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2019年、3つの「東京プロジェクトスタディ」がはじまります

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2019.07.12

2019年、3つの「東京プロジェクトスタディ」がはじまりますの写真

Tokyo Art Research Lab「思考と技術と対話の学校」で展開する「東京プロジェクトスタディ」は、“東京で何かを「つくる」としたら”という投げかけのもと、ナビゲーターを担う表現者たちがチームをつくり、アートプロジェクトを巡る“スタディ”(勉強、調査、研究、試作)に取り組むプログラムです。2019年度は、8月より3つのスタディが始動します。
今回は、7月6日にROOM302 (アーツ千代田3331) にて開催された参加者募集説明会の様子をお届けします。

(撮影:川瀬一絵)

東京プロジェクトスタディについて(「思考と技術と対話の学校」校長:坂本有理)

本校では、2018年よりアートプロジェクトをつくる力を養うための実践的な学びの場として「東京プロジェクトスタディ」を展開しています。

アートプロジェクトは突然には生まれません。目の前のプロジェクトに取り組みつつも、これからのプロジェクトを生み出す時間も必要です。スタディは、新たなプロジェクトの核を育てようとする試みです。アートプロジェクトがかたちづくられる以前の段階に目を向け、つくり手たちの問いや、もやもや、衝動などを手がかりに、実験的な活動を重ねます。

スタディの特徴は、やり方・内容をつくりながら展開するところです。はじめに決まっているのはテーマと初動のみ。最終的なゴール地点は設定せず、企画や作品などかたちにすることも必須としていません。
ナビゲーターは、つくりかたを教えてくれる先生ということではなく、つくるプロセスを開く存在。ときにはチームで悩んだり、壁にぶちあたることもあるかもしれません。明確な答えはなく、どうなるかわからない状況に身をおくことも、つくる筋力を鍛えることにつながると考えます。

各スタディの活動に加え、3つのスタディチームが集合し、情報共有する合同会も2回ほど予定しています。また、アーカイブサイトなどを活用し、所属するスタディ以外の取り組みものぞいたりできるようにしたいと考えています。各スタディのテーマを深めるとともに、東京プロジェクトスタディ全体のコミュニティも育んでいけたらと思っています。

スタディ1 続・東京でつくるということ―「わたしとアートプロジェクトとの距離を記述する」(石神夏希)

ナビゲーター:石神夏希(劇作家/右)、スタディマネージャー:嘉原妙(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー/左)。

石神さんは10代の頃より演劇制作に取り組んできました。その後、大学などで建築や都市という他ジャンルと出会い、街なかでの作品づくりを行うようになりました。今では演劇的な手法を用いて都市プロジェクトに関わるなど、領域を横断しながら演劇の可能性を探る活動を展開しています。

昨年のスタディ1では、近年、東京を舞台にアートプロジェクトや演劇作品を制作する機会が増えたことにより芽生えた石神さんの悩み――東京という大きな存在に対して、作品やプロジェクトをつくるには、どのようにフックをかけていけばよいのか――を参加者と共有してディスカッションを重ね、毎回の活動後には参加者一人ひとりがそれぞれの問いや気づきなどをエッセイにまとめていきました。参加者が執筆したエッセイは、最終的にエッセイ集として一冊の本にまとめられています。

2年目となる今年度のスタディ1でも、「書く(記述すること)」を主軸に、「つくる」ことへの思考を深めます。さらに今回は、石神さんが関わるアートプロジェクトを一つのケーススタディに、プロセスも含む表現への共通認識を持てるようにしたり、参加者が各自でテーマ設定を行い、それを基にリサーチ(観察)を行って、記述しながら思考することを繰り返し重ねていく予定です。

アートプロジェクトというプロセスそのものも作品の一部として提示されることがある活動において、プロセスに立ち合い、観察し、記述する人たちの存在は、きっとそのアートプロジェクト自体に何らかの影響を与えているはず。そこには、まだ触れられていないクリエイティビティの可能性があるのではないか。さらに、観察し記述するという行為自体を作品に大きな影響を持つ行為として捉え、プロジェクトに組み入れることが必要ではないか、という仮説と、期待から今年のスタディ1が構想されました。

