自分のアートプロジェクトをつくる
- 対面
撮影:港千尋
この10年で、わたしたちを取り巻く社会状況はめまぐるしく変化しました。これまでの考え方では捉えきれないような状況が次々と発生し、新たに炙り出される課題に応答するように、さまざまなアートプロジェクトが生まれました。しかしこのような状況は、どこかで一区切りつくようなものではなく、わたしたちはこれからもまた新しい状況に出会い、そのたびに自分たちの足元を見直し、生き方を更新する必要に迫られるでしょう。激しく変化し続けるこれからの時代に求められるアートプロジェクトとは、一体どのようなものなのでしょうか。
「新たな航路を切り開く」シリーズでは、2011年以降に生まれたアートプロジェクトと、それらをとりまく社会状況を振り返りながら、これからの時代に応答するアートプロジェクトのかたちを考えていきます。ナビゲーターは、人と環境の相互作用に焦点をあてながら、社会状況に応答して発生するアートプロジェクトをつぶさに見続けてきた芹沢高志(P3 art and environment 統括ディレクター)です。
ここでは、独自の視点から時代を見つめ、活動を展開している5名の実践者を招き、2011年からいまへと続くこの時代をどのように捉えているのか、これから必要となるものや心得るべきことについて伺います。また、これからの社会状況の変化や、それに応答して発生するアートプロジェクトがどうあるべきかを議論します。この10年を大きく俯瞰することで、アートプロジェクトと社会との関係を紐解きます。
群衆や記憶など文明論的テーマを持ちつつ、時代とイメージのかかわりについてさまざまな角度から考察してきた港さんとともに、変容する時代の新たな捉え方や世界の見方について議論する。
2011年より10年間、Art Support Tohoku-Tokyo(東京都による芸術文化を活用した被災地支援事業)に携わった佐藤とともに、この10年の間に東北に生まれたアートプロジェクトの変遷と広がりについて議論する。
地球に生存する人類の歴史とその未来を、構築様式(=Building Mode)という新しい歴史観から捉え直そうとする「生環境構築史」を展開している松田さんとともに、あらためて人間と環境の関係を眺め、アートプロジェクトはいかに応答すべきかを議論する。
人々の表現活動や芸術創造が社会において成立するための環境整備や支援のあり方を研究し、さまざまなプロジェクトに伴走してきた若林さんとともに、2011年以降の企業、行政、NPO等とアートプロジェクトのかかわり方の変化や今後のあり方について議論する。
領域横断的な同時代芸術のキュレーション、プロデュースを専門とし、世界演劇祭/テアター・デア・ヴェルト2023のプログラム・ディレクターに選出された相馬さんとともに、この激動の時代のなか世界規模で進行するフェスティバルの変容について議論する。