事業成果を調査し、複数年にわたる文化事業の成果指標を探る
複数年にわたる文化事業の成果を調査・検証するとき、どのような観点が大切なのでしょうか。今回は、2010年度に始動した人材育成事業「Tokyo Art Research Lab(TARL)」の8年間の取り組みを、事業の結果(アウトプット)、成果(アウトカム)、波及効果(インパクト)の3つを軸に調査検証を行います。
研究メンバーは、調査等を通してアートと社会の橋渡しを行っているNPO法人アートNPOリンクの大澤寅雄さん(ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室/文化生態観察)と吉澤弥生さん(社会学者)です。 この調査を通じて、TARLと同じように複数年にわたる文化事業において定量・定性の両面から成果をどのように捉えるべきなのか、そのあり方を議論します。
詳細
進め方
- Tokyo Art Research Labの事業実績の分析(プロジェクト数、プログラム数、参加者数、ゲスト講師数、発行物数)
- 主な事業関係者8名に対するヒアリング
- 「思考と技術と対話の学校」の受講生に対するアンケート調査
- 調査結果と8か年の成果についての議論
関連資料
『東京アートポイント計画 2009-2016 実績調査と報告』
多種多様なドキュメントブックの「届け方」をデザインする
近年、各地で増加するアートプロジェクトでは、毎回さまざまなかたちの報告書やドキュメントブックが発行されています。ただし、それらの発行物は、書店販売などの一般流通に乗らないものも多いため、制作だけでなく「届ける」ところまでを設計することが必要です。東京アートポイント計画も、毎年度末にその年の事業の成果物をまとめて関係者に送付しています。
多種多様な形態で、それぞれ異なる目的をもつドキュメントブックを、どのように届ければ手に取ってくれたり、効果的に活用したりしてもらえるのか? 資料の流通に適したデザインとは何か?
そこで、2016年度から川村格夫さん(デザイナー)とともに、さまざまな発行物をまとめる「メディア/レターの届け方」をデザインするプロジェクトを行っています。東京アートポイント計画が取り組む4事業22冊の発行物を、どのように送るのが効果的か。受け取る人のことを想像しながら、パッケージデザインや同封するレターを開発します。
詳細
進め方
- 同封する発行物の仕様を確認する
- 発送する箱の仕様や梱包方法の検討
- 発送までの作業行程の設計
- パッケージと同封するレターのデザイン・制作
「災害」における文化的なアプローチについて議論を深める
アートプロジェクトは、日々現場で変化を繰り返しています。そこに伴走する中間支援もまた、あるべき機能や課題、論点を抽出し、定期的に検証する機会を設ける必要があるのではないでしょうか。
この研究会では、共通のテーマや似た属性をもつアートプロジェクトの中間支援の担い手が集まり、プログラムオフィサーやゲストを交えて意見交換を行います。横断的な交流のなかで洗い出された現場の課題から、中間支援のあり方を見直すのが目的。メンバーは、小川智紀さん(認定NPO法人STスポット横浜 理事長)、田中真実さん(認定NPO法人STスポット横浜事務局長)、戸舘正史さん(松山ブンカ・ラボ ディレクター)です。
今回のテーマは、文化事業として取り組むべきトピックのひとつである「災害」。阪神・淡路大震災の手記を編んできた高森順子さん(阪神大震災を記録しつづける会事務局長)から、これまで活動してきたなかで起きた団体の変化や、活動の終わり方について伺います。
*このプログラムは、「研究会プログラム」の一部として開催しました。
詳細
進め方
- アートプロジェクトの中間支援についてのトピックを検討する
- 研究会の開催、論点の抽出
近年、日本各地で増加するアートプロジェクトにおいては、その実施プロセスや成果等を可視化し、広く共有する目的で様々な形態の報告書やドキュメントブックなどが発行されています。それらの発行物は、書店販売など一般流通に乗らないものも多いため、制作だけでなく「届ける」ところまでを設計することが必要となります。
またドキュメントブックは、ひとつひとつのプログラムのみならず、それを生み出した母体となる団体やプロジェクトの理念や文脈が込められています。複数のプログラムを抱える活動において、そこに通底する価値を広く社会に伝えることは重要です。
本プログラムではアートプロジェクトから生まれた「言葉」(報告書やドキュメントブックなどの発行物)の届け方の手法を研究・開発します。昨年度に引き続き、今年度はアーツカウンシル東京の取り組みから「東京アートポイント計画」「Tokyo Art Research Lab」「Art Support Tohoku-Tokyo(東京都による芸術文化を活用した被災地支援事業)」を取り上げ、その発行物を届けるためのメディア開発(パッケージ及びレター)を行います。冊子を届けるだけでなく、事業のアウトプット(発行物)とアウトカム(成果)の関係性を可視化することを目指します。
社会とアートの関係性を探るトークイベント
「まち」をフィールドに、人々の営みに寄り添い、アートを介して問いを提示するアートプロジェクト。Artpoint Meetingは、アートプロジェクトに関心を寄せる人々が集い、社会とアートの関係性を探り、新たな「ことば」を紡ぐ東京アートポイント計画のイベントです。
2017年度は、東京各地で実施しているプロジェクトの実践者による企てや、文化と日常の関係性について議論を深めます。また、東京アートポイント計画に参加する11のNPOによる公開プレゼンテーションを通じて、現場の悩みや展望について語り合います。
詳細
スケジュール
2017年7月2日開催
Artpoint Meeting #03 –まちで企む–
- ゲスト:及川賢一、吉田武司、小川希
- 会場:武蔵野プレイス 4Fフォーラム
2018年1月27日開催
Artpoint Meeting #04 –日常に還す–
