共通: 年度: 2025
パートナーシップで公共を立ち上げる
新たな視点で地域課題にアプローチする手法を知る
近年、各地でさまざまなアートプロジェクトが実施されるようになり、まちなかでの芸術文化活動がさらに広がっています。多様な分野を横断し、地域の暮らしに変化を生み出すこのような取り組みは、地域を支える行政と、民間の主体が協働することによって、さらに発展し広がっていくのではないでしょうか。
本講座では、行政と民間の多様な主体がパートナーシップを組み、文化事業に取り組むことの可能性とその方法を学びます。2025年度は、文化を通じた領域横断的な取り組みを行うことで、地域の課題に対してさまざまなアプローチを仕掛けている秋田と沖縄、東京の事例を通して、どのように行政と民間とのよりよいパートナーシップを実現するのか、自治体の政策と現場をどう紐づけていくのか、それらの方法が、これからの「公共」を立ち上げるために果たす意義について、参加者のみなさんと考えます。
パートナーシップで公共を立ち上げる 2025
秋田・東京・沖縄の事例をもとに、新たな視点で地域課題にアプローチする手法を知る
近年、各地でさまざまなアートプロジェクトが実施されるようになり、まちなかでの芸術文化活動がさらに広がっています。多様な分野を横断し、地域の暮らしに変化を生み出すこのような取り組みは、地域を支える行政と、民間の主体が協働することによって、さらに発展し広がっていくのではないでしょうか。
本講座では、行政と民間の多様な主体がパートナーシップを組み、文化事業に取り組むことの可能性とその方法を学びます。文化を通じた領域横断的な取り組みを行うことで、地域の課題に対してさまざまなアプローチを仕掛けている秋田と沖縄、東京の事例を通して、どのように行政と民間とのよりよいパートナーシップを実現するのか、自治体の政策と現場をどう紐づけていくのか、それらの方法が、これからの「公共」を立ち上げるために果たす意義について、参加者のみなさんと考えます。
対象
地域課題への新しいアプローチを検討している自治体職員、自治体文化団体職員など
- 職位や担当部署を問わず、どなたでもご参加いただけます。文化事業を担当する部署以外の方のご参加も歓迎します。
- 自治体の抱える政策的な課題に芸術文化の視点でアプローチしたい方、新規事業を検討中の方にもおすすめです。
- 他地域の取り組みを知り、講師や参加者間のネットワークづくり、ご自身の業務の問題意識を明確にする場としてご活用いただけます。
詳細
タイムスケジュール
【1日目】7月31日(木)
13:00~14:00 趣旨説明・参加者自己紹介
オープニング
「地域の多様な連携から、活動を育む」
話し手:佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)
14:00~15:00 セッション1
「アートプロジェクトの広がりとパートナーシップの課題」
話し手:芹沢高志(P3 art and environment 統括ディレクター)
15:00~15:15 休憩
15:15~16:45 セッション2
「市民の創造的な場を、二人三脚でつくる」
話し手:齋藤一洋(秋田市企画財政部 部長)、三富章恵(NPO法人アーツセンターあきた 事務局長)
16:45~17:00 クロージング
【2日目】8月1日(金)
10:00~10:15 オープニング
10:15~11:45 セッション3
「ジェネラリストと専門性:補完しあう関係性をつくる」
話し手:上地里佳(沖縄アーツカウンシル チーフプログラムオフィサー)、林立騎(那覇市市民文化部文化振興課主幹、那覇文化芸術劇場なはーと 企画制作グループ統括)
11:45~13:00 休憩
13:00~14:30 振り返り・ディスカッション
「パートナーシップで公共を立ち上げるには」
14:30~15:00 クロージング
【受講後】レポート提出
講座終了後2週間を目安に、講座のテーマについての課題レポート(1600字程度)を提出していただきます。
会場
アーツカウンシル東京 大会議室
(東京都千代田区九段北4丁目1-28 九段ファーストプレイス5階)
参加費
無料
※複数名でご参加の場合も、お一人ずつお申し込みをお願いいたします。
自分のアートプロジェクトをつくる 2025
自分のなかから生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトをつくる力を身につける
