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スタディ3「‘Home’ in Tokyo」ナビゲーターメッセージ(大橋香奈)

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2019.06.26 レポート

「思考と技術と対話の学校」の東京プロジェクトスタディシリーズのナビゲーターのひとり、大橋香奈さんよりメッセージが届きました。

東京プロジェクトスタディ3「‘Home’ in Tokyo―確かさと不確かさの間で生き抜く」ではさまざまな環境や条件の中、自分の‘Home’と感じられる工夫をして生き抜く人びとの日々の実践に着目します。自分や他者にとっての‘Home’のありようを理解するための態度や方法を学び、映像作品(プロトタイプ)をつくります。
ぜひ、ご一読のうえ、自分とは異なる価値観や考え方を持つ人びとの暮らし方を尊重し、学びたい方々のご参加をお待ちしております!

スタディ3|‘Home’ in Tokyo―確かさと不確かさの間で生き抜く


●大橋香奈(映像エスノグラファー)

私は生まれてからこれまでに、国内外で20回の引越しを経験しました。一つの家、地域に定住することなく転々としていたので、唯一の‘Home’と呼べるような場所がありません。私にとって‘Home’は特定の場所ではなく、移動するたびにつくりなおし更新される、自分を取り巻く多様な関係性の拠点のようなものです。一つの場所にしっかりと根を張って暮らし続けてきた人からすると、確かな拠り所なく漂っている「根無し草」のように思われるかもしれません。私も、自分の経験をネガティブにとらえていた時期がありました。けれど、ジョン・アーリという社会学者が書いた、いくつかの本に出会ってから考え方が変わりました。 アーリは自身の研究の中で、「移動(あるいは移住)」の経験の持つ意味や価値に目を向けています。私は、アーリの本を読んで、さまざまな背景を持つ人びとの移動(移住)の経験と、彼/彼女にとっての‘Home’という感覚がどのようなものなのかに興味を持つようになりました。

このスタディでは、全国の中で最も移動者数が多く流動的な都市である東京で生きる人びとにとって、「自分の‘Home’」という感覚はどのようなもので、何によってもたらされているのかを、参加者とともに考え、調査し、映像で表現してみたいと思っています。その過程では、社会学、建築、デザインなど、異なる分野の専門家をゲストに招き、調査や表現のための態度や方法を学びます。
このスタディが、自分にとっての‘Home’の意味を考え直したり、他者にとっての‘Home’の意味をよりよく理解したりするきっかけになることを願っています。また、将来、想定外の移住をしなければならなくなったり、確かだと思っていた自分の‘Home’が揺らいだりした時の拠り所になることを期待しています。

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