- ゲスト:竹田由美、アサダワタル
- 会場:100BANCH 3F LOFT
2018年3月25日開催
Artpoint Meeting #05 公開報告会
- ゲスト:一般社団法人 Ongoing、NPO 法人アートフル・アクション、NPO 法人音まち計画、一般社団法人 CIAN、NPO 法人トッピングイースト、NPO 法人インビジブル、一般社団法人指輪ホテル、一般社団法人 kuriya、NPO 法人場所と物語、NPO 法人神津島盛り上げ隊、社会福祉法人東香会
- 会場:アーツカウンシル東京 大会議室
社会とアートの関係性を探るトークイベント
「まち」をフィールドに、人々の営みに寄り添い、アートを介して問いを提示するアートプロジェクト。Artpoint Meetingは、アートプロジェクトに関心を寄せる人々が集い、社会とアートの関係性を探り、新たな「ことば」を紡ぐ東京アートポイント計画のイベントです。
2016年度は、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた動向や、新たな「公」の考え方、捉え方について議論を深めます。
詳細
スケジュール
2017年7月2日開催
Artpoint Meeting #03 –まちで企む–
- ゲスト:及川賢一、吉田武司、小川希
- 会場:武蔵野プレイス 4Fフォーラム
2018年1月27日開催
Artpoint Meeting #04 –日常に還す–
- ゲスト:竹田由美、アサダワタル
- 会場:100BANCH 3F LOFT
2018年3月25日開催
Artpoint Meeting #05 公開報告会
- ゲスト:一般社団法人 Ongoing、NPO 法人アートフル・アクション、NPO 法人音まち計画、一般社団法人 CIAN、NPO 法人トッピングイースト、NPO 法人インビジブル、一般社団法人指輪ホテル、一般社団法人 kuriya、NPO 法人場所と物語、NPO 法人神津島盛り上げ隊、社会福祉法人東香会
- 会場:アーツカウンシル東京 大会議室
近年、日本各地で増加するアートプロジェクトにおいては、その実施プロセスや成果等を可視化し、広く共有する目的でさまざまな形態の報告書やドキュメントブックなどが発行されています。それらの発行物は、書店販売など一般流通に乗らないものも多いため、制作だけでなく「届ける」ところまでを設計することが必要となります。
またドキュメントブックは、一つひとつのプログラムのみならず、それを生み出した母体となる団体やプロジェクトの理念や文脈が込められています。複数のプログラムを抱える活動において、そこに通底する価値を広く社会に伝えることは重要です。
本プログラムではアートプロジェクトから生まれた「言葉」(報告書やドキュメントブックなどの発行物)の届け方の手法を研究・開発します。今年度はアーツカウンシル東京の取り組みから「東京アートポイント計画」「Tokyo Art Research Lab」「Art Support Tohoku-Tokyo(東京都による芸術文化を活用した被災地支援事業)」「TURN」を取り上げ、その発行物を届けるためのメディア開発(パッケージ及びレター)を行います。
アートプロジェクトにまつわる「言葉」を集め、読み解き、編纂します。それによって、アートプロジェクトを実施、検証する上での理念や考え方の基盤を整備するプログラムです。その一環として、アートプロジェクトを語る上で重要となるテキストの著者を招き、その執筆意図や背景を聞き、読解するための公開研究会を行います。
詳細
スケジュール
第1回 2014年12月10日(水)19:30〜21:30
参考テキスト
- 「「脱美術館」化するアートプロジェクト」『社会とアートのえんむすび1996-2000』ドキュメント2000プロジェクト実行委員会、2001年、p.8-20
- 「「もの」から「コミュニケーション」へ」『社会とアートのえんむすび1996-2000』ドキュメント2000プロジェクト実行委員会、2001年、p.116-127
- 「OSとしての作家 作品制作より、場づくり、関係づくりを目指す。」『AERA』朝日新聞出版、1999年8月16-23日号、p.81
- 「美大生のための「川俣正入門講座」」『美術手帖』美術出版社、1998年10月号、p.72-84
- 『アートのみかた』BankART1929、2010年
※1990年代から2000年代にかけて、村田さんが執筆された複数テキスト、記事で取り上げられたアートプロジェクトを振り返りながら、その状況の変化や言葉の変遷を伺う公開インタビュー形式で行います。
ゲスト:村田真(美術ジャーナリスト)
ホスト:森司(東京アートポイント計画 ディレクター)
聞き手:佐藤李青(東京アートポイント計画 プログラムオフィサー)、海老澤彩・高橋かおり(リサーチャー)
第2回 2015年1月23日(金) 19:30〜21:30
参考テキスト
- 「藤浩志 OSのアート」『美術手帖』美術出版社、1999年12月号、p.127-134
- 『Report 藤浩志企画制作室』より記事を数本
※ 1990年代後半に藤さんが使いはじめた「OS」という言葉を中心に、当日のテキストとともに、その発想の動機や時代状況などを伺います。
ゲスト:藤浩志(美術作家/十和田市現代美術館館長)
ホスト:森司(東京アートポイント計画 ディレクター)
聞き手:佐藤李青(東京アートポイント計画 プログラムオフィサー)、海老澤彩・高橋かおり(リサーチャー)
アートプロジェクトの担い手たちのラボ
「ROOM302」は、東京都千代田区のアートセンター「アーツ千代田3331」の3階にアーツカウンシル東京が開設し、2010年から2023年3月15日まで運営を続けていたアートプロジェクトの担い手たちの活動拠点です。
イベントやレクチャー、アーカイブ、打ち合わせ、あるいはさまざまな実験的な活動を試みる場として多くの人々が活用し、2020年には映像の収録・配信ができるスタジオ「STUDIO302」を開設しました。