する作品を発表する遠藤麻衣さん(俳優/美術家)をお招きし、過去と現在の物語を通して女性という視点から社会と個人の関係について考察します。
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ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
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アジア圏のアーティストと協働する実践者から、近年の動向や新たな潮流を学ぶ
近年、日本各地でアジアのアーティストの展覧会やレジデンスなどが盛んに行われ、アーティストや作品と出会う機会が増えてきました。また、インターネットを通じて、各地の情報にアクセスすることも容易になっています。
物理的にも、心理的にも、「近く」なったアジア。しかし、日本もアジアの一部であると捉えると、この近くなったという感覚で「アジア」をひとくくりにしてしまうことは、かえって「遠ざけて」しまうこともあるのではないかと思います。現在、アジア諸国や日本のアーティストやキュレーターの協働が盛んに行われるなかで、どのような気づきや表現、あるいは一過性ではない文化交流が生まれているのでしょうか。
ときに「アジア」という大きな概念や対象は、身体のレベルを超え、漠然としたイメージとしてわたしたちのなかに入り込んでくるようにも思えます。そのなかで必要になってくるのは、自らの立ち位置を見定め、固有の「一対一の関係性を結ぼう」という姿勢なのかもしれません。
そうした関係性を構築する姿勢を学ぶべく、実際にアジアの現場でプロジェクトを行ってきた居原田遥さん(インディペンデントキュレーター/コーディネーター)と、アジアのアーティストやキュレーターを日本に招聘してきた堀内奈穂子さん(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]キュレーター)という、内と外、視点の異なる二人の実践者をお迎えします。お二人がどのようにアジアを捉え、アーティストやアートと対峙し、関係性を結んできたのか。移動、越境することで可能になってくる表現、見えてくる境界線について話を伺います。
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日々の営みから、「小さな文化」を掘り起こすために必要な姿勢を考える
いつも見ている風景や日々の生活のなかにも、実は複雑で多様な世界が存在しています。しかし、そこにあることに慣れてしまうと、なんとなく過ぎ去っていく風景や行為の一部になってしまいます。
そんな「当たり前」なことへ好奇心を抱くことは、習慣化して見えづらくなった日常の断片を掬うことにつながり、さらにそのかけらが他者と共有可能なものとして記述されたとき、あらためてわたしたちは日常生活が驚きと発見で満ちていることに気づくのではないでしょうか。まちに入り込むアートプロジェクトを行うためには、こうした土地や人々の暮らしに新たな解釈や可能性を見出そうとする姿勢が必要になってくると考えています。
日常の断片を集め、共有可能なかたちで記述するための方法とは? それを読み解き、新しいものを生み出していくプロセスとは? このような問いかけを日々の営みのなかから立ち現れる「小さな文化」を手がかりに、「いま」の社会の断片を捉えることを試み続ける冨永美保さん・伊藤孝仁さん(tomito architecture)と、大橋香奈さん(映像エスノグラファー)をゲストにお呼びして語り合いたいと思います。
これまでの活動のなかで日常生活をどのように記述しようと試み、新たな挑戦に取り組んできたのか。両者に共通する姿勢と態度を紐解きながら、「いま」を見つめる先にある次なる展開について話します。
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ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
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出来事の記憶を遠くの誰かに届ける、イメージの「扱い方」を考える
ある出来事の記憶は、絵や写真といったイメージになることで、さまざまな場所へ移動ができるようになります。それは物理的な距離に限らず、ときには時間を超えて、誰かのもとへ届く可能性をもつことでしょう。かたちを与えられた誰かの記憶は、それに触れた人々の記憶の呼び水ともなります。
イメージを前に自らの経験を語り出す。「別の」経験と重ね合わせる。そうして新たな意味を付与する行為はイメージの存在を豊かにするのと同時に、ひとつの出来事や、それが示唆する共通の経験の継承につながっています。ただし、そう「なる」ための実践は容易ではありません。
自らが知りえない遠くの誰かに、どこまでイメージを届けることができるのか。それには、どのような手法がありえるのか。そもそも、イメージを介して他者と何が共有可能なのだろうか。これらは何らかの記録やメディアを介して、かたちのない記憶を伝えようとするときの根源的な問いであり、それを発した瞬間から困難を抱えてしまうような危険な問いでもあるのだと思います。 こうした問いを念頭に置きつつ、日々イメージと記憶にまつわる実践を重ねる、岡村幸宣さん(原爆の図丸木美術館学芸員)と松本篤さん(NPO法人remoメンバー/AHA! 世話人)をゲストにお迎えし、お二人の取り組みや問題意識を共有し、これからの実践の手法の可能性を模索します。
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ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
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