少子高齢化社会における、死に寄り添ったアートプロジェクトの可能性を探る
少子高齢化が社会問題となって久しい現在、わたしたちは多死社会へと進んでいます。日本における死者は2030年には年間160万人を数え、増加のピークを迎えます。これは2006年の統計の約1.5倍の数値(*)。既に首都圏においては、火葬場や遺体安置所、墓地の不足が顕著になってきました。
近代以降、都市の生活圏においては「死」にまつわる施設やモニュメントは日常生活から遠ざけられています。また、iPS細胞をはじめとするテクノロジーの進歩により「生」や「死」の概念は拡張し、多様化が進んでいます。これらの状況をふまえ、これからやってくる多死社会に対してどのように向き合い、何を準備すればよいのでしょうか。
今回は、ゲストに金沢21世紀美術館で「Death LAB:死を民主化せよ」展を企画した髙橋洋介さん(キュレーター)と、東京の江古田地域で「看取り」を考えるアートプロジェクト『東京スープとブランケット紀行』を行ってきた羊屋白玉さん(劇作家)を迎え、都市計画としての問題、訪れる喪失に対するこころのケアの問題に応答し、生活圏に寄り添うアートプロジェクトの可能性を探ります。
*内閣府「平成30年版高齢社会白書」2018年
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会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
無料
立川・谷中・六本木で展開されてきたアートプロジェクトを掘り下げる
アートプロジェクトはどのような環境で生まれ、展開していくのでしょうか。東京のなかでも、アートが息づくまち「立川」「谷中」「六本木」。それぞれの特色をもつ3地域で繰り広げられたアートプロジェクトの歴史を軸に、まちなかでのアートの実践について掘り下げます。
全3回のプログラムでは、各地域で活動する実践者たちをナビゲーターに、まちの変遷や時代ごとのアートシーンに精通しているアーティストや研究者らゲストも交えながら、平成の時代に育まれたアートプロジェクトへ迫ります。
立川エリアのナビゲーターは、多摩を中心に地域の住民とアーティストなどの文化が交差するスペースをつくる丸山晶崇(デザイナー)。ゲストの笠原出さん(美術家)に、若手作家が集まった共同スタジオ「スタジオ食堂」などについての話を聞きます。
谷中エリアのナビゲーターは、谷中のフィールドワークから『ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト』を立ち上げた富塚絵美(アートディレクター/パフォーマー)。ゲストの椎原晶子さん(地域プランナー/NPO法人たいとう歴史都市研究会理事長)と五十嵐泰正さん(筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授)とともに、谷中エリアとアートの関係性について考えます。
六本木エリアのナビゲーターは、六本木アートナイトの事務局長を務めた高橋信也(森ビル株式会社 顧問)。森美術館をメインに、六本木におけるアートがどのように変化してきたか、森司(アーツカウンシル東京ディレクター)と語ります。
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スケジュール
2月6日(水)19:00〜21:30
第1回 立川エリア
ゲスト:笠原出(美術家)
立川のまちのアートの変遷を辿る
「スタジオ食堂」について(1994〜1998年、2000年)
「ファーレ立川」(1994年〜)と「立川国際芸術祭」(1998〜2002年)を通じたまちづくりとアートについて
スタジオ食堂が考えていたアートと社会とは
「媒体」と「場所」、組織と運営について
立川(多摩)のアートとこれから
2月13日(水)19:00〜21:30
第2回 谷中エリア
ゲスト:椎原晶子(地域プランナー/NPO法人たいとう歴史都市研究会理事長)
五十嵐泰正(筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授)
谷中界隈のアートの変遷を辿る(谷中を中心に上野あたりまで)
「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」の実践を紐解く
谷中エリアのアートを支える土壌とは
2月19日(水)19:00〜21:30
第3回 六本木エリア
六本木のまちの変遷を、アートシーンを軸に辿る
「六本木アートナイト」について(2009年〜)
まちなかのアートの実践について
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
各回1,500円/全3回通し受講4,000円
次世代に向けたアートプロジェクトのアーカイブの活用を考える
