解決のヒントはおとなりさんがもっている。ジムジム会をひらいてみよう。
執筆者 : 大内伸輔
2021.04.28
東京アートポイント計画に参加する9団体が互いに学び合う「ジムジム会(事務局による事務局のためのジムのような勉強会)」から派生した、「続・ジムジム会」。2020年度最後の回では、各事務局がこの1年間で身についたアートプロジェクトの運営スキルを筋肉に見立て、それぞれ披露し合いました!
ホスト役は、東京アートポイント計画のプログラムオフィサー(PO)と、その呼びかけに賛同してくれた、「アートアクセスあだち 音まち千住の縁(以下、音まち)」の西川汐さん、「ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―(以下、ファンファン)」の青木彬さん、「東京で(国)境をこえる」の矢野靖人さんという、事業横断型の運営チーム。
年度の締めくくりなので、一年を振り返る企画をしたい。でも、振り返りは反省点が出やすくて、ネガティブになりがち…。どうやったら一年間を楽しく振り返れるだろうか? そんな議論を重ねていたときに出てきたのが、「ボディビル大会のように、各事務局がスキルアップしたことを見せ合う」というアイディアでした。
2019年度に「ジムジム会」がスタートした時、発起人の坂本POはこんな言葉を記していました。
日々の業務とは、ちょっと気分を変えて、トレーニングジムで筋トレをするような感覚で、通える場として仕立てています。
トレーニングジムでは、エクササイズをがんばると、「いい感じですね!よいフォームです」とトレーナーが褒めてくれ、ちょっとさぼると「もう1回やりなおし」と厳しく反応してくれたりして、モチベーションが刺激されますよね。プロジェクト運営でも、反応したり、相談したりできるような仲間がいることで、持続的な活動の支えになるのではと考えました。
(坂本有理「プロジェクト運営の筋トレ!? 「ジムジム会」はじめました―Artpoint Letterより」)
ジムに通うように互いに刺激し合い、事務力の筋肉(=マネジメント力)を鍛えようとはじまったジムジム会。この1年間では、それぞれどんな筋肉が鍛えられたのでしょうか? 運営面? 広報面?
そんな各事務局の「筋肉自慢」を持ち寄り、ボディビル大会のように披露し合った様子をお届けします。
前半の司会は、音まちの西川さんと、POの岡野。各事務局に、自分たちがこの1年で鍛えられた筋肉(=スキル)に「○○筋」と名前を付けてもらい、順番に披露していきました。
例えば、「500年のcommonを考えるプロジェクト『YATO』」は「原点にかえる筋」。コロナ禍で、例年のように縁日の企画が実施できない状況の中、「プロジェクトにおける企画はイベントなのかセレモニー(儀式)なのか」という“原点”にかえって考えたことが、プロジェクトにとって大事な時間になりました。
「ファンファン」は、「もうひと工夫筋」を披露。“話しづらい”と感じてしまいがちなオンラインでのコミュニケーションをひと工夫し、ラジオ形式での情報共有など、事務局内・参加メンバーがより対話しやすくなるしかけを色々と試すことができました。
そのほかにも続々と、個性豊かな筋肉がエントリー。鍛えられたスキル(と呼べそうな力)をどう切り取り、どう名づけるかに悩んだプロジェクトも多かったようですが、各プロジェクトらしい17つの筋肉が生まれました。
後半は、司会をファンファンの青木さん、POの大内にバトンタッチし、前半でエントリーされた筋肉を眺めながら「審査会・授賞式」を実施。ブレイクアウトルーム機能を使い、『コロナ禍でのアクション』『届けること、伝えること』『事務局のレベルアップ』『仲間づくり』『残すこと、継承すること』の5つの部門(グループ)に分かれ、それぞれにふさわしい筋肉を選定しました。選定した筋肉には、グループごとにオリジナルの賞名も考えて名付けました。
『コロナ禍でのアクション』部門は「ふきのとう賞」を「宙ぶらりんに耐える筋(東京で(国)境をこえる)」「お楽しみ筋(移動する中心|GAYA)」「アイディア合体筋(500年のcommonを考えるプロジェクト「YATO」)」が受賞。このコロナ禍を冬に例え、地上でもなく、地下でもない雪のなかで耐えて、耐えて、春を待つような様子が評価されました。
『残すこと、継承すること』部門では、「筋肉は裏切らないで賞」を「小金井アートフル・アクション!」の事務局が授与。事業開始から10年をむかえるベテランの事務局で、「いままで鍛えた筋肉はダテじゃなかった」と語る言葉が他のチームの心に響きました。
ボディビル大会が一通り終わった後は、西川さん・青木さん・矢野さん・岡野の4人で、「オススメのプロテイン・ダンベル」コーナー。参加者の皆さんから事前に、筋トレ(=事務局のスキルアップ)に役に立つツールや情報を集めておいたものを眺めながらフリートークを行いました。
大きな社会の変化に見舞われたこの1年。日常とほど近いところでアートプロジェクトを展開している「東京アートポイント計画」の各事業にとっても、影響は大きく、プロジェクト運営に必要な情報やスキル、姿勢を見直すことが必要とされた1年でした。プロジェクトを行っていくために試行錯誤し、自然にとってきた判断や選択肢は、「○○術」だったり「○○力」のように、まだ誰にも名づけられていない力なのかもしれません。
今回のジムジム会では、自分たちのプロジェクト運営を振り返り、その力を見つけるところからチャレンジしてみました。今回見つかったたくさんの筋肉はきっと、その事務局だからこそ使える得意技。そして、お互いに披露しあったことで、「そんなスキルもあったのか」と気づくきっかけになりました。運営チームから出てきた、「楽しく振り返りをしたい」というアイディアが、これからのプロジェクト運営に必要な「新しい事務局力」を見つける一歩となったように思います。
2021年度も、お互いに励まし合いながら、一層ムキムキを目指していきます!各事業の展開を、どうぞお楽しみにお待ちください。
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