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NEWS│2017.06.06

2017年度「思考と技術と対話の学校」説明会を開催しました

6月4日(日)、Arts Chiyoda 3331の3階にあるROOM302にて、「思考と技術と対話の学校 2017 説明会―アートプロジェクトを紡ぐ力を身につける―」が開催されました。約30名近くの方々にお越しいただき、学校のプログラム内容の紹介はもちろん、ゲストによるパフォーマンスあり、質問タイムありの賑やかな時間となりました。その様子をレポートします。

はじめに、「思考と技術と対話の学校」校長・森司より、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックと文化政策の関わりについてや、今後のアートプロジェクトの分野における人材育成の展望などについて概要を説明しました。
*参照「紡ぐ人」へ──思考と技術と対話の学校 森校長からのメッセージ

今年度のプログラム概要についての説明(Photo : Kazue Kawase)

その後、アーツカウンシル東京の坂本より、今年度のプログラム概要について説明しました。

全国各地でアートプロジェクトの運営スキルを養うための学校が開かれ、マネジメントや企画、資金調達などに対応する人材育成プログラムは増加傾向にあります。その一方、アートプロジェクトの現場で起きている状況を言葉にして伝えることのできる人材や、プロジェクトや作品について語るガイドツアー、トークプログラム、活動を伝えるためのメディアや場などが不足しているとの認識から、今年度のプログラムの姿が浮かび上がってきました。これは、「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」や「TERATOTERA」など、アーツカウンシル東京の主催事業として毎年さまざまなアートプロジェクトを実施するなかで、今現場で起きていることや、その複雑な関係性を伝え残すことの難しさ、必要性を実感してきた経験にもよるものだと言います。

森校長による説明(Photo : Kazue Kawase)

では、実際にアートプロジェクトの現場で物事を紡ぎ、伝える活動にはどんなものがあるのか? そもそもアートプロジェクトとは何なのか? そんな疑問に応えてくださったのが、この日のゲスト、アーティストの佐藤悠(「騙り部」「ゴロゴロ莇平代表」「御噺屋家元」「知ったかアート大学学長」)さんです。

まず登壇したのは、佐藤悠さん扮する開木名折(ひらきなおり)教授。会場は知ったかアート大学の講義会場に早変わりし、パフォーマンスがスタート。テンポよく、洞窟壁画の誕生から近代、現代、現在に至るアートプロジェクトの発生まで、大きな流れが示されていきました。
教授がアートプロジェクト作品の例として出したのは、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」常設展示作品のひとつ・内海昭子≪たくさんの失われた窓のために≫(2006)や、リクリット・ティラバーニャによるカレーやパッタイをふるまう行為など。作品の設置場所に広がる豊かな自然や時間、歴史的・時事的な出来事、作品づくりそのものやプロセス、行為に関わり生まれてきたさまざまな状況や関係性などが、「アートプロジェクト」と呼ばれるものにまつわる大きな流れをつくり出しているのではないか…遥か昔の話から現在まで、軽やかに辿っていく教授。 来場者のみなさんの熱心に聞き入る姿が印象的でした。

開木名折(ひらきなおり)教授によるパフォーマンス(Photo : Kazue Kawase)

その後のトークセッションでは、佐藤さんご自身の「紡ぐ」体験についても紹介されました。山あいの集落の坂を直径3mの球体に入って毎年転がり下りる私祭「ゴロゴロ莇平(あざみひら)」。1枚の紙に絵を描きながらその場にいる全員で即興で物語を作る「いちまいばなし」。アートプロジェクトの肯定派・否定派それぞれの立場から即興ラップを繰り広げる「地域アートプロジェクト 肯定派と否定派がラップで対決したら。」
これらの作品は、そもそもアートプロジェクトを「伝える」ことは不可能なのではないか? という考えから生まれたものなのだそうです。伝えることの困難さを逆手にとり、ときにはフィクションも交えることで受け手にわざと疑問を残し考えさせたり、議論を生み出したりする余地を残し伝えていく手法がとられています。佐藤さんならではの視点から、今回のキーワード「紡ぐ」を読み解いていただきました。

佐藤悠さんによるトーク(Photo : Kazue Kawase)

最後に、アーツカウンシル東京の坂本と、事務局を務めるノマドプロダクションの橋本より、今年度のメインプログラム「言葉を紡ぐ」「体験を紡ぐ」の内容についてご紹介しました。

「言葉を紡ぐ」は、アートプロジェクトを他者に伝えるための力を養う講座。まず、ドラマトゥルク、美術史家、アーティストなど、立場の異なる専門家とともにアートプロジェクトを捉えるための視点を養うことからスタートします。アートプロジェクトにまつわる文献や広報物(チラシ、パンフレット、記録集など)をとおして、アートプロジェクトについて語るさまざまな言葉と出会います。さらには、実際にアートプロジェクトの現場を訪問し、現場の雰囲気や空気感なども捉えながら、伝える力を磨きます。最終的には、受講生自身が記述または口述によりアートプロジェクトを言葉で紡ぐことに挑戦します。

「体験を紡ぐ」は、アートプロジェクトを社会とつなぐ新たなアプローチを探る講座。アートプロジェクトの活動を他者に伝えたり、鑑賞者や参加者により充実した体験をしてもらうためには、どのような方法が考えられるのか。かたちなき活動や関係性を言葉にしたり、地域に根差した活動をしたり、人々が行き交う場を生み出したりしている方々とともに、体験を紡ぐためのヒントを探ります。実践では、創造都市横浜のアートプロジェクトや拠点をめぐるためのツアーづくりをとおして、アートプロジェクトを紡ぐために押さえるべき要素とは何かを考えます。その後、東京都内をフィールドに、受講生の興味に応じて、ツアーや、場、メディアづくりなどに取り組みます。

ハードルが高そう…と思った方、ご安心ください。「言葉を紡ぐ」「体験を紡ぐ」ともに、現場経験豊富なスクールマネージャーらが受講生のみなさんの不安や疑問に丁寧に寄り添い、バックアップしていきます。

「言葉を紡ぐ」「体験を紡ぐ」プログラム内容の紹介(Photo : Kazue Kawase)

アートプロジェクトに関わると言っても、関わり方は実にさまざまです。「思考と技術と対話の学校」では、幅広くアートプロジェクトに興味・関心をお持ちの方々を歓迎いたします。プログラムの申し込み方法など詳細は下記をご覧ください。

「言葉を紡ぐ」詳細はこちら
「体験を紡ぐ」詳細はこちら

みなさまのご応募、お待ちしております!

説明会の様子は、以下のYouTubeでもご覧いただけます。(2017年8月5日まで)