アートプロジェクトの過程や瞬間をどのように記録し、保存していくか。Tokyo Art Research Lab(TARL)ではこれまでアーカイブの「手法」について、議論を重ねてきました。そして現在、各プロジェクトのアーカイブが徐々に増えていくにつれ、次なる議論としてアーカイブを第三者や、次の世代がどのように活用するか、その意味や手法を考える段階に来ているのではないでしょうか。
アートプロジェクトを運営する組織の立ち上げ期からの資料を、現在さまざまな活動をするメンバーが読み解くことで、アーカイブを活用する方法を検討します。メンバーは、膨大な活動アーカイブがあるP3 art and environment(1989年設立、代表:芹沢高志)の松本ひとみさん(ディレクター、プロジェクトマネジャー)・坂田太郎さん(リサーチャー)と、川村庸子さん(編集者)です。
*このプログラムは、「研究会プログラム」の一部として開催しました。
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進め方
アーカイブ資料の調査と全体量の把握
国内外の事例調査
アーカイブを活用したプロジェクトの構想を練る
古典作品から当時の価値観を知り、現代社会の「女性像」を再考する
日々の生活を営むなかで、男女間に存在するルールやしきたりを構成する曖昧なイメージの集積に、わたしたちは潜在的な影響を受けながら生活しています。異性愛が前提とされ、婚姻時に女性が姓を変更する割合が9割を超え、家事や育児を主に女性が担う。現代の日本社会はこうしたイメージがいまだ根強く、ときには「らしさ」を求められ、生活に不都合や不自由が生じる場合もあります。
翻って、過去の日本は女性の視点から見て、どのような社会だったのでしょうか? 古典と呼ばれる作品には当時の風習や風俗、信仰や思想などが反映されています。長く語り継がれるなかで、変化する女性像の造形や物語の変遷。それらを読み解くことで社会の関係性が浮かび上がってきます。過去と現代、異なる時代を「女性」という定点から眺めたときに、現代を望む新しい視点が得られるかもしれません。
今回はゲストに、日本中世文学が専門で、物語絵と女性の関係性に関する著書がある恋田知子さん(日本文学研究者)と、現代女性の現状を題材に新たな解釈を付与する作品を発表する遠藤麻衣さん(俳優/美術家)をお招きし、過去と現在の物語を通して女性という視点から社会と個人の関係について考察します。
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会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
無料
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ゲスト紹介記事
アジア圏のアーティストと協働する実践者から、近年の動向や新たな潮流を学ぶ
近年、日本各地でアジアのアーティストの展覧会やレジデンスなどが盛んに行われ、アーティストや作品と出会う機会が増えてきました。また、インターネットを通じて、各地の情報にアクセスすることも容易になっています。
物理的にも、心理的にも、「近く」なったアジア。しかし、日本もアジアの一部であると捉えると、この近くなったという感覚で「アジア」をひとくくりにしてしまうことは、かえって「遠ざけて」しまうこともあるのではないかと思います。現在、アジア諸国や日本のアーティストやキュレーターの協働が盛んに行われるなかで、どのような気づきや表現、あるいは一過性ではない文化交流が生まれているのでしょうか。
ときに「アジア」という大きな概念や対象は、身体のレベルを超え、漠然としたイメージとしてわたしたちのなかに入り込んでくるようにも思えます。そのなかで必要になってくるのは、自らの立ち位置を見定め、固有の「一対一の関係性を結ぼう」という姿勢なのかもしれません。
そうした関係性を構築する姿勢を学ぶべく、実際にアジアの現場でプロジェクトを行ってきた居原田遥さん(インディペンデントキュレーター/コーディネーター)と、アジアのアーティストやキュレーターを日本に招聘してきた堀内奈穂子さん(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]キュレーター)という、内と外、視点の異なる二人の実践者をお迎えします。お二人がどのようにアジアを捉え、アーティストやアートと対峙し、関係性を結んできたのか。移動、越境することで可能になってくる表現、見えてくる境界線について話を伺います。
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会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
無料
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ゲスト紹介記事
日々の営みから、「小さな文化」を掘り起こすために必要な姿勢を考える
いつも見ている風景や日々の生活のなかにも、実は複雑で多様な世界が存在しています。しかし、そこにあることに慣れてしまうと、なんとなく過ぎ去っていく風景や行為の一部になってしまいます。