このスタディでは、「東京でつくる」ために「東京で暮らす」を始めた石神自身をケースとして提供するほか、参加者自身が興味を持っているアートプロジェクト(ただし東京で2019年秋に観察が可能な対象)を自由に選ぶことができます。

さらに、観察者=不確かな自分をも視野に入れて物事を記述しようとするとき、必然的に、自分自身の背景や思想と改めて向き合うことになります。自分は何者で、なぜこれに取り組むのか。なぜ、つくるのか。「アートプロジェクトを記述する」ことを通して、参加者一人ひとりの根底的な問いと向き合います。文章を書くことが好きな人や、書きながら思考を深めてみたい人、アートプロジェクトを人と共有したい人、そして伝え方を考えたい人におすすめです。

■スタディ1
2019年度 続・東京でつくるということ-「わたしとアートプロジェクトとの距離を記述する」お申し込み・詳細はこちら
2018年度の活動の様子はこちら

スタディ2 東京彫刻計画―2027年ミュンスターへの旅(居間 theater ・佐藤慎也)

ナビゲーター:右から順に、居間 theater 山崎朋、東彩織、宮武亜季、稲継美保(パフォーマンスプロジェクト)、佐藤慎也(建築家)、スタディマネージャー:坂本有理(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー、「思考と技術と対話の学校」校長)。

スタディ2は、建築が専門の佐藤慎也さんをナビゲーターに迎えると同時に、これまで街なかなどで演劇やパフォーマンスを佐藤さんと数多く行ってきた居間 theater を加えた2組を軸に活動していきます。

そもそも居間 theaterと佐藤さんが2017年のドイツで開催された「ミュンスター彫刻プロジェクト」(1977年から10年に1度開催)を訪れた際、大きな衝撃を受けたことから本スタディは始まっています。彫刻の概念に囚われることなく、映像作品やパフォーマンス作品までもが彫刻という括りの中で展開されている現状を見て、「居間 theater が2027年のミュンスターに招聘されることを目指そう」という野望を抱きました。

そして発足した昨年のスタディでは、彫刻のプロではない居間 theater が、彫刻について学び直すため、彫刻研究者や関係者を招いて勉強会を開催。結果的に更に彫刻そのものの面白さにのめり込んでいきました。
中でも彼女たちが興味をひかれたのが、街なかに点在する公共彫刻でした。裸婦像などの存在がほとんどの人に見過ごされている点に着目し、それ自体が東京の情報過多な現状を示しており、無意識のうちに取捨選択を行って生活しているというリアルな東京人の視点を発見したのです。

東京という巨大過ぎる街を公共彫刻という存在から見直すことで、掌握し、可視化するという視点を活かすため、10年に1度というペースで開催されてきたミュンスター彫刻プロジェクトに対し、「東京彫刻計画」という芸術祭が10年に1度、東京で行われているという「フィクション」を本スタディでは設定しました。その設定を下敷きに東京の公共彫刻をリサーチします。またスタディ2の最終成果として、「東京彫刻計画」の情報をまとめて提示する架空のインフォメーションセンターをつくる(試演する)予定であると発表しました。
ナビゲーターと共に外へ出て、公共彫刻との新たな出会いを楽しみたい方、彫刻を通して東京に向き合ってみたい方、そして10年の時間軸を疑似体験しながら作品を制作してみたい方などにおすすめです。

■スタディ2
2019年度 東京彫刻計画-2027年ミュンスターへの旅 お申し込み・詳細はこちら
2018年度の活動の様子はこちら

スタディ3 ‘Home’ in Tokyo―確かさと不確かさの間で生き抜く(大橋香奈)

▲ナビゲーター:大橋香奈(映像エスノグラファー/右)、スタディマネージャー:上地里佳(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)。

