「コミュニケーション」や「パフォーマンス」といったテーマに時間をかけて向き合った、「東京プロジェクトスタディ」の成果を冊子にまとめました

「東京プロジェクトスタディ」は、“東京で何かを「つくる」としたら”という投げかけのもと、「ナビゲーター」と、公募で集まった「メンバー」がチームとなって行うプログラム。約半年間、リサーチや実験を繰り返しながら、気づきや発見、議論を積み重ね、新たなプロジェクトの「核」となるものをつくっていきます。
2020年度は、「コミュニケーションと身体」、「パフォーマンスの実践」、「異なるルーツと出会う」をテーマにした3つのスタディを展開しました。
各スタディではその取り組みをまとめ、個性豊かな冊子を制作。3つまとめてご紹介します。

『東京プロジェクトスタディ1 共在する身体と思考を巡って -東京で他者と出会うために-』
出会うことへの渇望と接触を断たれたことでどこか持て余している身体を起点に、スタディ1は出発したのです。
最初からなにか確信や答えをもって進めていったわけではありません。
しかし、ことばやコミュニケーション以前の身体そのものを丁寧に紡いでいくための手がかりとして、スタディ1に集った参加者の一人ひとりの身体、他者に向かっていく態度、ひとりのナラティブなど、進むべき方向を示すコンパスはそれぞれの身体が既に持っていました。
何かを媒介にして出会うとき、はたして私たちは出会ったと言えるのだろうか。
これは、私たちが最初に立てた問いです。(本書2頁)
写真家、ダンサー、インタープリター(通訳者・解釈者)とともに、身体性の異なる人々の世界に触れながら、“ことば”による表現だけではないコミュニケーションの在り方を探り、その可能性について考えた「スタディ1|共在する身体と思考を巡って 東京で他者と出会うために」。
プログラムのなかで行われた議論やワークショップの様子、スタディに取り組みながら考えたことを、ナビゲーターや参加者自身が綴ったアーカイブブックを制作しました。
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『東京プロジェクトスタディ2 Tokyo Sculpture Project Rehearsal Book』
そういう膨大な、ふざけているような真面目なような「リサーチ」の時間のなかで、ほんの少し、ほんの一瞬、未来の創作の手がかりをつかまえることがある。そしてそういう手が かりは、 (少なくともわれわれにとっては)この「リサーチ」のようなよく分からない時間のなかからしか得られないのでは、とすら思う。(本書158頁)
ドイツの芸術祭「ミュンスター彫刻プロジェクト」を考えることから始まったこのスタディ2は、2018年度「2027年ミュンスターへの旅」、2019年度「東京彫刻計画―2027年ミュンスターへの旅」、2020年度「トーキョー・スカルプチャー・プロジェクト―2027年ミュンスターへの旅」と3年間実施。彫刻、公共、東京、美術/演劇、などのキーワードを元に、毎年様々な形式や内容でスタディに取り組みました。
本書では、3年間の活動の流れとそのなかで交わされたことば、そして活動のなかで生まれたさまざまな問いを記録しています。
詳細はこちら

『東京プロジェクトスタディ3 Cross Way Tokyoー自己変容を通して、背景が異なる他者と関わる』
そして、運良く関係の端っこをつかんだとして、ここで次のハードルがあります。「どのようにこの関わりを語ったらよいのだろうか?」失敗が怖いからこそ、誰かが提示した “正解 ”をどうしても求めてしまう。しかし、専門家でもない私たちがただ正解を模倣しようとすると、目の前の他者の存在を無視する不誠実な態度になってしまいます。だからこそ、借り物のキャッチフレーズではなく、「自分の言葉で話す」ことの重要さを、スタディが進むにつれ気づいていきました。たとえ失敗を犯したとしても、自分の言葉がそこにあれば、他者との信頼関係を築くことを支えてくれるはずです。(本書8-9頁)
東京プロジェクトスタディ3「Cross Way Tokyo ー自己変容を通して、背景の異なる他者と関わる」では、ナビゲーターと公募で集ったメンバーが「自己変容を通して、背景の異なる他者と関わる」というテーマをもとに、全12回の活動を重ねていきました。
前半は、専門家を招いたディスカッションやフィールドワークを重ね、自分が他者との間に設けてしまっている「ハードル」の見極めを試みることからはじめました。
それらを経て、後半は各メンバーの個人活動へ移行し、それぞれの興味関心を軸にしながら、自分がつくりたい/つくることができるメディアを模索していきました。各自で他者と関わるためのトライアルを重ね、メンバー同士で意見交換をしながら、最終的に自身のメディアを立ち上げることに取り組みました。
本書は、スタディでの活動のなかで生まれた議論、思考を記録した「スタディ」パート、スタディを通して立ち上げたメディアを紹介する「メディア」パート、2つのパートで構成されています。
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データでの閲覧や、郵送でのご入手が可能です!
上記の発行物は、「Tokyo Art Research Lab」のウェブサイトでPDFデータがご覧になれるほか、在庫のあるものは郵送でのお届けもしております(送料分着払い)。ぜひ、ご活用ください。
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2020年度の東京プロジェクトスタディの活動を記録したアーカイブサイトはこちら
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