スタディ2「東京彫刻計画」ナビゲーターメッセージ(居間 theater・佐藤慎也)
BACK「思考と技術と対話の学校」の東京プロジェクトスタディシリーズのナビゲーターの居間 theaterと佐藤慎也さんよりメッセージが届きました。
東京プロジェクトスタディ2「東京彫刻計画―2027年ミュンスターへの旅」では架空の芸術祭を糸口にさまざまな彫刻のリサーチをしていきます。時に街中へ出て、普段見落としてしまう公共彫刻を探り、ナビゲーターと既存の彫刻の概念に止まらない視点で話し合います。
ぜひ、ご一読のうえ、このリサーチ・創作のプロセスに興味をもってくださる方々のご参加をお待ちしております!
●居間 theater〔宮武亜季、稲継美保、東彩織、山崎朋〕(アーティスト)
このスタディは昨年、「2027年のミュンスター彫刻プロジェクト招聘を目指す」というアイディアから始まりました。
なぜそんなことを考えたかというと。
ナビゲーターを担当するにあたり、私たちは、東京における「公共」のことを想いました。公共というものをどう捉えるか、またアートはそれにどうアプローチしていくのか。アートプロジェクトも演劇も街なかで盛んに行われている昨今、改めて考えたい(考えるべき)と思ったのです。
ただ、東京の中にいながら東京のことを考えるのはとても難しい。
私たちは2017年に初めてミュンスターを訪れました。
ミュンスター彫刻プロジェクトの面白いところのひとつは、街と作品の関係です。
作品と場所、作品と街の人、さまざまな関係性があり、それらは時間とともに変化していく。10年に1度の芸術祭は、街と作品の変化を定期観測するような存在のようにも感じられます。
そこで、東京を考えるために、ミュンスターの経験から始めてみることにしました。
*
1年間のスタディをへて、芸術祭のことだけでなく彫刻自体もとても面白いということがわかってきました。そして、さまざまな彫刻が東京の街なかに点在していることも。
居間 theaterは彫刻のプロでは全くありません。ただ、彫刻のもつ時間の感覚や、彫刻をつくるひとのからだ、あるいは彫刻に接する私たちのからだの感覚、素材の感覚、彫刻と周りの空間の関係、街のなかで存在することの意味、
そういったさまざまな要素は、何かをつくったり考えるための、とても面白いヒントになるような気がします。
参加していただく方も、もちろん彫刻のプロではなくて構いません。(もちろんプロも歓迎、むしろいろいろ教えてください!)
私たちの周りにすでにある、東京の彫刻を出発点として何かをつくる。
そのプロセスを一緒に面白がって進めていければなによりです。
●佐藤慎也(プロジェクト構造設計)
作品のための場である美術館や劇場に対し、生活の場である街に作品を置くことには、豊かさとともに難しさが存在します。40年以上前の作品がいまだに街に残るミュンスターでは、10年おきという長い間隔で開催されることにより、街と作品との関係が十分に考えられているとともに、作品に時代の変化がはっきりと現れています。次のミュンスターを考えるという馬鹿馬鹿しい問題設定は、目の前にある時代や街に対しても、重要なスタディとなることでしょう。
そんなことから考えはじめた昨年のスタディの中で、あらためて東京の街にも多くの作品があることに気づきました。そして、その制作年に注目して、10年おきにつくられた作品を見ていくと、やはり、作品や、作品と街との関係の変化が見えてきました。そこで、ミュンスターに倣い、東京において10年おきに行われてきた架空の彫刻をテーマとした芸術祭を妄想することで、東京、彫刻、芸術祭を考えるための新しいスタディが立ち現れてきました。そんな、昨年の紆余曲折を踏まえつつ、今年の紆余曲折に向けて、スタディをはじめます。
関連記事
-
2022.06.06
レポート
新たな航路を切り開く|ナビゲーターメッセージ(芹沢高志) -
2021.11.25
レポート
Open Room 2021 開催しました。会期中に人気だった成果物もご紹介! -
2021.10.20
レポート
スタディ3 「これからのウェブサイトについて考える」|ナビゲーターメッセージ(萩原俊矢) -
2021.09.21
レポート
「コミュニケーション」や「パフォーマンス」といったテーマに時間をかけて向き合った、「東京プロジェクトスタディ」の成果を冊子にまとめました -
2021.09.10
レポート
レクチャー 手話講座 アドバンス編|講座の特徴や自己紹介動画についてご紹介! -
2021.07.21
レポート
スタディ1「わたしの、あなたの、関わりをほぐす」|ナビゲーターメッセージ(岡村成美) -
2021.07.21
レポート
スタディ1「わたしの、あなたの、関わりをほぐす」|ナビゲーターメッセージ(和田夏実) -
2021.07.21
レポート
ディスカッション「災間の社会を生きる術を探る」|ナビゲーターメッセージ(佐藤李青) -
2021.07.21
レポート
ディスカッション「災間の社会を生きる術を探る」|ナビゲーターメッセージ(高森順子) -
