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スタディ2「東京彫刻計画」ナビゲーターメッセージ(居間 theater・佐藤慎也)

2019.06.26 レポート

「思考と技術と対話の学校」の東京プロジェクトスタディシリーズのナビゲーターの居間 theaterと佐藤慎也さんよりメッセージが届きました。

東京プロジェクトスタディ2「東京彫刻計画―2027年ミュンスターへの旅」では架空の芸術祭を糸口にさまざまな彫刻のリサーチをしていきます。時に街中へ出て、普段見落としてしまう公共彫刻を探り、ナビゲーターと既存の彫刻の概念に止まらない視点で話し合います。
ぜひ、ご一読のうえ、このリサーチ・創作のプロセスに興味をもってくださる方々のご参加をお待ちしております!

スタディ2|東京彫刻計画―2027年ミュンスターへの旅


●居間 theater〔宮武亜季、稲継美保、東彩織、山崎朋〕(アーティスト)

このスタディは昨年、「2027年のミュンスター彫刻プロジェクト招聘を目指す」というアイディアから始まりました。

なぜそんなことを考えたかというと。
ナビゲーターを担当するにあたり、私たちは、東京における「公共」のことを想いました。公共というものをどう捉えるか、またアートはそれにどうアプローチしていくのか。アートプロジェクトも演劇も街なかで盛んに行われている昨今、改めて考えたい(考えるべき)と思ったのです。

ただ、東京の中にいながら東京のことを考えるのはとても難しい。

私たちは2017年に初めてミュンスターを訪れました。
ミュンスター彫刻プロジェクトの面白いところのひとつは、街と作品の関係です。
作品と場所、作品と街の人、さまざまな関係性があり、それらは時間とともに変化していく。10年に1度の芸術祭は、街と作品の変化を定期観測するような存在のようにも感じられます。

そこで、東京を考えるために、ミュンスターの経験から始めてみることにしました。

1年間のスタディをへて、芸術祭のことだけでなく彫刻自体もとても面白いということがわかってきました。そして、さまざまな彫刻が東京の街なかに点在していることも。

居間 theaterは彫刻のプロでは全くありません。ただ、彫刻のもつ時間の感覚や、彫刻をつくるひとのからだ、あるいは彫刻に接する私たちのからだの感覚、素材の感覚、彫刻と周りの空間の関係、街のなかで存在することの意味、
そういったさまざまな要素は、何かをつくったり考えるための、とても面白いヒントになるような気がします。

参加していただく方も、もちろん彫刻のプロではなくて構いません。(もちろんプロも歓迎、むしろいろいろ教えてください!)

私たちの周りにすでにある、東京の彫刻を出発点として何かをつくる。
そのプロセスを一緒に面白がって進めていければなによりです。


●佐藤慎也(プロジェクト構造設計)

作品のための場である美術館や劇場に対し、生活の場である街に作品を置くことには、豊かさとともに難しさが存在します。40年以上前の作品がいまだに街に残るミュンスターでは、10年おきという長い間隔で開催されることにより、街と作品との関係が十分に考えられているとともに、作品に時代の変化がはっきりと現れています。次のミュンスターを考えるという馬鹿馬鹿しい問題設定は、目の前にある時代や街に対しても、重要なスタディとなることでしょう。
そんなことから考えはじめた昨年のスタディの中で、あらためて東京の街にも多くの作品があることに気づきました。そして、その制作年に注目して、10年おきにつくられた作品を見ていくと、やはり、作品や、作品と街との関係の変化が見えてきました。そこで、ミュンスターに倣い、東京において10年おきに行われてきた架空の彫刻をテーマとした芸術祭を妄想することで、東京、彫刻、芸術祭を考えるための新しいスタディが立ち現れてきました。そんな、昨年の紆余曲折を踏まえつつ、今年の紆余曲折に向けて、スタディをはじめます。

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