東京を“再読”する :(Re)reading Tokyo

目の前のものと、自分自身の関係を見つめなおす

都市を構成するさまざまな風景は、人の暮らしに適したかたちに整えられ、ひとびとはそれら「当たり前」になった都市の仕組みの中で日々の生活を送っています。そうした現在の環境の中で一度立ち止まり、一歩下がり、そこから「当たり前」になっているものごとを読み解き、再び向き合うための場をひらきます。

足を止め、生活のまわりにあるものをつぶさに見ることで、わたしたちの前に見えてくるものはなにか。日常生活において見過ごしているものはなにか。それらのものたちと自分たちとの関係性とは? 普段、何気なく経験しているものごとの見方を少し変えることで、新たな発見や、文化的な価値を見出すことができるかもしれません。

本企画では、参加者が自分自身の関心をもとに探求をはじめるためのヒントを共有することで、「探求者」であることを日常とする文化の担い手を育むことを目指します。

ナビゲーターは、北海道十勝地方の「芽武(メム)」を舞台に、建築、音、食、自然環境へとアプローチしながら、目の前の対象への「再読」を実践している森下有さんです。また、ゲストアーティストとして、東京の水脈や地層のリサーチを通じて作品を制作してきた齋藤彰英さんとともに企画を構想し、参加者との共有に取り組みます。

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手法

  • 企画メンバーでの定期的なディスカッション。
  • 参加者への共有方法、場づくりの検討。
  • 都内の会場で、2025年2月頃にアウトプットを予定。詳細が決まり次第、本ウェブページやSNSなどで公開。

事業のいまを英語で伝える

伝える方法を探り、ツールとして整える

「東京アートポイント計画」は、2009年のスタート以来、東京都、アーツカウンシル東京、NPO*との「共催事業」という形でさまざまなアートプロジェクトを実施し、創造的な活動拠点やコミュニティを地域の中に育んできました。また同時に、日々変化する社会に向き合うための学びの場づくりや、活動の中で制作した書籍や映像等資料の公開、事業の記録や評価を見据えた運営手法の研究・開発などを通して、アートプロジェクトの担い手づくりや活動基盤の整備なども行っています。

実践のなかから生まれる現場の声をもとに、プロジェクトが地域に根付くためのさまざまな支援・取り組みを行い、プロセスを重視しながら時間をかけて事業と組織を育む「東京アートポイント計画」。この仕組みを広く国内外へ伝え、ゆるやかなネットワークをつくることができれば、そこからまた新たな活動が生まれ、つながっていく足掛かりになるのではないかと考えます。

本企画では、事業の仕組みや手法、そこから生まれた活動の現在を国内外へ広く伝えるために、英語でのツール制作や、資料の翻訳などを行い公開します。

*NPO法人のほか、一般社団法人、社会福祉法人など非営利型の組織も含む

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進め方

企画パートナーとディスカッションを重ねながら、英語で伝えるためのツールを制作し、環境を整備していく。

スケジュール

2022年

  • 企画パートナーを選定
  • 国際発信の方法や目標をディスカッションし、これからの方針を固める
  • 国内外の芸術文化の事例に詳しい有識者へヒアリング
  • 事業の仕組みや特徴をあらためて整理し、英語での資料を作成
  • 東京アートポイント計画ウェブサイトの英語ページを公開

2023年

  • 必要なツールについてディスカッション
  • 「東京アートポイント計画」の英語パンフレットを制作

2024年

 

わたしたちの“ウェブアクセシビリティ”を考える

それぞれの文化から考えるウェブサイト制作

Tokyo Art Research Lab(TARL)のウェブサイトでは、デザインやレイアウト、コーディングの状態などについて、障害当事者の方々にレビューを行っていただくことでウェブアクセシビリティの向上に取り組んでいます。かれらは身体・精神障害当事者としての立場からウェブサイトをつかい、機能やビジュアルへのアドバイスや、不安を感じる瞬間・部分を共有するなど、丁寧な視点でウェブサイト制作に伴走する心強い存在です。

一方で、レビューでの指摘は多岐にわたり、決められた条件や環境の中で実装の判断に迷うこともしばしばあります。あるいは、ウェブサイト制作に関するチェックリストやマニュアル制作によって、達成すべき環境づくりが形骸化してしまわないか、あるいは「良い状態」や「良い環境」を一方的に押し付けることにならないかなど、アクセシビリティへの悩みは尽きません。

そこであらためて、さまざまな環境・文化を背景にした「ユーザー体験の豊かさ」や「心地よさ」を探るべく、障害当事者へのインタビューを実施し、そのレポートを公開します。ウェブアクセシビリティをあらためて「わたしたち」の視点の中に捉えることで、新たな言葉を紡ぎます。

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インタビュー対象

特性の異なる障害当事者3組程度を予定。

スケジュール

2025年3月までに順次、レポートをTokyo Art Research Lab ウェブサイトにて公開予定。

Artpoint Radio 東京を歩く

拠点をめぐりながら東京を考える

わたしたちの暮らすまちには、数多くの「拠点」があります。そこは日常的に人々が集う場になっていたり、展覧会を企画していたり、アトリエや倉庫として活用したりと、さまざまな姿を見せています。そして、そうした数多くの拠点には、その運営者たちの社会への眼差しが映し出されているのではないでしょうか。