この10年で、わたしたちを取り巻く社会状況はめまぐるしく変化しました。これまでの考え方では捉えきれないような状況が次々と発生し、新たに炙り出される課題に応答するように、さまざまなアートプロジェクトが生まれました。しかしこのような状況は、どこかで一区切りつくようなものではなく、わたしたちはこれからもまた新しい状況に出会い、そのたびに自分たちの足元を見直し、生き方を更新する必要に迫られるでしょう。激しく変化し続けるこれからの時代に求められるアートプロジェクトとは、一体どのようなものなのでしょうか。
「自分のアートプロジェクトをつくる」では、アートプロジェクトの立ち上げやディレクションに関心のある方を対象に、ゼミ形式の演習を行います。自らが社会を捉える視座はどこにあるのかを見極め、どのようにアクションしていけるのかを、ゲストやナビゲーターとのディスカッション、参加者同士のワークを通して深めます。演習の中で自身の経験や視点を共有していただくゲストは、武田知也(舞台芸術プロデューサー/一般社団法人ベンチ 代表理事)、小沢剛(美術家/東京藝術大学教授)、野田智子(アートマネージャー/Twelve Inc. )。自分のなかから生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトを構想し、動かしていくための力を身につけます。
詳細
スケジュール
10月5日(日) 13:00〜17:30
第1回 イントロダクションと自己紹介
- 主催者・スタッフ挨拶
- 参加者の自己紹介と企画構想共有
- イントロダクション「アートプロジェクトとは?」(芹沢高志)
10月18日(土) 13:00〜17:30
第2回 グループワークとディスカッション
- グループワーク「自分の立ち位置を確かめる」(芹沢高志)
- ディスカッション(ファシリテーション:森司)
11月8日(土) 13:00〜17:30
第3回 プレゼンテーションとディスカッション
- 武田知也によるプレゼンテーション
- ディスカッション
11月15日(土) 13:00〜17:30
第4回 プレゼンテーションとディスカッション
- 小沢剛によるプレゼンテーション
- ディスカッション
12月6日(土) 13:00〜17:30
第5回 中間発表
- 構想中のプロジェクトの中間プレゼンテーション
- フィードバック/ディスカッション
- プロジェクトを深める
12月20日(土) 13:00〜17:30
第6回 プレゼンテーションとディスカッション
- 野田智子によるプレゼンテーション
- ディスカッション
1月17日(土) 13:00〜17:30
第7回 ディスカッション
- 構想中のプロジェクトについてディスカッション
- 最終発表へ向け準備
1月31日(土)/2月1日(日)ともに13:00〜18:00
第8回 最終発表
- 自分のアートプロジェクトをプレゼンテーション
- 講評(芹沢高志、森司)
- これからのアートプロジェクトについてディスカッション
会場
アーツカウンシル東京(東京都千代田区九段北4丁目 1-28 九段ファーストプレイス5階)
参加費
32,000円(税込)
ナビゲーターメッセージ
今、私たちは混迷の時代を生きている。そんななか、問題を発見するというアートの根源的な力に再び注目が集まってきているように思う。一方、アートもこれまでのかたちのままではいられない。時代や社会との応答のなかで、アートはその様相を大きく変容させつつある。アートプロジェクトという概念も急速に認知されてきた。
しかし考えてみれば、「アート」と「プロジェクト」はそれぞれに相反する性向を内在させている。問題発見的な性向と問題解決的な性向の両者を、いかに相殺せず、メタレベルでバランスを取っていくのかが、アートプロジェクトの醍醐味でもあると考えられるし、そのためには数々の経験知、集合知も必要になるだろう。
この演習ではもう一度「わたし」に立ち戻り、「わたし」が本当に大切であると思う「自分のアートプロジェクト」を構想した上で、皆で話し合い、相互に刺激を受け合っていくプロセスで展開していく。着地すべき正解があるわけではない。この動的な対話の航海を通して、新たななにか、来るべきアートプロジェクトのプロデューサー、ディレクター、コーディネーターたちに求められる姿勢が立ち上がっていくはずだと考えている。
ともに舟を漕ぎ出そうとする方々の参加を心待ちにしている。
武田知也
齋藤一洋
野田智子
小沢剛
自分のアートプロジェクトをつくる
自分のなかから生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトをつくる力を身につける