そんな「当たり前」なことへ好奇心を抱くことは、習慣化して見えづらくなった日常の断片を掬うことにつながり、さらにそのかけらが他者と共有可能なものとして記述されたとき、あらためてわたしたちは日常生活が驚きと発見で満ちていることに気づくのではないでしょうか。まちに入り込むアートプロジェクトを行うためには、こうした土地や人々の暮らしに新たな解釈や可能性を見出そうとする姿勢が必要になってくると考えています。
日常の断片を集め、共有可能なかたちで記述するための方法とは? それを読み解き、新しいものを生み出していくプロセスとは? このような問いかけを日々の営みのなかから立ち現れる「小さな文化」を手がかりに、「いま」の社会の断片を捉えることを試み続ける冨永美保さん・伊藤孝仁さん(tomito architecture)と、大橋香奈さん(映像エスノグラファー)をゲストにお呼びして語り合いたいと思います。
これまでの活動のなかで日常生活をどのように記述しようと試み、新たな挑戦に取り組んできたのか。両者に共通する姿勢と態度を紐解きながら、「いま」を見つめる先にある次なる展開について話します。
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会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
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出来事の記憶を遠くの誰かに届ける、イメージの「扱い方」を考える
ある出来事の記憶は、絵や写真といったイメージになることで、さまざまな場所へ移動ができるようになります。それは物理的な距離に限らず、ときには時間を超えて、誰かのもとへ届く可能性をもつことでしょう。かたちを与えられた誰かの記憶は、それに触れた人々の記憶の呼び水ともなります。
イメージを前に自らの経験を語り出す。「別の」経験と重ね合わせる。そうして新たな意味を付与する行為はイメージの存在を豊かにするのと同時に、ひとつの出来事や、それが示唆する共通の経験の継承につながっています。ただし、そう「なる」ための実践は容易ではありません。
自らが知りえない遠くの誰かに、どこまでイメージを届けることができるのか。それには、どのような手法がありえるのか。そもそも、イメージを介して他者と何が共有可能なのだろうか。これらは何らかの記録やメディアを介して、かたちのない記憶を伝えようとするときの根源的な問いであり、それを発した瞬間から困難を抱えてしまうような危険な問いでもあるのだと思います。 こうした問いを念頭に置きつつ、日々イメージと記憶にまつわる実践を重ねる、岡村幸宣さん(原爆の図丸木美術館学芸員)と松本篤さん(NPO法人remoメンバー/AHA! 世話人)をゲストにお迎えし、お二人の取り組みや問題意識を共有し、これからの実践の手法の可能性を模索します。
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会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
無料
ミュンスター彫刻プロジェクト招聘を目指して、まず東京で学び、試みる
1977年に開始したアートイベント「ミュンスター彫刻プロジェクト」は、日本における芸術祭やアートプロジェクトに多くの影響を与えていると言っても過言ではありません。
このプロジェクトでは、居間 theater(パフォーマンスプロジェクト)が、佐藤慎也(建築家)と、来たる2027年の第6回ミュンスター彫刻プロジェクトへの招聘を目指し、美術やパフォーマンスのための場や空間の歴史と変化を辿ります。そして、そのインプットをもとにした試演や実験を、まずはこの東京で行います。
ゲストは、村田真さん(美術ジャーナリスト)、小田原のどかさん(彫刻家/彫刻研究者)、今和泉隆行さん(空想地図作家)。ミュンスターをはじめとするヴェネチア・ビエンナーレやドクメンタといった国際的な芸術祭にかかわる多彩な方々とともに、ミュンスター以前の美術やパフォーマンスの歴史、またミュンスター以後の美術やパフォーマンスの変化を辿ることで、2027年のミュンスターにふさわしいプロジェクトの構造設計を探ります。
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スケジュール
9月14日(金)19:00~22:00
第1回 ミュンスターへの傾向と対策
9月17日(月・祝)15:00~18:00
第2回 ミュンスターについて学ぶ
ゲスト:村田真 (美術ジャーナリスト)
10月21日(日)15:00~18:00
第3回 ぼんやり、もやもやと話す3時間
ゲスト:小田原のどか(彫刻家/彫刻研究者)
11月23日(金・祝)15:00~18:00
第4回 日本における彫刻について学ぶ
12月22日(土)15:00~18:00
第5回 フィールドワーク開始!
