自分のアートプロジェクトをつくる
自分のなかから生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトをつくる力を身につける
- 対面
2011年以降に生まれたアートプロジェクトと、それらを取り巻く社会状況を振り返りながら、これからの時代に応答するアートプロジェクトのかたちを考えるシリーズ。ナビゲーターは、人と環境の相互作用に焦点をあてながら、社会状況に応答するアートプロジェクトをつぶさに見続けてきた芹沢高志(P3 art and environment 統括ディレクター)。複数の実践者をゲストに迎えたトークやゼミ、年表づくりなどを通じて、この10年間を振り返り、来るべき時代に向けた新しい航路を見出すことを目指す。
>「ナビゲーターメッセージ|芹沢高志(YouTube)」はこちら
■「新たな航路を切り開く」に寄せて|芹沢高志
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2020年春、非常事態下のローマで、作家パオロ・ジョルダーノは「パンデミックが僕らの文明をレントゲンにかけている」と言っていた。まったくその通りで、新型コロナウイルス感染症パンデミックは、これまで私たちが見ないふりをしてきたさまざまな問題を世界中で炙り出している。
エコノミスト、モハメド・エラリアンは、リーマン・ショック(2009)以降の世界経済は、たとえ景気が回復したとしても、以前のような状態には戻らないとして、「ニューノーマル」の概念を提唱し、これまでの考えではとらえることのできない時代の到来を予告していた。その彼が今、今回のコロナ・ショックをうまく乗り切ったとしても、世界経済のかたちを変えてしまうような新たな世界「ニューノーマル2.0」の時代がやってくるだろうと予測している。つまり、自らが提唱した「ニューノーマル」という新たな世界像さえ、次のステージに入って更新されねばならないような地殻変動が、現在、進行しているというのである。これは経済分野での指摘だが、確かに私たちは、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故、新型コロナウイルス感染症パンデミック、ロシアによるウクライナ軍事侵攻と世界の分断と、激動する時代のなかで、ものの見方から行動様式に至るまで、さまざまな局面で本質的な更新を余儀なくされている。それはアート・プロジェクトについても同様で、私たちは今、アート・プロジェクトのあり方や進め方に関して、新たな時代に対応する変更を求められている。
しかしもちろん、これは現在進行形の設問であり、出来上がった解答があるわけではない。本シリーズは、次代を担うアート・プロジェクトのディレクター、プロデューサーたちに向けて、今生まれるべきアートプロジェクトの姿を学び合い、新たな航路を探し出し、自らの姿勢を確立してもらうために企画されたものである。
ニューノーマル2.0時代のディレクター、プロデューサーが、アートプロジェクトの新たな時代を切り開いていかねばならない。本スクールはそうした来るべきディレクター、プロデューサーたちの、旅立ちのための港になっていきたいと願っている。
2022年4月
自分のなかから生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトをつくる力を身につける
様々なアートプロジェクトを牽引し、独自の航路を切り開いてきた3名のゲストを迎え、その活動について伺います。
アートプロジェクトを詳細に見ることで、社会状況との連関を捉える
実践者の視点から10年の軌跡を辿り、新たな時代を思考するための手がかりを探す
この10年を俯瞰し、アートプロジェクトと社会との関係を考える
プロジェクトと資料をシリーズから探すことができます。