10年目をきくラジオ モノノーク

震災後に生まれた知恵や技術などが「声」となって交差するオンラインのラジオプログラム。朗読や音楽、ゲストへのインタビュー、みなさんからのお便りなどを通して、「10年目のいま」に耳をすませます。

震災から10年目の2020年。東北の沿岸地域では復興工事が進み、新しいまちのかたちも見えてきました。かつての傷跡が探しづらくなってきた一方で、時間が経ったからこそ語れる言葉があるのではないでしょうか?

そうした言葉は、震災当初から活動を重ねてきた人たちだけでなく、当時こどもだった人たち、これから被災地域にかかわりたいという人たち、震災についてあらためて考えたい人たちなど、「その後」を生きるすべての人のなかにあるのだと思います。

この番組は、暮らす場所や被災体験の有無にとらわれず、「その後」に生まれた知恵、思想、技術、感情などが交差する場として、さまざまな人々の声を記録し、発信していきます。

*番組名「モノノーク」=物ごとの奥、みちのくという意味と、パーソナリティの桃生とNOOKを掛けた言葉。

ほやほや通信 第1号

岩手県釜石市にある「かまいしこども園」の活動紹介と、こどもたちへの遊びのきっかけを盛り込んだフリーペーパーです。

「ホヤ」といえば、釜石市民にお馴染みの海産動物を思い浮かべるかもしれませんが、「ほやほや」という言葉には、「でき上がったばかりで、柔らかく湯気の立っているさま」「その状態になったばかりであるさま」「声を出さず、にこやかに笑うさま。ほくほく」といった意味があります。園とこどもたちが生み出す、「ほやほや」な出来事をお召し上がりください。

もくじ

インタビュー | かまいしこども園の現在地
藤原けいと園長・金子健一業務執行理事兼事務局長

風クラゲ | 大西健太郎

遊びのミックス
きむらとしろうじんじん・りんめい・たろう・先生たち

活動報告 |「プチぐる」レポート

メディア/レターの届け方 2020→2021

多種多様なドキュメントブックの「届け方」をデザインする

アートプロジェクトの現場では、さまざまなかたちの報告書やドキュメントブックが発行されています。ただし、それらの発行物は、書店販売などの一般流通に乗らないものも多いため、制作だけでなく「届ける」ところまでを設計することが必要です。

多種多様な形態で、それぞれ異なる目的をもつドキュメントブックを、どのように届ければ手に取ってくれたり、効果的に活用したりしてもらえるのか? 資料の流通に適したデザインとは何か? 東京アートポイント計画では、川村格夫さん(デザイナー)とともに各年度に発行した成果物をまとめ、その届け方をデザインするプロジェクトを行っています。受け取る人のことを想像しながら、パッケージデザインや同封するレターを開発します。

2020年度は成果物をひと箱に梱包ました。箱には各冊子から抜粋した、アートプロジェクトの現場で生まれた「ことば」を印刷しています。

詳細

進め方

  • 同封する発行物の仕様を確認する
  • 発送する箱の仕様や梱包方法の検討
  • 発送までの作業行程の設計
  • パッケージと同封するレターのデザイン・制作

オンライン報奏会「2017年〜2018年の報奏」

ラジオ下神白のオンライン報奏会の第1回目は、プロジェクトの「あらまし」をお伝えすることに主眼を置き、ドキュメント映像(小森はるか撮影/編集)の上映、そして第1集から第5集までのラジオCDをダイジェストでお届けしました。記録写真をお見せしつつ、ディレクターのアサダワタルによる経緯の解説、そして住民さんのまちの思い出とともに彼ら彼女らのメモリーソングを紹介。曲はイントロのみを流し、みなさんの想像力もお借りしながら下神白団地の日常に思いを馳せていただくよう展開しました。

また、現地スタッフの鈴木詩織がレポーターとなって、住民さんとのライブ中継も。浪江町ご出身、4号棟在住、御年96歳の髙原タケ子さんとつなぎ、団地での生活のこと、ラジオ下神白にかかわってくださり思い出した学生時代の記憶や、当時の馴染み深い音楽のエピソードを聞かせていただきました。

このオンライン報奏会と並行して、現在団地では直接訪問できない状況を鑑み、アサダが東京にいながら、鈴木はじめ現地スタッフと連携してのオンライン訪問を定期的に実施中。全国に緊急事態宣言が発令されて以降、住民さんと「どうつながり続けるか」という議論をプロジェクトチームで話し合ってきました。

集会場やお宅に直接訪問して、お話を聞き、好きな音楽も聴いて、そしてラジオをつくり、そのラジオをほかの住民さんに聞いていただく。そして、一人ひとりの住民さんが「被災者」ではなく「個人」として浮かび上がってくる。そうして、つながり直す。出会い直す。そんなことを少しでもできたらと思い、やってきましたが、面と向かって会えないのならどうすればいいのでしょうか?

