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あの手この手で繋がるには? コロナ状況下でのアートプロジェクトを考える

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2020.07.27

執筆者 : きてん企画室

あの手この手で繋がるには? コロナ状況下でのアートプロジェクトを考えるの写真

全国の緊急事態宣言は解除され、東京都と近県をまたぐ移動の自粛要請もあと2日で終わり。それでも、人が集まることのリスクは高いまま。

そんな状況下の2020年6月17日、アートプロジェクトの事務局による事務局のためのジムのような勉強会「東京アートポイント計画 ジムジム会」の第2回を開催しました。

今回もオンライン上で開催したジムジム会。参加者による活動の共有やディスカッションを展開しました。当日の内容をレポートします!

お互いの実践から、活動のヒントを見つけよう

多様な人が関わり合い、表現を紡ぐアートプロジェクト。その根っこである「集うこと」ができない状況下で、いかにして人と人は出会い、繋がればいいのでしょうか。

東京アートポイント計画では3月以降、各プロジェクトの事務局会議も含め、実際に集まることは控えてきました。でも、だからといって活動そのものを止めていたわけではありません。こんな状況だからこそ、ますますアートプロジェクトは必要なはず。

そう信じ、あの手この手を駆使して行ったアクションや、新たな工夫を共有するところから第2回をスタートしました。テーマは「これからの活動のありかたを考える」です。

シニア世代のクラブ活動をオンライン化

最初に実践報告をしてくださったのは、小金井で市民とともに活動するアートプロジェクト「小金井アートフル・アクション!」の運営に関わる伊藤安寿華さん。

小金井では、「えいちゃんくらぶ(映像メモリーちゃんぽんくらぶ)」という活動を2018年度からスタートしました。参加者は70歳前後の人を中心としたシニア世代。映像をつくったり、遊んだりするクラブです。

本来であれば2月29日、3月1日に作品上映会を予定していたのですが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて中止に。その代わりに立ち上がった企画が、オンラインでの作品発表会「ONLINEえいちゃんふぇす」です。その名の通り、オンラインで映像作品を公開したり、トークを展開したりする催しです。

▲過去のえいちゃんくらぶの様子。

●課題:オンライン化に対する抵抗感

シニア世代の人が中心となると、インターネットに親しんでいる度合いも人それぞれです。「ONLINEえいちゃんふぇす」では、一人ひとりと話し合いながら発表方法を決めました。詳しくは伊藤さんの日報にも書かれていますが、すぐに参加表明をしてくれる人もいれば、インターネットに公開するのは嫌だと考える人、実名公開は避けたい人など様々でした。公開を希望された人の作品は、動画サービス「Vimeo」を使い、期間限定で配信。当初の上映会とはまた違う形での公開となりましたが、発見も多かったといいます。

●工夫:電話でトークをつなぐ!

そしてオンライン化にあたってもうひとつ工夫したのは、ラジオ形式のトーク企画。えいちゃんくらぶの講師である角尾宣信さんがパーソナリティとなり、テーマごとにゲストを交え、合間にメンバーの方に電話でコメントを聞く形でトークを収録・配信しました。電話という馴染み深い方法を使うことで、自然かつリアリティのあるトークになるよう心がけました。

●挑戦:メーリングリストの丁寧な導入

こういった「ONLINEえいちゃんフェス」の他、新たにメンバー間のGoogleメーリングリストをつくり、情報共有する仕組みにも挑戦。使い方のわからないメンバーとはメールでフォローするなど試行錯誤を重ねました。

結果、メーリングリスト上では、おすすめの映画の共有や近況報告、あたたかい言葉のやりとりなどが交わされているそう。「えいちゃんくらぶ」は、映像を中心に地域内のゆるやかなつながりを生む活動だと改めて認識しました。

今後は、ネットに不慣れな人でも参加しやすいアナログ寄りの企画や、外出自粛のなかで孤独感を深めた人をフォローするような企画も展開していきたいとのことでした。

▲報告と今後の展望をはなしてくださった伊藤さん。

ビデオレターで離島の外と中をつなぐ試み

続いての発表は、東京都の離島のひとつ、神津島(こうづしま)で展開するアートプロジェクト「HAPPY TURN/神津島」(以下、「HAPPY TURN」)。事務局の中村圭さんと飯島知代さんから報告をいただきました。

HAPPY TURNもまた、今回の緊急事態宣言以降、プロジェクト拠点「くると」を閉鎖するなど、活動内容を変更してきました。そうした“集えない”中で生まれた新たなアイデアが、動画インタビュー企画です

神津島は、仕事や学業、家族の事情で島を離れる人が少なくありません。そんな元島民から、現在も島に暮らす人に向けたビデオレターを送ってもらい、交流をしてみてはどうかと考えました。

●工夫:テレビ編集経験のある移住者の力を借りる

島を離れる人もいる一方、様々な移住者も毎年やってきます。神津島にもまた、東京と大阪で10年以上、テレビ番組の編集を手掛けてきたなしこさんがいました。今回はなしこさんのディレクションのもと、Zoomの録画機能も駆使し、ビデオレター「やーい!」を完成させました。

元島民の中には、疎遠になってしまっていた人もいます。それでも今回の取材を通して画面越しに再会し、改めて「島への想い」を伺う貴重な機会になりました。

オンラインで収録し、テレビ番組風に編集した楽しい内容。告知用CM動画も制作した。

●課題:公共放送での放映叶わず…

元島民による熱い想いとメッセージ。これをなるべくたくさんの現島民に届けるのが、HAPPY TURNチームの目論見でした。そこで企画当初より目指していたのは、島独自の公共放送「神津TV」での放映です。

早速完成したビデオレターを持ち込み、放映の依頼に伺いました。……が、残念ながら、調整が折り合わず、放映できないことに。残念ではありますが、今回は頭を切り替えて、再開後の拠点「くると」で特別放映することにしました。今後の展開を見据え、さまざまな準備を進めています。

「次の課題は地元行政との連携」と、飯島さん。

実際に会うことや、密に集うことができない今、各アートプロジェクトでは、あの手この手で「集まる」「つながる」方法を探っています。後半のセッションでは、Zoomの「ブレイクアウトルーム機能」を使ってこれらの課題について議論を重ねました。

詳しくはまた次のレポートにてご報告します!

(執筆:きてん企画室)

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