1月17日(木)15:00~18:00
第6回 上野・水道橋の彫刻31体を見る
1月19日(土)15:00~18:00
第7回 報告会に向けてのミーティング
1月27日(日)15:00~18:00
第8回 3回のフィールドワークから見えたこと
2月24日(日)
第9回 報告会パフォーマンス仕立てで大団円
進め方
定例ミーティングを月1回程度開催
ゲストトークは、ゲストに次のゲストを紹介してもらうかたちで行う予定
ミュンスターにつながる情報や手がかりは随時共有し、そのあとの動き方を検討しながら進める
居間 theaterのクリエイションの現場にて、リサーチやフィールドワークを実施
スタディの進捗に合わせて、試演や実験の検討をする
ROOM302を拠点とし、メンバーはROOM302の開室日に自主活動を行うことができる
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
一般30,000円/学生20,000円
関連サイト
東京プロジェクトスタディウェブサイト
関連レポート
ナビゲーターメッセージ(佐藤慎也)
作品のための場である美術館や劇場に対し、生活の場である街に作品を置くことには、豊かさとともに難しさが存在します。40年以上前の作品がいまだに街に残るミュンスターでは、「10年おき」という長い間隔で開催されることにより、街と作品との関係が十分に考えられているとともに、作品に時代の変化がはっきりと現れています。次のミュンスターを考えるという馬鹿馬鹿しい問題設定は、目の前にある時代や街に対しても、重要なスタディとなることでしょう。
ナビゲーターメッセージ(居間 theater)
企画やプロジェクトをやるとき、居間 theaterはよくリサーチをします。
そのリサーチは基本、まじめと遊びがいっしょくたです。自分たちが面白いと思うことを、ときにまじめに、ときにふざけながら、探求したい。今回のスタディも、そんな心意気で進めていけたらと思います。
目指せ、2027! 行こう、ミュンスター!
スタディマネージャーメッセージ(坂本有理)
2017年のミュンスター訪問をきっかけに、ナビゲーターたちが強く抱いた夢を出発点に、東京でスタディを重ねます。芸術祭やアートプロジェクトが全国的に普及し、まちなかで作品と出会うことが珍しいことではなくなってきたいま、あらためて、まちなかでのプロジェクトをつくることについて考えていきます。
VIDEO
説明会映像
アートプロジェクトの「いろは」を学び、クリエイティブな運営を目指す
アートプロジェクトは既存の手法や枠組みにとらわれず新たな価値を生み出す活動です。その運営も、プロジェクトの展開に合わせて、新たな方法を開拓しながら変化させ続けるべきでしょう。
運営の担い手が向き合うタスクは多岐にわたります。企画をつくって実施することにとどまらず、企画を生むための土壌を耕したり、人や組織を育てたり、活動を価値化し仲間を増やしたり、さらなる進化を目指して勉強や実験をしたり。そもそもそれらの方法を生み出したり……。
「やるべきこと」をあげると際限なく出てきますが、今回はアートプロジェクト運営の入門編として、運営ビギナーが、まずおさえるべきトピックを取り上げます。運営の基本サイクル(企画、準備、実施、報告、検証・評価)を見渡しながら、広報や記録にもフォーカスし、現場で必要な技術やアプローチについて考えます。クリエイティブな運営を行うことで、アートプロジェクトそのものの創造性を鍛えていきましょう。
詳細
スケジュール
9月5日(水)19:00〜21:30
第1回 運営入門
アートプロジェクトの運営とは|「運営=イベントの実施」だけではない
座組|運営体制図を書いてみる(ワークショップ)
企画4点セット|企画・人・お金・時間
会議で動かす|構想する・議論する・共有する・調整する
進行管理|プロジェクトに振り回されないために
リスク管理|人や活動を守るためにリスクを洗い出す(ワークショップ)
9月12日(水)19:00〜21:30
第2回 広報入門
広報とは|「広報=チラシ制作」ではない
アートプロジェクトと広報|ミッションとアクションをつなぐ
いちからはじめる広報基本セット|戦略・素材・データベース
広報力の鍛え方|見つける・言葉にする・つなげ続ける
事例から学ぶ広報|タイミング・メディア・コンテンツ
プロジェクトを素材に広報施策を考えてみる(ワークショップ)
9月26日(水)19:00〜21:30
第3回 記録入門
記録とは|「使える記録」を残そう
アートプロジェクトと記録|活動を続けるための大切な資産
記録の種類|自分で残す・依頼して残す
チームで始める記録基本セット|道具・ルール・ストレージ
プロに記録を依頼する|発注・ディレクションのポイント
プロジェクトを素材に記録方法を考えてみる(ワークショップ)
