『多摩の未来の地勢図 Cleaving Art Meeting』の一環として、2024年12月から2025年3月にかけて、アーティストの弓指寛治さんが昭島市立光華小学校4年2組に通いました。この冊子では、弓指さん自身の日々の気づきを日記などで紹介するとともに、観察者として伴走した吉田さんから見えたものについても併記しています。
『多摩の未来の地勢図 Cleaving Art Meeting』を実施するNPO法人アートフル・アクションは、これまでの活動の中で、多くの小学校の図工や教科の授業と連携してきました。授業にはたくさんの市民の方々やNPOスタッフ、アーティストが参加しています。この冊子では、企画づくりや授業に参加したスタッフが、地域との連携を視野に入れながら、連携の考え方や授業のプログラムなどを振り返っています。
東京アートポイント計画の各事業や、Tokyo Art Research Lab(TARL)では、毎年さまざまなドキュメントやツールなどを発行しています。これまでに発行したものを含め、制作物の多くはTARLウェブサイトの資料室から、PDFデータとしてダウンロードすることができます。また、さまざまな方に手にとってもらえるよう、各地の美術館や図書館、アートセンター等にも送付しています。こうして制作したドキュメントが、手にとっていただいた方それぞれにとっても、これからを見据えるための羅針盤になることを願っています。
2023年にリニューアルした「Tokyo Art Research Lab」(以下、TARL)のウェブサイトの企画運営を担当した櫻井は、コロナ禍のはじまった2020年にはフリーランスとしてアートプロジェクトの現場でオンライン対応に携わっていました。当時は社会で急速にオンライン化が求められた時期でしたが、その形式が普及するなかで、近年の配信は「きっちりしがち」とコメントし、それに対して今回の配信では「もう少し実験的に、フランクに、オンラインの可能性について考えてみたい」と、開催に対する思いを語ります。
例えば2020年、足立区で活動する「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」では、千住に1010人が集って演奏する音楽祭を予定していましたが、対面の実施は断念。代わりにオンライン上で「千住の1010人 from 2020年『2020年を作曲する 世界だじゃれ音Line音楽祭』」を開催しました。櫻井は、「配信ならではのズレやハウリングをいかした演奏が行われるなど、オンライン化でむしろフットワークが軽くなった」と振り返ります。
石川県かほく市出身の明貫さんは、筑波大学や国際情報科学芸術アカデミー(現・情報科学芸術大学院大学、IAMAS)で学んだあと、キュレーターとしてSKIPシティ映像ミュージアム(川口)やNTTインターコミュニケーション・センター [ICC](初台)に勤務。その後、文化庁の事業の一環でメディアアートの記録と保存に関する研究を行い、ドナウ大学大学院(オーストリア)にて修士号を取得しました。2013年からはInter Media Art Institute (IMAI、ドイツ)でビデオアートのデジタル化やデータベース作成に携わり、帰国後はキヤノンが1991〜2001年に行った伝説的な文化支援事業「キヤノン・アートラボ」の資料整理に従事。現在はふたたび故郷に近い石川県の加賀市を拠点にしています。
さらに明貫さんは、2022〜2024年、札幌国際芸術祭(SIAF)の関連団体「SIAFラボ」が手がけた分野を超えた研究開発と協働のためのプラットフォーム「S.I.D.E.」で、キュラトリアル・リサーチャーを務めました。このなかで明貫さんや、アーティストの中井悠(なかいゆう)さんたちは、音楽家のデーヴィッド・チュードア、アーティストの中谷芙二子(なかやふじこ)やジャクリーン・マティス・モニエらが、Experiments in Art & Technology (E.A.T.)のサポートを受けて1974年から進めた、島全体を楽器化する《Island Eye Island Ear》という未完の構想に着目。当時の資料を調査しながら、その実現可能性を探りました。
「パートナーシップ」をテーマに、全4回にわたって各プロジェクトの現場を訪ねてきた今年度の「ジムジム会」。そこには、活動における問題意識の共通性に基づくもの(都立第五福竜丸展示館+「カロクリサイクル」)や、まちなかのネットワークを広げるための契機とするもの(「Kunitachi Art Center」×「ACKT」)、既存の制度を考えるための機会をつくろうとするもの(昭島市立光華小学校+「多摩の未来の地勢図」)、そして今回の音まちと足立区のように、NPOと行政の目標の重なりを長い時間をかけて育て、磨き上げたものまで、4者4様のパートナーシップのかたちがありました。
演習「自分のアートプロジェクトをつくる」は、これからの時代に応答するアートプロジェクトのかたちを考えるシリーズ「新たな航路を切り開く」の一環として開催している、ゼミ形式の演習です。ナビゲーターはP3 art and environment統括ディレクターの芹沢高志さん。アートプロジェクトを立ち上げたい方やディレクションに関心のある方を対象としています。