スタディ1「『東京でつくる』ということ」ナビゲーターメッセージ(石神夏希)
BACK「思考と技術と対話の学校」の東京プロジェクトスタディシリーズのナビゲーターのひとり、石神夏希さんよりメッセージが届きました。
東京プロジェクトスタディ1「『東京でつくる』ということ ―前提を問う、ことばにする、自分の芯に気づく」では、さまざまな背景を持つ参加者と共に「東京でつくること」を入口に、それぞれが抱えている課題や関心を軸に徹底的に対話し、議論を生み出す方法を身体化することに取り組みます。
「東京でつくる必然性とは何か」。その問いに対する切実で実直な思いが語られています。ぜひ、ご一読のうえ、この取り組みや問題意識に共鳴する方々のご参加をお待ちしております!
●石神夏希(劇作家/ペピン結構設計/NPO法人場所と物語 理事長/The CAVE 取締役)
屏風の虎をふんじばる
「東京でつくる」に戸惑っています。そんな私の戸惑いをケーススタディとして、参加者の皆さんと共に「東京でつくる」ことの必然性や、一体何をどうつくればいいのか、ということを考えるプログラムです。
企画にあたって、スタディマネージャーの嘉原妙さんと話しているとき「東京ってフィクションなのかもしれない」という言葉が出ました。それはさほど新しい発見ではないと思いますが、私は演劇をやっている人間なので、フィクションを身体化することに関心があります。そして身体化されたフィクションつまり「上演」には、制度を相対化する力があります。
いま、東京で芸術文化に関わろうとするとき、このことについてよくよく考えてみる必要があるのではないか、と思います。「いま」は何時で「東京」は何処のことなのか。そんな「屏風の虎」みたいなフィクショナルな何かをふんじばろうとする格闘と、メンバーそれぞれの身体から発したごく個人的な実感とのあいだを行き来しながら、その過程を言葉にしていくことに挑戦したいです。
ゲストとして私がこれまで、あるいは現在進行形で一緒に「つくる」をやってきた人々にも議論に参加してもらいます。彼らはいま、どこで、何をつくっているのか。「東京でつくる」ことをどう思っているのか。ありていに言えば「スタディ」を口実に信頼するつくり手であり友人でもある彼らにこの戸惑いを吐露し、参加者の皆さんの知恵もお借りして、なんとか手がかりを見つけたい、という目論見です。
そう、つまり切実です。切実なだけ、ケーススタディとしては惜しみなく素材をさらけ出します。参加する皆さんにとっても実践的な思考の場になることを、そしてここでの議論が何年か経って、それぞれが迷った時に立ち戻れる道標となることを目指します。
関連記事
- 2022.06.06 レポート
- 2021.11.25 レポート
- 2021.10.20 レポート