この10年で、わたしたちを取り巻く社会状況はめまぐるしく変化しました。これまでの考え方では捉えきれないような状況が次々と発生し、新たに炙り出される課題に応答するように、さまざまなアートプロジェクトが生まれました。しかしこのような状況は、どこかで一区切りつくようなものではなく、わたしたちはこれからもまた新しい状況に出会い、そのたびに自分たちの足元を見直し、生き方を更新する必要に迫られるでしょう。激しく変化し続けるこれからの時代に求められるアートプロジェクトとは、一体どのようなものなのでしょうか。
「新たな航路を切り開く」シリーズでは、2011年以降に生まれたアートプロジェクトと、それらをとりまく社会状況を振り返りながら、これからの時代に応答するアートプロジェクトのかたちを考えていきます。ナビゲーターは、人と環境の相互作用に焦点をあてながら、社会状況に応答して発生するアートプロジェクトをつぶさに見続けてきた芹沢高志さん(P3 art and environment 統括ディレクター)です。
ここでは、アートプロジェクトの立ち上げやディレクションに関心のある方を対象に、ゼミナール形式の演習を行います。状況に対してどのような問題意識をもち、どのようにアクションしていけるのかを、アーティストやナビゲーターとのディスカッション、参加者同士でのワークを通して深めながら、自分のアートプロジェクトを構想していきます。自分の中から生まれる問いをつかまえ、アートプロジェクトを構想し、動かしていくための力を身につけます。
ナビゲーターメッセージ(芹沢高志)
アートとはまずもって、個人個人の内面にこそ、決定的に働きかけてくるものだ。自分自身の問題と向き合うための術であるとも言えるだろう。
今、私たちは、歴史的にみても大変な時代を生きている。どこに問題があるのかわからない、いや、そもそも問題があるのかないのか、それさえもわからない時がある。こういう時はひとまず立ち止まり、何が問題なのか、自分の心に問うてみる必要がある。他人が言うからではなく、いかに些細な違和感であれ、自分個人にとっての問題を発見していくことが大切なのではないだろうか。自分にとって本当に大切な問いとはなんなのか? それを形として表現していくための力を、この演習を通して培っていければと思う。
ともに舟を漕ぎ出そうとする方々の参加を心待ちにしている。
「新たな航路を切り開く」に寄せて(芹沢高志)
来るべきディレクター、プロデューサーに向けて
2020年春、非常事態下のローマで、作家パオロ・ジョルダーノは「パンデミックが僕らの文明をレントゲンにかけている」と言っていた。まったくその通りで、新型コロナウイルス感染症パンデミックは、これまで私たちが見ないふりをしてきたさまざまな問題を世界中で炙り出している。
エコノミスト、モハメド・エラリアンは、リーマン・ショック(2009)以降の世界経済は、たとえ景気が回復したとしても、以前のような状態には戻らないとして、「ニューノーマル」の概念を提唱し、これまでの考えではとらえることのできない時代の到来を予告していた。その彼が今、今回のコロナ・ショックをうまく乗り切ったとしても、世界経済のかたちを変えてしまうような新たな世界「ニューノーマル2.0」の時代がやってくるだろうと予測している。つまり、自らが提唱した「ニューノーマル」という新たな世界像さえ、次のステージに入って更新されねばならないような地殻変動が、現在、進行しているというのである。これは経済分野での指摘だが、確かに私たちは、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故、新型コロナウイルス感染症パンデミック、ロシアによるウクライナ軍事侵攻と世界の分断と、激動する時代のなかで、ものの見方から行動様式に至るまで、さまざまな局面で本質的な更新を余儀なくされている。それはアート・プロジェクトについても同様で、私たちは今、アート・プロジェクトのあり方や進め方に関して、新たな時代に対応する変更を求められている。
しかしもちろん、これは現在進行形の設問であり、出来上がった解答があるわけではない。本シリーズは、次代を担うアート・プロジェクトのディレクター、プロデューサーたちに向けて、今生まれるべきアートプロジェクトの姿を学び合い、新たな航路を探し出し、自らの姿勢を確立してもらうために企画されたものである。
ニューノーマル2.0時代のディレクター、プロデューサーが、アートプロジェクトの新たな時代を切り開いていかねばならない。本スクールはそうした来るべきディレクター、プロデューサーたちの、旅立ちのための港になっていきたいと願っている。
2022年4月