単にオンラインに切り替えればいい、と割り切るには難しく、とりわけご高齢の方が多い現場ゆえに、やはり直接会うことの力は大きい。しかし、一方でこうも感じます。ラジオという「メディア」をつくってきたプロジェクトならではの、つながり方の発明はまだまだあるはずだと。

キーになってくるのは、東京などの離れた地域にいるからこそ培われる「想像力」をバネにした活動を展開することだと思っています。

12月27日(日)に開催予定の第2回目では、2019年の夏に結成した、ラジオ下神白プロジェクトのもうひとつの顔、「伴奏型支援バンド(BSB)」 の活動を軸に、トークと演奏をお届けする予定です。

コロナ禍ゆえに、離れていて「会えない」という現実に対する「表現=アプローチ」が、より切実さを持って浮かび上がるかもしれません。どうぞご期待ください!

(執筆:アサダワタル)

■「オンライン報奏会」第1回の記録映像はこちら

オンライン報奏会

アサダワタルさん(文化活動家)を中心に、福島県いわき市にある県営復興団地・下神白(しもかじろ)団地で行われているプロジェクト「ラジオ下神白 あのときあのまちの音楽からいまここへ」。コロナ禍においてオンライン訪問を継続しつつ、「会えない」という状況だからこそできる「表現×支援」の関係をより深く見つめながら、3回シリーズの報告会を行いました。

音楽をかけながら行うラジオ風トークを軸に、記録映像の上映、また伴走型支援バンド(BSB)による演奏、住民との中継コーナーなどを実施。「報」告会でありながら、演「奏」会でもある、オンラインでの集いです。

ディスカッション 2020

新たなプロジェクトや問いを立ち上げるためのヒントを探る対話シリーズ「ディスカッション」。2020年度は、新型コロナウイルスの感染対策を考慮し、独自の切り口でさまざまな実践に取り組むゲストをオンラインに招き、3回にわたって議論を交わしました。

第1回は、「嫁入りの庭」のある社会福祉法人ライフの学校の理事長の田中伸弥さんと、庭の設計を担当したtomito architectureの冨永美保さんと林恭正さんをゲストに、庭づくりのプロセスやその背景にある想いについて話を伺いました。

第2回は、「さっぽろ天神山アートスタジオ」でディレクターを務める小田井真美さん、映像エスノグラファーとして人々の移動の経験を研究する大橋香奈さんをゲストに、お二人が取り組んでいる実践から、これからのアートプロジェクトのあり方を探りました。

第3回は、長野県松本市にあるアートセンター「awai art center」の主宰・茂原奈保子さんと、ドイツ・ライプツィヒのNPO「日本の家」の共同創設者・大谷悠さんに、まちなかに拠点を立ち上げたきっかけや、これまでの取り組みについて話を伺いました。

暮らしに「間(ま)」をどうつくる?

長野県松本市の「awai art center」とドイツ・ライプツィヒの「日本の家」の拠点のひらき方を学ぶ

2020年、コロナ禍によって、わたしたちは「これまでの当たり前」が揺らぐ時間を過ごしてきました。感染症対策にもとづき、リモートでのコミュニケーションが普及し、移動が制限され人が集うことが困難に。働き方や暮らし方が大きく変わった人も少なくありません。

そうした変化のなかで、自分とは異なる考えをもつ人と出会う機会が減りつつあるようにも感じます。どうしたらこれからもさまざまな視点や価値観が同居する場をつくることができるのでしょうか?

今回は、長野県松本市にあるアートセンター「awai art center」の主宰・茂原奈保子さんと、ドイツ・ライプツィヒのNPO「日本の家」の共同創設者・大谷悠さんをお招きし、まちなかに拠点を立ち上げたきっかけや、これまでの取り組みについてオンラインで伺います。

「こうでなければならない」という思考をときほぐし、「さまざまな視点や価値観が同居する場」を立ち上げるプロセスや運営のありようは、これからのアクションを考える手がかりになるのではないでしょうか。異なるもの同士がつながり、重なり合うことで生まれる「あわい」や「隙間」の存在が、地域に新しい展開を生み出すことについて、お二人に語っていただきます。

詳細

参加費

無料

参加方法

Tokyo Art Research LabのYouTubeチャンネルにて配信

記録映像