本企画では、都内に設立された拠点をめぐりながら、その運営メンバーにインタビューを実施し、その様子をラジオとレポート記事の2つの形式で公開します。拠点の運営に関わるひとびとの言葉から、東京の現在の姿をともに考えます。

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インタビュー拠点(五十音順)

  • OGU MAG +
  • 亀戸アートセンター
  • Hand Saw Press
  • STUDIO322

など、東京都内の拠点8か所程度を予定。

スケジュール

2025年3月までに順次、Tokyo Art Research Lab ウェブサイト及びYouTubeチャンネルにて公開予定。

Artpoint Meeting 2024

社会とアートの関係性を探るトークイベント

「まち」をフィールドに、人々の営みに寄り添い、アートを介して問いを提示するアートプロジェクトを紐解き、最新のテーマを追求するトークイベント。アートプロジェクトに関心を寄せる人々が集い、社会とアートの関係性を探り、新たな「ことば」を紡ぎます。

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スケジュール

Artpoint Meeting #15 × 港区文化芸術ネットワーク会議
「プロジェクトを広げる、“かかわりしろ”のつくりかた」

2024年12月14日開催

  • ゲスト:中川佳洋、狭間明日実、松浦千恵
  • 会場:港区立男女平等参画センターリーブラ リーブラホール

Artpoint Meeting #16

2024年12月ごろ情報公開予定

Artpoint Meeting #15 × 港区文化芸術ネットワーク会議 「プロジェクトを広げる、“かかわりしろ”のつくりかた」

さまざまな人たちが集まり、地域の日常のなかで文化活動を育んでいくアートプロジェクト。それはアートを通じて地域に暮らす人々の関係を編み直し、生活の多様な分野をつなげていくものとなります。その特性を活かすためには「かかわりしろ」づくりが欠かせません。

かかわりしろとは、活動や場にかかわるための「のりしろ」のこと。活動に関心をもつ人たちが、自分なりのやりかたでかかわるための余白をもつことです。多様なかかわりしろがあることで、世代や背景の異なる人たちが混じり合った場が生まれ、その場にかかわったひとたちにとっての居場所になっていくことでしょう。

プロジェクトに自分事(じぶんごと)としてかかわり、活動を続けていくために必要なかかわりしろを、どうつくっていくのか? 今回は水戸と京都からゲストを招き、ふたつの場づくりの事例をもとに、ことばを紡ぎます。

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プログラム

15:00~15:20  オープニング
「地域のかかわりづくりを支える仕組み
―東京アートポイント計画と港区の文化芸術活動支援」

  • 話し手:宮﨑刀史紀(Kissポート財団 文化芸術部長)、佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

15:20~16:00 トークセッション1
「居場所であること、そこから広がったこと―高校生ウィークの取り組み」

  • 話し手:中川佳洋(水戸芸術館現代美術センター 教育プログラムコーディネーター)
  • 聞き手:田中真実(認定NPO法人STスポット横浜 副理事長・事務局長/港区文化芸術活動サポート事業調査員)

16:00~16:10 休憩

16:10~16:50 トークセッション2
「ばらばらだけど、ともにいる場をつくる―バザールカフェの取り組み」

  • 話し手:狭間明日実、松浦千恵(バザールカフェ)
  • 聞き手:川満ニキアン(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

16:50~17:30 ディスカッション

  • モデレーター:佐藤李青

17:30~17:40 クロージング

17:40~18:00 交流時間

会場

港区立男女平等参画センターリーブラ リーブラホール
(東京都港区芝浦1-16-1 みなとパーク芝浦1F)
JR「田町駅」東口(芝浦口) ペデストリアンデッキ 徒歩5分
都営地下鉄浅草線・三田線「三田駅」A6出口 徒歩6分

https://www.minatolibra.jp/access/

参加費

無料 ※手話通訳あり・UDトークあり

主催

東京都、港区、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団(Kissポート財団)

※ プログラムは変更になる場合があります。

事例紹介

高校生ウィーク

高校生のための展覧会無料招待企画として1993年にはじまった「高校生ウィーク」。2004年からは展覧会と連動したさまざまなプログラムが行われる無料の「カフェ」をギャラリー内に設置し、その運営にも若い世代が参加する。現在は対象を多世代にひらき、常設・特設のワークショップ、読書や裁縫、市民主体の部活動への参加を通して若い世代がアーティストや来館者、ボランティアなど多様な人や価値観に出会う機会を提供している。

高校生ウィーク2024 カフェカウンター
(撮影:仲田絵美)

バザールカフェ

日本基督教団京都教区とアーティスト、市民運動家、大学教員、宣教師、牧師などで構成される共同プロジェクトとして1998年にはじまる。セクシュアリティ、年齢、国籍など、異なった現実に生きている人々が、社会のなかで「共に生きる」ことのできる場の創出を目指している。カフェ運営や庭づくりを通して働く場を提供することや、社会で起こっている課題や情報提供、活動団体間のネットワークづくりの場になること、訪れるひとの居場所になることを心がけている。

年に一度開催する「バザールフィエスタ」には200名以上が来場。