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
5,000円
「いま知りたいことを、より立体的に知るための技術」の獲得を目指す
現在、多くの人がインターネットによって、調べればすぐある程度の答えを得ることができます。しかしそれは、経験や体感が伴わないまま「他者の情報を、あたかも自分のもののようにふるまえる時代になった」と、言うこともできるのではないでしょうか。
このプロジェクトでは、「いま」「東京」で、メンバーそれぞれの関心を持ち寄り、一斉に調べ、徹底的に共有し、可視化するラボを立ち上げます。部屋に集い、話し合う。部屋を出て、身体を通してリサーチしたことを、また部屋に持ち込み、メンバーとの共有を繰り返します。メンバー全員でラボの方法や機能づくりにも取り組みます。
リサーチは「人の話を聞く」という方法に重点を置きます。何かを知ろうとするとき、まずは本や資料にあたり、インターネットの検索からはじめることも多いでしょう。しかし、一歩外へ出て、人に話を聞いてみると、自分の予想とは違う言葉や反応が返ってくることがあります。いままでの経験では受け止めきれないことかもしれません。そういったとまどいを引き受け、身体を通して情報へ触れる方法、それを誰かと共有することについて繰り返し議論をしていきます。
ナビゲーターは、東日本大震災以降、仙台を拠点に土地と協働しながら記録をつくる一般社団法人NOOKの瀬尾夏美(アーティスト)、小森はるか(映像作家)、磯崎未菜(アーティスト)が務めます。
「いま知りたいことを、より立体的に知るための技術」を、メンバーがそれぞれに開発し、実践していくことを目指します。そして、このラボから、長い時間をかけた新たな表現やプロジェクトが生まれていくことを期待します。
詳細
スケジュール
9月23日(日)
第1回 関心の共有からはじまる
9月24日(月・祝)
合同会
10月14日(日)
第2回 被災経験を聞くこと、伝えること
ゲスト:早乙女勝元(作家/東京大空襲・戦災資料センター館長)
山本唯人(社会学者/東京大空襲・戦災資料センター主任研究員)
11月11日(日)
第3回 他者を通して自分の関心を知る
ゲスト:奈良朋彦(「江東区の水辺に親しむ会」メンバー)
11月24日(土)
第4回 オープンラボデイ
12月9日(日)
第5回 ラボを利用して話を聞く
ゲスト:田中沙季(演劇ユニットPort B 制作・リサーチ担当)
12月20日(木)
第6回 オープンラボデイ
1月13日(日)
第7回 年末年始に「聞いた」ことを持ち寄る
2月17日(日)
第8回 メンバーに対して「聞く」
2月24日(日)
第9回 聞くためのラボを再現する
進め方
関心を出し合って、問題系を探る
それぞれリサーチを行う
集まって、徹底的に共有し、課題を洗い出す
チーム内の情報精度をあげ、オープンソース化を目指す
リサーチと共有を繰り返す
情報を使い合い、企画や表現が立ち上がる
会場
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302 [3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費
一般30,000円/学生20,000円
関連サイト
東京プロジェクトスタディウェブサイト
関連レポート
ナビゲーターメッセージ(一般社団法人NOOK)
途方もなく広く、無数の人たちがいる東京も、複数人で歩けば心強いし、効率的かもしれない。東京という場所にラボを立ち上げ、メンバーがそれぞれの関心を持ち込み、話し合って問いを共有し、組織的かつ自律的にリサーチを進めていく。そうすることで、調べた情報たちが交差し、繋がり、あわよくば“東京”もしくは、同時代に変容する社会の像の片鱗が見えてくるかもしれません。
そこには、「だれかが聞いてきた話や持ってきた資料を共有するときに、どのような作法が必要か」という問いがついてきます。だれの言葉も容易に自分のもののように振る舞えてしまう時代に、本当に何が起きているのかを知るためには、徹底的に「聞く」身体づくりが必要なように思えるのです。
スタディマネージャーメッセージ(佐藤李青)
表現のつくりかたが変化している。震災後の東北で育まれている、さまざまな実践に触れながら、そう感じています。仙台を拠点とするNOOKは、その新たなありようを模索する表現者たちが集った組織です。
身を委ねる。深く潜る。遠くに飛ばす。そうした誰かの経験に身を傾けることから生みだす表現の作法を共有し、その実践を先に進め、支えるための動き方をつくりだす。他者とのかかわりに真摯に向き合い、ふたたび自らを変容させていく仕掛けづくりを試みます。
異質で身近な他者と、ひとつの場を共有する方法をつくりだせるだろうか。この問いを抱えるスタディは、小さな「社会」(と運用の方法)をつくる試みともつながっているのだと思います。
VIDEO
説明会映像