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2020年度東京プロジェクトスタディ|スタディマネージャーからのメッセージ

2020.07.29 レポート
▲スタディマネージャー(左から):村上愛佳、大内伸輔、上地里佳、嘉原妙(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)[撮影:加藤甫]

“東京で何かを「つくる」としたら”という投げかけのもと、「ナビゲーター」と、公募で集まった「メンバー」がチームとなり、リサーチや実験を繰り返しながら新たなプロジェクトの核をつくる試みです。

それぞれのスタディには、アーツカウンシル東京のプログラムオフィサーが「スタディマネージャー」として伴走し、学びのサポートをします。
スタディマネージャーからのメッセージをお届けします!

スタディ1|共在する身体と思考を巡って—東京で他者と出会うために

▲スタディ1ナビゲーター(左から):和田夏実、南雲麻衣、加藤甫/スタディ1スタディマネージャー(右):嘉原妙[撮影:齋藤彰英]

ナビゲーター:加藤甫(写真家)、南雲麻衣(パフォーマー、アーティスト)、和田夏実(インタープリター)
スタディマネージャー:嘉原妙 (アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

思い立ってあの人に会いに行く、隣に座って、声色や表情、その人がまとう空気に触れながら話をきく。そういう当たり前のことが、こんなにも愛しいと感じていたんだと気づく日々です。2020年春から、私たちが目にする暮らしの風景は一変しました。マスク、ビニールシート、パーテーション、消毒液の香り、透明の膜で覆われた暮らしの風景は、人と人、人と社会の距離を物理的にも、心理的にも、どんどんと遠ざけていくようで心許ない気持ちになります。こんなにも遠ざかった者同士が、ちゃんともう一度出会うことができるのだろうか。そもそも、こうなるずっと前から、私たちは他者とちゃんと出会ってきていたのだろうか。分断の肌ざわりを日々体感しながら、そんな問いを私は抱えてぐらぐらと揺れています。

大げさかもしれないけれど、人は、生きていく上で、自分とは異なる他者の存在を知ること、また、そこにその人が「居る」んだと実感することが、自分自身の存在を確かめる拠り所となっているのではないかと思うようになりました。そして、その人とコミュニケーションを重ね、互いの考えや感覚の違いにハッとして、ときには喜んだり、悲しんだりしながら、自分と他者との距離感を知っていくこと。この人と人との「間」の部分に触れようと手を伸ばすふるまいは、他者と出会うときのヒントになるんじゃないか、そんなことをぐるぐると考えています。

今回、写真家の加藤甫さん、ダンサーの南雲麻衣さん、インタープリター(通訳者・解釈者)の和田夏実さんという3名のナビゲーターと共に、「身体」を軸に「コミュニケーション」にかかわる実験・実践を重ねていくスタディを立ち上げました。ナビゲーターの3名、運営チーム、そして参加者のみなさんと、それぞれの異なる身体性や眼差しを交換したり、ときにはぶつけ合いながら、私たち一人ひとりの「間」にある「何か」への触れ方、ふるまい、他者を想像する新たな方法やとっかかりみたいなものを一緒に探ってみたいと思っています。

嘉原妙

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スタディ2|トーキョー・スカルプチャー・プロジェクト—2027年ミュンスターへの旅

▲スタディ2ナビゲーター(左2番目から):居間 theater[稲継美保、東彩織、山崎朋、宮武亜季]、佐藤慎也/スタディ2スタディマネージャー(両端):大内伸輔、村上愛佳[撮影:齋藤彰英]

ナビゲーター(アーティスト):居間 theater[稲継美保、東彩織、山崎朋、宮武亜季](パフォーマンスプロジェクト)
ナビゲーター(プロジェクト構造設計):佐藤慎也(建築家、日本大学理工学部建築学科教授)

スタディマネージャー:大内伸輔(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)、村上愛佳(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

パフォーマンスがやりにくい時代。
彫刻が攻撃される時代。
ナビゲーターたちが2017年にミュンスターで描いた夢は、こんな時代にどんな姿で立ち上がるのでしょうか?
既存のシチュエーションを飛び越えてきたナビゲーターが、変わりつつある東京の風景や人と向き合う姿に同行しましょう。
今回は居間 theaterの佐藤慎也さんに加え、4人のアーティストをゲストに迎えました。
そして5回に渡るワークショップを通して、パフォーマンス・建築・彫刻・映像・サウンドアート・写真などさまざまなメディアに参加者たちは触れていきます。
変わりゆく世界、変わりゆく表現に立ち向かうナビゲーターの強い想いを側で感じ、自身のなかで生まれた新たな問いや発見を深めていきましょう。

大内伸輔、村上愛佳

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スタディ3|Cross Way Tokyo—自己変容を通して、背景が異なる他者と関わる

▲スタディ3ナビゲーター:阿部航太/スタディ3スタディマネージャー:上地里佳[撮影:齋藤彰英]

ナビゲーター:阿部航太(デザイナー/文化人類学専攻)
スタディマネージャー:上地里佳(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

『移民』や『海外ルーツの人々』ということばをよく聞くようになり、私自身、日々の暮らしのなかで異なる文化や言語を持つ人々と場をともにする機会が増えてきているのを感じます。距離としては近づいているのに、コミュニケーションをとろうとするとき何か失礼なことを言ってしまうのではないかと悩んでしまう。相手を思うほどにコミュニケーションが億劫になりがちになる。その感覚をどう越えて、新たな関係性を築く一歩をつくっていけるのか、このスタディで探っていきたいと思います。

阿部さんのナビゲーターメッセージでも触れていますが、この問いは、私たちの日常生活が、多様で、複雑な、他者との関わりが満ちていることを再認識することからはじまるように思います。例えば、普段何気なく使っているものや食べているもの、ことばや技術など、自身の日常生活をつぶさに見てみること。これまでの歴史を学ぶことや、実践者の方々の話を聞いてみることなど。

そんな試行錯誤のなかで思考をやわらかくしながら、背景が異なる他者と出会い、関係性を築いていく態度や方法を探っていければと思います。最終的には「態度と実践方法」をまとめたメディアを立ち上げて発信することをとおして、じんわりと自らを変容させていく時間を、私自身も含め、スタディメンバーとともにつくっていければと思います。

上地里佳

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