アートプロジェクトの現場から外国ルーツの若者の支援について考える
- オンライン
撮影:加藤甫
トーキョー・スカルプチャー・プロジェクトは、10年に1度の芸術祭「ミュンスター・スカルプチャー・プロジェクト」を参照しながら、「彫刻・パフォーマンス」をキーワードに2018年度からはじまりました。その後、2年にわたり「東京彫刻計画」というフィクションの設定を使って、まちなかの公共彫刻についてリサーチすることで「公共」について考えています。
そうしたなか、新型コロナウイルスの感染拡大が起きました。他者や社会に対してどのように接し、どのようにいるか。わたしたちの日々の「パフォーマンス」も、強制的に変化しました。「東京で何かを“つくる”としたら」という問いは、いままで以上に難しいものになったのではないでしょうか。
今回は、ナビゲーターの居間theater(パフォーマンスプジェクト)と佐藤慎也(建築家)とともに、現在の東京で、どのようなパフォーマンスが可能なのか、感染者数や情勢を鑑みつつ、オンラインと対面を織り交ぜて考えます。ゲストアーティストによるワークショップを通じてパフォーマンス・建築・彫刻・映像・サウンドアート・写真など、それぞれのつくり方に触れ、自分の手を動かします。最終的に「検査」をテーマにした小作品「パフォーマンス検査キット」の制作を行うことを目指します。
ゲスト:今和泉隆行さん(空想地図作家)
ゲスト:トチアキタイヨウ(ダンサー/振付家/演出家)
ゲスト:大和田俊(アーティスト)
ゲスト:友政麻理子(現代美術家/映像作家)
ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])ほか
一般30,000円/学生20,000円
このスタディは、「ミュンスター・スカルプチャー・プロジェクト」という10年に1度の芸術祭を参照しながら、彫刻・パフォーマンスというキーワードに据えて2018年から始まりました。2年にわたり「東京彫刻計画」というフィクションの設定を使って、街なかの公共彫刻のリサーチをおこなったり、「公共」について、そこから派生して「東京の工事」について考えたりしてきました。
そしてその過程で、パフォーミングアート(舞台芸術)と美術における「パフォーマンス」の境界線が融解していること、一方で、文脈やつくりかた・考えかたの部分では明らかに違いや差があることが、あらためて実感レベルでわかってきました。さて今年度はスタディの軸をどのようにしようかというところ、新型コロナウイルスの感染が拡大してきました。
“東京で何かを「つくる」としたら”。この問いかけは大きすぎて、いま、何かをつくるにも難しい気がします。さらには、昨年度の活動キーワードのひとつだった「公共」ということばも、いまのこの状況下ではやはり捉えきれない。
一方で、外出自粛の状況下では、これまでにあった(けれど見ていなかった、露呈していなかった)さまざまな社会的な問題が、浮き彫りになりました。私たちはあらゆる問題の最中にあって、これから、どのような目線で、何の・誰のために、どのような態度でつくっていくのか。居間 theaterは「パフォーマンスプロジェクト」ですが、じゃあいま、どんなパフォーマンス作品が可能なのだろうか……。
答えはすぐには出ないでしょうが、このプログラムはスタディですから、参加者のみなさんと一緒に試行錯誤を重ねて、考えていきたいと思います。
そしてそのために、今年度は何人かのアーティストにもお力を借ります。いくつかのジャンルのアーティストにお越しいただき、小さいワークをすることで、それぞれのアーティストのつくりかたを垣間見させていただく予定です。
もちろん、過去のスタディに参加していなくても全くかまいません。アーティストが何かをつくる過程を「知って」、自分で実際に手や頭や体を動かしながら、つくることを一緒に「やってみて」、その過程で得たなかでの問い、もやもや、発見などを共有して「考える」。そういう作業をやってみます。
そして、そういう小さい作業の積み重ねが、「東京」で何かを「つくる」ことに繋がると思うのです。
パフォーマンスがやりにくい時代。彫刻が攻撃される時代。ナビゲーターたちが2017年にミュンスターで描いた夢は、こんな時代にどのような姿で立ち上がるのでしょうか?
既存のシチュエーションを飛び越えてきたナビゲーターが、変わりつつある東京の風景や人と向き合う姿に同行しましょう。
今回は居間 theaterと佐藤慎也さんに加え、4人のアーティストをゲストに迎えました。5回に渡るワークショップを通して、パフォーマンス・建築・彫刻・映像・サウンドアート・写真などさまざまなメディアに参加者たちは触れていきます。
変わりゆく世界、変わりゆく表現に立ち向かうナビゲーターの強い想いを側で感じ、自身のなかで生まれた新たな問いや発見を深めていきましょう。