ケーススタディ・ファイル

2011年以降に生まれた多様なアートプロジェクトを取り上げ、どのようにプロジェクトが発生し続いてきたのか、これからどこへ向かおうとしているのかを、実践者が語ります。

ゲストは、岩井成昭さん(美術家/イミグレーション・ミュージアム・東京 主宰)、滝沢達史さん(美術家)、青木彬さん(インディペンデント・キュレーター/一般社団法人藝と)、アサダワタルさん(文化活動家)、清水チナツさん(インディペンデント・キュレーター/PUMPQUAKES)、中村茜さん(株式会社precog代表取締役)、松本篤さん(NPO法人remoメンバー/AHA!世話人)、キュンチョメ(アートユニット)です。

わたしの気になること 「多摩の未来の地勢図をともに描く」ワークショップ記録 レクチャー編/フィールドワーク編

多摩地域を舞台に、地域の文化的、歴史的特性をふまえつつ、さまざまな人々が協働するネットワークの基盤づくりを進める『多摩の未来の地勢図 Cleaving Art Meeting』。その活動の一環として2021年度に開催した連続ワークショップの記録集です。

さまざまなフィールドで活動するゲスト6名を招いたレクチャー編と、写真家・豊田有希をゲストアーティストに迎えたフィールドワーク編を収録。別冊附録では、レクチャー編の内容を読み解きました。

首都東京を辺境として外から見ることを試みる、あるいは自分自身に執着する「わたし」を、辺境と定置き外から見ることを試みるとき、辺境としてのそれらを照らす光として、水俣、沖縄、福島、あるいは新潟といった、近現代の日本を支えた地に助けを借りたいと思います。水俣や沖縄、福島に立ち、その地の歴史を持って首都東京を見ること、東京あるいは多摩を相対化し、立脚点をずらし、視点を変えていくことで、これからの私の、私たちの暮らしについて、新しい眼差しを得ることができないか、あるいは、大変に遅まきながらであっても彼の地とのこれまでとは違う、一方的な搾取を超えた何かを紡ぐことができないかという願望に基づいた仮説でもあります。立脚点をずらしていくこと、その回転運動が血流をよくし、あるいは呼吸をしやすくするのではないか? 反転させてみること、あちら側からこちらを見ること、これらを成すために、アートは時に思いもよらない(危ういながらも確たる、そして変わり続ける事を肯定する)足場を提供します。

(p.3)
もくじ

なぜ、多摩の未来の地勢図をともに描くのか?
宮下美穂(NPO法人アートフル・アクション事務局長)

レクチャー編
第一回 生きてきてくれてありがとう。安心と楽しいを一緒に育む
高橋亜美(社会福祉法人子供の家 ゆずりは所長)

第二回 揺らぎと葛藤を伝える−水俣病患者相談の今
永野三智(一般社団法人水俣病センター相思社職員)

第三回 ハンセン病療養所で描かれた絵画−国立療養所菊池恵楓園・金曜会の作品を見る
木村哲也(国立ハンセン病資料館学芸員、民俗学者)

第四回 分断のなかにつながりを発見する−アートプロジェクト{つながりの家}と「旅地蔵」
高橋伸行(アーティスト、愛知県立芸術大学教授)

第五回 「なりたい自分になる」とは?−「カマボール」の企画・実施に携わって
松本渚(NPO法人釜ヶ崎支援機構職員、釜ヶ崎芸術大学運営チーム・かまぷ〜)

第六回 老い、ボケ、死に向き合うための「演劇」−劇団OiBokkeShiの活動からの提案
菅原直樹(俳優、介護福祉士、劇団「老いと演劇」OiBokkeShi主宰)

開催記録

別冊附録 語り合うことで見えてくること−フィールドワーク試論

フィールドワーク編 講師:豊田有希
第1回 黒岩地区で写真を撮るということ−「あめつちのことづて」の制作をめぐって
第2回 黒岩の暮らしのこと−黒岩地区にお住まいの方々と一緒に
第3回 多摩地域での制作①−リサーチを始めて
第4回 多摩地域での制作②−多摩ニュータウンと堀之内
第5回 「REBORN プロジェクト」坂本展①−さかもと復興商店街より
第6回 「REBORN プロジェクト」坂本展②−展示とその後
第7回 コンタクトシートなどについて−フィールドワーク、リサーチでの気づきの残し方