今年度から新たに発足したスタディ3は、映像エスノグラファーの大橋香奈さんをナビゲーターに迎えて展開していきます。

大橋さんは、以前フィンランドで生活していた時期に、学校外での学びの環境について取材した書籍『フィンランドで見つけた「学びのデザイン」―豊かな人生をかたちにする19の実践』を出版。しかし、協力いただいた方々に報告するにあたり、日本語で書いた本では現地の人々にわからないものになったというもどかしさを経験したことから、言語が異なる人とも成果を共有しやすい映像というメディアに興味を持ったのだそう。そして、「映像エスノグラフィー」という、調査者と調査協力者の協働的な関係のなかで、調査協力者が生きる現実について解釈し、研究作品としての映像を制作する手法を用いて研究を進めてきました。

幼少期から20回もの引っ越しを重ねてきた大橋さんは、根無し草のような感覚があったというご自身の背景から、「移動の経験」と「家族」をテーマにした『移動する「家族」』を制作。この作品では、国境をまたがる「家族」の関係を維持している5人の生活を、それぞれに対して1年間に渡って調査し、多様な「家族」のあり方を描き出しました。現在は、映像作品を各地で上映しながら「家族」にまつわる対話の機会をつくっており、1000人の観客と映像体験を共にすることを目標に活動をしています。

この『移動する「家族」』を制作するなかで、キーワードとして浮かび上がってきたのが、今回のスタディテーマである‘Home’です。ここでの‘Home’とは、特定の場所としての‘Home’ではなく、物や人との関係性も含めた日常的な実践の中で生まれる感覚としての‘Home’を指しています。日本全国の中で最も移動者が多い東京という流動的な都市の中で、‘Home’という感覚は一体どこからもたらされているのか、もたらされていくのか、スタディ3ではその根底を探っていきます。スタディを通して、個人の生活の中で生まれる感覚としての‘Home’を見つめ、描いていくことで、その中に「東京性」という要素も滲み出てくるかもしれません。

スタディ3の前半では社会学や建築、デザインといった様々な分野のゲストをお招きして、それぞれの‘Home’の考え方やリサーチ方法を学び、後半ではフィールドワークを実施し、映像を制作していきます。参加条件として撮影や映像編集技術は問いません。東京という様々な背景をもった人々が暮らす土地で、各々が現在の‘Home’をどのように感じているのか、どのような工夫やスキルを培い生きているのか。自己を見つめ、他者の生活を学び、そして、多様な生き方が描き出され、共有されることを期待しています。

■スタディ3
‘Home’ in Tokyo お申し込み・詳細はこちら

説明会後は、相談窓口にて、来場者の方からの質問を受け付けました。スタディのテーマやそれぞれの関心について対話する時間となりました。

ナビゲーターと参加者が共に学び合い、プロジェクトの「核」をつくる実践的な学びの場となる「東京プロジェクトスタディ」。募集締め切りは、2019年7月21日(日)です。
みなさんと学んでいけることを、ナビゲーター、スタディマネージャー一同楽しみにしております!

お申し込み・詳細はこちら

*アーツカウンシル東京ブログ「東京アートポイント計画通信」にて、東京アートポイント計画やTARLの情報を掲載しています。ぜひご覧ください。

「東京プロジェクトスタディ」アーカイブサイト
2018年度のスタディの様子を記録したアーカイブサイトです。半年間のスタディで、何を、誰と、どのように向き合ったのか。スタディの活動と、同時期に並走するナビゲーターたちの創作活動に目を向け、各活動日のレポート記事や関連資料をはじめ、スタディを進めるなかで出てきたキーワードやつぶやきなども掲載しています。

「アーカイブサイトを楽しむための3つのポイント」はこちら

説明会記録映像

■東京プロジェクトスタディ概要

■スタディ1|続・東京でつくるということ

■スタディ2|東京彫刻計画

■スタディ3|‘Home’ in Tokyo

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