2021.07.21
レポート
ディスカッション「災間の社会を生きる術を探る」|ナビゲーターメッセージ(宮本匠) -
2021.05.24
レポート
東京プロジェクトスタディの2020年度の活動を公開中!見どころを紹介します -
2020.09.28
レポート
収録・配信スタジオ「STUDIO302」でプログラムを展開中! -
2020.07.29
レポート
2020年度東京プロジェクトスタディ|スタディマネージャーからのメッセージ -
2020.07.23
レポート
スタディ1「共在する身体と思考を巡って」ナビゲーターメッセージ(加藤甫・南雲麻衣・和田夏実) -
2020.07.16
レポート
スタディ3「Cross Way Tokyo」ナビゲーターメッセージ(阿部航太) -
2020.07.16
レポート
スタディ2「トーキョー・スカルプチャー・プロジェクト」ナビゲーターメッセージ(居間 theater・佐藤慎也) -
2020.06.18
レポート
レクチャー「手話と出会う~アートプロジェクトの担い手のための手話講座(基礎編)~」|モデレーターメッセージ(嘉原妙) -
2019.09.04
レポート
レクチャー「文化に時間をかける『ことば』をひらく」|ナビゲーターメッセージ(佐藤李青) -
2019.07.17
レポート
スタディ1 「続・東京でつくるということ」ナビゲーターメッセージ(石神夏希) -
2019.07.11
レポート
「東京プロジェクトスタディ」アーカイブサイトを楽しむための3つのポイント! -
2019.06.26
レポート
スタディ3「‘Home’ in Tokyo」ナビゲーターメッセージ(大橋香奈) -
2019.06.17
レポート
Tokyo Art Research Labのウェブサイトで、200点の資料をご覧いただけます。 -
2019.01.11
レポート
「ディスカッション4|物語から女性像をたどる」ゲスト紹介 -
2018.11.28
レポート
「ディスカッション3|遠さと近さのあいだで」ゲスト紹介 -
2018.10.30
レポート
「ディスカッション2|そこにある生活を描き出す」ゲスト紹介 -
2018.08.24
レポート
「東京プロジェクトスタディ」7つの特徴 -
2018.08.15
レポート
「東京プロジェクトスタディ」説明会を開催しました! -
2018.07.31
レポート
東京プロジェクトスタディ:スタディマネージャーからのメッセージ -
2018.07.19
レポート
レクチャー1「徹底解体!アートプロジェクト」|ナビゲーターメッセージ(佐藤李青) -
2018.07.18
レポート
スタディ5「自分の足で『あるく みる きく』ために」ナビゲーターメッセージ(宮下美穂) -
2018.07.18
レポート
スタディ4「部屋しかないところからラボを建てる」ナビゲーターメッセージ(一般社団法人NOOK) -
2018.07.18
レポート
スタディ3「Music For A Space」ナビゲーターメッセージ(清宮陵一) -
2018.07.18
レポート
スタディ2「2027年ミュンスターへの旅」ナビゲーターメッセージ(佐藤慎也、居間 theater) -
2018.07.18
レポート
スタディ1「『東京でつくる』ということ」ナビゲーターメッセージ(石神夏希) -
2018.07.06
レポート
レクチャー1「徹底解体!アートプロジェクト」|ナビゲーターメッセージ(北澤潤) -
2018.04.11
レポート
[レポート]公開講座「技術を深める(第4回)」を開催しました -
2018.04.10
レポート
[レポート]公開講座「技術を深める(第3回)」を開催しました -
2018.02.14
レポート
[レポート]公開講座「アートプロジェクトの今を共有する(第3回)」を開催しました -
2018.02.09
レポート
[レポート]公開講座「技術を深める(第2回)」を開催しました -
2017.11.24
レポート
[レポート]公開講座「技術を深める(第1回)」を開催しました -
2017.11.16
レポート
[レポート]公開講座「アートプロジェクトの今を共有する(第2回)」を開催しました -
2017.10.24
レポート
[レポート]公開講座「アートプロジェクトの今を共有する(第1回)」を開催しました -
2017.06.20
レポート
アートプロジェクトの学びの場「ROOM302」 -
2017.06.10
レポート
「体験を紡ぐ」ご紹介 -
2017.06.09
レポート
「言葉を紡ぐ」ご紹介 -
2017.06.03
レポート
「紡ぐ人」へ──思考と技術と対話の学校 森校長からのメッセージ -
2017.05.19
レポート
新しくなった4つのプログラムー「言葉を紡ぐ」「体験を紡ぐ」「技術を深める」「アートプロジェクトの今を共有する」 -
2017.01.28
レポート
プレイパーク・パーティーを考える日(基礎プログラム3[対話編]実践プログラム)ご紹介