*PDFは、「レクチャー編」と「フィールドワーク編」の2冊と別冊附録をまとめたものです。

アセンブル1 Multicultural Film Making ―ルーツが異なる他者と映画をつくる Multicultural Film Making Archives

さまざまなルーツをもつ人々が協働し、東京のまちを舞台に1本の映画をつくることを試みた「アセンブル1|Multicultural Film Making ルーツが異なる他者と映画をつくる」。本書は、その活動のプロセスをまとめたものです。

多様なルーツをもつメンバーが対話やリサーチを重ねて、制作に取り組み、上映会を迎えるまでを記録したレポートや、移民や多文化を専門とした研究者2名による論考、運営にかかわったスタッフの座談会などを英訳付きで収録しています。

東京は流動的な大都市です。夢を持ってやってきた人がいて、まだ道を探している人もいて、これから次のまちへ出発する人もいて、もちろん既に他の地に移り、過去東京であった出来事を懐かしむ人もいます。あなたも私も、いつか東京と別れる日が来るかもしれません。時間と距離を置いたら、このまちへの思いが変わって、ここでの出会いは人生の重要な糧だと気づくでしょう。私たちが一緒につくりあげた「 ニュー・トーキョー・ツアー」はまさにその物語です。

このブックでは、そんな映画がどのようにできたのか、活動の記録をお伝えします。このまちで、居場所を探している人、宙ぶらりんな自分で悩んでいる人、ルーツが異なる他者に関心を持つ人にとって変化のきっかけになることを期待しています。

(p.2「はじめに」より)
もくじ

はじめに

レポート#0~3
メンバーコメント A期
レポート#4~6
メンバーコメント B期
レポート#7~9

監督&メンバートーク「まちで見つけた自分と他者」
監督&メンバートーク「映画をつくる前と後 わたしたちの変化」

『ニュー・トーキョー・ツアー』
ーこの「まち」の新しい物語をつむいでいくのは誰か ハン・トンヒョン

わたしたちの「新しいまち」へ
ー多文化チームの協働による映画づくりプロジェクトの可能性ー 徳永智子

運営スタッフ座談会

おわりに

アートプロジェクトの運営をひらく、◯◯のことば。

まちなかを舞台にする「アートプロジェクト」には、日々の運営を支えるさまざまなノウハウや事業設計の方法があります。

この動画シリーズでは、そうしたアートプロジェクトの運営に必要な視点や課題について初歩から学ぶために、書籍『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>』からテーマを選び、紹介します。

くるとのおしらせ

神津島を舞台にしたアートプロジェクト『HAPPY TURN/神津島』の企画や、島の伝統、伝承、地域文化などを発信する定期刊行物です。2021年度までに28号を発行しました。活動拠点である「くると」での配布のほか、島内の各世帯へ一斉配布されています。

*クレジットは最新号のものです。

テレビノーク

東日本大震災以降、仙台を拠点として、災禍にまつわる記録を活用し、体験を語り継ぐための実践を行ってきた一般社団法人NOOK。2022年から活動拠点を東京に移し、これまで培ってきた知識や技術をいかし、災間期を生きるためのアートプロジェクト「カロクリサイクル」をスタートしました。

オンライン番組『テレビノーク』では、各地の災禍のリサーチや記録活動に携わる担い手などさまざまなゲストを迎え、知見や技術を共有し合う場をつくります。

詳細

放送日時

2022年7月より、月1回程度配信

視聴方法

番組はYouTubeチャンネルでのライブ配信とアーカイブ映像の視聴が可能です。

関連リンク

「テレビノーク」のレポートをカロクリサイクルの公式noteで公開しています。

アートプロジェクトと社会を紐解く5つの視点

この映像では、独自の視点から時代を見つめ、活動を展開している5名の実践者に、2011年からいまへと続くこの時代をどのように捉えているのか、これから必要となるものや心得るべきことについて伺います。

ゲストは、港千尋さん(写真家)、佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)、松田法子さん(建築史・都市史研究者)、若林朋子さん(プロジェクト・コーディネーター/プランナー)、相馬千秋さん(NPO法人芸術公社代表理事/アートプロデューサー)です。この10年を大きく俯瞰し、アートプロジェクトと社会の関係を紐解きます。